原子力規制委、大飯原発運転継続を了承
揺れを把握するための地下の立体構造や、自動消火設備の設置、「いずれも直ちに安全上、重大な問題が生じるものではない」と判断し、新基準施行後に完了すればよいとしています。
地震学者たちが「いつ、どこで起きてもおかしくはない」という大地震。しかし、原子力規制委員会の委員は、起きないと思っているのでしょう。「起こりうる地震」が起こらないことを祈るばかりです。
◆東電再稼働申請
昨日の東電役員会での再稼働申請決定についての各紙の報道。読売・産経という明らかな原子力マフィアの広報紙は別として、各紙は、地元への説明もなしにいきなりの発表が「地元軽視」だとする泉田新潟県知事の怒りに触れ、さらに東電の経営上の問題を前面に出しています。東京新聞はさらに「核のごみ」「事故時の避難計画」が定まっていない点にも触れていました。
朝日新聞3日付社説では「まっとうな主張を続ける新潟県を孤立させてはならない」と書いています。東京新聞3日付社説は「フクイチを考えるということは、私たち自身の未来を考えることにほかなりません」と述べています。
◆広瀬東電社長の発言に耳を疑う
「福島第一原発事故の当事者、原因者として、事故から学ぶべきものを学び、最大限の安全対策を施してきたつもり」?? 何を学んだのでしょうか。事故原因も「不明」だというのに。「最大限の安全対策を施してきたつもり」?? 原因がわからないということは、どうしたらその再発を防ぐのかが分からないということ。そこにどんな「安全対策」があるというのでしょうか。しかも施してきた「つもり」とはなんでしょうか。
◆今度は東電に“やらせ”疑惑
2005年福島で開かれた国の原子力政策大綱策定をめぐる公聴会に“さくら”を動員していたことが、明らかになりました。それほど驚くことではありません。九電で発覚する以前から、当然そういうことを行っていることは想定内。わが陣営に有利に誘導しようと画策するのは当たり前です。そういうことをしなかったら、むしろ「業務怠慢」でしょう。昔から「あご足付き」(飯と交通費付き)という言葉があるくらいです。その実態が、ようやく報道されたにすぎません。
▶<大飯原発>運転継続を了承…9月まで 原子力規制委
【原子力規制委員会は3日の定例会で、定期検査に入る9月までの運転継続を了承した。原発の新しい規制基準(8日施行)に照らして「直ちに安全上重大な問題が生じるものではない」と判断した。一方で「安全のレベルに上限はなく、安全に対する意識は合格点に達していない」と関電にくぎを刺した】
【起こりうる地震の規模や施設の揺れを把握するための地下の立体構造の把握や、自動消火設備の設置は未実施だが、規制委は「いずれも直ちに安全上、重大な問題が生じるものではない」とし、新基準施行後に完了すればよいと許容】
【敷地内を通る断層「F-6破砕帯」については、活断層かどうかについては決着していないとして結論を先送り】
▶東電再稼働申請へ:新潟知事が不快感「信頼関係を破壊」
毎日新聞 2013年07月02日 23時11分(最終更新 07月03日 01時34分)
【「地元自治体との信頼関係を破壊する行為」。東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働に向けた安全審査を申請する方針を示したことに対し、新潟県の泉田裕彦知事は2日、厳しい口調で東電の対応を批判】
【「福島原発事故の検証なしに再稼働の議論はしない」と、これまでも繰り返してきた泉田知事】
この人の名も覚えておきましょう。
【原発推進の立場を取る柏崎青年会議所環境エネルギー委員会委員長の竹内一公(かずまさ)さんは「(東電が)安全を第三者に確認してもらう目的の申請で、再稼働は別問題だというなら当然のことだ。いち早く安全な再稼働を期待する」と早期再開を求めた】
▶東電再稼働申請へ:黒字化へ年度内の原発稼働が不可欠
毎日新聞 2013年07月02日 22時48分(最終更新 07月02日 23時39分)
【現在2期連続の経常赤字で、今期(2014年3月期)も含めて3期連続の赤字になれば、金融機関との契約で融資を打ち切られかねない。一部金融機関は東電に、再稼働による収支改善か、電気料金の再値上げかの二者択一を迫ってきた。広瀬社長も記者会見で、「原発が全然動かなければ、(現行料金の維持は)無理」と、再稼働が無理なら再値上げの必要性を認めた】
