原発通信420号                                  2013/03/25

「お金に愛情をこめることはできます」──「特定の営利誘導団体」の間違いでは?

 一時、ある生命保険会社のコマーシャルで流された「お金に愛情をこめることはできます」という言葉。間違ってはいないのでしょう。しかし…と、野暮なことを思ったりもするのです。

 そのお金、それもたっぷりと原発推進という「愛情」が込められたお金が、“原発推進のために”使われているということが判明しました。それも、「非営利団体」NPOにというおまけまでついて。何が「特定非営利団体」だと。「特定の営利誘導団体」の間違いではないかというお粗末です。「あすかエネルギーフォーラム」だそうです。

 この詩をお書きになった有名詩人は脱原発だそうです。まあ、こんなふうに利用されるのは本意ではないでしょうが、いずれにしても、お金というものはそういうものだということは教えてくれます。その原発推進という「愛情」がたっぷりとこめられたもので、また分断されるところが増えたと言います。祝島です。

*「愛する人のために」谷川俊太郎

■澤田哲生は「東電の回し者!」──いえ、ご自身の本の帯のコピーです。

 まあ、人を食っているというか、恥知らずというのか。

 先日、待ち合わせで本屋に入っていました。何気なく新書の棚をのぞいていて、とんでもない本を見つけました。その名も『御用学者と呼ばれて』(双葉新書)。著者は澤田哲生。あの赤(ふち)眼鏡をかけている「専門家」です。原子力マフィアの一員です。

 何を書いてあるかとパラパラめくってみました。あまりのバカバカしさ、人をおちょくっているのかという中身です。そう、原子力マフィアの連中は自分(たち)こそが原子力の専門家だと思い込んでいるトンデモ集団ですから、当然なのです。帯も奇をてらってか上記のコピー。

 1点だけ、トンデモというところ書いておきます。116ページです。4号核反応発生装置建屋の核燃料プールの箇所です。

「床や支柱はまったくといっていいほど損傷を受けていない」とあるのです。そして4号核反応発生装置建屋内の核燃料プールが危ないというのは「デマ」だというのです。しかし、先日の報道ステーションでは同建屋に取材で入った時、壁、床が波打っていると報告し、その模様がTVカメラで映し出されていました。それがどうして「損傷を受けていない」となるのか。澤田の言う通りなら、なぜ東電は突貫工事をしているのでしょう?

 と、まあ、とんでもないことが次々と書かれてある本です。興味のある方は本屋で立ち読みでもしてください。買うほどのものではありません。

 澤田哲生(1957年生まれ、京大理卒。三菱総研を経て東工大)

 詳しくみると、ブラックジョークとしか言いようのない経歴の持ち主です。

 毎日新聞3月24日付にはそれこそ回し者、エージェントたちが、恥ずかしくもなくいい加減なことをしゃべっています(下記)。どうかしているぜ、の世界です。自分のことを言っているのか、はたまた自分は関係ない、科学者だとでも勝手に思っているのでしょうか。困ったものですでは済まされない状況です。


▶電力業界:原子力委員設立団体へ多額資金 NPO活用、国策に 「安全神話」啓発で「中立性」利用

毎日新聞 2013年03月25日 東京朝刊

【NPO「あすかエネルギーフォーラム」理事長だった秋庭悦子氏(64)は、原子力委員就任前年の09年に報告書をまとめた経済産業省の「エネルギー・温暖化対策広報・普及啓発関連NPO等の活動促進に関する調査」のヒアリングで、こう回答した。「新聞で(事業への参加者を)公募したところ、かなりの人が集まったことがある。これはNPOが主催し、中立な立場だと思って、安心していろんな立場の人が集まるからである」】

【秋庭氏と電力業界との関係は、あすか設立前の90年代前半にさかのぼる。秋庭氏は大手航空会社を退職し、89年に消費生活アドバイザーの資格を得た後、電気事業連合会のアドバイザリースタッフとなり原子力の広報に関わった】

【04年2月に東京・市ケ谷で開かれた設立記念パーティーに100人以上が駆け付け、電事連広報部長(当時、現東電代表執行役)が乾杯の音頭を取り、日本原子力文化振興財団(原文振)の理事長(当時)があいさつに立った】

◇資源エネルギー庁のNPO等活動整備事業で支援を受けるNPO法人など(07~11年度)

