原発通信352号 2012/12/08

今日は真珠湾攻撃の日

 今日12月8日は、日本軍が真珠湾攻撃をし、米英と戦端を開いた日です。あれから71年がたちましたが、今また、きな臭い臭いが立ち込めています。それは、これまで何度も言われてきたときよりもいっそう現実味を帯びたものとして表れてきています。改憲・国防軍の建設、そして原発に絡み核燃サイクルが、実は日本の潜在的核武装を視野に入れたものであるということが、自民党の安倍晋三、石破茂らの発言から明白になってきました。

 昨日7日、首相官邸前での抗議行動に参加してきました。地下鉄出口を出、一足先に来ていた知人に会うと、先ほど大きな地震があり、津波警報が出ているといいます。私がちょうど地下鉄に乗っていた時刻のようです。まだまだ3.11後の余震は続いているようです。行動に参加されている人々の間からも、「福島は大丈夫か」との声があがっていました。大きな地震があるたび何事もないことを祈るばかりです。

 そうした危機意識があるからこそ、そして未来に責任があるからこそ、底冷えが始まる季節になっても抗議に来る人たちが途切れることなく集まってきているのです。この日参加した友人も、そのことをマイクを握って首相官邸へ向け抗議の声を挙げていました。

12月に入り、首相官邸前もめっきり寒くなりました。これから、首相官邸前、国会前、霞が関行動に参加される方は、防寒の用意をくれぐれも。手足、本当に冷たくなってきます。

 

「住民投票・国民投票」をすることが目的なのか!?

▶「みんなで決めよう『原発』国民投票」事務局長今井一氏に問う

 さて、総選挙期間中ということで、新聞等マスコミは選挙一色です。そんなところに発生した昨夕の三陸沖地震、どう影響するのか、しないのか、まさに「国民が変われるのか」どうかが問われるでしょう。安倍晋三、石原慎太郎らウルトラ右翼勢力の伸張が気になります。

 そんななか、東京都知事選も同時に行われています。脱原発を掲げて宇都宮さんが立候補しています。石原都政を引き継ぐという猪瀬の動向が気になるなか、「みんなで決めよう『原発』国民投票」事務局長の今井一氏らが、先月14日に書留郵便にて猪瀬、宇都宮、笹川、松沢の4氏宛てに「原発」都民投票条例の首長提案に関する公開質問状を送付し、宇都宮氏、松沢氏から返答が来たが、自分たちの意にそぐわない回答だといって、「本会として、知事選挙において、どなたかを推すということはしません」などといっています。(下記

 今、原発をめぐっての熱い闘いが行なわれているというこの時に、自分たちの言うことを聞かないなどと言って、後ろから矢を打つようなことを行っています。しかも、勝手に自分たちの言うことを「理解していな」いだの、「本質的なことがわかっていない」だのと言い、あまつさえ、それに「断」を下してまでいます。事務局長の今井氏は、以前にも都民投票をめぐって、都議会がそれを否決したことに対し、都議の福士敬子さんを呼んでの討論会の席上、「意味がわかっていない」「レベルが低い」などと“暴言“を吐き、何か自分がすべてであるかのような言論を吐いているのをネットで動画で見ました。

住民投票・国民投票を認めるか否かという“首実検”をし、自分たちの意にそぐわないからと言って推薦も・支持も表明しないとは、いったい彼らがこれまで行ってきたことはなんだったのかと問いたい。脱原発をめざすことだったのか、それとも住民・国民投票をただしたかっただけなのかと。

▶選択肢は二つ──「原発を動かすのか」「原発を止め、核に怯えないですむ社会を次世代につないでいくか」である

 そもそも、原発の是非=【「原発」を今後どうするのか】などと言う「レベル」を越え、その先、原発を止めるのか、再稼働を許すのかという地平に行っているのだということを理解できていないのは今井氏本人だといわざるを得ません。「主権者一人ひとりの意思をもって」「各人が自ら決断する」のだと、多くの人々が自筆で、印鑑まで押すという今までの署名とは異なる、それこそ「高度な」決断をもって署名されたのは、3.11後、福島第一原発事故をまのあたりにし、何とかして原発を止めたい、原発をなくしたいという多くの人々の意思の表れでした。その意味では何も「住民投票」が目的ではないのです。

 何度も繰り返します。福島第一原発事故を見てしまった私たちの選択肢は、「原発を動かすのか」、それとも「すべての原発を止め、原発=放射能・核に怯えないですむ社会を次世代につないでいくか」という選択なのです。