【東電役員は「消費税、アベノミクスに迷惑をかけるなんてあり得ない」と】
【東電は13年3月期、3776億円の経常赤字。6、7号機が再稼働すれば年間2400億~3300億円の収支改善を見込める】
【東電だが、値上げという選択肢がない以上、再稼働の申請を表明する以外なかった。14年3月期の黒字化に望みをつなぎ、金融機関に融資の継続を求めることができるからだ】
▶柏崎刈羽原発:東電が再稼働申請へ 地元反発も見切り発車
毎日新聞 2013年07月02日 22時43分(最終更新 07月03日 00時43分)
【泉田知事は2日夕、県庁舎内で「事故の責任も取らない企業が申請をするのは、地元自治体との信頼関係を破壊する行為」と厳しく批判。広瀬社長との面会は「断る理由はない」と応じる構えだが「どういう話になるか分からない」と】
【申請対象の6、7号機は、事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)。排気時に放射性物質を除くフィルター付きベントの設置が新基準で求められているが、新潟県が設置手順を問題視しており、いつ設置できるか見通せない。敷地直下には断層も存在し、活断層なら再稼働は不可能】
▶東電、見切り発車 柏崎刈羽 再稼働申請へ
【東京都内の本店で二日、記者会見した広瀬社長は「知事が反対しても審査の申請をするのか」との問いに「よく説明し理解してもらいたい」と述べるにとどめ、知事の了承がなくても申請に踏み切る可能性に含みを残した】
【「核のごみ」の行き場が決まらないなど、原発を取り巻く環境整備は進んでいないが、電力各社は火力発電の燃料費の負担を軽くするため原発の稼働を急いでいる】
【東電は福島第一原発事故を起こした当事者で、事故は収束にはほど遠く、賠償も遅れがち。他の電力会社に遅れまいと、新潟県などの理解も得ないまま一方的に決めた。そんな東電に、果たして原発を動かす資格があるのか。あらためて疑問が湧く】
【事故時に大きな被害に遭う原発周辺の自治体では、事故時の避難計画などがまだ整っていない。東電からまともな説明もない中で、いきなりの申請方針の表明だった。再稼働には否定的な態度を取ってきた新潟県の泉田裕彦知事は「これ以上の地元軽視はない」とさらに態度を硬化】
【東電自らが招いた事態ともいえるが、二日に記者会見した広瀬直己社長は「十分説明したい」を連発するばかりだった。福島事故の避難者は現在も十五万人にのぼる。その反発については、広瀬社長は「そういう気持ちになるのは理解できる」と言いつつ、電力の安定供給を建前に再稼働への期待感をにじませた】
▶再稼働申請「信頼壊す」 東電表明、新潟知事が批判 柏崎刈羽原発6・7号機
【東電の広瀬直己社長は2日午後に記者会見を開いて「(原発が動かなければ)採算を合わせるのは不可能」と話し、電気料金を再び値上げするのを避けるためにも再稼働が必要だと強調した】
【審査は半年かかるとされ、東電は「第1陣」に入らなければ、再稼働は数年先になるとみて申請に踏み切ることにした】
▶東電、柏崎刈羽原発安全審査申請へ 新潟県知事は強い不快感
東電広瀬社長と泉田新潟県知事の会見
原発推進メディアの報道
ちょうちん記事を二つ。
▶柏崎刈羽再稼働の安全審査申請、東電が正式発表
【広瀬社長は会見で「福島の事故から学ぶべきものを学び、安全対策をやってきた。(2基には)現在考えられる、出来る限りの対策を取り込んだ」と強調】
▶「柏崎刈羽」再稼働申請 「対話重ね信頼回復を」
誰が「信頼回復を」などといっているのかと思ったら、原子力マフィアのエージェント元経産省官僚、現在、21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹(55)でした。
▶東電社長「最大限の対策した」
【東京電力の廣瀬直己社長は取締役会のあと記者会見し「福島第一原発事故の当事者、原因者として、事故から学ぶべきものを学び、最大限の安全対策を施してきたつもりだ。こうした取り組みが新しい規制基準に適っているのか、審査、確認していただけるものと期待している」と】
ようやく?発覚 東電の“やらせ”?