     団体名            (設立年、所在地)    金額

A  六ケ所村読書愛好会        (95年、青森県)    211万円

AE くらしをみつめる…柏桃の輪    (04年、新潟県)    209万円

   地域創生機構           (03年、東京都)    204万円

   フロンティアテクノセンター    (04年、北海道)    203万円

   地球感              (05年、新潟県)    171万円

AE あすかエネルギーフォーラム    (01年、東京都)    128万円

Ae エネ・フィーメール21      (06年、北海道)    114万円

E  くらし環境エネルギーネット

  <現WARP-LEENET>    (01年、大阪府)     94万円

   福井県原子力平和利用協議会    (72年、福井県)青年部  85万円

A  スカーフクラブ「あおもりサロン」 (08年、青森県)     70万円

   福井県環境・エネルギー懇話会   (98年、福井県)     70万円

E  福井県女性エネの会        (00年、福井県)     57万円

E  ウイメンズ・エナジー・ネットワーク(93年、東京都)     57万円

AE 松江エネルギー研究会       (04年、島根県)     56万円

   超学際的研究機構         (04年、福島県)     34万円

   河太郎一座            (00年)         27万円

   WiN-JAPAN           (00年、東京都)     26万円

   北海道エネルギー環境教育研究委員会(02年、北海道)     25万円

   ふれあいネット会         (03年、茨城県)     18万円

 ※A=あすかグループ、E=ETTメンバーのいる団体、e=ETTと講座開催などで連携する団体。支援はいずれも元請け(日本立地センターなど)を通じて。1万円未満切り捨て

 Wikipediaには「NPOとは、「Nonprofit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略で、広義では非営利団体のこと。狭義では、非営利での社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体のこと。最狭義では、特定非営利活動促進法(1998年3月成立)により法人格を得た団体(特定非営利活動法人)のこと」とあります。とんだ「非営利団体」です。営利満タンです。

▶<電力業界>原子力委員NPOに1800万円 震災後

毎日新聞 3月25日(月)2時32分配信

【東京都に提出されたあすかの事業報告書によると、09~11年度に2000万~4000万円余の事業収入があり、あすか関係者らによると、この多くは東電や、電力10社でつくる業界団体の電事連などからの提供だったという。このうち原発事故後の11年度は2283万円の収入があり、うち600万円余を電事連から受領し、東電から163万円余、日本原子力文化振興財団(原文振)から約250万円受け取っていた。
 これらの資金を元に、あすかは主婦層を対象に原発や放射線などの勉強会開催や機関誌発行などの事業を展開。東電からは消費者アンケート事業を委託され、11年5月まで毎月80万円余受領し、09、10年度は同事業で年間960万円余受け取っていたという。】

【あすかはこの他、高レベル放射性廃棄物について国民の理解を得るための経済産業相認可法人の事業を下請け受注し、11年度には約1000万円が支払われた。この事業受注についてはある程度公開されているものの、東電と電事連、原文振からの資金受領は公開していない】

【秋庭氏には再三取材を申し込んだが、応じていない】──やましいからでしょう。

 この金も総括原価方式の原価の中に放り込まれています。しかし、ボロイ商売です。きっと中身は電事連なりが「提供」してくれたものに、色を付けて(それもやったかどうか怪しいですが)出すだけ。それでこれだけもらえるのですから。

▶電力業界資金提供:任意団体を後方支援 スタッフ派遣も

毎日新聞 2013年03月25日 02時30分(最終更新 03月25日 02時45分)

【事務局は東京電力の広報担当者らが担い、メンバーには国のエネルギー調査会の委員も多い。国や電気事業者は「後方支援」に徹し、中立的にも見えるこうした団体を前面に出すことで、原発容認に向けた「プロパガンダ(思想宣伝)」を進めた構図が浮かぶ】

【ETTは90年、消費者の立場を強調し、経済評論家で経済企画庁長官も務めた故・高原須美子氏を代表に、作家の神津カンナ氏(震災後に代表)や文化人ら約40人で発足】

【ETTは全国で原発や放射線を巡るシンポジウムをNPOと共催するなどし、メンバーのスポーツキャスターやタレント、評論家、学者らを講師やパネリストとして派遣。一時期は原子力などのエネルギーを広報する民放ラジオ番組も提供し、東日本大震災の前年にはあすかと連名で全国紙に「放射線ってなあに?」と題した全面広告も掲載】

【全発電量における原発の比率目標を決める「長期エネルギー需給見通し」を策定する国の総合資源エネルギー調査会需給部会は09年8月時点で、22人の委員のうち7人をETTメンバーが占めた。他の全部会にもメンバーが所属し、秋庭氏も原子力委員就任前、同調査会の原子力安全・保安部会、電気事業分科会原子力部会などの委員を兼ねていた】

【一方、エネ懇は04年、同調査会会長などを歴任した茅陽一・東大名誉教授を代表に発足。茅氏は当時、ETT代表も務め、エネ懇の事務局はETTと同じく生産性本部に置かれた。ある中心メンバーによると、震災前の事業規模は年1、2億円で、やはり電事連が提供したという】