そして、これだけは言っておきたいと思います。

「政治は、結果に対して責任を持つものである」ということを。

 ところが、今井一氏らの行なっている「住民投票」運動は、それ自身が自己目的化していると断言せざるを得ません。たぶん今井氏より原発問題に長くかかわってきている自民党の河野太郎氏も、「こまかな違いを取り上げて批判しあうべきではない。それで喜ぶのは原子力ムラの残党だけだ」(下記)と言っていることを自覚しなければなりません。

今必要なことは、河野氏の言葉を使えば、「最大公約数をとりまとめ、それをさらに前進させる努力をするべきで、同じ方向を向いている人同士」をいかに束ねて大きな脱原発勢力を結集していくかということであり、そこに注力していかなければなりません。あの唯我自尊とよく言われる日本共産党でさえ脱原発勢力をそれなりに結集させようとしているではありませんか。

 投票日まであと1週間、何が今必要なのかを、今一度、確認していきたいと思います。

 

【みんなで決めよう「原発」国民投票のホームページから】

■「賛同人、署名者の皆さんへの御案内(2012-12A)

[2]都知事選挙、公開質問状に松沢しげふみ氏、宇都宮けんじ氏が回答 本会は先月14日に書留郵便にて猪瀬、宇都宮、笹川、松沢の4氏宛てに「原発」都民投票条例の首長提案に関する公開質問状を送付。このうち、松沢しげふみ氏、宇都宮けんじ氏より回答を頂戴しました。多忙な中、回答を寄せてくださったことには感謝しますが、残念ながら、両氏とも、当選し知事になったら「首長(知事)提案」をするという意思を表明したり、約束する内容にはなっていませんでした。また、「原発」都民投票を実施することの意義について、本質的な理解をされているとは到底思えない内容になっていました。よって、本会として、知事選挙において、どなたかを推すということはしません。

※言うまでもなく、賛同人のみなさま個々人がどなたを支持、応援しようが、それはまったくの自由です。念のためにそのことを一言添えておきます。

■宇都宮、松沢両候補から寄せられた回答に対する当会事務局長の見解

 その上で一言見解を述べたい。宇都宮氏の回答文の論理で言えば、もし彼が当選せず猪瀬、松沢氏らが当選したら、「脱原発ではない再稼働容認の都民の意思」が示された事になります。私たちは、「原発」を今後どうするのかについての都民の意思は、その決定権を委ねる代理人を選ぶ選挙ではなく、各人が自ら決断する都民投票によってしか確認できないと考えます。回答して下さった宇都宮さん、松沢さんは、一人の首長、一人の首相ではない、主権者一人ひとりの意思をもって「原発」をどうするのかを決める事の意味を理解されていない。些末なところではなく、本質的な点がわかっていないと断じざるを得ません。極めて残念です。但し、回答してこなかった猪瀬、笹川氏は自身の「原発」都民投票についての考えを全く明らかにせず、これは【問題外】だと考えます。

 市民グループ【みんなで決めよう「原発」国民投票】事務局長 今井 一

http://kokumintohyo.com/archives/5904


▶最大公約数を

河野太郎ごまめの歯ぎしり2012年12月01日 22:44

【本当に脱原発を実現しよう思うならば、同じ方向を向こうとしている人を批判するべきではない。一人でも多くの仲間と一緒に、同じ方向を向いて歩もう】

 まったくその通りです。それができないならば、

【いまだに原子力ムラに囚われている人々を除き、最大公約数をとりまとめ、それをさらに前進させる努力をするべきで、同じ方向を向いている人同士が、こまかな違いを取り上げて批判しあうべきではない。それで喜ぶのは原子力ムラの残党だけだ】

▶電気料金:電力会社「地域独占」の変革迫る…経産省専門委

毎日新聞 2012年12月06日 23時12分

【大手電力会社の独占が続く小口利用者への販売の門戸を新規事業者にも広げ、電力会社の「地域独占」体制に変革を迫る。改革の目的は、世界的に高い水準にある電気料金の引き下げやサービスの向上につなげることだが、原発の再稼働が進まず電力供給に余裕がない状況だけに、その果実が利用者に広がるかどうか不透明】

【了承された案は、新規事業者の参入を認めた後も家庭向け料金については当面、政府による従来の規制料金を残し、国の認可がいらない自由料金か規制料金かを利用者が選べるようにする内容。大手の独占状態が残る段階で自由化すれば、逆に料金が大幅に上がる事態も想定されるからだ。複数事業者の参入で競争が進めば規制料金は撤廃する】

