原発通信543号                                  2013/09/24

「核分裂のエネルギーで発電する原発は、費用が高いし、壊滅的な事故のリスクを負っている」「100年後には原発が無くなってほしいという思いは共有したい」──ヤツコ氏発言

[グレゴリー・ヤツコ前米NRC委員長。「米国でもここ数年で数か所の原子力発電所が安全問題のため閉鎖になっている」などと話した。=写真:山田旬=田中龍作ジャーナルより]

  3.11福島第一原発事故当時、NRC委員長を務めていたヤツコ氏の言葉です。ヤツコ氏はNRC委員長を辞めた後、福島の現状を視察。放射性物質汚染水に関して、問題は重大だという認識を示しています。氏の経歴で興味深かったのは、コーネル大学で物理と哲学を専攻していること。なるほどと思います。日本の原子力ムラの連中のなかに、はたして「哲学」を学んだ人はいるのでしょうか。

*NHK・ドキュメンタリーWAVE「原発の“安全”を問い直す ~米NRC前委員長 福島への旅~」2012年12月28日放送

対して、どこまでも無知でノー天気な田原総一朗と池田信夫

 秋の夜長を持て余している方は一度聞いてみてください。今月9日にアゴラ運営インターネット放送「言論アリーナ­」で行われた田原総一朗(1936年・昭和11年生まれ。早大一文卒)、池田信夫アゴラ研究所所長(1953年生まれ。東大経卒。自称経済学者、経済評論家)と東京電力の原子力担当常務・姉川尚史(1983年東大工原子力工卒)の“与太話”。
「どうなる福島原発、汚染水問題 東電常務に田原総一朗が迫る」。タイトルはジャーナリスティックですが、中身は何もありません。
 結論から先に言うと、今騒いでいる汚染水と呼んでいるモノ──トリチウムが入っている水など、今までも流していたのだから、薄めて流してしまえと、田原・池田の二人が、「いろいろ問題がある」と躊躇している東電・姉川の尻を叩いているのです。まあ、「原発など危ないものではない」と日頃言っている田原と池田ですから、想像はつくのですが、それにしてもヒドイ!の一言です。
「東電常務に田原総一朗が迫る」などと題がついていますが、何も迫っていません。一人で(ときおりトンチンカンに池田が)何やら吠えているだけです。姉崎常務は、東電の「公式発表」を繰り返しているだけ、何も目新しいものはありません。
*どうなる福島原発、汚染水問題・東電常務に田原総一朗


脱原発に踏み込んだヤツコ前NRC委員長 
田中龍作ジャーナル2013年9月23日 20:17
【原発を売りつけた国の苛酷事故を目のあたりにし、自説を曲げなかったヤツコ氏の話は示唆に富んでいた。
 驚いたのはヤツコ氏が脱原発に大きく踏み込んだ発言をしたことだ―】
【「日本に来る度に人々のスピリットとテクノロジーに驚かされる。次世代のエネルギーや新たな送電システムを作ることができると思う。そうすれば高価な施設を必要とする原子力を使わなくてもよくなるだろう。苛酷事故を起こすような技術(原子力)を使わずに済むようになるだろう」】
【「原子力業界は『全ての原子力発電所は安全だ、事故は起こらない』と言い、事故が起こると改善をしようとする」。「事故が起こると大騒ぎになるが、事故は起こるものだという理解を持って始めなくてはならない。将来のある時点で事故は起こるものだ」】
【「スリーマイル島原発事故では、避難計画が非常に脆弱だという事が分かった。(にもかかわらず)福島原発は(スリーマイルの)重要な教訓を学ばなかった。避難は非常に混乱を極め、事前に十分な計画がなかった」】 
【「福島原発事故を受けて新しく打ち出すべき安全基準とは、避難者が一人でも出てはならない、ということだ。発電所設備の外を汚染してはならない」】

【「東京電力には対応する能力がないのではないかという懸念をますます高めたのではないか。なぜ政府がもっと早くから関与しなかったのか?再稼動の方にばかり関心を払いすぎていた」】

