原発通信515号                                  2013/08/16

ドクター中川、広島・長崎の死者を冒涜! 
市民は被曝を恐れず復興に汗し、「健康都市」になっただと

06.05.26 004

 毎日新聞に連載されている中川恵一・東京大付属病院准教授の8月15日付コラム「Dr.中川のがんの時代を暮らす」(下記)。以前からたびたび問題にしていますが、今回は、よりによって敗戦68年を迎える15日に、筆者の人間性を疑わせるような内容です。

 本通信513号で、原爆の父といわれるウィリアム・ペニー博士が「米国は(広島・長崎における)あらゆる被害を爆風と熱に起因させようとしている」と批判していたことを紹介しました。その翌日にこのコラムです。
 中川はこう言います。
【原爆のやけどやその後のケロイドは放射線被ばくによるものではなく、爆心地周辺の温度を3000度以上も上昇させたすさまじい爆発による熱風と火災が原因】と。
 そして、米英とソ連のパワーポリテックの生贄とされた広島・長崎の人々。原爆によって殺戮された幾十万の人々の死を、軽々しく「瞬間大量死」などと呼ぶのです。
 こうした物言いは、広島・長崎で亡くなられた方々を冒涜するものです。まるで、川などに毒物が混入し魚が「大量死」したかのごとくの言い方。こういう感性の持ち主が、医師として医療現場で人の命を扱っているのかと思うと背筋が寒くなります。
 原爆投下による犠牲はたんなる「大量死」などではありません! 米国による非戦闘員の大量虐殺・殺戮です!
 そのうえ中川は、原爆投下の直後、市内に「避難指示」が出されていたのに、多くの市民は市内にとどまったなどという始末。当時の国や行政が「新型爆弾」の情報、放射線被害のことなどを正確に伝えていたのか、そのことを問わずして、「逃げなかった」というのはあまりにも被害者に対して酷というものでしょう。
 さらに驚くべきは、逃げずに市内にとどまった市民たちが広島を大都市に復興し、かつ被爆者健康手帳による医療費の無料化で広島は「健康都市」になったとまでいうのです。
 これは福島原発事故で避難している人々に対しての圧力ともいえるものです。中川は「放射能が怖い」などと言って逃げ回っているからガンになるんだ(「避難が長期化して生活習慣が一層悪化すれば、それによるがんも増えてしまう」)と吠え、広島と同様、福島にとどまり「復興」に汗を流せと教唆しているのです。福島県民健康調査で、これからは無料で健康診断が受けられるから、福島は広島同様「健康都市」になれるのだと。その思想は、エートス運動や、山下俊一らなどと軌を一にするものです。
 同コラムの最後では「原発事故の罪深さを改めて考えさせられる夏です」などと気取っていますが、では、そもそも「原発事故の罪深さ」とは何を指すのでしょうか。聞きたいものです。

◆原発を「トイレなきマンション」というけれども。“その後”に思いを寄せない思考が原発を生むのです

 原発を「トイレなきマンション」といいますが、実はトイレはあるのです。「使用済み核燃料プール」という名称で各原発のわきに併設されています。いわば原発の“ポッチャントイレ”。問題はその「汚物」を処理できないでいることです。

 ほとんどの人がそうであるようにトイレでは自分の汚物を出しっぱなし、垂れ流し、水をジャーと流せばそれでおしまい。その後どういう経路をたどって処理されていくかに関心を寄せる人は多くはありません。核廃棄物に限らず、すべての廃棄物の「その後」について私たちはあまりにも無知です。しかし、核廃棄物=原発ゴミはその辺にほっておくことが出来ない。しかも厳重な管理下に置かなければならないというところに他の廃棄とは違う重大な問題があります。

 大切なのは、わが身から出る「汚物」についてへの想像力が持てるかどうかです。それが環境問題すべてにかかわることだと私は考えています。自然界のサイクルによって土に還る他の廃棄物と違って、使用済み核燃料は簡単にリサイクルできない。

