原発通信521号                                  2013/08/26

記録なし、危機意識なし、能力なし、当事者意識なし
東電は「原発運転不適格者」

 原子力規制委の更田委員から、過去のデータはどうなっているのかと問われ、取っていません。ありませんと答える東電担当者。更田委員から、「時系列の記録があって初めて有意な変化ですよね」と突っ込まれる始末です。記録なし、危機意識なし、能力なし、当事者意識なし、何もかもナイナイ尽くし。
 東海村の村上村長が、「電力会社は原発を動かす資格がない」と喝破しましたが、まさにその通りです。しかも、この場に及んで[点検マニュアルを作りなさい]などと指南されるようでは、当事者能力・責任を喪失しているといわざるをえません。


福島第一
 排水溝から高濃度ストロンチウム タンク汚染水 外洋流出

東京新聞2013年8月24日 朝刊

【分析した結果、タンクより上流では放射性セシウム、放射性ストロンチウムとも濃度比のばらつきはあまりなく、濃度も一リットル当たり数十ベクレル程度と比較的低かった。
 しかし、処理水が溝に流れ込んだとみられている地点から下流側では、セシウム濃度はほとんど検出されなかったのに対し、ストロンチウムは一リットル当たり二〇〇~五八〇ベクレルと高い値で検出された。
 タンクから漏れた処理水は、原子炉建屋地下にたまった高濃度汚染水からセシウムの大半を除去してあるが、ストロンチウムなどは高濃度で残っているのが特徴だ。
 溝で採取された水とタンク内にあった処理水の特徴が一致していることから、漏れた水は溝を伝って外洋に流れ出たことがより確実となった。】

海水の放射能急増、1週間で8~18倍 福島第一の湾内
朝日新聞デジタル 8月24日(土)5時47分配信
【東京電力は23日、福島第一原発の港湾内で採取した海水の放射性トリチウム(三重水素)の濃度が1週間で8~18倍に高くなったと発表した。1~3号機周辺の地下水汚染の発覚で、監視を強めた 6月以降では過去最高。港湾外への放射能汚染の拡大が進んでいるとみられる】
【東電によると、原発から約500メートル離れた港湾口で19日に採取した海水から1リットルあたり68ベクレルを検出】
 国の基準を下回っているということですが、まあ、薄まってしまったのかもしれません。薄まって8~18倍なのです。しかし、環境中に放出してしまった放射性物質の「総量」は変わりません。
汚染水漏れ 汚染範囲の調査へ
NHKTV8月24日 1時54分


原子力規制委員「東電は国に要望を」
NHKTV8月23日 19時58分
更田:普段の放射線量を記録していれば異変に気付いたのではないか?


更田:測定していれば平常値が記録されているはず。記録はないのか?


東電:記録しておりません。


更田:記録がなくて、どうして有意な変化なのか?


更田:点検はずさんだったといわざるを得ない。


更田:何よりも通常点検の記録が残っていないことに姿勢を疑わざるを得ない。


更田:横置きのタンクのケースは土の上に行きな路汚染水が出てしまう。


 更田:漏えいを前提として考えれば手を打たなければならないところがある。

【更田委員は「できないことがあれば声を上げてほしい」と呼びかけたということです。
また、更田委員は「万全を尽くしていると言うことより、やりたい対策ができない現状を言うことの方が大事だ。事業者が言えないという難しい事情は分かるが、ぜひ勇気を持って声を上げてほしい。お金や人手の問題があれば資源エネルギー庁などに対して要望を言わなければならない」と】

