原発通信392号                                  2013/02/08

泥棒に追い銭。転んでもただでは起きない──原子力マフィア

 ここ数日の温度変化は堪えます。みなさんはいかがでしょうか。原発、原子力村・マフィアの例によっての大嘘、だましが暴露されてきています。これは、もう病気と言ってもいいようなものです。したがって本来ならば“治療”なのですが、残念ながら、引き取って治療してくれる病院などどこにもありません。最良の道は、治療な期待できないのですから、「退場」してもらうことです。

 来年度の予算案が出てきています。そのなかに「原子力災害対策センター(オフサイトセンター)新設費」というものがあります。福島では南相馬市原町区と楢葉町の2カ所が候補地として挙がっているそうです。自民党の河野太郎さんのブログによると、4か所が新設されると言います。しかもその通信設備等の業務を請け負ってところは、なんと原子力マフィアに連なる“ファミリー”なのです。

 河野さんいわく、「原発から得る利益は電力会社の懐に入るのに、原発が事故を起こしたときの対策拠点の費用は国民の懐から出るのは、おかしい」「本来、これは原発で利益を得ている者が負担すべき費用だ」と。 

 泥棒に物を盗まれたうえに、さらに金銭を与えるような話。ふざけるのもいい加減にしろ。監視の目を休めてはなりません。

福島市と山口市が「大規模災害時の相互応援協定を締結」

 福島市と山口市が「大規模災害時の相互応援協定を締結」したとのことです。へ~そうですかと流してしまう前に、ちょっとと思うのです。福島市は福島藩、山口市は長州、戊辰戦争のときの賊軍と官軍……。「白河以北一山百文」と言われたときから150年、月日は流れました。安倍晋三が「このあいだ(戊辰戦争)はご迷惑をおかけしました」と言って、詫び(?)を入れたのは前回の首相のとき(だったはず)。今また首相に…。原発事故がありましたから、この相互応援協定、すんなりそうですかとならないのです。何かある──そう思いませんか?


▶原発調査:「東電は国会を愚弄」事故調の田中委員

毎日新聞 2013年02月07日 23時13分(最終更新 02月07日 23時45分)

【国会事故調査委員会の田中三彦元委員が7日、東京都内で記者会見し「(東電の説明により)暗闇の中では危険と考え、調査をあきらめた。東電は国会を愚弄(ぐろう)した」と批判した。
 田中氏は7日午前、衆参両院議長らに、非常用復水器(IC)と呼ばれる重要設備の調査をあらためて実施するよう文書で要請。会見で「地震による損傷が見つかれば耐震基準を見直すなどの影響が出るだろう」と】

▶原子力機構:もんじゅ点検で虚偽報告

毎日新聞 2013年02月07日 22時48分(最終更新 02月07日 23時29分)

【日本原子力研究開発機構は7日、「安全上重要な機器55個の点検は終えた」とする原子力規制委員会への報告は誤りだったと発表した。同日午後、点検状況の確認中に5個が未点検だと気付いたという。原子力機構は「確認が不十分だった」と】

 55個しかないうちの5個です。確認も満足にできないということです。もう、動かす資格もなければ、持っている資格もありません。直ちに廃炉・解体です。でもどうやって…。そこが問題です。

▶3号機プールで鋼鉄の棒落下か

NHKTV2月8日 4時56分

【3号機の使用済み核燃料の貯蔵プールで、ほぼ水の中につかった状態で見えていた、重さ1.5トンの鋼鉄製の棒がなくなっていることが分かり、東京電力は、プールに落下したとみて、今後、水中カメラを入れて燃料に異常がないか確認するとしています】


オフサイトセンター新設に予算計上

▶福島県:予算案、2年連続最大 復興加速狙い

毎日新聞 2013年02月08日 東京朝刊

【主な事業は▽長期避難者向けに「町外コミュニティー(仮の町)」として整備される復興公営住宅建設費319億円▽事故で避難区域内になり使用できない県原子力災害対策センター(オフサイトセンター)新設費約20億円(候補地は南相馬市原町区と楢葉町の2カ所)▽除染技術の研究や放射線量モニタリングを行うため新設する研究機関「環境創造センター」整備費25億円──など】

 南相馬市原町区と楢葉町の2カ所にオフサイトセンターを新設するということは、福島第一の5、6号機や福島第二の再稼働を考えてのこと?