 自らが使用し、体外に排出するもの。その行く先への関心・想像力が欠如しているからこそ原発ゴミに無関心になるのです。「トイレなきマンション」などと言う言葉は、自分の出したものの行く末を想像したこともない人が発想した言葉だと私は考えています。

◆【投稿】靖国参拝を「度胸試し」に利用するな!(下記)


自民党内からも原発に異議
▶原発:自民小委、新設見送り要求…首相に提言書提出へ

毎日新聞 2013年08月16日 07時10分

【自民党資源・エネルギー戦略調査会の福島原発事故究明に関する小委員会(村上誠一郎小委員長)が、使用済み核燃料の最終処分法が確立するまで原発の新規建設を見送ることや、原発の選別を求める提言書をまとめた。月内に安倍晋三首相に提出する方針】

【提言書は冒頭で、原発建屋内の調査が高い放射線量に阻まれ進んでいないなどとして、さらなる事故原因の解明を政府に要求。事故の直接の原因が津波とされているのに対し「原子力規制庁に商業用原発の専門家を参加させ、地震による影響を調査すべきだ」と指摘

 原発政策を巡っては新規建設の凍結のほか、再稼働に関しても津波対策の工事費などがかさむことで「経済的に見合わない原発は稼働を止めるべきだ」とし、より踏み込んで原発選別を求める。委員の一人は「使用済み核燃料の最終処分場がなく『トイレなきマンション』のままになっている状況では新規建設は国民への説明責任を果たせない」と指摘】

 問題はその「説明責任」を安倍晋三らが自覚しているか、ということです。とりわけ麻生などはそんなこと自体考えもしていないでしょうから。


「1リットル当たり1万1600ベクレル検出」などとサラッというが、事故直後の10倍!
▶福島第1原発:汚染水流出 1号機東側のトレンチ内部、1万ベクレル超える

毎日新聞 2013年08月16日 東京朝刊

【東電は15日、1号機東側の護岸の地中にあるトレンチ内部に残された水を検査した結果、放射性セシウムが1リットル当たり1万1600ベクレル検出されたと発表した。東電によると、2011年3月29日に1号機のトレンチを調べた際、セシウムは同1490ベクレル検出された】

▶孫崎亨氏のツィッターから

孫崎亨@magosaki_ukeru

 東電:この会社は公共事業に従事する資格ない。原発再稼働させろと、最初は電力不足でゆさぶり、今電力料金値上げで揺さぶる。朝日「東電、8.5%の再値上げ試算。原発再稼働なければ」、新電力は現状でも東電価格より安く提供。早く電力供給と東電と切り離すべきだ。脅しと賄賂で生きてきた会社だ

▶北海道・泊原発:北電「想定」に批判続出 基準津波7.3メートル「甘い」──3号機審査

毎日新聞 2013年08月15日 北海道朝刊

【「福島では5・7メートルの想定だったが15・5メートルの津波が来た。想定が既往最大(の北海道南西沖地震)を上回ったからいい、ということではない」。北電がこの日、初めて示した7・3メートルの根拠について、規制委の島崎邦彦委員長代理は想定が甘いとの認識を示した。】

【北電は「7・3メートル」が、泊村の北西100キロ圏内の日本海を震源とする地震でもたらされると想定。地震の規模を示すマグニチュード(M)は、北海道西岸で過去最大の津波をもたらした南西沖地震(1993年、M7・84)を上回るM7・85でシミュレーションしたと説明した。他の活断層を震源とする試算はいずれも7・3メートルを下回ったとしたが、受け入れられなかった。】

【他の論点でも批判を浴びた。「傾斜が異なる」として北海道南西沖と青森県西方沖の震源を連動しないと結論づけた北電に対し、別の委員は南西沖地震は傾斜が逆の断層が連動して発生したと指摘。「逆でも連動するという前提でやるべきだ」と求めた】

