原発通信529号                                  2013/09/03

日本原子力学会、カネに目が眩みいい加減にやってきたと告白
しかし、事故については「だったら論」で現実逃避

 今日(9/3)の朝刊に、原子力マフィアの「学界部」である原子力学会がらみの記事が二つ出ていました。ベタ記事でしたが、わりと重要な意味を持っていると思います。一つは日本原子力学会が福島第一原発事故に関して責任があると認めたというもの。ただし、記事を読むと、言い訳のオンパレードです()。
 もう一つは、除染の対象地域について、空間線量ではなく、住民個人の被ばく線量を目安に決めるよう求める提言したという記事。「外部被ばく線量は各地で測定された空間線量率に、家屋の遮蔽効果を換算して算出したもので、住民個人の被ばく線量とは必ずしも一致しない」という理由からです()。

 なぜ、事故対策が取れなかったのかについては、「学術的に中立の立場を守る努力が足りなかった」「事業者に遠慮があった」など、自由な議論が許されない雰囲気があったからとしています。
 まあ、それはそうでしょう。そのために原子力マフィア・電力会社・電事連などはカネ(=袖の下)を使っていたのですから。それに応えないことは「信義」に劣ることになります。要はカネのために学問の良心を売ったと自ら認めたわけです。
 見過ごせないのは、津波や過酷事故対策が適切なら「事故は避け得た」と現実逃避し、「だったら論」を展開している点。なぜ「適切でなかった」のかを真摯に総括しなければ何の役にも立ちません。そんなことは素人だって言えることなのです。
 茂木経産相の汚染水対策についての発言も報道されていました。「緊急性が高いもの、技術的に難しいものについては、国が予算措置をする」と述べたというのです。
 そもそも原発の専門家は「技術的に難しいもの」をこなせる集団=スペシャリストではなかったのでしょうか。それができないから国が対応するというのでは、原発を運転している電力会社に対して、無能集団と言っているのと同義です。これまで数十年にわたって原発を推進してきた「責任政党」である自民党の大臣がそれを認めた。ということは、詐欺をしていたということ。ならば、そのことをきちんと国民の前で謝罪するのが先です。
 そんな始末もできない集団が、いま原発再稼働、原発輸出だと言っているのです。

汚染水流出問題

 昨日はあそこから今日はここからと、毎日のように汚染水の漏出に関する発表が続いています。この汚染水、地下水問題は事故当初から指摘されていたことでもありました。東電はそれに耳を貸さず、その場しのぎを重ねてきたツケがいま回ってきたのです。事故当時、爆発で吹っ飛んでしまった原子炉を冷却するために大型バケツやホースを担いで入った自衛隊幹部が「これは戦争だ」と言ったということが伝わってきていますが、福島の現場以外は、たぶんそんな危機感すら薄かったのでしょう(公開されているTV会議などを見ても)。
 先日、汚染水タンクをつくっている会社の人の声が報じられていました。東電職員は放射線を浴びる場所には「放射能が怖いから、俺は出ていきたくない」と言って机にかじりつき、部屋の中から指示をしているだけだと。これでは現場の士気が上がるわけがありません。
 しかも、その後始末代は自分で払うのではなく、税金でというのですからいい気なもんです。こんな状況であるにもかかわらず、「日本の安全・安心のために原発再稼働だ」などと言っている“エコノミックアニマル”、正気かと言いたくなります。

凍土壁も場当たり的対処法でしかない

「私設原子力情報室」というブログを立ち上げている方が「汚染水問題に出口はあるか 上・下」と題して、東電が発表している汚染水に含まれている放射性物質についてコメントしています。政府は遮水壁を凍土方式で行うと言っていますが、そのことに対しても、それは抜本的対策とはいえず、そもそも今後100年間も電気を使って凍らせていくことが現実的対策かと疑問を投げかけています。

 また「トリチウム」についても、「トリチウムの恐怖」と題した記事を書いています。併せて原子力資料情報室の情報も貼っておきますので、参考にしてみてください。
*原子力資料情報室 原発きほん知識 「トリチウム(水素-3、3H)」

安倍政権、インドと原発・原子力協力を推進

 安倍政権は、インドとの原子力協定交渉を今日にも、都内で始めると言っています。そして週末には日本原子力学会がインドの原子力学会と協力関係をつくる覚書を取り交わすと言います。
 最近の自民党政治、以前とは違い不協和音があちらこちらから聞こえてきます。原発はもとより、「異次元の緩和策」「消費税」でも、「皇室」でも…。 

