原発通信539号                                  2013/09/19

福島第一原発廃炉計画、再臨界起きることを前提に

 原子力規制委は、再臨界という「最悪の事態」が起きる条件を解明し、廃炉計画を立てるといいます。
 当然です。これまでは何もかも起こらないという前提でしたが、中がどうなっているかわからない今となっては、あらゆることを想定してかからなければなりません。
 しかし、「実験は、既存の試験・研究炉を備える外部機関への委託を想定」とのこと。原子力村にこれまた預けることになるわけですが、その信頼性、信用性ははたして担保できるのでしょうか。

◆秘密保護法案

 ここへきて、ようやく関心が高まってきたようです。本通信でも取り上げていますが、原発関連などまさに「秘密・機密」のオンパレード。いくらでもその秘密保護の対象にされてしまいます。毎日新聞によると女優の藤原紀香さんも自身のブログで批判しているとのことです。これまで自民党政府のマスコット的に広告などに使われていましたが、こうした政治的発言をするのは初めてか。


▶原子力規制委:溶融燃料の臨界実験へ 再臨界のリスク把握
毎日新聞 2013年09月15日 20時01分(最終更新 09月16日 00時06分)
【原子力規制委員会は、東京電力福島第1原発事故で溶けた核燃料の取り出しに向け、溶けた核燃料を模した試料を使った臨界実験に乗り出す。燃料が再び核分裂を起こす再臨界のリスクを把握し、東電の管理計画の適否を判断するのに役立てるのが狙い。事故が起きないことを前提とせず、再臨界という「最悪の事態」が起きる条件を実験によって解明し、備えることにした】
【1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)を起こして溶け落ちた核燃料は、コンクリートや他の金属が混じって固まっているとみられる。だが、正確な位置や形状は分かっておらず、条件によっては再臨界の恐れもある】
【そこで規制委は、溶融燃料が再臨界を起こす条件を把握するには、溶けた核燃料を模した試料を使った実験が必要と判断した。溶融燃料の体積や燃焼度、鉄やコンクリートの混合度などのデータから、今後数年かけて再臨界が起きる条件を解明する。実験は、既存の試験・研究炉を備える外部機関への委託を想定している】

■よく警報が鳴ります。本当に何でもないのでしょうか…。
▶大飯原発:3号機警報トラブル、炉心問題なし /福井
毎日新聞 2013年09月14日 地方版
【警報は、原子炉から出る中性子の検出値が一定の範囲を超えると、原子炉の出力が不均一になったとして作動する。今回は検出器の示す値が高めだったため、この範囲を超えやすくなっていたという】

▶<大飯原発>定期検査で4号機停止操作
毎日新聞 9月15日(日)21時30分配信
【おおい町の時岡忍町長は定期検査入りを前に報道陣の取材に応じ、「少しでも早く国の安全審査を完了してもらいたい」と期待した上で、「住民が原発に対する安全安心を理解するためには、ゼロではないリスクに対して国が責任を持つという姿勢を示すことが必要だ」と話した】
 事故が起きればそこに住めなくなるわけですが、そのことに対して国が責任を持つとはどういうことを想定しているのでしょうか。どうせ、カネをよこせと言うくらいでしょう。原発事故の問題は、リスクがおおい町だけには留まらないということです。

▶大江さん「首相のうそ」批判 原発再稼働反対、9000人集会
東京新聞2013年9月15日 朝刊
【大江さんは、安倍晋三首相が東京五輪の招致演説で福島第一原発の汚染水の問題を「コントロールされている」と述べ、その後、東電側が「コントロールされていない」と言ったことに触れた。「首相のうそが日本の評価にどう跳ね返るか、それを引き受けていくのも次の世代に生きる人間。それを考え続けないといけない」と述べた】

▶中部電力:浜岡再稼働を急ぐ 地元理解へ見学会開催
毎日新聞 2013年09月16日 01時58分

▶毎日世論調査:首相の汚染水ブロック「そう思わぬ」66%
毎日新聞 2013年09月15日 23時25分(最終更新 09月16日 01時37分)

▶原発再稼働:東京で8000人が反対集会 「ゼロ」前に
毎日新聞 2013年09月14日 23時20分(最終更新 09月14日 23時31分)
【関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)が定期検査入りし、国内で稼働中の原発がなくなるのを前に、原発に反対する市民ら約8000人が14日、東京都江東区周辺で集会やデモ行進をし「再稼働反対」などと訴えた】

