原発通信537号                                  2013/09/13

「トリチウム汚染水は海へ放出する。安全かどうかではなくそれ以外にない」



(原子炉建屋をつなぐトレント模型図。NHK「クローズアップ現代」2013年9月11日放送より)

 スリーマイル原発事故後4年にわたって廃炉作業に携わってきたアメリカ原子力規制委員会の元職員、レイク・バレット氏、東電のSOSによってアドバイザーに就任だそうです。

 バレット氏はスリーマイルは汚染水が原子炉建屋の中にとどまっていたが、福島では地下水が建屋に入り込み汚染され、「マーライオンのように」(更田委員)ダダ漏れしているから、複雑で難しいと述べています。

 上のイラストの左(NHKクローズアップ現代『最新報告 “汚染水クライシス”』より)は各原子炉建屋をつないでいるトレンチの模型図。バツ印のところから漏れ出ているのではと言われています。そこからまさに“マーライオン”のように漏れ出ているということなのでしょう(右イラスト)。漏出量は1日に300トン以上。
 回収できている汚染水に関しても、「非常に膨大な量なのでため続けることはできず、おそらく海に流すことになると思うが、その際は、技術的な課題よりも社会の合意を得るためのコミュニケーションが重要な課題になる」とバレット氏は言っているそうです。
「リスク・コミュニケーション」という言葉が、原発問題で使われるとき、たいていは「いかに言いくるめるか」という意で使われます。どうやったって、放射能の危険はなくなるものではないから、「まあ、このへんで」という落としどころを、あらゆる手段、強権をもってでも決めるということです。
 どういうものか興味のある方は下記をご覧ください。3.11の半年前に日本原子力開発機構の研究者が行った「原子力分野のリスクコミュニケーションと事例」というプレゼンテーションです。「洗脳」の方法が書かれています。要は、「原子力のほかにもリスク、怖いものはありますよ。なんで原子力だけをそんなに怖がるんですか。ほれ、見てごらんなさい、大丈夫でしょう」という内容です。

15日(日)大飯原発4号機 点検で運転停止
1年2か月ぶりに稼働ゼロに!

民主党、安倍の「コントロール下」発言を追及だって?

 自分たちの責任も問われるため、なかなか言い出せなかった民主党。安倍のIOCでの発言を「追及」のネタにするそうです。でも、幹事長の大畠は日立労組出身で原子力村のお仲間です。

 記事によると民主党議員のなかから「リスクはあるのでは」との指摘があったということですが、「あるのでは」ではありません。田中規制委員長だって「原子炉冷却」が最重要で、目の前のリスクだと言っているのです。何をとぼけたことを言っているのだと言いたい。

大阪市公募区長、今度はセクハラ。橋下市長、「コントロール不能!」

 わずか3か月で辞めちゃった校長に続き、またも橋下市政改革のボロが出ました。

 公募で採用された区長が、女性職員を伴って庁舎を出るとき「昼下がりの情事!」などと叫んでいた(記事にそうあります)とのこと。何を考えている区長なのでしょう。その前は暴言区長、経歴詐称区長、また別の市立小の校長はセクハラ疑惑。
 橋下の肝いりで始まった「民間人登用」、ふたを開けたら、仕事より別のほうに一生懸命? もちろん教育畑一筋がましかと言ったらそれはそれでいろいろ発覚しているのが現実。勘違い男のトンデモ “行政”です。


▶汚染水「制御出来ていない」 東電幹部、首相発言と相違
朝日新聞デジタル 9月13日(金)13時3分配信
【東電の山下和彦フェローは13日、「今の状態はコントロール出来ていないと我々は考えている」と】述べたそうです。
 民主党の汚染水問題対策本部が福島県郡山市で開いた会議にて。また、この会議に同席した資源エネルギー庁の中西宏典大臣官房審議官は【「今後はしっかりとしたコントロールできるようにやります」と述べた】そうです。

▶東電幹部「汚染水の制御できていない」
NHKTV9月13日 15時24分
【民主党の議員が、「安倍総理大臣は、IOC=国際オリンピック委員会の総会で、『状況はコントロールされており、全く問題はない』と述べたが、発言のとおり、状況はコントロールできていると思うか」と質問したのに対し、山下氏は、「今の状態はコントロールできていないと考えている」と】
 こうした発言は、普通なら記事にならないでしょう。汚染水が制御できていないのは、安倍首相以外の誰もが認める、当たり前の事実なのですから。それが記事になってしまうのは、安倍が「コントロールされている」と世界にウソついたからですね。