▶東京電力:福島公聴会に動員43人…「やらせ」発言は否定
【国の原子力政策大綱策定を巡り、福島市で2005年8月にあった公聴会で東京電力が社員らを動員した問題で、東電は3日、社内調査報告書を内閣府原子力委員会に提出した。社員らに公聴会への参加と発言を求め、計43人が出席したと認めたが「発言内容を依頼した事実は確認されなかった」として、原発推進に有利な発言の「やらせ」は否定】
【出席者約135人のうち、社員33人を含む計43人が東電関係者だった。東電はバスで会場に運び、昼食の弁当も支給した】
【43人のうち公聴会では、社員3人を含む計11人が発言。いずれも原発推進の意見を述べた】
▶原子力規制庁:独立性「骨抜き」 経産省から期限付き職員
◇「ノーリターン・ルール」の例外
【原子力規制庁が、原発再稼働の前提条件となる安全審査の態勢強化に伴い、原発の推進官庁である経済産業省に「応援」を要請し、職員が規制庁に異動したことが分かった。規制庁には、推進官庁に職員を戻さない「ノーリターン・ルール」が法律で定められているが、今回は発令時から出身官庁に戻すことを想定して1年間の期限付きとしており、推進側からの独立性が問われる】
【80人態勢で基準に合っているかを審査する。これに伴い、手薄になる日常業務にあてるため、経産省に職員派遣を要請】
【ルールには、2017年9月までの猶予期間が設けられていて、「職員の意欲・適性などを勘案してやむを得ない場合」に限り例外を認めることにしている。規制庁は「まだ猶予期間ではある。再稼働審査には従事させないし、管理職としての判断にもかかわらないので問題ない」(総務課)としている】
▶原子力事故:多重防護で規制委チームが新基準案を提示
【8日に施行される原発の新規制基準や、東京電力福島第1原発事故の教訓を基に、事故対策について設備や手段などを複数求める「多重防護」の基準案が示された】
【新規制基準の骨子案が示されたのは、国が推進してきた核燃料サイクル計画に関係する施設で、▽使用済み核燃料再処理施設▽核燃料加工施設▽試験研究用原子炉▽放射性廃棄物埋設・管理施設▽使用済み核燃料貯蔵施設。施設の設計基準については、原発に関する新規制基準で示された地震・津波対策や従来の指針を基に定められた】
【使用済み核燃料再処理施設(工場)については、想定される重大事故に、廃液貯槽の冷却機能喪失▽プルトニウム濃縮液貯槽での水素爆発▽核分裂反応が連鎖して起きる「臨界」──などを挙げた】
【核燃料加工施設に対しては、ウランやウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)の安全確保を要求。さらに、核燃料の収容設備が事故で破損した場合の放射性物質の漏えい防止や臨界事故対策も求めた】
▶福島第1原発:高濃度汚染水検出 放射性物質濃度、海側井戸で上昇
【東電は2日、海から6メートル地点に新設した井戸から、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質を1リットル当たり4300ベクレル(1日採取)検出したと発表した。新設井戸は、問題の井戸より19メートル海側に掘削された。6月28日に採取した地下水からは3000ベクレル検出されており、約1・4倍の濃度に上昇】
▶青森・大間原発:建設差し止め訴訟へ、北海道・函館市長が福島県視察 原発事故「人ごとではない」
【南相馬市役所では、桜井勝延(かつのぶ)市長と面会。桜井市長は「今も約1万6000人が市外に避難し、除染が思うように進まない」と説明した。工藤市長は「国も電力事業者も人ごとで、地方が原発を抱える苦労を分かっていない。(大間原発が対岸に造られている)函館にとって人ごとでない」と】
【工藤市長は「原発事故は自治体を崩壊させる。大間原発建設をやめない限り、訴訟を起こさないことにはならない」と】
▶原発:敦賀市長、中間貯蔵施設の県内建設も視野に/福井
【敦賀市の河瀬一治市長は1日の定例記者会見で、原発の使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県内建設について、「選択肢の一つとして考えなければならない時は来ると思う」と】
【「現実的に考えれば、全く原子力と関わりがなかったのに中間貯蔵施設を受け入れようという地域は非常に少ない」「立地地域は原子力と長く付き合ってきた。受け入れる地域がなければ受け入れてもいいという考え方は十分理解できる」】