▶事故対策のコスト

河野太郎ごまめの歯ぎしり 2013年02月07日 19:34

【対象となるのが北海道原子力防災センター、愛媛県オフサイトセンター、静岡県浜岡原子力防災センター、石川県志賀オフサイトセンターの4ヵ所。
 今後、原発以外の施設のオフサイトセンターも対象になると、日本原燃の再処理工場の六ヶ所オフサイトセンター、人形峠の上斎原オフサイトセンター、京大実験炉の大阪府熊取オフサイトセンター、近大実験炉の大阪府東大阪オフサイトセンター、東芝実験炉の神奈川県川崎オフサイトセンターも含まれることになる。(横須賀のGNFJの横須賀オフサイトセンターは5100m離れているので移転対象にはならない)
 オフサイトセンターの施設整備は国が全額補助し、都道府県が運営する。
 さらに施設の維持管理費は国が交付金を都道府県に出し、施設内の通信設備、データ伝送設備等の維持管理費は国がJNES(独立行政法人 原子力安全基盤機構)に補助を出している。
 このオフサイトセンターの維持管理に要する費用総額は年間約100億円。
 しかし、よく考えると、原発から得る利益は電力会社の懐に入るのに、原発が事故を起こしたときの対策拠点の費用は国民の懐から出るというのは、おかしい。
 本来、これは原発で利益を得ている者が負担すべき費用だ。
 しかもJNESが、オフサイトセンターの通信設備等の業務を発注した先は、電力会社の子会社だ。費用を負担するどころか儲けている。
 東電だけでなく、関電、九電が顧問の給料まで電気料金に紛れ込ませて請求していたが、原発関係のコストの明確化が必要だ。
 依然として、経産省は、使用済み核燃料のヨーロッパへの輸送コストや保管管理コストを明らかにしていない】

 久々に新情報です。正論です。転んでもただでは起きないという言葉があります。また、火事場泥棒という言葉もあります。


▶<福島第1原発>廃炉推進会議が発足 工程表見直し着手へ

毎日新聞 2月8日(金)11時9分配信

【政府の原子力災害対策本部は8日、東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉作業を促進するため、新たに「東電福島第1原発廃炉対策推進会議」(議長・茂木敏充経済産業相)を発足させた。損壊状況が異なる1~4号機ごとに収束作業のメニューを細分化し、廃炉完了時期の前倒しを目指す新しい工程表の作成に着手する】

▶山口市と災害時の応援協定結ぶ 福島市

福島民報 2月8日(金)10時25分配信

【福島県福島市は7日、山口市と大規模災害時の相互応援協定を締結した。
 福島市が他県の自治体と災害時協定を結ぶのは4市区目で、西日本では6日の長崎市に続き2市目となった。 
 瀬戸孝則市長が山口市役所を訪れ、渡辺純忠市長と協定書に調印】

 瀬戸市長と言えば、最近では、「久しぶりに放射能から頭が離れまして、すっきり」とか、除染で出た廃棄物に対して、「持っていくところがないんです。どうしているかというと、自分のところの庭に安全に(保管している)。意外と(放射性)セシウムっていうのは安全に保管できるんですよ。近づかなければ、あるいは遮蔽すれば、(セシウムは)飛んできませんから」との認識を示した御仁です。(本通信376号)