「騙されたからと言うのなら、またきっと騙されます」小出裕章氏

 本号の下の方()に、昨日(9月1日)日比谷公会堂で行われた「さよなら原発」講演会での小出裕章さんの講演の要旨をまとめておきました。文字起こしはブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」に依拠しています。

▶原子力学会:「原発事故に責任」最終報告書案

毎日新聞 2013年09月02日 23時21分
【日本原子力学会の事故調査委員会(委員長=田中知・東京大教授)は2日、事故を招いた対策の不備の背景として「学術的に中立の立場を守る努力が足りなかった」とし、専門家集団としての責任を認めた。同日公表した最終報告書原案の概要で、学会の歴代役員のアンケートから「事業者に遠慮があった」など、自由な議論が許されない雰囲気があったことを自ら指摘した】
【原案では、津波や過酷事故対策が適切なら「事故は避け得た」としている。一方で国会や政府、民間などの事故調で見解が分かれる地震による損傷については「健全性は確保された」と否定。放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は「放射線モニタリングと併用すれば避難に使えた可能性がある」と結論付けた】

▶原子力学会調査委:個人線量目安の除染作業を提言

毎日新聞 2013年09月02日 23時23分
日本原子力学会の東京電力福島第1原発事故に関する調査委員会は2日、除染の対象地域について、空間線量ではなく、住民個人の被ばく線量を目安に決めるよう求める提言を発表した。
 現在の政府方針は一律に空間線量を年1ミリシーベルトまで下げることを目標にしているが、生活様式などを考慮した上で、被ばく低減に効果的な場所の除染に集中するよう求めた。学会事故調の諸葛宗男幹事は「一律に国が基準を決めるのではなく、住民の意見を聞いて、細かく対応すべきだ。学会としてもできる限り支援したい」と話した。

 政府の除染計画は、外部被ばく線量が年20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の地域を「できるだけ早く縮小」▽年20ミリシーベルト以下の地域を「長期的に年1ミリシーベルト以下にする」ことを目指している。外部被ばく線量は各地で測定された空間線量率に、家屋の遮蔽(しゃへい)効果を換算して算出したもので、住民個人の被ばく線量とは必ずしも一致しない。】
日本原子力学会HP(9/3時点でまだ何もアップされていません)
 ただし、インド原子力学会との協力に関する覚書を、今週6日にインド大使館で行うと告知しています。

http://www.aesj.or.jp/info/pressrelease/PR20130830.pdf 



大飯原発、活断層問題と定期検査で停止
▶大飯原発:3号機停止 定期検査のため
毎日新聞 2013年09月03日 01時37分(最終更新 09月03日 01時56分)
【3日未明に原子炉を停止した。稼働中の4号機(同)も15日に定検のため停止し、国内で稼働する原発は昨年7月以来、約1年2か月ぶりに再びゼロになる】

▶大飯原発:「活断層でない」 規制委、安全審査再開へ
毎日新聞 2013年09月02日 21時11分(最終更新 09月02日 23時18分)

【調査団は8月19日の前回会合で、敷地南側の調査溝(南側トレンチ)で見つかった破砕帯が、地層に含まれる火山灰の年代分析から「活断層ではない」との見方で一致。この日の会合では、この南側トレンチの破砕帯と、非常用取水路を横切る調査溝(山頂トレンチ)で観察したF-6が、地層のずれ方の共通性などから、活動時期がほぼ同じと判断。非常用取水路を横断するF-6の活断層説を否定した】
【規制委の島崎邦彦委員長代理は「認識の共有化が図れた。一定の方向性が出た」と述べた。ただし、F-6の位置を巡っては、一部の有識者が関電の想定に疑問を呈したため、継続して検討していく。また、報告書の作成に向け、別の専門家からも意見を聞いたうえで、規制委は調査団の見解を踏まえ「活断層ではない」と了承する方針だ】

▶大飯原発:再稼働なお不透明 地下構造の調査甘く
毎日新聞 2013年09月02日 23時28分(最終更新 09月03日 02時23分)