「原子力と長く付き合ってきた」…? 言葉が足りません、「原子力にからむカネと長く付き合ってきた」と言うべきです。毒食わば皿までということなのでしょう。
▶電気料金:四電、企業向け17.5%値上げ 県内企業も苦境に 伊方原発、再稼働望む声も/愛媛
【鉄を溶かす電気炉に大量の電力を消費する鋳造業も、料金値上げは収支に直結する。「栗田鋳造所」(西条市)の栗田孝一社長(68)は「元々利益率は2~3%と知れているわけですから」と明かし「円安で原料の銑鉄の値上がりの話もあり、ダブルパンチになる。安全を確保して、(原発を)早く再稼働してほしいということしかない」と】
「円安で原料の銑鉄の値上がりの話もあり、ダブルパンチになる」――これがアベノミクスの裏面です。円安にして喜んでいるのはだれか。
「もらったものは放射能だけ」になる
▶川内原発:宮崎県と九電が覚書合意 事故時の情報提供
【宮崎県は2日、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の事故時に情報提供を受ける覚書を九電と締結すると発表した。16日、締結書を取り交わす。熊本県も同様の覚書を結んでいる】
【宮崎県は川内原発から最短で54キロの距離にあり】
電源三法による交付金もない宮城と熊本です。事故が起きたら「もらったのは放射能だけ」ということになりかねません。知らされないより、知らされた方がいいのでしょうが、事故が起きればおしまい。そんなことにならないようにと、廃炉へと舵を切らなければと思うのですが。
なぜ福島県だけなのか?
思い出してほしい、事故当初、ドイツはじめ各国から流れていた情報と、照らし合わせてみてほしい。確かに各国のシミュレーションが東電や日本政府が情報を出さなかったという点で不十分さがあるにしても参考にはなる。
毎日新聞2013.7.2夕刊
よく見ると、いわき市の南、北茨城市に1000~2000ベクレルの高汚染地帯があります。下記は、放射性セシウムの拡散、沈着状況
▶民主党:参院東京 大河原氏公認取り消し 鈴木氏に一本化
毎日新聞 2013年07月03日 00時05分(最終更新 07月03日 08時52分)
これで、東京の民主党はないかも…。鈴木寛が福島原発事故後、どういうふるまいをしたか、知っている人は知っているのです。昨日の本通信で紹介。
鈴木寛は元通産相(現経産省)職員。民主党は何を考えているのか。原子力規制庁だって、経産省からの「応援職員」を「再稼働審査には従事させない」と言っているのですから(笑)。
▶政治家らの暴言、傷つく被災者…「選挙でしか代えられない」
さすがにというか、産経新聞までもが採り上げなくてはならない現実があります。「『被災地に寄り添う』なんて言葉は、もはやしらじらしくて聞きたくない」──当然です。
【子供たちの歓声が響く保育園で保育士の女性は「いっそ福島全域を避難区域にしてほしい。そうすれば家族みんなで避難できる」とつぶやいた。その言葉に、子供を迎えに来ていた母親たちが一斉にうなずいた】
【「本当に被災地と向き合ってくれる人を、政党でなく人物で選びたい。官僚は入れ替えればいいかもしれないが、政治家は選挙でしか代えられないのだから」】
【東京電力福島第1原発事故を受け、民主党政権下の平成24年6月に成立した被災者支援のための法律。自主避難者も対象に含め、特に子供に配慮して健康上の不安や生活上の負担を軽くするための支援を定めたが、政府は運用に必要な基本方針を策定していない。ツイッター問題の復興庁幹部職員は同法を担当。停職30日の懲戒処分後、出向元の総務省官房付となった】
▶古館キャスターも知らなかった「報ステ」スクープは超厳戒
【1日にテレビ朝日「報道ステーション」が報じたスクープ。その背景には、極めて少人数で情報を管理する“戒厳令”のような態勢がとられていた】
はっきり言います、こんなことはどうでもいいです。もっときちんとした中身の報道をしてほしいものです。彼女が子供を産もうがどうしようが、私たちには何の関係もありません。個人の問題です。
▶孫崎 享氏ツィッターから
@magosaki_ukeru 2013年7月3日
TPP:昨日はある農協団体で講演。貴方方は前の衆議院選挙で自民党がTPPに反対すると思って投票したのでしょう。騙されたのをどう追及されたのですか。そして今度の総選挙で、又自民党に「守るべきものは守る」と約束されて又騙されるのですか。と問いました