原発通信591号 2013/11/29

安倍首相のスピーチライター・谷口智彦内閣審議官とは? 「朝鮮研究」―「現代コリア」の活動を経て──

 安倍晋三のスピーチ原稿を書いているのは元日経BP社の記者であった谷口智彦という人物であるとは、先日の本通信で報告しました。谷口智彦とはどのような人物であるのか。毎日新聞夕刊特集ワイド(2013年11月9日付)が報じています。
 この記事を読むまでは、この人が1980年代の初期に日本朝鮮研究所(現・現代コリア研究所)のメンバーであり、研究所の機関誌『朝鮮研究』(現『現代コリア』)に執筆していたということを知りませんでした。
 日本朝鮮研究所の佐藤勝巳所長にはお会いしたことがあります。ちょうど、冊子の名称が『朝鮮研究』から『現代コリア』に変わるあたりだったかと思います。その冊子に日本航空や韓国企業の広告が入っているのを見て驚いたことを覚えています。時は全斗煥大統領の時代、1980年5月には、光州蜂起=光州民主化運動が起き、軍と市民軍が銃撃戦を展開するという時代でした。
 私もこの記事で取材を受けている内海愛子さん同様、「佐藤さん変わったのでは」と関係者に尋ねたことがありました。すると、その方は「お金のこともあるんじゃないかな」と話されていたことを覚えています。
 当時は、在日朝鮮人差別の問題だけでなく、部落差別、障害者差別と、差別問題が大きく取り上げられていました。確かに、いろいろな話は耳に入ってきました。北朝鮮の問題もそのころからです。当時、『凍土の共和国』(1984年、亜紀書房)という本がありました。北朝鮮へ帰国した在日の人が向こうの実態を見、「地上の楽園」ではないと悟り、絶望していく過程が書かれています。 ソウルオリンピックを準備していた韓国に対し、1983年にはビルマ(ミャンマー)のラングーンで、韓国の全斗煥大統領一行を狙った爆弾テロが起きます。1987年には大韓航空機がアンダマン海上で北朝鮮の工作員によって爆破、墜落するという事件(「真由美」事件)が起きます。『凍土の共和国』に書かれた内容も、それが「本当だ」と周知されるまでにはもう少し時間が必要でした。
 そんな背景を背負っての谷口審議官による安倍のスピーチ原稿があるのかと思うと考えるところがあります。

「戦前みたいにはならない」と、みんな、タカをくくっていないか──小林よしのり 

▶(異議あり 特定秘密保護法案)秘密に触れれば、わしも逮捕? 小林よしのりさん
朝日新聞デジタル版2013年11月29日05時00分

 漫画家・小林よしのりさん
【特定秘密保護法案は、安倍晋三首相のマッチョイズムの表れだ。中国や韓国が反日を強める中、軍事・経済的に強い国を目指す姿勢を示せば、国民はついてくると思っている。でも、それは長く政権にしがみつくための演技にもみえる。本当に「この国のため」と考えているのか。
 保守派は「日本はスパイ天国だから秘密保護法が必要だ」と言う。しかし、3年前に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突の映像を海上保安官が流出させた時、「よくやった」と喜んだでしょ。わしも喜びましたよ。公務員への罰則が強化されれば、あんなこともなくなる。「保守だから賛成」なんて言ってる場合じゃない。
 社会問題を発言するわしにとって情報は命綱だ。イラク戦争では、大量破壊兵器がないと確信し、反対した。情報を得るために官僚に接触することもある。その時、特定秘密に触れれば、わしも逮捕されるんですか。言論人やジャーナリストが萎縮して、権力のウソを暴けなくなれば民主主義は成り立ちませんよ。
 わしは国民も信じられない。国家の行く末を自分で判断するつもりなら、正しい情報が必要だ。なのに「一市民には関係ない」という政府の言い分を多くが信じている。
 戦前の治安維持法は共産主義運動の規制が目的だったのに、無関係の人間が捕まって拷問を受けた。「戦前みたいにはならない」。みんな、タカをくくっていないか】

 ナベツネの部屋はどこ?「それはヒ・ミ・ツ」 

 昨日読売新聞社新本社の完成式に招かれた安倍晋三の挨拶です。「読売新聞の特定秘密ですね」などと軽口。来週にも参議院で強行採決の予定とか。これほど人を馬鹿にした話はありません。今こそ、ひと泡吹かせようではありませんか!