福島第1原発:汚染水流出 規制委員が視察「タンク点検ずさん」
毎日新聞 2013年08月24日 東京朝刊
【原子力規制委員会の更田豊志(ふけたとよし)委員は23日、同原発を視察した。タンクについて更田委員は「点検の記録が取られておらず、ずさんだったと言わざるを得ない」と東電の対応を批判】
【「点検マニュアルを作るなど、漏えいを前提に手を打たなければならない」と、東電に対策強化を求めた】
福島第1原発:汚染水漏れ 民主党が対策本部初会合
毎日新聞 2013年08月24日 東京朝刊
【民主党は23日、「東京電力福島第1原発汚染水対策本部」(本部長・大畠章宏幹事長)の初会合を国会内で開いた】
 本部長の大畠章宏幹事長、原発メーカー日立製作所労組出身です。
佐藤雄平・福島県知事も「リスク管理がまったくずさん」と指摘
福島第1原発:汚染水漏れ、東電を批判 知事「リスク管理ずさん」/福島
毎日新聞 2013年08月23日 地方版
【福島第1原発の地上タンクから高濃度の放射性汚染水が漏れた問題を受け、佐藤雄平知事は22日の定例記者会見で「東京電力のリスク管理がまったくずさんだと言わざるを得ない」と強く批判した。東電の担当者を近く県庁に呼び、管理の徹底を申し入れる】


「水で冷やすというやり方はそろそろ諦めるしかない」─小出裕章氏
8/23報道するラジオ「福島第一原発事故 汚染水の問題は」(文字起こし)
みんな楽しくHappy♡がいい♪より

水野:今回問題になっているタンクの水で言うと、1リットル当たり8000万ベクレルだそうですが、これはどれ位の危険のあるものなんでしょうか?
小出:その8000万ベクレルの正体は、私はストロンチウム90という放射性物質だと思います。
そのストロンチウム90という放射性物質を、もし、事故ではなくて、たとえば私がいる京都大学原子炉実験所から外に流そうとすれば、1リットル当たり30ベクレルを超えたらもう外へは流せません。
水野:1リットル当たり30ベクレルが限界、今回はその・・・え・・
小出:8000万ベクレルですから、ま、約300万倍という、
水野:300万倍。はぁ 
水野:これ300トンで24兆ベクレルというふうに計算できるんですけど、24兆ベクレルが流れ出しているというのは、どういう意味なんですか?
小出:それもみなさん、24兆ベクレルと言っても全然実感が湧かないと思いますが、24兆というのはですね、10を13回掛け合わせるというのが10兆という桁になります。
それで、広島の原爆がまき散らしたセシウム、あるいはストロンチウムというのは、10を13回掛け合わせた量です。
水野:はぁ!
小出:ですから今10を13回と私は言ったんですね。24兆というのは。
ですから、ほとんど要するに広島原爆がまき散らしたセシウム137あるいはストロンチウム90と同じようなものを今、漏らしたという事ですね。
(以下は、同サイトで)

電力供給事業者としての不作為の「電力供給逼迫」
関西電力:猛暑一段落なら需給安定へ 今後2週の見通し
毎日新聞 2013年08月23日 22時26分
 そもそも、原発が停止することは分かっており、それをどうするかと言うことを2年半以上も何も考えてこなかったという不作為です。

どんな事実が示されても「安全、安全」と言ってきたのは、どちら様?
県原協総会:原発の断層調査、規制庁に不信感──高浜/福井
毎日新聞 2013年08月23日 地方版

【敦賀原発の地元市議から「どんなデータなら課題をクリアできるか示さず、一方的に否定するだけでは信頼関係は築けない」など不信感を示す意見】

狭い日本、逃げるところなどどこにもない
 3.11フクシマを見てしまった他の地域の人たちが、「大変でしたね。どうぞ、こちらでゆっくりしてください」などといえる地域があるのでしょうか。原発の放射能は行政区を大きく越えて風に乗って拡散することを知ってしまったのですから。

越前市防災会議:原子力災害対策を追加 防災計画、12月決定へ /福井
毎日新聞 2013年08月23日 地方版
【原発事故が発生し、放射線量が1時間当たり500マイクロシーベルト以上に達した場合は即時避難、同20マイクロシーベルト以上の場合は1週間程度の間に避難する。避難先は県内は坂井、あわら両市、県外は石川県の小松、能美両市としており、具体的な避難先の施設は県が調整する】


