原発通信545号                                  2013/09/26

「完全にブロックされている」の根拠、早くも崩れる!

 先日フクイチに行き、1日もたたないうちに震度5強の地震が浜通りを襲いました。
 アメリカで「日本は原発を放棄することはあり得ない」「Buy My Abe nomics」だの「右翼の軍国主義者と呼びたいならば、そう呼べ」などと、よほど機嫌がよかったのでしょう、言いたい放題です。
 そうしたら、半日もたたない今日午前10時40分、「完全ブロック」という大見得の根拠になっていた「シルトフェンス」が、またもや破れているのが見つかったと発表されました。何をどう強弁しようとも、「ダメなものはダメ」。どう言いつくろうとも、ほころびは露呈するものです。

「日本は原発を放棄することはあり得ない」「Buy My Abenomics」=日本を買え、だとさ!

 上機嫌で旅経っていった安倍首相です。行く先々で、自信満々、何も問題ないかのようにしゃべりまくっています。
 米ウォール街のニューヨーク証券取引所での講演では、「日本は原発の安全技術で世界に貢献していく。放棄することはあり得ない」「実行なくして成長なし。アクションこそが私の成長戦略だ」「バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買い)」と。
 また、別のところでは、日本の防衛費の伸びが中国の10分の1以下であることを指摘したうえで、「わたしを右翼の軍国主義者と呼びたいならば、どうぞ、そうお呼びください」とまで。



新潟県、安全審査申請容認! 昨日の今日です!
▶<柏崎刈羽原発>安全審査申請を条件付きで容認へ…新潟県
毎日新聞 9月26日(木)17時16分配信
【新潟県は26日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査について、条件付きで申請を容認する方針を決め、東電に文書を渡した】

▶福島第一原発 “シルトフェンス”が破損
NHKTV9月26日 13時15分
【26日午前10時40分すぎ、福島第一原発の5号機6号機の海水を取り込む取水口付近で、港の中に設置し、汚染の広がりを抑える「シルトフェンス」と呼ばれるカーテン状のフェンスが破損しているのが見つかりました】
【破損していた「シルトフェンス」は、1号機から4号機側の汚染された海底の土が巻き上がり5号機6号機側に広がらないために設置されているもの】

【国の原子力規制庁は、現場の検査官に状況を確認させるとともに、5号機6号機の周辺の海で、放射性物質の濃度を測定するよう東京電力に指示】
【今回破損が見つかったシルトフェンスは、ことし4月にも破損】

▶福島第1原発:シルトフェンス破損
毎日新聞 2013年09月26日 東京夕刊
【東電によると、破損したのは5、6号機の取水口付近。シルトフェンスは港湾内に設置した水中カーテンで、厚さ0・5~0・8ミリのポリエステルなどの合成繊維製。東電は「5、6号機周辺の放射性物質濃度は低く、放射性物質が拡散する可能性は低い」としている】
【シルトフェンスは0・3平方キロの内側にあり、「ブロック」の根拠の一つとされている】

▶福島第一原発 地震想定見直しが必要
NHKTV9月26日 4時17分

【今月18日、1号機と2号機に近い高さ、およそ120メートルの排気筒を支える鋼材の骨組みに破断やひびが8か所で見つかりました。
排気筒は、おととしの事故の際、格納容器内の放射性物質を含む気体を放出する「ベント」に使われた設備で、東京電力は巨大地震が破断やひびの原因とみています。
25日の原子力規制委員会の会合では、「東京電力が震災前に想定した、最大規模の地震が起きても排気筒が倒れるおそれはない」という解析結果が示されました。
これに対し委員から、「福島第一原発では巨大地震で想定以上の揺れが観測され、今後起きる地震の想定を見直す必要がある」という意見が出て、規制委員会は、東京電力に、周辺の活断層の調査などの計画を作るよう指示】

▶海近い排水溝で上昇=放射能濃度、上流地点は減少―東電
時事通信 9月26日(木)12時39分配信

【東電は26日、海岸から近い排水溝から25日採取した水で、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質の濃度が急上昇したと発表】
【上昇したのは海から約150メートルの地点で採取した水で、1リットル当たり160ベクレル。24日に採取した水からは検出されていなかった】
【この地点から上流に約370メートル離れた場所には土のうがあり、その付近で25日に採取された水からは同620ベクレルが検出された。前日の同1100ベクレルから減少】