▶東日本大震災:福島第1原発事故 原子力規制庁が県質問状に回答──県技術委/新潟
毎日新聞 2013年09月15日 地方版
【同庁技術基盤課の田口達也課長補佐や柏崎刈羽原子力規制事務所の内藤浩行所長らが出席。過酷事故時に法律で規定する被ばく限度を超えた作業に関する県の質問に「あくまで基準線量を守って現場対応できるよう収束の方法をあらかじめ準備しておくのが(事業者への)要求事項だ」と回答】

 当たり前すぎて…。

▶企業・自治体 値上げ敬遠 関電離れ1500件超
東京新聞2013年9月15日 朝刊
【関西電力が企業向け電気料金の値上げをした四月以降、関電との契約を打ち切った企業や自治体が九月一日までに千五百二十三件に達したことが十四日分かった。このペースが続くと、二〇一〇年度の千六百二十三件を半年で上回り、過去最多となりそうだ。
 自ら発電して電力を供給する特定規模電気事業者(新電力)への契約切り替えが進んでいるとみられ、「関電離れ」が進行している】


▶「前回の東京オリンピックをお祭りとして記憶することは不正確な歴史の神話化だ」=京都大教授・中西寛
毎日新聞 2013年09月15日 東京朝刊
 ◇次世代の松明となれ──中西寛(ひろし)
【今回の誘致活動に見られたように、一つの目標に向かって「一丸となった」時の日本人は驚くほど強い力を発揮する】
【だが東京電力福島第1原発の汚染水問題が陥っている状況は、一丸となれない時には信じられないような非効率や無責任さが許されてしまうことを示す。汚染水問題がオリンピック誘致を左右しかねない国際問題となると、政府はたちどころに予備費投入や閣僚会議設置を決めた。こうした対応のすべてが誘致と結びついていたわけではないだろうが、それまでと比べてあまりにも迅速かつ大きな政府の関与は、やはりオリンピックの影響抜きに考えにくい。汚染水への対応が進んだことは望ましいものであるにせよ、日本人は「一丸となる」ために何でも許してしまうところがあり、それが悪影響をもたらす可能性はある。安倍晋三首相の「汚染水はコントロール下にある」という表現はIOC委員を納得させたかもしれないが、現場の状況からすれば疑問だろう。首相の言葉が事態収束に対するより一層の努力につながれば良いが、悪いニュースを隠したり、無理な作業日程を押しつけたりすることになる懸念も拭えない】
【だが冷静に考えれば、オリンピックとパラリンピックは世界最大のスポーツイベントであるとはいえ、4週間ほどの出来事に過ぎない。高度成長期ならともかく、世界第3位の経済規模を持つ現在の日本を左右するほど大規模な経済効果を持つとは常識的に思えない。
 逆に、それほど巨大なインパクトをもつ投資をすれば、オリンピック後の反動からの回復が困難になるであろう。東京での準備はよく考えて、後々につながる形にしなければならない】
【従って、1964年の東京オリンピックの高揚感の再来を求めることは、程々にしておいた方が良い。確かに64年は日本初のオリンピックと東海道新幹線の開通が重なった記念すべき年であった。しかし忘れてはならないのは、そこに至る過程には、敗戦を経て新しい国造りをしたいという当時の人々の努力の積み重ねがあったことだ。戦争のために辞退した40年のオリンピックへの思いがあり、新幹線の開通には、戦争に動員された鉄道技術者たちの熱意があった。そうした経験と冷静な計算なしに前回の東京オリンピックをお祭りとして記憶することは不正確な歴史の神話化だ】


▶秘密保護法案:「国民的議論足りぬ」 藤原紀香さんも批判
毎日新聞 2013年09月15日 10時50分
【パブリックコメントの実施は3日、法案を検討する自民党のプロジェクトチームで決め、即日始まった。期間は15日間で、来月15日召集の臨時国会前の法案提出に間に合わせるためとの見方もある】
【日本弁護士連合会(日弁連)は12日、2カ月間に延長するよう求める意見書を提出。江藤洋一弁護士は「内閣情報調査室の担当者は『期間は他の事例を参考にした』と言うが、何年もかけて広く国民的な議論をすべき問題だ」と話す】
【タレントの藤原紀香さん(42)も13日夜、ブログで応募したことを明らかにし「大切な事柄なのにたった2週間」と批判。「国家機密にあたる範囲が曖昧なのが問題。国民は知る権利があると思います。国民の一人として意見しなければならない。賛成の人、反対の人、それぞれ意見は政府に書きましょう」とつづった】
【意見は内閣官房のホームページに書き込むか、メール(tokuteihimitu@cas.go.jp)で応募で】

▶ブログで話題の藤原紀香 「狙いは政界転身?」の声も
日刊ゲンダイ2013年09月18日 16:09 更新