【原子力規制委員会の有識者調査団は「シロ」判定の見解で一致した。保留されていた3、4号機の再稼働に向けた審査が再開する見通しとなった一方で、関電が目指す今冬の再稼働が実現できるかは不透明な状況が続く】
【しかし大飯3、4号機の安全審査が再開しても、規制基準による新たな地震・津波対策を要求されるのは確実だ。また、審査に合格しても、再稼働のためには周辺自治体の同意を得る必要がある】
【規制基準は、地震・津波対策強化の一環として、敷地内の「未知の地下構造」をあぶり出すための調査を初めて義務付けた。東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)では中越沖地震(2007年)の際、中部電力浜岡原発(静岡県)では駿河湾地震(09年)で、地下の独特な構造によって、想定外の揺れが観測されたためだ】
【関電の「想定不足」は、大飯3、4号機とともに再稼働申請された高浜原発3、4号機(福井県)の安全審査の経過でも露呈している。関電は、津波の最大の高さを想定する「基準津波」について当初「2.6メートル」としていたが、規制委から福井県の津波想定に基づいて再計算するように求められ、「3.99メートル」に上方修正した】

▶大飯原発:「地元に活気戻る」 一方で不信根強い住民も
毎日新聞 2013年09月02日 22時07分(最終更新 09月02日 22時17分)
おおい町の時岡忍町長、【「正直、安堵(あんど)している。専門家から科学的で公平な結論を出してもらえることを願っていた」】
【原発関連会社の社長も「『シロ』の結論はうれしい。今後の再稼働の見通しが立ち、ひとまず安心した」と喜んだ】


福島第一原発汚染水漏れ
▶汚染水漏れ:国費、数百億円投入へ 経産相が言及
毎日新聞 2013年09月02日 23時40分(最終更新 09月03日 06時22分)

【凍土遮水壁」の設置にかかる費用については国が全額負担し、汚染水から放射性物質を取り除く除去装置「アルプス」の性能向上にも国費を投入する方針だ】
【同日のBSフジの番組で発言した。茂木経産相は「緊急性が高いもの、技術的に難しいものについては、国が予算措置をする」と述べた】
【今年度予算で計上している予備費(約3500億円)を使って事業を早期に進めたい考え】

▶<福島汚染水漏れ>国費470億円投入へ
毎日新聞 9月3日(火)10時55分配信
【計470億円の国費を投入する方針を固めた。このうち210億円を今年度予算の予備費(約3500億円)から支出する方針。原子炉建屋周辺の土壌を凍らせて地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」の設置にかかる費用は国が全額を負担し、320億円をあてる。汚染水問題で、国が前面に出る姿勢を明確にする】
【国費の内訳は、凍土遮水壁の設置に320億円を充てるほか、汚染水から放射性物質を取り除く除去装置「アルプス」の性能向上にも150億円を投ずる計画だ】

【国費投入を決めたのは、地下水の動きなど汚染水対策には技術的な難しさが伴い、東電だけに汚染水対策を任せられないと判断したため。ただ、なし崩し的な費用負担の拡大は「東電救済」との批判を浴びかねない。このため、国費投入は緊急性が高く、技術的に困難な事業に限る方針だ】

▶社説:原発汚染水対策 首相の危機管理を問う
毎日新聞 2013年09月03日 東京朝刊
【事故は収束していないどころか、極めて緊迫した状況にある。国家としての危機管理能力が問われる事態】
【タンクを増設し、増え続ける汚染水をためる自転車操業方式の対応は、破綻寸前にある。
 タンクからの汚染水漏れ発覚後、経済産業省は局長級ポストの「汚染水対策監」を新設し、第1原発に駐在する職員を増やすことを決めた。東電も社長直轄の対策本部を設置した。国内外の専門家を招くという。こうした体制強化に一定の効果はあるだろうが、対症療法に過ぎない】
【東電のこれまでの対応を見ると、隠蔽(いんぺい)体質は変わっておらず、社会的な信用は失墜】
【気になるのは、ヤマ場を迎える東京五輪招致への影響などを危ぶみ、オープンな議論を手控えるような雰囲気が政界にあることだ。むしろ説明不足が日本への不信を強めかねないという発想に転換すべきだ】