▶トリチウム17万ベクレル=最高値再検出、漏えいタンク北―福島第1
時事通信 9月26日(木)12時6分配信
【東電は26日、漏れたタンクの北側にある観測用井戸で24日に採取した地下水から、放射性物質のトリチウムが1リットル当たり17万ベクレル検出されたと発表した。漏えいタンク付近で採取した地下水のトリチウム濃度の最高値】【東電は再上昇した原因について「分からない」としている】

▶福島第1原発:汚染水問題 福島沖、試験操業 きょうにも店頭に
毎日新聞 2013年09月26日 東京朝刊
【放射性物質検査で不検出(検出限界値未満)を確認して出荷し、26日にもスーパーなどの店頭で試験販売される】
【この日の水揚げは対象16魚種のうち、タコや毛ガニ、ユメカサゴ、今回追加したキアンコウなど11種、約5・2トン】
 昨夜のNHK ニュースウォッチ9で、大越キャスターは「放射線量に関しての受け止め方は人それぞれでしょうが」と。番組は、おおよそ「市場に出回っているものは安全と思っています」という消費者の声を重点に構成。一人、子どもがいるのでという父親の意見。


▶浜岡原発:再稼働申請、沸騰水型では初 審査難航も
毎日新聞 2013年09月25日 22時44分(最終更新 09月26日 00時50分)

【格納容器の容積が小さいBWRは、圧力が高まり危機的状況になるまでの時間が短いため、フィルター付きベントの設置は猶予されていない。中電は設置工事を6月に始めた。工事が間に合うかが焦点】
【さらに規制委は昨年10月、敷地内に活断層があるかを確認するための現地調査が必要かを判断するため、文献などでデータを拡充するよう中電に求めている。仮に活断層が見つかれば再稼働は困難になる】
 浜岡原発は冷却水に海水を使っています。その取水槽は堤防の下をくぐって外海へつながっているのですが(上図参照)、その取水口が津波によってふさがれてしまうという点については考慮していません。「そんなことは起きない」ことにされているのです。

▶浜岡原発:再稼働申請へ 知事「今は動かせない」 関係自治体も当惑/静岡
毎日新聞 2013年09月26日 地方版
【中部電から関係自治体に申請時期などが伝わっておらず、川勝平太知事をはじめ関係自治体の首長からは「再稼働へ動き出した認識はない」などと当惑する声】
【川勝知事は「中部電の安全に対する強い姿勢を感じるし、(同社は)再稼働は全然急いでいない」との受け止めも示して見せた。牧之原市の西原茂樹市長も「今回の追加対策工事が直接再稼働につながるものではないと認識している」と冷静な姿勢だった】
【しかし、中部電は3~5号機のうち、地盤状況から想定される地震の揺れが大きい5号機は引き続き工事計画を検討するとしながら、審査を申請する4号機は、出力も大きく工事を先行させる意向を明確にしている】
 まさに前のめり。アベノミクスを追い風にとか。

▶もんじゅ:再開なら「6年運転」案を提示 文科省
毎日新聞 2013年09月25日 16時01分
【文部科学省は25日、高速増殖炉もんじゅ(福井県)の今後の研究計画を検討する作業部会で、もんじゅの運転を再開した場合は「おおむね6年間運転する」との計画案をまとめた。さらに、運転後に研究成果を評価した上で「研究継続の可否を判断する」との記載も盛り込み、もんじゅ存続への道を残した】

▶原子力規制委:九電2原発「火山の影響なし」了承
毎日新聞 2013年09月25日 20時35分
【原子力規制委員会は25日、原発の再稼働に向けた安全審査会合を開き、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)と玄海原発3、4号機(佐賀県)について、周辺の火山が噴火した場合でも「原発に影響はない」とした九電の報告を了承】
【九電は原発周辺に堆積(たいせき)している火山灰や火砕流の痕跡の分布などを調べた結果、川内原発の敷地内に火山灰が約15センチ降り積もることはあるものの、両原発の敷地内に火砕流などが到達するなど原発の運転に影響する事態はないとした】
【一方、泊原発については、規制委は「火砕流や火山灰の影響調査が不十分」などとして審査を継続することにした】

▶志賀原発活断層調査結果先送り
NHKTV9月26日 15時43分
【北陸電力は、調査の最終報告書を今月中に原子力規制委員会に提出する方針でした。
しかし北陸電力は詳しい調査を行うため、最終報告書の提出を12月下旬に先送りすることを決め、26日午後、規制委員会に報告】