▶福島第一 外洋近く 溝に汚染水
東京新聞2013年9月13日 朝刊

【東電は十二日、外洋に近い排水溝で採取した水から、高い濃度の放射性ストロンチウムなどを検出したと発表した。排水溝の先は外洋で、漏れた処理水の一部が再び流れ込んだのは確実とみられる】
【ストロンチウムなどを検出したのは、外洋から約百五十メートルの位置にある排水溝内。その先は急坂で、外洋にまっすぐ延びている】

▶排水溝除染の水が海へ流出か
NHKTV9月13日 5時10分

【上流では先月のタンクからの汚染水漏れを受けて排水溝の除染が行われており、東京電力は除染後の放射性物質を含む水が流れ下り一部が海に流出したおそれがあるとしています】
【このうち海まで30メートルの場所で、11日に採取した水から、セシウム137が国の海への排出基準に近い1リットル当たり80ベクレル検出されたほか、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す放射性物質が1リットル当たり220ベクレル検出されるなど、濃度が上昇していました】
【汚染水が海に流出しないよう除染後の水を回収する対策をしていたということですが】

▶福島第1原発:タンク付近地下水でさらに高濃度トリチウム
毎日新聞 2013年09月13日 07時45分
【東電は12日、タンク付近の観測用井戸で採取した水から、これまでで最高の1リットル当たり9万7000ベクレルのトリチウム(三重水素)を検出したと発表】
【国が定める原発での放射性物質の放出上限(告示濃度限度)の同6万ベクレルを上回った】

▶汚染水漏れ タンク解体し調査
NHKTV9月12日 21時17分
【今も原因が特定できていないことから、東京電力はタンクを解体して、部材や基礎の部分を詳しく調べることになりました】
【原子力規制委員会は、解体に合わせて、タンクの下にあるコンクリートの基礎や土を調べ、漏えい場所や漏れた汚染水がどのように流出したか調査するよう求めました】


「リスク・コミュニケーション」──安全かどうかではなく、人をどう洗脳するかが重要だ
▶米専門家「スリーマイルより状況複雑」
NHKTV9月12日 19時57分

【およそ4年間にわたって現場で廃炉作業を指揮した、アメリカ原子力規制委員会の元職員、レイク・バレット氏】
【東京電力が新たに立ち上げた対策本部のアドバイザーとして招かれました】
【「スリーマイルでは汚染水が原子炉建屋の中にとどまっていたが、福島では地下水が関係しているので状況はより複雑で難しい」
「汚染水を完全に管理するためには複雑なプロセスが必要だ。特に地下水など低レベルの汚染水は動きが複雑になるのでその管理は大きな課題だ」
「まずは国内外の基準以下になるまで放射性物質を取り除いていかなければならないが、次の段階はどう処分するかが課題となる。非常に膨大な量なのでため続けることはできず、おそらく海に流すことになると思うがその際は、技術的な課題よりも社会の合意を得るためのコミュニケーションが重要な課題になる」】

▶汚染水「世界にどう伝えるか取り組みを」
NHKTV9月13日 12時39分
【会議の冒頭でバレット氏は「大量の汚染水があるにも関わらず最大限の努力によってきちんと封じ込められていると考えている。非常に複雑な地下水の流れがあるなか、困難な問題ではあるが技術的な対策とともに世界全体にどう伝えていくのかということにぜひ取り組んで頂きたい」】

▶民主党:「汚染水コントロール」首相発言を追及へ
毎日新聞 2013年09月13日 07時05分
【大畠章宏幹事長は12日、「『コントロール下にある』という根拠を示してもらわなければならない。政府は国民にも福島県民にも説明する責任がある」】
【首相の発言に対して「首相は『(汚染水による影響は)完全にブロックされている』と言ったが、リスクはあるのでは」との指摘が出た。一方、大畠氏は凍土遮水壁について「政府がやるということを決断したわけだから、ぜひ実施して一つの成果をあげていただきたい」と】
 ◇汚染広範囲なら…遮水壁「凍土式不可」馬淵氏指摘
【2011年の首相補佐官当時、陸側遮水壁の配置計画をまとめた馬淵澄夫氏が8月30日の対策本部会合で「汚染が広範囲なら適用できない」と疑問点を指摘】
【遮水壁は11年6月17日の事故収束に向けた工程表に「中期的な検討課題」として盛り込まれた。馬淵氏によると、その時点で図面も含めた粘土遮水壁の配置計画を東電側と調整の上作成していた。凍土式を含めた4種類の工法を検討した上で、凍土式は除外し、粘土式を選定】
【馬淵氏は凍土式について「最大の課題は、汚染範囲が広がった場合には適用できないということだったはずだ」と指摘】