核のゴミ見直し案 年内に計画反映へ
NHKTV11月29日 7時21分
【専門家会議の増田寛也委員長は、処分場に適した地域は、活断層や火山などの科学的な条件を詳しく決めて絞り込むことで、国土面積の7割以下になるという見通しを示しました。
経済産業省は、見直しの案を年内にまとめるエネルギー基本計画に反映させることにしています】

*増田寛也:1951年生まれ、都立戸山高校卒、東大法卒。岩手県知事、総務大臣(第8代・第9代)、新しい日本をつくる国民会議副代表などを歴任。

核のごみ 最終処分場選定 政府、候補地提示へ
東京新聞2013年11月29日 朝刊
【最終処分場が決まっていないことをめぐっては小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を主張する理由の一つに挙げ、注目が集まっている。選定方法を方針転換する背景には、経産省が基本計画に原発の活用を明記する上で、「最終処分場の問題に取り組まないまま、原発を推進するのは無責任」との批判をかわす狙いもあるとみられる】

新潟・柏崎刈羽原発:活断層現地調査へ
毎日新聞 2013年11月29日 東京朝刊
【原子力規制委員会は28日、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)について、敷地内に活断層があるかを調べるため、来年1月にも現地調査を行うことを決めた。結果を踏まえて再度、現地調査する方針で、再稼働に向けた安全審査が長期化する可能性が出てきた。
 同原発全7基のうち4号機以外の原子炉建屋直下には断層(破砕帯)が通っている。東電は「活断層ではない」と主張しているが、規制委の事務局の原子力規制庁は「同原発周囲には断層が多く、これまでのデータでは不十分」と指摘。現地調査後、東電に必要な調査を求め、これらの調査結果を踏まえて、再び現地を調べる予定。
 また、規制委は重大事故時に放出する放射性物質を減らす「フィルター付きベント装置」について、東電に詳細な運用手順書を提出するよう求めた】

宮城・女川原発:免震重要棟建設へ
毎日新聞 2013年11月29日 東京朝刊
【東北電力は28日、宮城県の女川原発に免震重要棟を建設し、耐震設計で想定する最大の揺れである基準地震動も現状の580ガルから約1000ガルに引き上げると発表した。同原発には、新規制基準に対応した代替緊急時対策所がある。だが、3号機の建屋内にあり、事故で被ばくする危険性を考慮し敷地内のより離れた地点に免震重要棟を建設することにした。2016年度中の完成を目指す。
 基準地震動の引き上げは、東日本大震災の際に同原発で観測された揺れが580ガルを超えたことを踏まえた】

福島第1原発:冷却配管、2.1キロに短縮
毎日新聞 2013年11月29日 東京朝刊
【東京電力は28日、福島第1原発1~3号機で、汚染水を浄化しながら溶融燃料を冷却する「循環注水冷却システム」の配管の総延長を、完成当初の約4キロから2.1キロに短縮すると発表した。汚染水が流れる配管を短くすることで、外部へ漏れるリスクを減らすのが狙い。来年度末までに短縮する予定。
 東電によると、同システムのうち、汚染水を淡水化する装置の位置を、現在の原子炉建屋から西に約400メートルの地点から4号機のタービン建屋内に移し、配管の総距離を縮める】

まさに労働者の使い捨て
 「5次下請け」どころか「8次下請け」まであると、先日参加した「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」の集会でいわき市議の佐藤和良さんが言われていました。