【昨年10月、ETT事務局から各メンバーに送られた電事連の資料には、当時の民主党政権が示した「2030年代原発稼働ゼロ」に対し、こう記してあった。「安定したエネルギー資源の確保が困難になるなどの課題について、納得できる解決の道筋が示されていません。私たちは、『原子力発電は引き続き重要な電源として活用していく必要がある』と考えます」】


▶安倍首相:福島視察 「政府が風評対策」 原発再稼働「安全確保し判断」

毎日新聞 2013年03月25日 東京朝刊

【首相は「政治の仕事は風評を払拭(ふっしょく)していくことだ。(対策を)しっかりと政策にし実行する」と】

 こういう認識しかない人を総理大臣にしてしまいました。安倍晋三は、原発事故をどうとらえているかをよく物語っています。風評退治──そうですか…。


▶志賀原発:破砕帯、調査進展2カ月遅れ まとめ見通し立たず──北陸電力/石川

毎日新聞 2013年03月24日 地方版

【北陸電力(本店・富山市)は22日の記者会見で、志賀原発1号機(志賀町)の直下を通り、活断層の可能性が指摘されている「S-1破砕帯」の同社による調査について、当初の予定よりも2カ月遅れていることを明らかにした。客観的なデータをより豊富に集めようと、詳細な地質観察などを実施しているためという】

 うまく丸め込む理屈がうまくまとまらないというだけでしょう。

▶日中滞在へ除染急務 仮置き場未定 町、線量管理に苦悩 富岡町の区域再編

福島民報 3月24日(日)9時41分配信

【警戒区域が25日に再編される福島県富岡町は、居住制限、避難指示解除準備両区域の日中の滞在が可能となり、除染が喫緊の課題となっている。ただ、仮置き場は決まらず、本格除染開始は見通せない状況だ】

【町役場周辺は居住制限区域だが、線量が毎時2.5マイクロシーベルトほどあるため、拠点を避難指示解除準備区域で同0.8マイクロシーベルト程度の同集会所に移した。職員の被ばく線量を抑えるためだ。
 男性職員76人で38組つくり、交代で勤務をこなす】

 0.8マイクロシーベルト──つまり年間7,008マイクロシーベルトです。


重大事故を想定し、訓練

 もう、いい加減、こんなバカバカしい訓練などやめたほうがいいと思います。原発事故は起きてしまったらもうおしまい。帰るところがなくなるのです。そのことを3.11で身をもって知ったはず。ガイガーカウンターで線量を測ってもなくなるわけではありません。汚染を確認するだけです。

 それよりもそんなことにならないようにするには、と考えたほうがよっぽど「前向き」です。

▶<柏崎刈羽原発>重大事故を想定 1500人参加し初の訓練

毎日新聞 3月23日(土)11時10分配信

▶原発防災訓練:仮設ポンプ使い、関電美浜で/福井

毎日新聞 2013年03月24日 地方版

【訓練では、原子炉を冷やすために、蒸気発生器に水を送る仮設の「中圧ポンプ」をタンクにつなぎ込み、給水ができる状態にした】

▶原子力防災訓練:原発事故想定、住民に手応えと不安 UPZ内、揖斐川の50人初参加/岐阜

毎日新聞 2013年03月24日 地方版

▶原子力防災訓練:原発事故、深刻さ実感 福井・敦賀に近接、岐阜県初の住民参加訓練 500人が参加、バス避難・線量検査

毎日新聞 2013年03月23日 中部夕刊

▶川内原発:九電が阿久根市、いちき串木野市と安全協定締結へ 立ち入り調査認める/鹿児島

毎日新聞 2013年03月23日 地方版

【川内原発から20キロ圏の阿久根市、いちき串木野市と九州電力は、来週にも安全協定を結ぶ。22日あった県議会の原子力安全対策等特別委員会で県が「現在最終段階で、できれば今月中に締結したい」と説明した。鹿児島市など30キロ圏の6市町とは事故時の情報連絡などを盛り込んだ協定】

▶原子力安全協定:知事が受け入れ表明 来月上旬にも締結/滋賀

毎日新聞 2013年03月23日 地方版

【嘉田由紀子知事は22日にあった定例県議会本会議で、関西電力などから示されている原子力安全協定案について「長浜、高島両市の意向を受け、県としても締結したい」と受け入れを表明し、4月上旬にも協定を締結する考えを示した】

▶人事:県 2060人を異動 原発事故時、対応の「防災部」新設/島根

毎日新聞 2013年03月23日 地方版

【組織改編では、中国電力島根原発(松江市)で事故が発生した場合の対応など危機管理強化を担う防災部を新たに設置する】


▶論点:原発新安全基準

毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊

 服部は原子力マフィア、岡本はそのエージェントです。二人ともよく言うよという感じです。
服部いわくより重要なのは安全対策の全体像である?? 「より重要」なのは、最終的に核廃棄物をどう始末するかです。その全体像を提示してから言ってほしいものです。なにが「全体像」だ!