▶福井・高浜原発:新防潮堤 津波想定3.99メートル、再稼働さらに延期──関電計画

毎日新聞 2013年08月15日 大阪朝刊

【高浜3、4号機(福井県)の再稼働を目指す関西電力は、最大の津波の高さを想定する「基準津波」について、従来より約1・4メートル高い3・99メートルに引き上げ、新しい防潮堤を建設する計画を示した。完成には時間がかかる見通しで、年内は困難とみられる高浜の再稼働時期はさらに遠のくことが確実】


原子力機構改革とは
▶社説:原子力機構改革 これでは「居直り」だ

毎日新聞 2013年08月14日 02時31分

【機構は年間予算約1800億円、職員約3900人の巨大組織だ】

【もんじゅは理事長直轄の「もんじゅ発電所(仮称)」とし、運転管理に専念する組織にする。だが、渉外業務などにあたる支援組織を別に設けるので、もんじゅ関連スタッフはむしろ増える。また、民間発電所の幹部経験者を安全担当役員に迎え、電力会社からの出向者を責任部署に配置する。一方で、中堅職員を鉄道や航空会社に派遣し、人命を最優先にした業務運営を学ばせるという。】

【原子力規制委員会は今年5月、点検漏れを起こした機構の「安全文化の劣化」を指摘し、もんじゅの運転再開準備を禁じた。過去の改革の失敗をきちんと総括しないまま、民間の協力を求めても、安全文化が身につくわけがない。】

【そもそも、政府が掲げる核燃料サイクル政策は既に破綻】

【もんじゅの存続にこだわるより、事故への対応や廃炉、安全研究に機構の業務を集約する方が、よほど日本の将来のためになるはずだ】 

来月15日以降、再び原発稼働ゼロに
▶福井・大飯原発:4号機停止、定検で関電申請 来月15日から

毎日新聞 2013年08月15日 大阪朝刊

 定期点検です。これで来月15日以降、再び原発稼働ゼロになります。

どれだけ「安全」になったのか──三つの疑問
▶原発新規制基準:施行1カ月/上 安全目標、裏付け試算なし/新潟

毎日新聞 2013年08月14日 地方版

◇「事故100万年に1回」 検証は数年後
【だが肝心なのは規制によって具体的にどれだけ安全になるのかだ。三つの疑問が浮かんできた】
【「核燃料が溶ける炉心損傷は1万年に1回以下」「原子炉本体を覆う格納容器の機能喪失は10万年に1回以下」「放射性物質セシウム137の放出量が100兆ベクレル(福島第1事故の約100分の1)を超える事故は100万年に1回以下」……原子力規制委が4月に定めた「安全目標」だ】
【何万年に1回とは国内全原子炉の延べ運転年数あたりの数字だ。東京電力福島第1原発事故では原子炉3基が炉心溶融。日本の原発は事故前に延べ約1500年運転しており、頻度は約500年に1回だった。「100万年に1回」が実現すれば、頻度は2000分の1以下に減る】
【新規制基準は電力会社に、核燃料が溶ける「炉心損傷」の防止策▽原子炉本体を覆う「原子炉格納容器」の破損防止策▽放射性物質の拡散抑制策──などを義務づけた。】
【規制委が作った基準だから守れば目標を達せられると思うのが自然だ。ところが、それを裏付ける試算は実はどこにもないのだ。事務局の原子力規制庁技術基盤課は「目標が達成できるかは検証できていない」と認める。】
【どういうことか。】
【規制基準など安全対策から事故頻度をはじき出すには通常「確率論的リスク評価(PRA)」という方法が使われる。独立行政法人・原子力安全基盤機構の高松直丘・耐震安全部長は「PRAを使えば事故の推定頻度を国民に示せる。また安全対策ごとに事故の減り方が数値で示されるので、より効果の高い対策を選べる」と説明する】
【政府は2011年6月に国際原子力機関(IAEA)に提出した福島第1の事故報告書で「事業者にリスクを(地震など)外部事象も含めて評価させ(安全対策を)強制すべきだった」とようやくPRAの必要を認めた】
【にもかかわらず規制委は、新基準の作成に地震や津波を考慮したPRAを用いなかった。】
【「地震国の日本では地震の頻度推定が難しく、PRAは手法が未成熟と判断した」と規制庁技術基盤課は言うが、これにより新規制基準と安全目標は直接つながらなくなってしまった】
【米原発メーカー「ゼネラル・エレクトリック」で18年間、原発技術者を務めた佐藤暁さんは「欧米では1万年に1回以下とみられる地震の揺れを想定して原発を造る。日本の原発は05年以降で5回も想定を超える揺れに遭遇した」と甘さを指摘。「新基準は安全対策をつぎはぎしたパッチワークで、全体としての効果が不明。PRAを使って試算すべきだ」と訴える。】
◇確率論的リスク評価(PRA)
【大規模システムの危険性評価に使われる手法。原発の場合、まず事故要因となる地震や津波、原発内部の異常などが、それぞれ約何年に1回起きるかを見積もる(発生頻度)。次に地震などで機器が壊れる確率を機器を揺らす実験などから求める(故障率)。さらに発生頻度と故障率を組み合わせて事故の頻度を算出する。化学プラントや宇宙船の開発にも用いられる。】