不当労働行為:「東電団交拒否は不当」 福島第1原発の元作業員、救済申し立て
毎日新聞 2013年11月29日 東京朝刊
【福島第1原発で働いていた下請け作業員が加入する派遣ユニオン(藤野雅己委員長)は28日、発注元の東京電力や元請け会社などに「団体交渉に応じない不当労働行為があった」として、東京都労働委員会に救済を申し立てた。
 申立書などによると、長野県在住の林哲哉さん(41)は2012年6月、原発の作業を請け負った福島県いわき市の5次下請け業者と雇用契約を結んだ。作業道具の管理など危険のない仕事だと説明されたが、被ばく線量が高い仕事に変更、6月19日には原子炉建屋近辺のガラス撤去などの作業に計2時間従事させられた。抗議すると、翌日に解雇されたためユニオンに加入。解雇撤回などを求めて東電を含む5社に団対交渉を申し込んだが、5次下請け以外は応じなかった】

原発小浜市協議会:津波痕跡調査を市民代表ら要望/福井
毎日新聞 2013年11月28日 地方版
【原子力発電小浜市環境安全対策協議会(会長・松崎晃治市長)の常任委員会と研修会が26日、小浜市内で開かれた。
 研修会には公的機関や市民の代表ら委員約40人が出席。原子力規制庁の担当者が、原発の新規制基準の内容や適合性審査の進め方について解説。出席者から「原発事故が起きた場合、放射線モニタリングをどのように実施するか明確にするべきだ」「歴史上起きた大規模津波の痕跡調査を行ってほしい」などの意見が出た。
 常任委員会では、関西電力の担当者が新規制基準に基づく安全審査を国に申請中の大飯原発3、4号機について、炉心損傷などのシビアアクシデント(過酷事故)を視野に入れた安全対策の内容を説明】

田中委員長「あるレベルなら安全と科学的に証明することはできない」と
3・11後のサイエンス:1ミリと20ミリのはざまで=青野由利
毎日新聞 2013年11月28日 東京朝刊

【「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」をまとめたが、もうひとつ釈然としない。
 被ばく線量についての提言は大きく分けて三つ。空間線量から推定される年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることを避難指示地区への帰還の必須条件とする▽長期目標として帰還後の追加被ばく線量が年1ミリシーベルト以下になるよう国が責任を持って取り組む▽帰還後の被ばく線量の評価は空間線量からの推定ではなく、個人線量を用いる。
 最初の項目は2011年末に政府が出した方針を踏襲しただけ。「長期目標年1ミリシーベルト以下」も12年7月に閣議決定された政府の基本方針に明記されている。新しいのは、これが空間線量に基づく推定値ではなく、個人線量に基づく線量だと明示した点だ。
 これまで政府は、除染を行う地域の基準も年1ミリシーベルトとしてきた。これを空間線量に換算し、「毎時0・23マイクロシーベルト」という値を示している。この値を帰還の目安と考える人が多いのは当然だろう。福島県田村市の都路地区では、国による除染が終わっても宅地の平均線量が毎時0・23マイクロシーベルトまで下がらず、住民から再除染を求める声が続出。避難指示の解除が延期されたのもその表れだ。
 ところが、これを「個人線量で年1ミリシーベルト以下」とすると事情は変わる。線量計で測る個人線量は、空間線量から推定される被ばく線量に比べて低いからだ。福島県内の実測では数分の1。一つの理由は空間線量による推定に「1日8時間屋外にいる」「建物の遮蔽(しゃへい)効果は一定」といった仮定を一律にあてはめているため。加えて、個人線量を測る線量計と空間線量を測る測定器では校正の仕方が異なるためだ。個人線量は実際の被ばく線量(実効線量)にほぼ等しいが、空間線量は換算係数をかけなければ実効線量にならない。
 結果的に、空間線量が毎時0・23マイクロシーベルトを何倍か超えている地域でも、個人線量では年1ミリシーベルト以下になりうる。その点では確かに「緩和」かもしれない。しかし、そもそも「年1ミリシーベルト」の長期目標は個人線量で考えるのが妥当だったのだとすれば、むしろ、これまでの政府の説明が不十分だったということではないだろうか。
 さらに問題をわかりにくくしているのは、特段の議論がないまま帰還の基準を空間線量を基にした20ミリシーベルトに据え置いた点だ。この数値については、「高い」という感想をたびたび聞く。これに対し、「個人線量で見れば20ミリシーベルトより低い」というのが提言の示すところかもしれないが、では、何ミリなら安全・安心と考えられるのか。3ミリシーベルトではどうか、5ミリシーベルトならどうか。今回の提言にその指標は何も示されていない。
 「規制委として数字の意味合いを科学的に証明することが求められていたのではないか」。記者会見で聞かれた規制委の田中俊一委員長は、あるレベルなら安全と科学的に証明することはできない、と答えている。たしかにその通りだが、それでも、1ミリと20ミリのはざまで悩む人々に何らかの指標がほしいと思うのは無理な注文なのだろうか。(専門編集委員)】