“野心的だが” 長期的な省エネやエネルギー効率化を目指した方がいい
 メルケル政権のジレンマなどと報じていますが、どうすることもできず、ただ時間が経つこと、それも10万年単位で待つより、「長期的な省エネやエネルギー効率化」を追求し、CO2削減技術の開発、分解技術の完成を待ったほうが現実的と私は考えます。
ドイツ:脱原発 増えるCO2 メルケル政権ジレンマ
毎日新聞 2013年08月24日 08時30分

【落成式では二酸化炭素(CO2)を排出する石炭・褐炭(水分が多く低品質の石炭)依存に反対する環境団体らが付近でデモを繰り広げる中、アルトマイヤー環境相が祝辞を述べた。「石炭、褐炭にはまだ多くの可能性がある」】
【「野心的だが、再生エネルギーのダイナミックな増加率を見れば可能な案だ。(全発電量に占める)再生エネの割合は数年前はわずか10%台だったが、昨年は25%近くまで上昇している。やがては石炭に代わることができる」。緑の党で環境政策に携わるベルベル・ヘーン議員(61)は、再生エネ普及のペースを上げることで石炭の代替は実現可能と分析】
【一方、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟は、選挙公約で石炭削減には踏み込んでいない。「再生エネの不安定性を埋め合わせるため、近代的で効率の良い石炭・ガス発電所は必要」と指摘し、急激な再生エネへの移行を避け、今後も石炭を使う立場】
【ベルリン自由大学のルッツ・メッツ博士(エネルギー政策)は話す。「最近の議論は発電ばかりに目を奪われがちだが、ドイツでは暖房と給湯がエネルギー消費の大部分を占める。まずはこの消費をいかに抑えるか。長期的な省エネやエネルギー効率化が重要だ」】
石油化学業界:米シェール革命で再編圧力 低価格化に拍車
毎日新聞 2013年08月23日 20時25分(最終更新 08月24日 02時49分)
【米国では2015年ごろから低コストのガスを活用した大型化学プラントの稼働が相次ぎ、化学製品の低価格化に拍車がかかりそうだ。一方、日本の石化業界は高コストの輸入資源であるナフサ(粗製ガソリン)を主原料としており、競争条件がさらに悪くなるのは確実。国内の過剰設備廃棄にとどまらず、業界の大再編が必要との見方も広がっている】


同床異夢ということか
憲法改正:議論再開へ 衆院審査会、来月欧州を視察 国民投票で意見交換

毎日新聞 2013年08月24日 東京朝刊
【憲法審は2011年11月から憲法の全ての章について審議を実施。各党の意見表明など一通りの議論を終えたことから、秋の臨時国会を前に初の欧州視察を決めた。ドイツで憲法裁判所、イタリアで11年6月に実施された原発を巡る国民投票について調査。チェコでは12年2月の憲法改正について実情を調べ、今後の議論に生かす】
【視察には保利氏のほか自民、民主、日本維新の会、公明、みんな、共産、生活の7党の幹事や委員が参加。秋の臨時国会での国民投票法改正について議論が進む見通しだ】
五輪招致:会見で都知事が抱負「日本の存在感を示したい」
毎日新聞 2013年08月23日 21時02分
【会見では海外メディアから、汚染水漏れなどが続く福島第1原発の影響について質問が出たが、猪瀬知事は「安倍(晋三)総理が国を挙げて解決すると発言している。東京の食品、水は安全で、放射線量もロンドン、パリ、ニューヨークと変わらない。東京五輪に直接の関係はない」との見解を示した】
柳井座長、防衛出動の要件緩和も 集団的自衛権は全面容認
東京新聞2013年8月23日 22時06分
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の柳井俊二座長、
【23日、共同通信の電話インタビューに応じ、憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を全面的に容認するよう政府に提言する考えを明言した。緊急事態に備え、武力攻撃に対処する自衛隊の「防衛出動」の要件を緩和すべきだと指摘。法整備の必要性を提言に盛り込む可能性に言及】
ごみ拾い:日韓の大学生らが対馬の海岸で
毎日新聞 2013年08月24日 11時41分