▶九州電力:
 値上げ審査委 高額報酬に批判集中 顧問ら3人に8900万円

毎日新聞 2013年02月07日 西部朝刊

【電気料金値上げを審査している経済産業省電気料金審査専門委員会で6日、九電の顧問と相談役計3人の年間報酬計8900万円を料金原価に算入した】
【3人は相談役の鎌田迪貞(みちさだ)、松尾新吾両氏と、顧問の眞部(まなべ)利應(としお)氏の社長経験者。各1人に付く秘書の「人件費」や、移動用に共用するリースの社用車などの費用も原価に織り込まれている。関電が顧問14人に支払う計1億4000万円にも批判】
【原発のPR施設「玄海エネルギーパーク」(佐賀県玄海町)と「川内原発展示館」(鹿児島県薩摩川内市)など展示館の運営費約7億円と、原子力広報活動費約8億円も原価に盛り込んでいることが、同委に九電が提出した資料で明らかに】


▶原子力安全協定:長浜市、対象 関電、除外方針覆す──美浜原発

毎日新聞 2013年02月07日 大阪夕刊

【関西電力は7日、滋賀県庁であった原子力安全協定の協議で、関電美浜原発(福井県美浜町)の協定相手に滋賀県長浜市を含める協定案を示した。関電は昨年10月、美浜町と隣接していないことを理由に長浜市を除外する案を提示したため県や市が再考を求めていた】
【協議は福井県に原発を立地する関電など3事業者と滋賀県、長浜市、同じくUPZに入る高島市が参加。合意すれば同県初の協定】

▶美浜原発:非常用発電機故障 過給機に損傷/福井

毎日新聞 2013年02月07日 地方版

【関西電力美浜原発(美浜町)で負荷試験中の非常用発電機から黒煙が発生したトラブルで、関電は6日、発電機内で空気を圧縮する「過給機」の一部が損傷していたと発表
 このため圧縮された空気を十分に送れなかったとみられる。付近に約80個の金属片が落ちていたという】

 昨日報告した事故の続報です。要は圧縮空気が行き場を失って、バァーンと破裂(暴発)してしまったということでしょう。でないと「付近に約80個の金属片が落ちていた」となりません。たんに「落ちていた」という言い方はおかしいです。

▶伊方原発:1号機、燃料取り出し開始 再稼働見えず/愛媛

毎日新聞 2013年02月07日 地方版

【四電によると、移動後は温度や中性子の監視をプールに集中できるため管理が簡易化される。この日の作業は午前9時過ぎに開始。クレーンで燃料集合体をつり上げ、次々とプールへ移した。四電は3月に2号機の燃料も取り出すが、優先的に再稼働を目指す3号機は原子炉に燃料を入れた状態を保つ】

 日経新聞と産経新聞が、再稼働にいちばん近いと言っている伊方です。

▶軽すぎる原発防災計画 4分の1自治体、丸投げ

東京新聞 2013年2月8日 07時07分

【重大事故が起きた際に住民を守るため、原発周辺の自治体は三月をめどに避難ルートなどを盛り込んだ地域防災計画をつくるが、四分の一に当たる三十八の市町村が検討作業をコンサルタント会社などに丸投げしていた。本紙の取材で明らかになった。業者任せでは、机上の計画になりかねず、住民の安全確保につながるのか疑問が残る】

 自分たちでできないのか、面倒だからアウトソーシングか。いずれにしても、自分たち(職員)が行えば、人件費内(丸投げよりは安くなるはずです。出なければ、その部署の存在価値はないということになりますから)。外に出せば、その分経費が発生するということです。