原子炉格納容器は壊れてしまったから無意味だから廃止した?
 でも、避難する際の「基準」になるのでは

▶原発新規制基準:施行1カ月/下 敷地外放射線、上限廃止/新潟

毎日新聞 2013年08月15日 地方版

◇高線量希ガス、ベント素通り 東電、試算未公表
【原子力規制委員会は「世界一」と胸を張った。その陰で、ある「指針」が廃止された。旧原子力安全委員会の「立地審査指針」。「原発は住民に著しい放射線障害を与えないこと」と定め、原発の敷地境界での放射線量を大事故時でも250ミリシーベルト以下に抑えるべきだとしていた。電力会社は指針に基づいて大事故時の放射線量を試算し、結果を国に報告・公表してきた。】
【原子力規制庁技術基盤課は「試算には原子炉格納容器は壊れないとの仮定があったが、福島第1の事故で容器が壊れ無意味になった。事故防止に直接つながらない試算でもあり廃止した」としている】
【だが避難を強いられる周辺住民にとって、放射線量の試算は命にかかわる問題だ。
フィルター付きベント装置の設置を求めている。事故の際、格納容器内の蒸気を外に出して容器の爆発を防ぐ装置だ。蒸気をフィルターに通すことでセシウムなどを約1000分の1に減らすが、「希ガス」と呼ばれる別の放射性物質は素通りしてしまう。】
【希ガスは、放射線量が比較的早く減るが、事故当初に出る量はセシウムよりはるかに多く、ベント直後の周辺放射線量を大きく左右する。東電の推定によると、福島第1原発1号機のベントでは、セシウム137とセシウム134の20兆ベクレルと、やはりフィルターで減らせるヨウ素131の700兆ベクレルに加え、希ガス4000兆ベクレルが放出された】
【滝谷紘一・元原子力安全委員会事務局技術参与は、フィルターベントの際に敷地境界の放射線量が最大でどの程度になり得るかを5原発について試算し、雑誌「科学」6月号に発表した。最低の柏崎刈羽原発で2348ミリシーベルト、最高の浜岡原発(静岡県御前崎市)で3万7471ミリシーベルトだった。「試算の10分の1の値でも健康に影響しかねない。放射線量抑制は住民への約束だったのに指針廃止はおかしい」と憤る。】
【「単純に言えば、原子炉7基なら事故発生率も7倍。1基ごとの事故頻度を単独の原子炉の7分の1に抑えるような方法もあるはずだ」。2002年まで米原発メーカー「ゼネラル・エレクトリック」の原発技術者を務め、柏崎刈羽原発6、7号機の建設にも関わった佐藤暁さんは、集中のリスクを軽視した規制のあり方に、こう疑問を呈している。】