▶規制委:防潮堤新設、東電に要求…津波で汚染水漏れ防止
毎日新聞 2013年09月12日 21時41分(最終更新 09月12日 22時43分)
【東日本大震災のようなプレート(岩板)境界で起こる地震の余震として発生することが多い「アウターライズ地震」は、規模の割に大きな津波が発生しやすい】
【旧経済産業省原子力安全・保安院は、福島第1原発に海抜15メートル級の津波が襲う可能性を指摘している】
【規制委は、大津波によって海抜10メートルにある1~4号機の原子炉建屋などが被害を受けた場合を想定し、海側に同15メートルの津波に対応できる防潮堤の新設が必要とした。また、今後起こる可能性がある汚染水トラブルについて、今回漏れがあったタンクと同型や別タイプのタンクからの漏れ▽汚染水の移送配管の劣化による破損▽浄化装置「アルプス」の稼働によって生じる処理水の貯蔵量の増加──などを挙げ、計14項目の対策を東電に求めた】

▶規制委:泊3号機でモニタリング装置増設を要求
毎日新聞 2013年09月12日 20時41分
【原子炉建屋の海側に、空気中の放射線量を測定するモニタリングポストなどの装置がなく、風向きによっては正確に測れない恐れがあるため。北電はモニタリングポスト増設などの対応を迫られ、審査が遅れる可能性もある。また、他原発についても同様に海側に未設置のケースがあり、審査に影響を与えそうだ】
 9.11の会見で田中委員長も言っていますが、要はお金なのです。3.11前には班目原子力安全委員会委員長が言っていました。
 要は「このへんでようござんすか」「いいんじゃないの」と、カネのかからないようにかからないようにとやってきた習性が今も続いているのです。
 まじめにやったら原発ほど割の合わないものはありませんから。


放射線被曝量って、絵画鑑賞と同じ感じ方でいいの?
▶発信箱:放射線を見る「目」=青野由利
毎日新聞 2013年09月13日 東京朝刊
【福島県の一部で配られている新型線量計は1時間ごとの被ばく線量を知ることができる。いつ、どこに行った時に、被ばく量が増えたかわかり、行動に気をつけることもできる。国はさらに貸し出しを増やす予定らしい】
【除染がうまくいかないから住民の自己責任で帰宅させるつもり?と疑心暗鬼になる人もいるだろう。でも、どんな判断をするにも、被ばく量は自分で知った方がいい。むしろ、線量計は最初からみんなに配るべきだった。配るだけでなく、その特徴をよく説明する】
【もちろん、同じ絵を見ても感じ方が違うように、同じ線量をどう感じるかは人それぞれ。その気持ちも尊重したい】
 同じ線量をどう感じるかは人それぞれ──でいいのでしょうか。放射能、放射線被ばくとは所詮そんなものだということなのでしょうか。納得できません。

▶菅元首相:反原発活動で訪台
毎日新聞 2013年09月13日 東京朝刊
【反原発団体の招きで15日までの滞在中、台北近郊で稼働中の台湾電力第1原発を視察し、台北で第4原発建設反対などを訴える反原発集会で演説する予定】
【12日に台北市内で記者会見した菅氏は、福島第1原発事故などを例に「世界中に完全に安全な原発はない」と警鐘を鳴らした】
【さらに台湾で原発事故が発生した場合を想定し、「原発から半径250キロ(の住民が避難対象)だと、台湾の人口の3分の2が逃げなければならなくなる。そのリスクを考えると原発を維持し続ける選択肢はないと思う」と】
 首相だった時の責任と、その後「心を入れ替えた今」をどう総括するか──問題は山積です。

▶福島 試験的な漁を26日に再開へ
NHKTV9月12日 19時23分
【福島県の相馬双葉漁協は、これまでの海水や魚の調査結果に問題はないとして、今月26日から再開する方向で準備を進めることを決めました】
【また、福島県のいわき市漁協も同じ日から試験的な漁の開始を目指すとしています】
【相馬双葉漁協では、中断していた試験的な漁を今月26日から特定の種類の魚に限って再開させる方向で準備を進めることを決めたということです】