▶汚染水、公害処罰法に違反 東電社長ら刑事告発へ 福島県民
東京新聞2013年9月3日 朝刊
【福島県民三人が三日、東電の広瀬直己社長ら幹部約三十人と法人としての同社について、汚染水管理のずさんさが大量の汚染水漏れにつながったとして、公害犯罪処罰法違反の容疑で福島県警に告発する】
【告発するのは、原発事故で被ばくしたとして東電前会長らを業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発した「福島原発告訴団」のメンバー】
【今回告発するのは▽原子炉の冷却に使った水をためるタンクから漏れた高濃度汚染水約三百トン▽敷地内に流れ込んだ地下水が放射性物質に触れて一日約三百トン発生している汚染水-への東電の対応】
【告発では、タンクからの汚染水漏れについて「タンクは応急的に作られた。早期に丈夫なタンクを設置し、汚染水を移送する義務を怠った」と主張する予定。ずさんな監視体制や、汚染水を食い止める堰(せき)の排水弁を開けっ放しにしていた点も過失とみている】
【地下水の汚染については、東電が二〇一一年六月、1~4号機を取り囲む地中の遮水壁の建設を検討しながら放置したことが過失に当たると指摘。「対策費が一千億円レベルで、『債務超過に近づいた』と市場から厳しい評価を受けるのを恐れ、先送りを決めたのは過失」と批判】
【<公害犯罪処罰法> 正式名は「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」。事業活動に伴って公害を生じさせる行為を処罰することにより、公害防止を図るのが目的。水俣病やイタイイタイ病など深刻な公害被害の多発を背景に、1970年に成立した。故意犯に3年以下の懲役または300万円以下の罰金、過失犯には2年以下の懲役あるいは禁錮または200万円以下の罰金を規定。人を死傷させた場合、さらに厳しい罰則となる。法人または法人代表者らの両方を罰する両罰規定を置いている】

▶汚染水漏れ:別区域で新たに? タンク底部で高線量検出
毎日新聞 2013年09月02日 22時56分(最終更新 09月02日 23時16分)
【東電は2日、新たにタンク1基の周辺で毎時100ミリシーベルト以上の高い放射線量を検出したと発表した。最初に漏れが見つかった区域を含め、敷地内の4区域で漏れを疑わせる測定結果が出たことになる】
【汚染水約300トンの漏れが見つかったタンクがある区域から南に約100メートル離れた「H6」エリア。2日のパトロールで見つかり、測定されたのはタンク底部】

▶自民党:全国幹事長会議 首相「汚染水、責任持つ」 福島県連「早く対応を」
毎日新聞 2013年09月03日 東京朝刊
【北海道連の柿木克弘幹事長はTPP交渉の秘密保持契約について「地元に説明しなければならない。ある程度は我々に(交渉内容を)示してもらわないと地域は不安だ」と対応を要請。福島県連の平出孝朗幹事長は終了後に記者団に「汚染水は毎日流れている。一日も早く対応してほしい」と語り、踏み込んだ対応を求めた】



▶3・11後の選択:’13東海村長選/中 原発依存脱却/茨城
毎日新聞 2013年09月02日 地方版
 ◇「新しいことしないと」 村内経済活性化が課題
【意識の変化は旅館業だけではない。村が村有施設の屋根や土地を貸し出す事業を始めたことをきっかけに、石油販売業や電気工事業など村内7事業者は13年3月、「東海村メガソーラー株式会社」を設立した。狙いは「村内経済の活性化」だ。初事業となった中丸コミュニティーセンター(同村須和間)では屋根に出力49キロワットの太陽光発電施設を設置】
【今後は村民から出資を募り、住民の自宅屋根にパネルを設置するなど村一丸で太陽光発電を普及していくことが目標だ。同社の照沼毅社長(59)は脱原発を主張しているわけではなく、むしろ推進派と言える】

▶日印原子力交渉:3日に開催 原発輸出視野に、意見調整へ
毎日新聞 2013年09月02日 22時24分



▶9.1さようなら原発 小出裕章さん講演

前半・「そして今彼らは、この事故をなかった事にしようとしています」
後半・「原子力というのは核です。 核兵器そのものなのです。力の論理で平和が築ける筈はないのです」
みんな楽しくHappy♡がいい♪ 小出裕章氏9.1さようなら原発講演会文字起こしより

 マスコミは最近になって「汚染水が大変だ」って言い始めたわけですが、私としては「なにをいまさら」と思いました。
 そして、先ほど見ていただいた4号機ですけれども、建屋が爆発しまして、炉心の中にあった使用済み燃料も使用済み燃料プールというところに入れられていたのですが、そのプールは宙づりのような状態になって、今存在しています。