汚染水問題で政府の対応を批判
NHKTV(9月23日 20:20更新)
【おととし、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きたとき、NRC=アメリカ原子力規制委員会の委員長を務めていたグレゴリー・ヤツコ氏が23日、東京都内で講演し、福島第一原発の汚染水の問題について「なぜもっと早く政府が関与しなかったのか不思議でならない」と述べ、日本政府のこれまでの対応を批判】
【「課題は今も続いていて、あしたとか来月などという期間では無くならない。何年、何十年、あるいは、福島第一原発が完全に廃炉になるまで続く。漁業者だけでなく、住民や経済に与えている影響は大変、甚大で、日本の原子力への国際的な信頼が揺らいでいる」】
【「核分裂のエネルギーで発電する原発は、費用が高いし、壊滅的な事故のリスクを負っているので、100年後には原発が無くなってほしいという思いは共有したい。しかし、そこにどうやって到達するかが難しい。日本は島国でエネルギー源が少ないが、人的資源と技術や知識などを活用して、よりよい発電方法を開発し、世界をリードしてほしい」】


核のごみ満杯へ 打つ手なし 再処理技術や処分場も未定
東京新聞2013年9月24日 朝刊

【電気事業連合会などによると、国内にある使用済み燃料は二〇一二年九月末時点で、少なくとも一万七千トン以上。電力会社は各原発の原子炉建屋内にある燃料プールでほとんどを貯蔵しているが、東京電力の福島第一、第二、柏崎刈羽、九州電力玄海、日本原子力発電東海第二でいずれも占有率が80%以上を占め、限界に近づいている】
【青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)にも容量三千トンの一時保管スペースがあるが、再処理事業の遅れで各原発から持ち込まれる使用済み燃料がたまる一方。今年九月の時点で貯蔵量は二千九百四十五トンに達し、占有率は98%に達した】

安倍首相:汚染水対策へ国費の追加も…テレビ番組で示唆
毎日新聞 2013年09月22日 21時32分(最終更新 09月22日 23時14分)
【安倍晋三首相は22日、テレビ朝日の番組で、東京電力福島第1原発の汚染水事故の問題解決について「世界に約束した以上、財政的にバックアップするのは国の責任だ」と述べ、積極的に国費を投入する方針を示した】

柏崎刈羽原発:再会談を東電要請 知事、慎重な構え 「何も変わってない」/新潟
毎日新聞 2013年09月21日 地方版
【広瀬社長と泉田裕彦知事との再会談を要請した。これに対し、県幹部は「何のための来県なのか」と戸惑いを隠せず、文書を受け取った泉田知事も「今まで(東電が)言ってきたことと何にも変わっていない」と、再会談へ慎重な構えを崩さなかった】
【県によると、山田防災局長が増田常務の来県の連絡を受けたのは同日午後3時半ごろ。「そもそも『文書を渡したい』と連絡を受けただけ。何のためなのか」と】

新潟知事、東電を評価 柏崎刈羽、了解得て申請
東京新聞2013年9月22日 00時30分 共同
【東京電力は21日、柏崎刈羽原発(新潟県)の安全審査の申請について「新潟県の理解を得る前に申請する考えはない」とする方針を発表した。これに対し、泉田裕彦新潟県知事は「立地地域と十分なコミュニケーションをとるという明確な立場の表明だ」として、評価するコメントを公表】

川内原発:原子力規制委、現地調査 「再稼働ありきに反対」4団体が抗議行動 /鹿児島
毎日新聞 2013年09月21日 地方版

請求権があるのにしていない人は100万人近く
原発賠償の時効を延長 自民、10年軸に法案
朝日新聞デジタル2013年9月21日(土)05:45
【東京電力が時効を理由に福島第一原発事故の損害賠償請求に応じないことを防ぐため、自民党は時効を延長する法案を作り、今秋の臨時国会に提出する方向で調整に入った。被害者救済につながる一方、東電の賠償額がどこまで膨らむのか一層不透明になり、国による支援体制の見直しを迫られる可能性がある】
【自民党の原発事故被害者の生活支援及び産業再生に関する委員会(委員長・額賀福志郎元財務相)がまとめた法案の要綱案は「多数の被害者が今なお不自由な避難生活を余儀なくされ、賠償請求権の行使に困難を伴う場合がある」とし、原発事故に関する損害賠償請求について時効を10年に延長するとしている】