▼毎日新聞新連載から

▶虚構の環:
 第1部・再処理撤退阻む壁/6止 上層部「維持」で意思統一

毎日新聞 2013年02月08日 東京朝刊

◇経産省「撤退派」を次々更迭

【同月(04年6月)、電力側に再処理からの撤退を持ちかけていた村田成二・経産事務次官が退任。すると翌月以降、水面下で動いていた経産省職員数人が次々異動した。エネ庁職員が解説する。「当時、新体制になり上層部は『サイクル維持』で意思統一した。そして撤退派を更迭した」。粛清の嵐が吹いた。
 同11月、内閣府原子力委員会の「策定会議」が核燃サイクル維持を基本方針とする中間報告をまとめた。翌月には再処理工場で、初めて放射性物質(ウラン)を使った試験が始まる。「ついに施設が汚れた。廃炉費用が約1・2兆円増え、撤退はさらに難しくなった」。更迭された職員は無力感に包まれた。
 現職のエネ庁課長級職員が取材に答えた。「核燃サイクルは恐らく完成しない。早く撤退した方がいいと思う。でも実際の政策となると無理」。電力会社首脳も「『サイクルをやるべきだ』とは思わない。しかし仕方がない」と言う。
 経産省職員のメモが残っている。「国民的コストが大で安全性に関する懸念が強い。反原発派のみならず原子力推進論者の中にも批判がある」としたうえで「民間任せの使用済み核燃料の取り扱いについて国の責任を明確にし、立地自治体に対し血みどろになって説明、撤退への了解を獲得する」と書かれている】

 今朝のNHKニュースおはよう日本でも取り上げていました。しょっぱな、鈴木アナ、「日本は核燃料をリサイクルして使うことになっていました」とのアナウンスで始まります。まあ、間違ってはいないのですが、再生紙づくりと同じ感覚で使うことに、原稿を書いた人の作為を感じるのです。そのほか、「分別」という言葉も使われていました。まるで家庭ごみの分別と同じと思わせるかの印象を刷り込んでいるといえます。


▼とうとう、あっちへ逝ったか

▶塩路一郎氏 元自動車総連会長

東京新聞 2013年2月7日

 労働運動にちょっとでもかかわった人なら、「あいつか」と思う塩路です。日産争議で、反組合(御用組合である日産労連を指す)とレッテルを貼られたらもうおしまい。リンチ、吊るし上げの上、放り出すという「暴力」労働組合の親分だった人です。その後、自動車総連のトップまで上り詰め塩路天皇と呼ばれたロウドーキゾクのはしりです。

 現役時代は豪華クルーザーを持ち、遊んでいたとか。その辺のことは青木慧著『日産争議』などに詳しいです。でも古い本なので、図書館にあるかどうか…。青木さん、日産労組をずっと追いかけていました。「労使協調」の名のもと、彼らが何をやってきたか、忘れてはなりません。いずれにしても、諸悪の根源と言ってもいい人です。毎日新聞の訃報欄では、もうちょっと“詳しく”、「労働貴族」と書いてありました。


▶高市政調会長:TPP参加条件で指示

毎日新聞 2013年02月07日 20時18分(最終更新 02月07日 20時41分)

 自民党の高市早苗政調会長、【「TPP交渉に参加するかしないかの判断権限は政府にある」と改めて強調。その上で「タブーなき議論をしっかり進めて、日本が守るべき条件を整理する段階だ」と】

 しかし、何も言っていません。でも、あの自信満々の顔で言われると、そうかなあと思ってしまうおやっさんたちがいるのでしょうね。

▶寝ても覚めても:体罰問題ではない=冨重圭以子

毎日新聞 2013年02月07日 13時31分

【まず言っておきたい。桜宮高のケースを“体罰問題”と呼ぶことが、私にはできない。「体罰」は自殺したバスケ部主将に「罪」があることが前提だが、記事を読む限り、彼に罪はない。部顧問の教師は、主将に暴力をふるい、暴言を吐くことで、よく言えば部に一体感を持たせようとし、勘ぐれば自らの支配力を他の部員に見せつけようとしただけ。単なる暴力行為だ】

 寝ても覚めても、何が起きても、いつもはノーテンキにスポーツの話を書いている人なのですが、今日のはいいです。