▶柏崎刈羽原発:フィルター付きベントでも数百ミリ被ばく
毎日新聞 2013年09月25日 19時44分(最終更新 09月26日 01時05分)
【東京電力の広瀬直己社長は25日、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)で設置を計画中の「フィルター付きベント(排気)装置」を使用した場合、原発の敷地境界で住民に数百ミリシーベルトの被ばくが生じ得るとの試算結果を明らかにした】
【健康に影響が生じ得る被ばく量で、今後、同原発と同じくフィルター付きベント装置の設置を計画している全国の沸騰水型原発で住民の避難計画作成の重要性が高まりそうだ】
【知事は会談で「県の試算では『甲状腺等価線量』で260ミリシーベルトだ」と指摘。これに対し広瀬社長は県の結果を認めながらも「敷地境界にじっとしていた場合の数字で例外的」と主張。会談後に「数字はいくつかあるが(甲状腺等価線量でなく全身線量で)数百ミリシーベルト」とした】
【一方、知事は会談で「中越沖地震の際は渋滞で車が進まなかった。じっとしているのは例外ではない。ベントの前に避難できるのか」と懸念を示した】
 泉田知事の指摘は当然です。


▶3・11後のサイエンス:汚染水「浄化完了」の意味=青野由利
毎日新聞 2013年09月26日 東京朝刊
【そんな困難な実情を聞いていただけに、19日に安倍晋三首相が紹介した東電の広瀬直己社長の言葉に驚いた。汚染水対策の期限を求める首相に、「2014年度中に浄化を完了する」と応じたという。あと1年半で「浄化完了」とは、いったいどういう計算に基づいているのだろう】
【東電広報に聞くと、当初は「完了の具体的な姿はこれから」との回答だったが、その後、「試算があった」と訂正された。中身は以下の通りだ】
【まず、汚染水処理能力の増強として、▽トラブルで停止中の多核種除去装置「ALPS(アルプス)」3系統(1系統当たり1日250トンを処理)を9月末から順次稼働▽同様の除去装置3系統を増設し14年9月末から稼働▽政府が資金投入して新設する高性能の除去装置(1日500トンを処理)を同9月末から稼働。汚染水の抑制策として、建屋に流れ込む前の地下水を海に導く「地下水バイパス」と、井戸からの地下水くみ上げにより同10月には流入量を1日当たり400トンから250トンに減らす】
【バイパスをめぐる漁業者との協議まで含め、これらがすべてうまく運べば、タンクにたまっている約30万トンと、14年度末までに発生する汚染水を除去装置にかけ終わるという試算だ】
【ただし、地下水の流入はこの時点でも続いている。汚染水は日々生みだされるが、これをベルトコンベヤー式に浄化し、トリチウム以外のものを除去するシステムが回るようになる、というイメージだ。汚染水処理が終わるわけではなく、トリチウム水はたまり続ける。普通の人が「浄化完了」から受ける明るい印象とは、ずいぶん違う】
【特に、これから地下水やトリチウム水の「海洋放出」が受け入れられるかどうか、という重要な課題に直面する。これを「浄化完了」といった聞こえのいい言葉だけで乗り切れるとは思えない。汚染水対策には外部の専門家からもさまざまな提案が出されている。これらを吟味し、よりよい方策を取り入れるためにも、1年半で何をするつもりか】

▶サイエンスカフェ:「仮設」継続の責任
毎日新聞 2013年09月26日 東京朝刊
【「国が前面に出て対策をするなら、あと1年半早ければ……」。東京電力福島第1原発の地上タンクから汚染水が漏れた問題で、今月初め、タンクメーカーの関係者の男性に話を聞くと、ため息交じりで言った。
 汚染水は事故直後から急速に建屋内などにたまりだした。国家の危機的な状況と聞き、メーカーは鋼板を溶接でつなぎ合わせるよりも素早く造れる、ボルトでつなぐタイプのタンクで貢献をと、協力を申し出たという。
 通常、臨海部などでよく見る石油タンクは溶接式。満タンの石油が1基分全部漏れても周囲に流れ出さないよう、タンクを囲む堰(せき)の高さを50センチ以上にするなど、消防法で厳しく規制されている】
 東電、そして、当時の民主党政権の責任はあります。

▶記者の目:東京五輪招致=竹内良和(社会部)
毎日新聞 2013年09月26日 東京朝刊
【東京招致委員会の竹田恒和理事長は「福島から250キロ離れており、皆さんが想像する危険性は東京にない」と弁明。福島県民から「東京が安全ならいいのか」と反発を買った。東日本大震災からの「復興五輪」を掲げた東京の本心を疑われかねない一幕だった】
【だが、今度は「成長社会」ではなく「成熟社会」で五輪が開かれる。インフラが整う一方、少子高齢化が進み、膨張を続けた東京の人口も、五輪があるころをピークに減少に転じると予測されている】
【だが都心で大型事業が進めば、建築資材や作業員が慢性的に不足する被災地の復興の足を引っ張りかねない。「またも東京の独り勝ちか」。宮城のある経済人は指摘する】