ドクター中川のトンデモコラム
▶Dr.中川のがんの時代を暮らす:/78 長期の避難で健康被害心配

毎日新聞 2013年08月15日 東京朝刊

【原爆のやけどやその後のケロイドは放射線被ばくによるものではなく、爆心地周辺の温度を3000度以上も上昇させたすさまじい爆発による熱風と火災が原因でした。】

 本通信513号で紹介したように、マンハッタン計画に参加し、長崎への原爆投下に際しては観測機に搭乗し、上空から投下を目撃、その後、広島・長崎へも調査に入ったイギリスのウィリアム・ペニー博士(1991年死去)は、「米国は広島・長崎のあらゆる被害を爆風と熱に起因させようとしている」と批判していました。中川准教授のコラムは、にもかかわらず、米国のいうがままの話です。
 しかも、広島の死者を「瞬間大量死」などと形容します。「大量死」などでは断じてありません。大量虐殺・殺戮です! 
【広島への原爆投下直後、「放射能に汚染された広島は75年間、草木も生えない」と報道され、市民への「避難指示」も一部で出されたといいます。しかし、多くの市民は、そのまま市内にとどまりました。その後、広島は着実に復興】
【被爆者手帳による医療費の無料化の影響もあってか、広島は、平均寿命、出生率の高さ、死産率の低さのいずれも、政令指定都市でトップクラスを誇る「健康都市」】
【今後も避難が長期化して生活習慣が一層悪化すれば、それによるがんも増え】
【原発事故の罪深さを改めて考えさせられる夏です】
 この人を食ったような言いぐさ、怒りがわきます。

大前研一、原発撤退は敗北思想だと
▶残暑お見舞い申し上げます・首相への提言:/4 原発 大前研一・東電原子力改革監視委員

毎日新聞 2013年08月16日 東京朝刊

 ◇再稼働、事故解明後に
【東京電力福島第1原発事故の発生以降、東電も政府も「炉心溶融していない」とずっとウソをついてきた。当時野党だった自民党も、それまで原子力政策を進めてきた責任があるのに知らんぷりだった。自民党が政権に復帰した際、私は「100日以内に事故を検証せよ」と政調会長主催の勉強会で助言したのに、まじめにやらなかった。再稼働が当たり前のようになり、昔の自民党に戻っている。】
  (ここまではいい)
【安倍内閣は発足時に原子力規制委員会のメンバーを変えなかった。「再稼働するために交代させた」と世論に非難されるのを恐れたのだろう。今の規制委には原子炉の炉心の専門家が一人もいない。仮に福島と同じ状況が起きたら、(前身の)原子力安全委員会と同じで対応できないだろう。】
 (「原子力規制委員会のメンバーを変えなかった」という点を除けば、これもある意味正論)
【規制委は活断層探しばかりしている。】 【規制委は活断層に国民の注意を向け、自らが再稼働を承認したという責任を逃れようとしている。こういう安易な発想のメンバーは交代させるべきだ。】 【津波の高さを想定しても意味がない。15メートルの津波を想定しても、実際に17メートルの津波が来たら終わり。】
 
(これも正論。で何が原因かというと「全電源喪失」だと。そして、原発がこの地震国日本にあっていいかと、地質の方面から追及している島崎さんらが目障りだ、首を切れ!といっているのです──再稼働、輸出のために)
 