▶ロボット:原子力災害の現場で力発揮…三菱重工が開発

毎日新聞 2012年12月06日 19時58分

【外見は人気アニメ「機動戦士ガンダム」のガンタンクにそっくりで、事故を起こした福島第1原発の復旧作業でも活躍が期待されている】

 まあ、ガンダム世代が開発の中心でしょうから、そうなるのでしょう。いずれにしても「廃炉」にしたからと言ってほっておいていいものではありません。その後もきちんと、手厚く管理しなければ暴走しかねないのですから。そして、最後はやはり人の手が必要なことは、たぶん間違いないでしょう。そのとき、誰が…。

▶東電下請けの被ばく隠し:線量計カバー指示の疑い、下請け会社を書類送検へ──福島労働局

毎日新聞 2012年12月07日 東京朝刊

【厚生労働省福島労働局は、作業を請け負った配管設置会社「アクセス青森」(青森県おいらせ町)と、佐柄(さがら)照男社長(55)を、7日にも労働安全衛生法違反容疑で福島地検に書類送検する方針を固めた】

▶社説:2012衆院選・こう考える 脱原発と再稼働 説得力ある工程表示せ

毎日新聞 2012年12月07日 東京朝刊

「工程表」だの「ロードマップ」だの、最近のはやり言葉のひとつです。

【戦後の原子力政策を主導してきた自民党は「10年以内に電源構成のベストミックスを確立する」と言う。福島原発事故が起きたことに対する反省はどこへいったのか。再稼働の安全性については、民主党同様、規制委の判断に委ねるというが、脱原発の方向性が見えない。

 日本維新の会は「先進国をリードする脱原発依存体制の構築」を掲げる。だが、再稼働をどう進めるのかわからない。既設の原発は「30年代までにフェードアウトする」と書き込んだ政策実例も、公約ではないという。自民もそうだが、脱原発の争点化を避けているようにもとれる】

▶記者の目:脱依存の道歩む「原発大国」=宮川裕章(パリ支局)

毎日新聞 2012年12月07日 東京朝刊

【日本で唯一解体中の東海原発は「技術的な問題はなく、解体の先例としてマニュアル化するためじっくり時間をかけている」(内藤正則・エネルギー総合工学研究所原子力工学センター部長)というが、汚染状況は原子炉ごとに違い、すべての廃炉のモデルケースになるかは保証がない】

【「運転当時の原発内の状況を知る人の知識を活用するためには、早期の解体も必要だ」と仏電力公社の廃炉担当幹部は語る。廃炉作業を安全に進めるには、知見のある関係者が高齢化する前に着手するという時間的感覚も必要】

【仏原子力大手アレバ社は地中海に浮かぶコルシカ島で蓄電技術の大規模な開発を進めている。日本では「巨大原発企業」のように映る同社だが、すでに再生エネ普及に向けて先行投資しているのだ。実用普及化には時間がかかりそうだが、日本企業も見習うべきところがあるかもしれない】

 「造った人でしかわからないもの」というのは当然あるでしょうから、そのことも含め、また設計思想をもどう継承して、廃炉へ結び付けていくかが課題でしょう。

▶中国:新規原発2基を着工 福島事故後、新規では初めて

毎日新聞 2012年12月06日 19時04分

【中国福建省と広東省で6日までに、福清原発4号機と陽江原発4号機の建設工事がそれぞれ始まった】

 東シナ海沿岸にずらっと並んでいるわけです。そこで事故が起きたら、数時間後には、わが国に…。考えただけでぞっとします。

▶九電:核燃料取り出し点検 原発停止、長期化受け──来月から

毎日新聞 2012年12月06日 西部朝刊

【定期検査で長期停止中の原発全6基に装着している核燃料を取り出し、1次冷却水を浄化する系統の点検などを来年1月に始めると発表した。原発再稼働の見通しが立たないため、核燃料を使用済み核燃料プールにいったん移して点検する】

▶使用済み核燃料対策協議会:知事が参加を表明 国要請「積極的に発言したい」/福井

毎日新聞 2012年12月06日 地方版

【西川一誠知事は5日の県議会で、原発の使用済み核燃料の中間貯蔵や最終処分について話し合うため政府が全都道府県に参加を要請している「使用済み核燃料対策協議会」への参加を表明】

 積極的にならざるを得ないでしょう。六ヶ所村再処理が止まったら、「再処理から撤退」となったら、原発立県・福井、「核のゴミ」であふれることになるのですから。

▶福島の放射線量の高い地域では生物界の異変が確実に起きている

TBSテレビ 2012.11.30放送

「チェルノブイリでは線量の高い地域ほどツバメの個体数が減っていることが分かっています」
鳥類減少の度合いはチェルノブイリの2倍。鳥類の減少が放射線の影響かまだ断定はできないが生物界の異変は確実に起きている。アブラムシにまったく見たことのない奇形。「­多くの動物にとってここ福島の状況はチェルノブイリと同じくらいひどいと言えます。」