▶茨城で震度4の地震
NHKTV9月13日 5時10分

 2011年3.11の三陸沖での巨大地震以来、だんだんと震源域が南に下がってきています。福島沖、茨城沖、千葉沖…。そして首都直下か…。それまでに福島第一原発4号機プールにある核燃料を下に降ろして、安全確保しなければなりません。

▶千葉県で震度2
NHKTV09月13日 08時40分

▶余震活動活発 引き続き注意を
NHKTV09月11日 06時45分
【政府の地震調査委員会は「引き続き余震活動は活発な状態で、強い揺れや津波が発生するおそれがあるので注意してほしい」と】


▶首相私的懇談会:初の安保戦略策定へ始動
毎日新聞 2013年09月12日 23時16分(最終更新 09月13日 00時18分)
【政府は懇談会の議論を踏まえ、年内に戦略とその下位文書に当たる新しい防衛計画の大綱(防衛大綱)を策定。戦略は早期発足を目指す国家安全保障会議(日本版NSC)の活動方針としても位置づける】
【首相は冒頭のあいさつで「安倍内閣では国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定、繁栄の確保にこれまで以上に積極的に関与していく」と強調した。政府が国家安全保障戦略を策定するのは初めて】
【安防懇の座長は、集団的自衛権の行使容認を提言する予定の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の北岡伸一座長代理が兼務し、安防懇と安保法制懇の議論を連動させて進める方針。北岡氏は初会合後、記者団に、首相が強調した「積極的平和主義」を進めるに当たって「集団的自衛権について厳格な限定でやっていくのは難しい」と指摘】

誰の、何のための五輪?
▶聖火再び:2020年東京五輪決定/4止 理念と現実、溝深く
毎日新聞 2013年09月13日 東京朝刊
◇「8キロ圏内」に縛られ…消える「憩いの場」
東京都立大井ふ頭中央海浜公園野球場(品川区)
【あと数年で野球場はすべて取り壊される。都が五輪までに25億円をかけてホッケー場を新設するためだ。五輪の開催計画書に取り壊しは明記されておらず、連盟の曽我部勝夫理事長(88)は「聞いていない。五輪開催はいいが、正直言って困る」】

【「競技会場の8割以上が選手村から8キロ圏内」というコンパクトさが特徴の東京五輪。だが都心に公有の遊休地は少なく、会場確保のため既存のスポーツ施設や公園が取り壊しを余儀なくされる。野球場12面と陸上競技場をつぶし馬術場を整備する夢の島競技場(江東区)、日本野鳥の会が環境保護を訴えカヌー会場の変更を求めている葛西臨海公園(江戸川区)などもそうだ】
【64年東京五輪のホッケー場は、駒沢オリンピック公園(世田谷区)内に造られた。今も多目的の球技場として残り、芝を植えれば五輪でも使える。だが招致委員会は「8キロ圏内の外で、交通アクセスも悪い」として、大井への新設を決めた。新日本スポーツ連盟の和食(わじき)昭夫理事長は「都民からスポーツや自然に親しめる場を奪うのは本末転倒。『コンパクト五輪』に縛られすぎだ」と批判】
【猪瀬直樹都知事も7日、国際オリンピック委員会総会でこう宣言した。「誰もがスポーツに親しみ、子どもたちに夢を与える社会を創っていく」】
【誰の、何のための五輪か。都と招致委の姿勢が問われている】

もはや制御不能
▶大阪市:公募区長、セクハラの疑い…処分を検討
毎日新聞 2013年08月31日 15時00分(最終更新 08月31日 17時30分)

▶大阪・公募区長:職場内で「昼下がりの情事に」と大声で
毎日新聞 2013年09月13日 12時02分(最終更新 09月13日 12時46分)
【大阪市の公募で昨年8月に就任した民間出身の森伸人・東成区長(54)
 昨年10~11月ごろ、区役所の女性職員に対し、「東京に連れて帰ろうかな」などと日常的に発言。12月には、職員と外出する際、「今から昼下がりの情事に」と発言し、区長の自宅マンションが見えた際には「あれが僕のマンション。○○(職員名)が来るなら片付けておいたのに」などと発言】