また地震が続いています。北海道から、関東まで海、内陸問わず

http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/earthquake/

「秘密国家へ道、廃案に」 分野超え、ノーベル賞学者ら会結成
東京新聞2013年11月29日 朝刊
【高まる懸念を置き去りに、衆院で採決が強行された特定秘密保護法案の成立を阻むため、学者らが分野を超えて決起した。二人のノーベル賞受賞者を含む三十一人が「特定秘密保護法案に反対する学者の会」を結成。「法案は憲法の基本的人権と平和主義を脅かす立法で、直ちに廃案とすべきだ」との声明を二十八日発表】
【政治的な問題で、幅広い分野の学者が団体をつくり、反対の態度を表明するのは異例。大きなうねりとなれば、岸信介内閣だった一九五〇年代に、ノーベル物理学賞の湯川秀樹らが憲法問題研究会をつくって改憲反対の立場を表明して以来、半世紀ぶりとなる】
◎国民が危機感持たねば 益川敏英・名大特別教授
【益川敏英・名古屋大特別教授は会見には出席しなかったが、二十八日、本紙の電話取材に応じた】
【政治をやる上で、秘密にし続けなければならないことはありません。外交や国防に関する内容であっても、後から必ず公開されるのが大原則です。無制限に秘密を指定できる法案を通せば、恐ろしいことが起こります。国民は、政治の決定プロセスが明らかにならないことに、だんだん慣れてしまうでしょう。社会というのはなし崩し的に変わる。安倍晋三首相の施策からは「日本を戦争ができる国にする」という意図が透けて見えます。
 今回、専門分野を超えてこれだけの学者が集まったのは、国民全般の生活に関わるからです。それだけの危機感を持たなければならない問題なのです】

秘密保護法案:ノーベル賞学者ら抗議声明「戦争へと…」
毎日新聞 2013年11月28日 22時26分(最終更新 11月29日 00時22分)
この毎日新聞の記事、ただ「こういうことがありました」と書いてあるだけです。

秘密保護法案:参院委審議 自民と維新「第三者」巡りズレ
毎日新聞 2013年11月28日 21時50分(最終更新 11月29日 00時20分)
【特定秘密の指定などの適否を監査する第三者機関について、修正案提出者の自民党の中谷元・元防衛庁長官は、政府内の「首相の助言機関」にとどめる可能性を示したが、日本維新の会は首相の指揮監督権から独立した機関の必要性を強調】
【第三者機関は与党と維新の修正協議で付則に盛り込まれた。中谷氏は答弁で「首相の判断に資するために、情報の監察を行える機関を設け、首相に進言したり結果を上げたりする」と説明。ところが修正案の共同提案者の維新の桜内文城氏は「首相の指揮監督と別の観点から、独立した機関が必要」と答弁した。両氏にただした民主党の福山哲郎氏は「それぞれの党でずれているのは問題だ」と批判した。
 また、桜内氏は設置時期を「『施行日までに』と安倍晋三首相も言っており、施行日までに検討を終えて設けると理解している」と説明。しかし、首相は26日の衆院審議で「設置すべきだ」と述べながらも、時期についての明言は避けており、食い違いは広がるばかりだ。
 また、森雅子同法案担当相は政府内の適性評価の対象者数について、森氏は「現行の特別管理秘密を扱う公務員は警察庁、外務省、防衛省など政府全体で約6万4500人」と説明したが、「特定秘密では県警職員や契約業者も対象になるから相当な数になる」とも述べ、対象者が際限なく広がる可能性も明らかになった】