「日本には、オリンピックを招致するよりも他にやることがあるだろ、いま」
久米宏 ラジオなんですけど9/7・14(一部文字起こし) みんな楽しくHappy♡がいい♪
今ちょっと話題になっている「久米宏 ラジオなんですけど」。9月14日と7日の放送
久米宏:ただ、僕の場合は、あの……………、反対の最後の日本人になっても反対は続けていくつもりなんで、
堀井美香:貫くんですね~。
久米宏:オリンピック招致は反対です。
久米宏:東京にオリンピックを誘致することによってね、あのー、「東北の復興の役に立ちたい」あるいは「東日本大震災の被災者の方に、オリンピックを呼ぶことによって勇気をあげたい」なんて、言い方をしているんですよ。そんなもんで勇気があげられるのか!って、東京にオリンピックを呼ぶことで、被災者の方に。
その言い方がものすごく目立っていて、なんとも気にくわないんですよね。「勇気」ってそんなに簡単に挙げられないんじゃないかって僕は思うし……。
堀井美香:勇気じゃなくてお金をくれっていう事ですよね
久米宏:そっちの方がよっぽど勇気を、あの、力をねあげられるんで、なんでそのオリンピックを呼ぶことによって勇気をあげたいなんてバカな事を、言葉遊びみたいな事をやるんだろうと思って、それが僕は気に入らないんですよ。
だからそれだけはなんて、なんて東京の人は馬鹿な事を、知事をはじめとしてね、前知事も今回の知事も、東京にオリンピックを呼んで被災地に勇気なんかあげられるはずがないじゃないか!と

廃炉推進へ東電分社案 自民復興本部長 首相に提言
東京新聞2013年9月22日 朝刊
【自民党東日本大震災復興加速化本部長を務める大島理森前副総裁は、東京電力福島第一原発の廃炉事業を進める別会社を設立して東電から事実上分社する案を検討するよう安倍晋三首相に提言した】 

「五輪ありきの工程が心配」 福島第一原発の作業員
東京新聞2013年9月22日 朝刊
【工程表は毎月改定され、男性は「現場の状況を考えずに発表された工程表に悩まされた。絶対無理だとみんな悲鳴を上げていた」と振り返る。「政府がやるって発表しちゃったから」と夜中に駆り出されたこともあった】
【今年六月にも、炉内の状況さえ分からないのに、溶けた核燃料の取り出しを前倒しする工程表が発表された。「無理な工程でも、発表されれば、それに沿って現場は動かされる」と男性はため息をつく】


特定秘密保護法案:秘密文書残らぬ恐れ
毎日新聞2013年9月23日(月)7時30分配信
【同法案を所管する内閣官房は、保存期間満了後の文書の取扱規定を盛り込まない方針で、「秘密にしたまま」担当省庁の判断で廃棄される可能性がある。識者からは「国の秘密になるほど重要な情報は歴史に残し、後世の検証の対象にするのは当然」と批判】
【通常の公文書は「公文書管理法」で保管のルールが定められている。文書の廃棄は「首相の同意が必要」と規定され、省庁は勝手に廃棄できない。内閣官房内閣情報調査室の能化(のうけ)正樹次長は、特定秘密の文書保存・廃棄について「情報が秘密指定中は公文書管理(のルール)に移行することはない」と説明。特定秘密情報が公文書管理法の適用を受けず、省庁の判断で廃棄できる可能性を示唆】
 こんな政府・官僚にとって都合のいいものはありません。都合が悪くなったら処分・廃棄しておしまい。逮捕された方は、その疑いを覆すものさえなくなってしまうというものです。

安倍首相:女性の人権重視、表明へ 国連演説
毎日新聞 2013年09月21日 21時06分(最終更新 09月22日 00時01分)

水爆落下 大惨事寸前 61年、米南部飛行中のB52から
東京新聞2013年9月22日 朝刊
【この水爆は広島型原爆の二百六十倍の威力があり、爆発していれば首都ワシントンやフィラデルフィア、ニューヨークなど広範囲に死の灰が降り、数百万人の命が危険にさらされる大惨事になっていた可能性があるという】
【公文書は事故の八年後に核兵器の安全管理に関する技術者が作成した。それによると、六一年一月二十三日、ノースカロライナ州ゴールズボロの空軍基地を飛び立ったB52が空中できりもみ状態となって墜落し、二個の水爆が空中で外れて牧草地などに落下した。
 うち一個は落下の衝撃で起爆装置が作動。四つある安全装置は三つまでが機能しなかったが、最後の「低電圧の単純な」スイッチが残り、かろうじて爆発を免れた。そのスイッチも「電気ショックで簡単にショートしやすく、そうなれば核爆発に至るところだった」として、安全装置の問題点を指摘した】
【事故が起きたのは、ケネディ大統領の就任三日後】