 と言ってこの番組は始まります。


総選挙と原発

 下記の記事に登場するような人々、登場はしてきているのでしょう。しかし、それをまとめ、一つの流れにどうすればできるのでしょうか。

▶衆院選:揺れる原発城下町 茨城・東海村

毎日新聞 2012年12月07日 11時12分

【震災時、推定5.4メートルの高さの津波が同原発に押し寄せ、非常用ディーゼル発電機の冷却用ポンプが浸水、発電機3台のうち1台が停止した。福島事故と同様になりかねない事態だったことをあとから知り「不信感が募った。無関心でいられなくなった」と言う。

 一方、同会メンバーで4歳の長男の母、岡本孝枝さん(43)にとって「原子の火」は「誇り」だった。約15年前、原子力研究施設の見学会で燃料棒が入ったプールを見て、透き通ったブルーの水に「きれい」と感動した。しかし今は違う】

▶一票の行方:~政策比較/1 立地マネーに頼った佐賀・玄海町 脱原発、見えぬ実現性

毎日新聞 2012年12月06日 西部朝刊

【「福島の人たちの犠牲を思うと、原発を進めてくれとは言えない」

 佐賀県玄海町の九州電力玄海原発に最も近い漁協、外津(ほかわづ)漁協(組合員約50人)理事の野崎哲雄さん(63)はかみしめるように言った。この町に原発ができて37年。福島の原発事故で、空気のような存在だった原発が「初めて大きなリスクだと気づかされた」】

【外津漁協が受けた漁業補償金も約20億円に上る。だが、手にした途端に漁を辞めたり、繁華街で浪費したりする組合員の姿も見てきた。「これでは若者が出て行くだけだ」】

▶1票の底流:衆院選・変わる有権者たち/3 署名活動に手応え

毎日新聞 2012年12月07日 東京朝刊

【電話の受話器から怒声が響いた。「素人が口出すんじゃない。あんたらに何が分かる」

 太平洋に面した中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)。再稼働の是非を問う住民投票を求める署名を集めた浜松市のピアノ講師、川嶋弘美さん(42)は9月、協力を求めた県議のけんまくにたじろいだ。近付いたように感じた政治が、遠のいていく気がした】

 そう、「素人が口を出すんじゃない」──原発に限らず、「高度なもの」「粋を集めたもの」などという形容詞がついたものには必ずこういうフレーズで、抑え込む勢力がいるものです。そして、間違いなくそういう連中はそれでもって「利益を得ている」。しかし、上記のこの県議、どれほどの「知識・知見」が備わっているのでしょう。知らない者ほど、突っ込まれると大声を出すものです。「弱い犬ほどよく吠える」ですか。

▶2012衆院選:維新、自民攻撃に軸足 「単独過半数」報道が契機

毎日新聞 2012年12月07日 東京朝刊

【「第三極」として衆院選後のキャスチングボートを握りたい日本維新の会は自公過半数割れに追い込もうと自民党攻撃を強化】

【第三極の主導権を握ったところで、自公が過半数を上回れば、第三極そのものの存在意義が薄れる】

 ただただ権力がほしいだけの橋下です。目立ちたがり屋が、目立っていると、権力というものも自分に近づいてきたというところから、「傲慢居士」になっていったのでしょう。

▶心にもないことを「公約」に合わせて語る=渡辺信一郎の「未来の党」からの出馬を、怒りを込めて弾劾する!

 本「原発通信」もリンクさせていただいています「かごしま反原発連合有志」が、今度の衆院選で鹿児島1区から立候補している未来の党・渡辺信一郎を、

「選挙公報その他、選挙チラシ類でも、一切、原発問題に対するコメントを拒み続けた人物である。 

こうした人物が、こともあろうに「卒(=脱)原発」を党是とするはずの「未来の党」から出馬するなどとは、信じられない「大嘘つき」である。この人物を担いでいるのは、一体誰か?またそれを受け入れようとする「未来の党」側のキーマンは一体誰なのか?嘉田さんや小沢氏は、一体何を考えているのか?まさに「未来の党」の「自殺行為」である」

 として弾劾しています。どさくさまぎれといえるでしょう。


▶東北・関東で震度5弱 一時津波警報

NHK TV12月7日 20時5分

【7日夕方、東北の三陸沖を震源とするマグニチュード7.3の地震があり、青森県と岩手県、宮城県などで震度5弱】

 その後の気象庁の会見によると、まだまだ、3.11の巨大地震、そしてこの地震の余震には十分警戒する必要があるとのことです。