「私を右翼の軍国主義者と呼びたいなら、どうぞ」──際どい「アベ語」操るのは
毎日新聞 2013年11月09日 東京夕刊
◇海外向け担当・谷口内閣審議官 外部から初、常勤スピーチライター
【「私を右翼の軍国主義者と呼びたいなら、どうぞ」「汚染水は完全にブロックされている」。海外での安倍晋三首相のスピーチが異彩を放っている。明確かつ断言調、そして際どい。どこか危なっかしい「アベ語」を操るスピーチライターを追った。
「『ウィメノミクス』の知恵にならうなら、女性の力を育てることに焦点を合わせる私たちの開発思想は、世界に平和と厚生をより多くもたらすことでしょう」。9月26日、安倍首相はニューヨークの国連総会で行った演説を「ウィメノミクス」という耳慣れない言葉で締めくくった。
 「アベ語」の特徴は、こうした見出しになりそうな英語を多用することだ。国連総会演説の「ウィメノミクス」とはウィメン(女性)とエコノミクス(経済学)を合わせた造語。女性の社会進出が進むほど経済成長が促されるという主張だ。
なぜ今、国際社会に向けて女性の活用を訴えたのか。
 この演説に先だつ9月17日、岸田文雄外相が自派の派閥研修会でこう解説している。「首相は国連演説で紛争時の女性の人権を強調する。なぜなら韓国人従軍慰安婦問題を巡り、米国で慰安婦像が建てられているからだ。攻めの姿勢がなければ歴史問題でいつまでも受け身に立たされる」
 安倍内閣にとって慰安婦問題は、女性の人権問題に敏感な米国との関係悪化につながりかねないアキレスけんだ】
【懇談会は7月、有識者10人による5回の会議を経て、領土問題は「短く、分かりやすく」「ワン・ボイス(一貫性のある言葉)で」「英語による発信を」などの提言をまとめている。
 会場には、表舞台に出ることが少ないある人物が首相に付き添っていた。首相のスピーチライター、谷口智彦内閣審議官(56)だ】
【谷口氏は日経ビジネスの記者出身。第1次安倍内閣で海外メディア担当の外務副報道官を務め、同内閣や麻生内閣の外交方針「自由と繁栄の弧」の立案に貢献し、谷内正太郎現内閣官房参与から評価された。その後、大学などで教えていたが、今年2月に官邸スタッフの内閣審議官に就任。主に海外向けの演説草稿を書いている】
【谷口氏の仕事をさかのぼってみた。日経BP社に入社する前の論文が目を引く。月刊誌「朝鮮研究」(80年1月号)に掲載された「上福岡三中の差別構造を告発する」。在日朝鮮籍を持つ中学生のいじめ自殺事件について、その差別構造をテーマにした原稿用紙30枚以上の大作だ】
【当時、谷口氏は東京大学法学部在学で、「朝鮮研究」を出版する日本朝鮮研究所(84年に現代コリア研究所に改称)に出入りし、この事件を調査している。学年主任が自殺未遂をいじめっ子たちに明かした結果、H君はさらに迫害を受ける。見て見ぬふりをする担任。谷口氏は「書きながら激しい怒りにかられる」と論文に記している】
【佐藤勝巳・元同研究所所長(84)は「谷口君とは何度も学校や教育委員会に足を運んだ。責任のある教師の処分を要求したのですが、一緒に活動していた教師たちは仲間の処分に消極的だった。差別反対を叫びながら自分たちの既得権益だけは守る。私たちは運動のごまかしを目の当たりにしたのです」と振り返る。
 当時、同研究所に所属していた内海愛子さん(72)=現大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長=は「佐藤さんの発言が変わってきた。おかしい、在日に厳しすぎる、と周囲から何度も指摘され『佐藤さんは(思想的に左から右に)転向したのでは』と谷口君と話したことがあった。うーん、と考え込んでいましたね」と語る】
【疑問を感じた内海さんは80年に研究所を辞めた。81年に大学を卒業した谷口氏は同研究所の研究員になり、佐藤さんについていく。その後、佐藤さんは反北朝鮮の立場を鮮明にし、拉致被害者の救出活動に取り組んでいく。
 「研究所を去った人に言わせれば、私は裏切り者、転向者でしょう。だが、現在の北朝鮮、中国の状況を見れば私の認識が正しかったことは明らかだ」と佐藤さん。米ハドソン研究所での首相演説に視線を落としながら「『私を右翼の軍国主義者と呼びたいなら、どうぞ』か。気持ちはよく分かるよ。きっと谷口君の言葉だろう」と深くうなずいた。
 一方、内海さんは「本当にあの谷口君が全部書いているのでしょうか。確かに国連総会の『ウィメノミクス』という表現は英語に堪能な人のものでしょうね。でも、女性の人権を尊重するというより、経済発展の道具とみなすかのような表現には強い違和感がある。自殺したH君の痛みに寄り添った谷口君のやさしさは感じられないなあ」と半信半疑だ】