それにしてもなぜ「櫻弐號」
 ロボットの名は「櫻弐號」──サクラニゴウというそうです。しかしなぜ旧字? ゼロ戦(レイセンと当時は呼んでいた)“ブーム”にのってか、はたまた時代が戦前回帰しているといわれる風を受けてか。いやな感じがします。
▶原発用ロボット:千葉工大、三菱重工が新型を開発・生産
毎日新聞 2013年09月25日 19時53分(最終更新 09月25日 20時41分)
【三菱重工業と千葉工業大は25日、原発の事故現場で活動するロボットを共同開発する技術協力協定を結んだと発表した。協力第1弾として公開した新型ロボット「櫻弐號(サクラニゴウ)」は地下水などが流入している建屋内での防水性にも優れ、廃炉作業での活用を目指す】

▶<東北電力>「賞与なし」一転、臨時給与 社外口外禁じる
毎日新聞 9月26日(木)7時10分配信
【同社によると、支給は、今年6月21日と9月20日の2回。住宅などのローンを抱える社員らのためで、支給総額は計約50億円だった】
【9月9日付で社内周知用に幹部に配布した文書によると、9月の支給額は社員の場合は基準労働賃金の半分という。
 同社は、今後の給与や賞与などから支給分をカットするなどして年収総額は変わらないようにするとしている。
 文書では、一般社員には口頭で周知するとし、社外(当社OBも含む)に口外しない▽インターネットへの投稿・書き込みも絶対に行わない▽従業員同士で社外で本措置の会話は慎む▽家族にも、社外で絶対に話題としないよう徹底する──などと書かれている。
 公表しなかったことについて同社は「賞与を支給するという誤解を招く恐れがあった」と】


▶首相 ウォール街で投資呼びかけ
NHKTV9月26日 6時41分
【走行試験が行われている中央リニア新幹線に触れ、「ニューヨークとワシントンDCは1時間以内で結ばれる。まさに『夢の技術だ』」と述べ、聴衆の関心を誘いました。
また、安倍総理大臣は「世界の自動車向けリチウムイオン電池の7割は日本製だ。世界中の白熱電球を日本のLED電球に置き換えれば、原発200基分以上の省エネルギーになる」と】

【一方、安倍総理大臣は東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連して「日本が原発の安全技術を放棄することはない。福島の事故を乗り越えて世界最高水準の安全性で世界に貢献していく責務がある」と】

▶安倍首相、NY証券取引所で演説 「世界経済回復のけん引役に」
FNN フジニュースネットワーク 2013/09/26 06:10

【一方、保守系のシンクタンクの会合での講演で、安倍首相は、日本の防衛費の伸びが、中国の10分の1以下であることを指摘したうえで、「わたしを右翼の軍国主義者と呼びたいならば、どうぞ、そうお呼びください」と述べ、安倍首相を軍国主義と批判する、中国の矛盾を指摘した】

▶安倍首相:アベノミクスは「買い」呼びかけ──NYで演説
毎日新聞 2013年09月26日 東京夕刊
【安倍晋三首相は25日午後(日本時間26日早朝)、米ウォール街のニューヨーク証券取引所で講演し、「日本は原発の安全技術で世界に貢献していく。放棄することはあり得ない」と述べ、安全性で世界に貢献する考えを強調した。
 首相はリニア新幹線などの鉄道技術、自動車用リチウムイオン電池やLED照明など日本のエネルギー効率の高さを指摘し、「規制改革こそがすべての突破口」と技術開発のための大胆な規制改革に乗り出す考えを示した。福島県沖の浮体式洋上風力発電に触れ「イノベーションを加速するため、電力自由化を成し遂げて日本のエネルギー市場を大転換する」と語った。
 首相はまた、小泉純一郎元首相のキャッチフレーズだった「改革なくして成長なし」をもじり、「実行なくして成長なし。アクションこそが私の成長戦略だ」とアピール。「バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買い)」と呼び掛けた】


▶JR北海道:異常「もうない」直後に「170カ所」
毎日新聞 2013年09月26日 02時30分
【豊田誠・常務鉄道事業本部長は前日の記者会見で「(異常放置は)もう出てこない」と話したばかり】
【豊田本部長は25日の会見で「ヒューマンエラーを防ぎ、組織としてエラーを防ぐシステムを考えなければいけない」と苦渋の表情】