 そして、そのプールの底には、広島原爆に換算すれば多分1万4000発というぐらいに相当する膨大な放射性物質が、まだ、宙づりのプールの中に眠っているという状態です。

 当日運転中だった1号機から3号機を合わせると、広島原爆の168発分をすでに大気中にばら撒いたと、日本国政府が言っているのです。しかし私はこの数字は必ず過小評価だと思っています。

「できる限り軽く見せたい」と言ってはじき出した数字がこの168発。多分これの2倍か3倍だと私は思います。

 琵琶湖が1.5個入ってしまうという、それほどの広大な土地がすでに無くなってしまったのです。

 そして福島県を中心にして青く塗ったところが東北地方、関東地方にずっと広がっているのが分かって頂けると思います。そしてその青の周りにくすんだ緑があります。福島県で言えば会津の方がそうですし、群馬県の西部、宮城県の南部も北部も岩手県の一部もあります。茨城県の南部、千葉県の北部、東京の一部にもありますけれども、こういう色のところは現在の法律に照らしあわせるのならば、「放射線の管理区域」にしなければなりません。


 普通のみなさんは入れないんです。私のようなごく特殊な人間だけが立ち入ってもいいと許されるのが放射線管理区域です。が、その場所に私は立ち入った途端に水すらが飲めなくなる。というのが放射線管理区域です。放射線管理区域からなにか物を持ちだす時には、1平方メートル当たり4万ベクレルを超えているような汚染物は、どんな物でも持ち出してはいけないという法律で決まっていたのです。
 しかしさっき見ていただいた地図で、青いところは1平方メートル当たり6万ベクレルを超えてすでに汚れている。くすんだ緑のところも3万ベクレルを超えて汚れているんです。

 それも放射線管理区域の中で汚れた私の実験道具では無い、私の実験着でもない、「大地そのものが全部汚れてしまった」と言っているのです。私は先程犯罪者だと呼んだわけですけれども、その犯罪者の日本の国は自分が決めた法律を一切反故にしてしまい、「1ミリシーベルトなんていう基準はもう守れない、20ミリシーベルトの被ばくまでは我慢しろ」という。「放射線管理区域の基準は超えているけれども、そこにみんな住め」ということにしてしまいました。
 今逃げている人に対しても、「帰還しろ」というようなことを言っているわけです。あるいは「勝手に逃げるなら国はなんにも知らない」というような事を言っています。 日本ではこれまで58基の原子力発電所がつくられてきました。その全ては自民党政権が「安全性を確認した」と言って建てたのです。しかし、原子力の問題というのは、単に安全か危険かという問題ではありません。

 もともと日本が原子力をやろうとした動機は、「核開発」です。ある時には外務省の幹部が新聞のインタビューでこんなことを答えています。(朝日新聞 1992年1月19日)。個人としての見解だが、日本の外交力の裏付けとして、核武装の選択の可能性を捨ててしまわない方がいい。保有能力はもつが、当面政策として持たないという形でいく。そのためにもプルトニウムの蓄積と、ミサイルに兼用できるロケット技術は開発しておかなければならない。というのです。すでに日本には45トンの分離されたプルトニウムがありますが、それで原爆をつくれば4000発作れてしまいます。

 そしてつい先日はイプシロンというロケットの打ち上げようとしました。その前にはH2ロケットは沢山打ち上げているんですね。それも全てミサイルに転用できるロケット技術を開発できるという事でやってきたのです。(朝鮮民主主義人民共和国のロケット)それに対して日本という国は「実質的なミサイルを打ち上げた」というんですね。「撃墜する場合もある」というような事を言う国でした。
 何のことはない、日本は沢山H2ロケットでもなんでも打ち上げている。「それはじゃあ、実質的なミサイルではないのか?」と、むしろ私は聞きたくなります。それなのに日本はもうすでに4000発もつくれるだけの材料を懐に入れているという、そういう国なのです。IAEAという国際的な原子力マフィアを使って、他の国を監視するという、そういう体制をずーーっと作ってきました。