事故続くJR北海道 これも「日本人の劣化」か
 レールは鉄路と車輪幅があっているから脱線しない。合わなかったら脱線。そんな基本のキもどうでもよくなっている企業体質です。しかし、これ、高くつくでしょうね。
自分たちが何で飯を食っているかということが理解できなくなっている。とりわけ管理職、自分のやっていることの意味、鉄道会社ということすら視野にない。人事なら、人事だけしか目に入っていないということなのでしょう。一事が万事です。
 これまでの歴史──国鉄民営化への道、そしてJR発足と、この問題は多くの根源的な問題を突きつけているでしょう。ある意味、起こるべくして起きたことです。

<JR北>放置理由「聞いてない」 「現場バタバタで」釈明
毎日新聞 9月21日(土)21時49分配信
【19日夜に発生した貨物列車の脱線現場で、レール幅が基準値を超える「整備不良」が約1年間放置されていた】
【笠島雅之・取締役工務部長は緊張した表情で事実を明かした。だが、放置の理由について「現場がバタバタしていてまだ聞いていない」】
【昨年6月の定期検査では幅が整備基準値(19ミリ)にギリギリ収まる18ミリだったが、同10月に20ミリに拡大。内規では15日以内に補修作業をする必要があったが放置され、今年6月には25ミリに拡大していた】
【笠島部長は原因を「現場の怠慢か、予算不足か」と問われ「まさしくその辺を私が知りたい。これから聞き取りをしてハッキリさせたい」と】
 原子力ムラの連中よりは正直です。「まさしくその辺を私が知りたい」とすっきり言われてしまうと、何と返していいか…。まあ、鉄路を安全にという意識より、大会社、大組織を動かしているということだけに思いが行って、自分たちの仕事の基本、安全輸送などどうでもよくなっていたのでしょう。

Listening:JR北、レール異常放置97カ所 過半数が旅客線
毎日新聞2013年09月23日
毎日新聞 2013年09月22日 21時56分(最終更新 09月23日 01時10分)

異常が放置されていた本線区間
【JR函館線で起きた貨物列車の脱線事故に関連しJR北海道がレール幅の異常を放置していた問題で、同社は22日、レール幅や高さが社内基準を満たしていないにもかかわらず、補修せずに放置していた場所が新たに88カ所見つかり、97カ所に上ったと発表した。21日に発覚した9カ所は車両通過が少ない駅構内の「副本線」(待避線)だけだったが、今回は特急など旅客列車も通過する「本線」での異常放置も49カ所発覚した。「安全軽視」との批判が一層高まることは必至だ】

JR北海道、今度は列車から煙 根室線、燃料漏れ原因か
朝日新聞デジタル 9月24日(火)15時34分配信
【24日午後2時15分ごろ、北海道白糠町のJR根室線白糠駅で、停車中の釧路発帯広行き普通列車(1両編成)の車両付近から煙が出た。JR北海道などによると、けが人はいなかった。燃料漏れによる車両の不具合とみられ、炎は上がらなかったという】


ヘイトスピーチ:ミュージシャンが「NO」 差別に憤り
毎日新聞 2013年09月22日 09時27分
【在日コリアンらの排斥を掲げ、東京・新大久保や大阪・鶴橋などで続くヘイトスピーチ(憎悪表現)デモ。差別をあおり立てるデモに、さまざまな形で「NO」を突きつけるミュージシャンが出始めている】
【「当たり前のことやけど、そこにいるのは同じ人間。人間同士の付き合いがあれば、レイシズムなんてものはなくなっていくよ」】

過熱する「憎悪」:ベビーカー押してヘイトスピーチ 反対派との衝突激化 差別あおる真意は?
毎日新聞 2013年06月18日 東京朝刊
【拡声機で激しい言葉を浴びせるのは、デモの主催者で「行動する保守」を掲げるグループ「新社会運動」の桜田修成氏。インターネットの告知や口コミで集まった参加者は約200人(警視庁調べ)。20~30代を中心に男性が約8割を占めるが、女性会社員風や年配女性、ベビーカーを押しながらの女性もいる】

<東京大行進>「差別やめ一緒に生きよう」…新宿で訴え
毎日新聞 9月22日(日)20時16分配信
【ヘイトスピーチ(憎悪表現)をはじめ、人種、国籍などあらゆる差別に反対するデモ「差別撤廃 東京大行進」が22日、東京・新宿で開かれた。約2000人が「差別をやめよう 一緒に生きよう」と声を上げ、新宿駅周辺や新大久保など約4キロを練り歩いた】