原発通信379号 2013/01/22

「放射線被害なんてちっちゃなこと」なのか

▶日本原子力開発機構・小林泰彦「放射能は全然気にならない」

 みんな楽しくHappy♡がいい♪に先日1月19日に千葉県柏市で行われた<対談>小林 泰彦VS小出裕章1/19千葉県柏市「東葛から問う」・千葉の汚染(内容書き出し)がアップされていました。

 小出さんと対談するのは日本原子力開発機構の小林泰彦です。

 ホットスポットといわれ、放射線の管理区域と同様なレベルであるる柏市の汚染状況を前に小林は言います。「私だったら、もう全然気になりません。小さい子もそれでいいと思う。もし、自分の家族がいてもそれは気にならない。それは学問上の確信があります」と。そして、「目の前の小さな放射線の事だけ」などとも言います。疫学的になどと言っていたのに、最後に参加者から突っ込まれると、「いや、それ以上は私はよく知りません。あの、疫学はにわか勉強なんで勘弁して下さい」と言い出す始末です。

 それともう一つ、昨年12月22日に東京豊島公会堂で行われた小出裕章氏&広瀬隆氏 講演会の動画もアップされています。冒頭、1954年に毎日新聞の原子力は夢のエネルギー源だとする記事の紹介から始まります。

▶「Forbes」は脱原発運動を「狂人」扱い

 昨日、ネットで放射線防御の件を検索していると、今月13日付で日本経済新聞が配信した「Forbes」の記事「放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論」なるものを見つけました。(下記)

 そこに書かれていたのは、要は、放射線なんて大した問題ではなく健康被害など起こさない、大騒ぎなどするほどのことではないというものです。これまた国際的原子力マフィアといってもいい原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が提出した報告書を、同記事の筆者(James Conca)は「「極めて重要な報告書」と位置づけ、さらに、この報告書で「世界はようやく正気に戻り、人体に害を与えないことに無駄な時間を費やすのをやめ、実際に悪影響を及ぼす問題、そして本当に注意を必要とする人々に目を向けるようになるかもしれない」などと書き、原発再稼働反対、脱原発を求めている人たち(私たちのこと)を「狂人」扱いしているのです。

 また、これほどの事故を起こした東電・原子力マフィアの「犯罪性」は問わず、放射線の健康被害を警告する科学者たちを「犯罪行為」などと言っています。しかも、その努力さえ「無駄な時間」というのです。そして、1年やそこらの調査で「大丈夫、安全です」とした調査結果(WHOや東大の調査が挙げられている)と一致していると、“もっともらしさ”に味付けまでしています。

 さらにご丁寧にも「日本政府においては真剣に原発再稼働の準備を始めたり、国際原子力機関(IAEA)や米国政府からの改善案に耳を傾けることだ」と、日本人に「忠告」という恫喝をしています。

 最後には、「放射能への恐怖ではなく真実にもとづいて行動するように変わらなければ、われわれは日本、ベラルーシ、ウクライナの人々に責務を果たしたことにならないうえ、今後も見当違いのことに時間とカネを費やすことになるだろう。反核運動家や陰謀説が好きな人々は今回の国連の報告書を受け入れないだろうが、彼らはどのみち国連が嫌いなのだ」と結んでいます。

 脱原発を望む人々を「陰謀家」扱いです。要は行き詰っている放射性廃棄物処理に風穴をあけようとの、それこそ「陰謀」を流布する露払いの役目をしているということでしょう。


▶放射線と発がん、日本が知るべき国連の結論

日本経済新聞2013/1/17 7:00配信「Forbes」James Conca記者の寄稿 

【つまり、約0.1シーベルト(Sv)または10 rem以下の放射線の被曝(ひばく)は大した問題ではない】
【報告書により、世界はようやく正気に戻り、人体に害を与えないことに無駄な時間を費やすのをやめ、実際に悪影響を及ぼす問題、そして本当に注意を必要とする人々に目を向けるようになるかもしれない 】
【この報告書によって、低線量の被曝が個人と大規模な集団の健康に及ぼす影響について言えること、言えないことがはっきりするだろう】
【0.1Sv(10 rem)以下の被曝に誤ってLNT仮説を当てはめたことによる経済的・心理的負担は、ただでさえストレスを感じていた日本国民には著しく有害で、今後もそれを続けることは犯罪行為といえる】
【当然ながら、年間0.1Sv(年10 rem)以下では被曝量が2倍になっても発がん率は2倍にならない。人体への影響はまったくない。数百万人にのぼる原子力作業従事者を50年にわたって綿密に調査した結果、一般人の平均と比べて被曝量は数倍から10倍だったが、がんによる死亡率は変わらなかった】

「50年にわたって綿密に調査した結果」?? 冗談も休み休み言えと言いたい。


▶防波壁の効果検証=浜岡原発、模型で―中部電

時事通信 1月21日(月)20時41分配信

【実験は名古屋大学(名古屋市千種区)で実施。長さ28メートル、幅11メートルの水槽に深さ40センチまで水を入れ、150分の1の建屋やタンクの模型に人工の波をぶつけた。
 防波壁を4メートルかさ上げし、22メートルにしたと想定して同じ波をぶつけると、壁は波を止め、敷地への流入はほとんどなかった】

▶浜岡原発:「新防波壁」模型で津波実験

毎日新聞 2013年01月22日 01時35分(最終更新 01月22日 01時59分)