【冷静に分析すれば再発防止策はある。この惨事の経験は非常に貴重で、データは今後に生かせる。】 【日本がこのまま原子力を永遠にやめるのは敗北思想だ。福島事故を乗り越えてこそ工業国家だ。外国にこの経験と対策をきちんと説明すれば、「日本に頼むよ」と原発輸出の道も開けるはずだ。】
 要するに大前が言いたいのは、原発を輸出産業にするために福島事故の検証を急いでやれということ。
「首相は憲法を見直す暇があるのなら、こっちの方が先だ」とも。この男、どこまで言っても「ビジネスマン」というより、その尻を叩くだけです。自分は後ろ=安全地帯にいて。
 後先のことなど考えません。今カネになればと。さすが日立で原発(加圧式)をつくっていた男です。


▶東日本大震災:福島第1原発事故 菅元首相、刑事責任否定 検察に意見書

毎日新聞 2013年08月15日 東京朝刊

【告発した市民団体は、菅氏が東日本大震災翌日に第1原発視察を強行したため、水蒸気を放出して原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」が遅れたと指摘していた。】

 その市民団体名は、「被災地とともに日本の復興を考える会」だそうです。どういう団体かご存知ですか。なぜ、大前研一も言っているように自民党の責任を追及しないのか。

▶熱血!与良政談:「なし崩し」に加担しない=与良正男

毎日新聞 2013年08月14日 東京夕刊

【何よりショックを受けたのは、日ごろ新聞を熱心に読んでいただいているであろう世代の方からも「知っているのに記事にしないのでは」という疑念の声を突きつけられたことだった。】

【戦前、新聞は大本営発表を垂れ流し、戦争遂行に加担した。その過ちは二度と繰り返さないと誓う日でもある。】

 健闘を祈る!です。最近、TBSの番組で、例によってお調子に乗る「コメンテーター」と称する痩せ男のことを「叱って」いたのが印象的でした。

▶発信箱:爆弾曲線=青野由利

毎日新聞 2013年08月16日 東京朝刊

【冷戦時代の核実験の思わぬ「利用価値」を先月の論文で知った。象牙の不正取引の摘発に役立つという。】
【米コロンビア大の研究チームが注目したのが50年前の地上核実験で増えた大気中の放射性炭素。濃度がいったん上昇し、実験禁止後に減少する。生物は生きている限り炭素を取り込むので、この「爆弾曲線」を指標に、象牙が取られた年代を確かめる。意図しない人工のトレーサーだ。】
【「爆弾曲線」は私たちとも無縁ではない。つくばにある気象研究所は50年代から核実験による放射性降下物の測定を続けてきた。放射性セシウム137の変化を見ると、グラフの中に二つの大きなピークが見える。86年のチェルノブイリ原発事故、そして2011年の福島原発事故の影響だ。】

 そういえば、事故後、「乳歯」の保存を呼び掛けている歯科医だか医師がいました。被曝の痕跡を追跡するために。

▶憂楽帳:福島に勇気を

毎日新聞 2013年08月14日 大阪夕刊

 個人的にはこういう「お涙ちょうだいもの」は嫌いです。“勇気”で原発問題が片付くとは思いませんから。かつてナチスドイツ軍大将ケスラーはいいました。「日本は世界中の他のどの国よりもその勇気と勇敢さを示してきたが、勇気と勇敢さだけでは地震に対抗することができないのと同じように、勇敢さは原子爆弾への対抗手段にはならないと思う」(原発再稼働と読み替えよう)


▶【投稿】靖国参拝を「度胸試し」に利用するな!