 しかしそういう体制の中で、核兵器保有国ではなくて中心3技術の全てを持っている国が世界で1カ国だけあるんです。どこですか? 日本ですよね

そのためまた日本は、さらなる悪事を働こうとしています。昨年の6月に原子力基本法というものが改定されました。(2012年6月20日成立)
 もともと基本方針にはこう書いてありました。「原子力利用は平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営のもとに実質的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」と書いてあります。
 なんとなく文言は綺麗に読めますけれども、「平和の目的に限り」なんてあっても「実質的には核兵器を開発するためにやってきた」というのは今聞いていただいた通りです。

 そして去年の6月にこんな文言を付け加えました。前項の安全の確保については確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全、並びに我が国の安全保障に資することを目的として行うものとする。
「安全保障」という言葉はみなさんよくご存じだと思いますけれど、「日米安全保障条約」という名前がある通り、軍事的な専門用語です。

 私は原子力にいる人間として、原子力は徹底的に危険だと思います。こんなものはやってはいけないと思いますけれども、私が原子力に反対しているのは単に危険だからではありません。
 原子力というのは他者の犠牲の上にしか成り立たないという、そういうものです。差別に基づかなければできないという、そういうものに私は反対しています。
 もともと原子力発電所で働いている労働者の被ばくは、9割以上は下請け孫請けの労働者が担ってきました。仮に事故が起こらなくても、原子力を使ってしまう限りは、核分裂生成物という放射性物質を生み出してしまって、その放射性物質を私たちが無毒化する力を持っていないのです。100万年にもわたってどこかに隔離をしなければいけない。そんな事が出来る道理が無いのです。

 つまり、政府がバカなことをやらないように私たち国民がちゃんとチェックして政府を監視するんだと、それを決意したというのが日本国憲法なのです。私たち一人一人がしっかりしなければならない大変素晴らしい憲法だと私は思います。なんとしてもこれを守るという事も同時に考えています。 そんな歴史が一応は終わったけれども、その後で、「いや、悪かったのは軍部だ」と。「俺たちはちゃんとしたところを聞かされなかったからこうなった」と言い訳をする人は多分沢山いたと思います。でもそれで本当にいいのか?と私は思います。

 福島の事故が起きた今もそうです。今日この会場を埋め尽くして下さっている人たちにしても、福島の事故が起きるまでは原子力がこれほどのものだと言う事に気がつかないでこられた方は多いと思います。
 もちろん日本の国は安全だと言って、マスコミ全てが安全だという宣伝を流してきたわけですから、普通の方々がそう思っても不思議ではないし、皆さんが騙されたと思っても私は不思議でなありませんけれども、「騙されたから無罪だ」というんなら、またきっと騙されてしまいます。
 騙された事に関しては、騙された責任があるだろうと思っています。そのたった一度の人生ですから、歴史と事実をしっかりと見つめて、騙されないようにする。そして自分のやりたいことの思いに忠実に生きていたいと私は願います。


不協和音が聞こえます
▶<下村文科相>久子さまIOC総会出席は「震災支援のお礼」
毎日新聞 9月3日(火)12時55分配信

【下村博文文部科学相は3日の閣議後記者会見で、2020年夏季五輪開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会に高円宮妃久子さまが出席することに関し、「招致活動ではなく、東日本大震災への支援へのお礼であり、皇室の政治的利用には全く当たらない」と】

▶宮内庁「苦渋の決断」 久子さまのIOC総会ご出席
産経新聞2013/09/03 02:21
【「苦渋の決断として、受け入れることにした」。宮内庁の風岡典之長官は2日、庁内で記者団の取材に応じ、高円宮妃久子さまのIOC総会ご出席についてこう説明した。突然の方針転換にはためらいも残っている様子で、「天皇、皇后両陛下もご案じになっているのではないかと拝察している」とも述べた。
 五輪招致は他国と競い合うなど政治的な側面もあることから、宮内庁は皇族が関わられることに慎重な姿勢をとってきた】

▶宮内庁長官の苦渋発言、菅長官「両陛下の思い推測に違和感」
産経新聞 9月3日(火)13時1分配信
【菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、2020年夏季五輪の開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会への高円宮妃久子さまのご出席を宮内庁の風岡典之長官が「天皇、皇后両陛下もご案じになっているのではないか」と述べたことについて、「両陛下の思いを推測して言及したことについては非常に違和感を覚える」と述べた。
 菅氏は「皇室の政治利用、官邸からの圧力であるという批判は当たらない」との認識も示した】