【中部電「は敷地内に海水が流入しても、原子炉建屋などに影響が出ないよう、扉の水密性の強化などをしてきたという。ただ、実験で必要があれば対策工事に生かす」】


▶住民避難の放射線量基準、IAEAより厳格化へ

読売新聞 1月21日(月)19時39分配信

【原子力規制委員会の有識者チームは21日、原発事故が起きた際、1時間当たりの放射線量が500マイクロ・シーベルトとなった地域の住民に即時避難を求めるといった規制委の避難基準案に同意した。
 基準案では、いずれも国際原子力機関(IAEA)が示す国際基準よりも厳しい数値を採用。数時間以内の即時避難を求める毎時500マイクロ・シーベルトの基準は、IAEAの毎時1000マイクロ・シーベルトよりも倍厳しくなっている。
 また、住民に1週間以内の一時移転を求める基準は毎時20マイクロ・シーベルト(IAEA基準は毎時100マイクロ・シーベルト)、飲食物の放射能検査を求める基準は毎時0・5マイクロ・シーベルト(同1マイクロ・シーベルト)とした】

 読売新聞のこの記事、まるでIAEAの基準より厳しいから「完ぺき」と言わんばかりのニュアンスです。そのまえにこのIAEAそのものを疑ってかかる必要があるのです。原子力マフィアの国際組織の一つでもあるのですから。

▶原子力規制委:原発事故時の食物摂取基準、2段階で制限
 0.5マイクロシーベルト以上の区域で測定

毎日新聞 2013年01月22日 東京朝刊

【原子力規制委員会の有識者会合は21日、原発事故時の飲食物摂取の可否を判断する基準を策定した。空間放射線量が毎時0.5マイクロシーベルト以上の区域で飲食物中の放射性物質濃度を調べ、その結果で摂取制限をかけるという2段階で設けた。規制委は原子力災害対策指針に追加し、原発周辺自治体の地域防災計画に反映してもらう。
 摂取制限を実施する放射性物質の濃度は、従来の原子力防災指針で定めた数値と変わらない。水や牛乳、乳製品は1キロ当たり放射性ヨウ素で300ベクレル、放射性セシウムで200ベクレル▽野菜や穀類、肉、魚、卵は放射性ヨウ素で2000ベクレル、放射性セシウムで500ベクレル──などとしている

東京電力福島第1原発事故では、原発から約500キロ離れた静岡県や青森県でも農作物の出荷制限が実施された。これらの地点で事故初期の空間線量を推定した結果、毎時0.5マイクロシーベルト以上の区域では飲食物中の放射性物質を計測すべきだと結論づけた。対象区域は事故の発生後数日以内に特定し、1週間以内をめどに制限を実施する。
 また、体の表面に付着した放射性物質の除染基準として、ベータ線の検出頻度が事故から1カ月間は毎分4万カウント、その後で同1万3000カウントとすることも了承】

▶原発事故:緊急時対策所を義務化…規制委新基準骨子

毎日新聞 2013年01月21日 11時25分(最終更新 01月21日 16時39分)

【新基準案によると、緊急時対策所は原子炉建屋から離れた敷地内に建設することを求め、地震や津波に耐えられる強固な構造を義務付ける。長期間の電源喪失を想定し、自家発電機の設置も必要とする方針】
【規制委は、新基準を根拠に7月から再稼働を判断するが、緊急時対策所については「原発によって(安全対策の)条件は異なる」(更田<ふけた>豊志規制委員)との意見もあり】

 当然です。しかし、「原発によって(安全対策の)条件は異なる」との更田の意見、こういう表現が曲者なのです。ダブルスタンダードどころの問題ではなくなる可能性を秘めています。原発が稼働しなければいらないかと思うのですが、停止、廃炉になったところで、「安定的に」廃炉、処分(?)するまでは、何が起きるかわからないのが原発。いずれにしても原発をつくり、動かしてしまったからには、必要なものでしょう。


▶泊原発:周辺で新たな活断層判明 北電「安全に影響なし」

毎日新聞 2013年01月21日 22時09分(最終更新 01月21日 23時59分)

【北海道電力は21日、泊原発(北海道泊村)の南西に新たな活断層が見つかったことを明らかにした。北電はこれまで海域断層群モデルの南端を、東に延びる約19キロと想定していたが、西に延びる約21キロと確認された。泊原発周辺の断層群が地震で連なって動いた場合の安全性を調査する過程で判明。北電によると、原発施設の安全性に影響はないという】 

 これなにも驚くような話ではなく、建設許可・承認を得るために断層を短く認定し、「大丈夫、動かない」とする工作をしていたことが、3.11後にみなバレてしまい、「再調査」せざるを得なく、それなりに「長く」とって、さも、調査をやり直したかのように装うパフォーマンスです。

▶発送電分離:「法的分離」で大筋一致 電力改革専門委

毎日新聞 2013年01月21日 22時36分(最終更新 01月21日 23時28分)

【大手電力会社の発電部門と送配電部門を切り分ける発送電分離について検討を進める経済産業省の有識者会議「電力システム改革専門委員会」(委員長・伊藤元重東大教授)は21日、既存の電力会社の送配電部門を分社化する「法的分離」方式を採用することで大筋一致】

 さて、どんなウルトラCが隠されているのでしょうか。そうですか、ハイわかりましたなどという連中ではないことが国民の皆さんも十二分に分かっているでしょうから。