 今年も敗戦記念日である8月15日に、自民党国会議員を先頭に、「度胸試し」のごとく靖国神社参拝に行くことになるようだが、いい加減にした方が良い。靖国神社の英霊たちは、彼らがいくら参拝しても、その「無念」は、晴れはしない。むしろ、アジア諸国の反発を招くだけの国益に反する行為を迷惑にすら感じているに違いない。さらに、彼ら自民党国会議員にとって靖国神社の性格自体が、まったく理解出来ていないことに唖然とさせられるのである。

 靖国神社は、「天皇陛下」が参拝してこそ価値がある神社であり、そうであるが故に、英霊が喜ぶのである。つまり、天皇が参拝できない靖国神社は、存在する価値が無いのであって、自惚れ屋の高市早苗議員など国務大臣といえども天皇の名代になれるはずもない。

2006年7月20日の日経新聞記事によれば、「富田メモ」で昭和天皇は、次のように述べている。「私は、ある時に、A級戦犯が合祀され(中略)、松平の子の今の宮司がどう考えたのか、易々と。松平は平和に強い考えがあったと思うのに、親の心子知らずと思っている。だから、私はあれ以来参拝をしていない。それが、私の心だ」と。

 つまり、A級戦犯が合祀された以上は、靖国と縁を切る、と言っているのである。しかも、その理由は、東京裁判に対する昭和天皇の評価と関連するのである。1951年4月15日、マッカーサー元帥との別れのあいさつで天皇は、「戦争裁判(東京裁判)に対して貴司令官が執られた態度に付、此機会に謝意を表したいと思います」と述べ、これに対してマッカーサーは「私はワシントンから天皇裁判に付いて意見を求められましたが無論反対致しました。」と応じ、東京裁判には「多大な配慮」をしたことが述べられたのである。

 昭和天皇は、東京裁判に感謝し、マッカーサーを「命の恩人」としていたのであった。事実、「天皇免責」は、東京裁判最大の収穫であった。それにも拘らず、相変わらず、「東京裁判史観」とか、「勝者の裁判」であったとか、事実と異なる大嘘発言を聞くにつけ、日本の保守派は、天皇そして、皇室とも「ねじれ」を起こしている現実を知ることになる。更に、「配慮された東京裁判」の否定は肯定となるので、保守派は、東条らA級戦犯を無罪にして、天皇の処罰を望むのかといった無茶苦茶な話になるのである。

 靖国に合祀された、東条らA級戦犯を英雄視し東京裁判を批判することは、中国、韓国を刺激するだけでなく、実は、天皇とアメリカを批判する事にもなり、「愛国者」気取りの参拝が、「国賊、不敬行為」になる。したがって、靖国神社は、総理大臣が公式参拝できればいいという単純な問題ではなく、A級戦犯を靖国から分祀して、天皇が参拝できるようにするか、もともと、靖国神社は、神道(内務省神社局)の単独管理ではなく、陸海軍省の共同管理であったのだから仏教、神道、キリスト教等の多宗教共同管理にすべきである。そうすれば、「靖国神社」は、国家神道から無縁の宗教施設に生まれ変わることが出来る。

 とにかく、多くの戦没者そして日本の国益の為にも、現在のように、「靖国参拝」を「愛国者」としての「資質」を試す「度胸試し」の「イベント」にしてはならない。(TB)

▶特集ワイド:2013年夏・会いたい 今ごろ何と…/4 俳優・大滝秀治さん

毎日新聞 2013年08月13日 東京夕刊

 ◇痛みは、もうたまらん 俳優・大滝秀治さん(12年死去、享年87)

【初の戦後生まれの首相誕生を戦中派はどう見るか、大滝秀治さんにインタビューした。昭和の名優は答えた。「美しい国だなんて、僕には何がなんだかわからんよ」。】





▶特集ワイド:2013年夏・会いたい 今ごろ何と…/6止 評論家・加藤周一さん

毎日新聞 2013年08月15日 東京夕刊

 ◇傍観は許されない 評論家・加藤周一さん(08年死去、享年89)

【出席者が「水に流そう」という文化が日本にはあると指摘する。加藤さんは「自転車でぶつかるような小さいことは日本式で、何百万人も死者が出るような大きいことは(責任者を断罪した)ドイツ式の方がいいと思います。大きな問題の責任をあいまいにしておくと、もういっぺん起こる可能性があるから」と居酒屋流で答えている。】