このアピールが出た今月25日に、7人委員会の一人、辻井喬さんが亡くなられました
「特定秘密保護法案」の廃案を求める 世界平和アピール七人委員会

 辻井さんは脱原発発言をされていました。『辻井喬&山口二郎が日本を問う』(平凡社・2011年4月発行)という本があるのですが、当然、3.11前に対談が行われているのですが、3.11後に白日の下にさらされることになる日本社会、政治、官僚支配を見透かしているかの内容です。

「特定秘密保護法案」の廃案を求める
2013年11月25日
世界平和アピール七人委員会
武者小路公秀 土山秀夫 大石芳野 池田香代子 小沼通二 池内了 辻井喬

 私たち世界平和アピール七人委員会は、政府が今国会に提出している「特定秘密保護法案」を、内容と進め方から見て民主主義と日本国憲法にとっての脅威であると危惧し、廃案とすることを求めます。

 民主的な社会は、主権者である私たちが政策の可否を判断できて初めて成立します。市民の知る権利は、その不可欠の前提です。私たちは、麻生内閣時代に作られた「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法、2009年7月1日施行)において、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用しうるものである」と位置づけていることを高く評価します。

 私たちは、国家に直ちに公開することができない事項があることは理解しています。その場合、秘密指定者である政府は秘密の指定が適切であることを説明する義務を負うものと考えます。しかし現法案には、恣意的に行われていないことを客観的な立場から検証判断する、政府から独立した第三者機関の設置は想定されていません。

国家の秘密は、内容的には明白に定めた範囲内に限り、時間的にも期限を明白に定め、期限がきたものは、たとえ政府にとってマイナスを含むものであっても、歴史の検証にゆだね、その後の政策立案に役立たせるため、すべて公開しなければならないと考えます。それによって、恣意的な指定や運用を避けることが保障されることにもなります。

 そのためには、秘密指定解除以前に特定秘密の関連文書が廃棄されることがないよう、保管を義務付ける規定を含めなければなりません。そうでなければ、政府は、私たち主権者を納得させる説明責任を果たすことができません。

 また同法案は、外国に特定秘密を提供できるとしています。具体的にはアメリカ合衆国への機密情報供与が想定されていることは明らかです。国家安全保障会議創設や集団的自衛権容認へと向かう現政府の動きを勘案すると、この規定は、核抑止を基本とする米国のグローバル戦略のなかにわが国を組み込み、両国の安全保障の一体化をさらにおしすすめるものであり、交戦権を放棄した憲法にも、国連の場で核兵器廃絶を支持しているわが国の方針にも、もとることは明らかです。

 私たちが世界基準としてきわめて妥当と考える「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)は、国際人権法や人道法に違反すること、公衆衛生に関することなど、秘密指定してはならない領域を提案しています。
 これは、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の拡散について、とくに初期の情報開示が充分ではなかったという痛恨の経験をした私たちにとり、切実さをもって理解できるものです。

 現在の特定秘密保護法案は、安全保障、外交、諜報の防止とテロ対策に関する情報など、特定秘密に指定できる領域を広く定めています。しかし、秘密指定してはいけない領域を明示しない同法案からは、安全保障と人権をバランスさせようとする意思が読みとれません。

 本法案が成立すれば、ただちに裁判や国会審議の公開性や、国会議員の国政調査権の制限に直結します。

 特定秘密取扱者の適性評価項目には、精神疾患・飲酒・経済状況などのほか、配偶者とその父母の国籍や元国籍なども含まれます。約6万5千人ともいわれる当該公務員のみならず、官公庁と業務関係のある企業に勤める民間人まで含めて、広範な個人情報を国家が掌握し、家族の国籍や元国籍によって本人の処遇に差をつけることは、憲法に定められた法のもとの平等に抵触することは明らかであり、私たちは懸念を表明せざるを得ません。

 さらに、人権侵害にかかわる政府の秘密は、秘密取扱者にむしろ通報の権利と義務があるとするのが世界の趨勢です。しかし現法案では、政府の違法行為にかかわる情報、政府が違法に秘密指定している情報、あるいは公益に資すると認められる情報であるのに政府が秘密指定しているものなどを公表した内部通報者やジャーナリストなどの保護が保証されていないことは、きわめて問題です。

 また同法案では、研究者や政策提言組織、市民団体などの情報収集も、権利として保証されていません。私たちは、時の政権の都合によって情報へのアクセス権や表現の自由についても制限が強まることを危惧します。のみならず、戦前の治安維持法の場合と同様、市民の側の萎縮効果を助長し、自由な情報の交換や収集が妨げられ、闊達な議論をはばかる風潮が広がる危険性が少なくありません。

 安全保障と市民の知る権利のバランスは、とくに2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、各国がその均衡に苦慮してきました。この点については世界の経験と英知の結集から生まれ、かつわが国も締結している国際人権規約にのっとった「ツワネ原則」に従うべきです。

 日本はかつて歩いた誤った道を再び歩むことがあってはなりません。
 民主主義とは相矛盾する「特定秘密保護法案」を廃案としたうえで、安全保障と市民の知る権利のバランスについてさらなる社会的な議論を深め、国会においても、賛成者を集めるだけの密室での議論に基づく多数決におちいることなく、後世に悔いを残すことがないよう野党の提案の内容についても慎重に審議を進めて取り入れるべき部分は謙虚に取り入れ、国民が納得する安定した方策を見出すことを、市民、政府、国会議員に呼びかけます。

中国、せっかく線を引いたのに無視される
防空識別圏:菅官房長官「自衛隊の航空機も従来通り飛行」
毎日新聞 2013年11月28日 20時06分(最終更新 11月28日 21時32分)

【菅義偉(すが・よしひで)官房長官は28日の記者会見で、中国が設定した防空識別圏内を自衛隊の航空機が従来通り飛行していることを明らかにした。政府関係者によると、自衛隊機に対する中国軍機による緊急発進(スクランブル)は確認されていない】

猪瀬都知事「裏金」問題
徳洲会事件:徳田議員が失職の公算大 「連座制」適用で
毎日新聞 2013年11月29日 07時00分

定例会見を中止要請…嘘八百並べた猪瀬知事の成り上がり人生
日刊ゲンダイ2013年11月28日 掲載
【作家のなかにし礼氏も出演したテレビでこう憤慨していた。
「作家は哲学と美意識で創作するものです。彼には肩書から作家を外してもらいたい。全ての作家に対し失礼です」】

【東電の株主総会では、勝俣恒久会長(当時)に「きっぱり身を引くべきではないか」と辞任を要求している】
【評論家の佐高信氏がこう看破する。
「佐藤優氏が私との対談で言っていたが、彼は〈本物のニセモノ〉なのです。自分の売り方には天賦の才があり、肩書にも弱い。彼を支持する竹中平蔵、勝間和代……皆、同じにおいがします」】

イタリアでは国会追放、議員資格剥奪
イタリア:ベルルスコーニ元首相、国会追放…議員資格剥奪
毎日新聞 2013年11月28日 12時58分(最終更新 11月28日 18時52分)

【脱税事件で実刑が確定しているイタリアのベルルスコーニ元首相(77)が27日、上院議員資格を剥奪され、国会から追放された。上院本会議が同日夕(日本時間28日未明)に議決した。元首相は即時に議員失職し、不逮捕などの議員免責特権を失った。過去3度、約9年間、首相を務めた元首相は国政の表舞台から退場。約20年にわたって元首相がイタリア政界をけん引してきた「ベルルスコーニ時代」は終幕を迎えた】