 岡本いわく【事業者が「ずる」をすると思っている】、ハイ、そう思っています! 日本の常識です。【とにかく頭を低くして批判の嵐が過ぎ去るのを待っている】──お主もそうだろうと言い返したい。

 木村は「人間業では対応できないシビアアクシデント」なのに、炉主任(=核分裂発生装置運転主任)? 意味が分かりません。

◆事業者との議論不十分──服部拓也・日本原子力産業協会理事長

 産業界には、メーカーの研究開発と事業者の運転経験をもとに豊富なデータ蓄積がある。規制の実効性を高めるには、それらの活用が不可欠だ。
 象徴的なのは、活断層を巡る議論である。規制委は活断層の有無ばかり議論し、地層や地質に関する「科学的見解」と、活断層が発電所にどのような影響を及ぼすかのリスクを見極める「工学的判断」の議論がかみあっていないのだ。
 工学は「リスクゼロの科学技術はない」との現実を踏まえ、科学的知見をもとに、どこかで割り切って設計をする。
 新基準案の過酷事故対策は、ハード(設備)対策に偏りすぎているのではないか。過酷事故ではハードとソフト(運用)両方の対策が必要になる。
「フィルター付きベント(排気)」を設置するかどうかの議論も大事だが、より重要なのは安全対策の全体像である。

◆リスク判断は総合的に──岡本孝司・東京大教授

 規制委員会がここまで手取り足取りで要求する理由の一つは、事業者を信頼していないからだ。細かく規定しないと事業者が「ずる」をすると思っているのではないか。
 事業者の姿勢にも問題がある。02年に東電のトラブル隠しが発覚して以降、とにかく頭を低くして批判の嵐が過ぎ去るのを待っているという印象を受ける。

◆規制法になお抜け道──木村逸郎・京都大名誉教授

 原子炉の型式が同じ場合には兼務を認めるという「抜け道」があるのだ。
 人間業では対応できないシビアアクシデントの時こそ、炉主任の果たすべき役割は重要だったのである。


▶原発:福島の全基廃炉を…県民集会に7000人

毎日新聞 2013年03月23日 19時44分(最終更新 03月23日 21時28分)

【国や東京電力に県内の原発全基廃炉を求める集会宣言を採択】

 福島県内の原発だけではなく、全原発廃炉へと進んでほしいものです。広島・長崎の経験から生まれた反核運動が、米国の原爆・核兵器廃絶だけでなく、全世界の核廃絶を主張したように、原発についても福島だけでなく全原発の廃絶へ向かわなければなりません。

▶福島第1原発事故 放射線データ消去 県が30地点測定のデータ未公表/福島

毎日新聞 2013年03月23日 地方版

【県が福島第1原発事故の緊急時放射線モニタリングの観測データを消去していた問題で、県は22日、11年3月12日~同9月30日に県内30地点で測定した放射線量の観測データ計4521時間分が未公表だったと発表】

 未発表ですか──普通は「隠していた」と言うところです。こんな大事なことをなぜ発表しなかったのかです。もう言わずもがなです。

▶山口・上関原発建設計画:祝島の漁協39人、補償金受け取り「決議存在せぬ」

毎日新聞 2013年03月23日 西部朝刊

【同県漁協祝島支店(正組合員53人)の、原発建設に反対する組合員らが22日、県漁協本部に対し、同原発建設に伴う漁業補償金を「受け取らない」とする文書を提出した。
 文書を出したのは議決権のある正組合員31人と、准組合員8人。
 反対派組合員は、補償金受け取り議案について、事前に十分な周知がなされないなど手続き上の問題や信義則違反があるとして「決議は存在しない」と主張】

 ここにまた「愛情を込めたお金」で分断・対立させられるところがまた増えました。

 ▶核融研:重水素実験に同意、多治見市長が決断理由「民意として判断」/岐阜

毎日新聞 2013年03月23日 地方版

【重水素実験の意義については「脱原発の可能性を探る実験。いろんな要素のひとつ」と話した。また、事故が発生した場合には「首長として大きな責任を負う」と述べた】

「首長として大きな責任を負う」──どのように? できもしないことを、さもできるかのようにいうことが首長の仕事?

▶使用済み核燃料税:柏崎市と東電、課税継続で合意 来年度から5年間/新潟

毎日新聞 2013年03月23日 地方版

【この税は市が03年度に創設し、毎年、使用済み核燃料1キロあたり480円を課税している。同原発には使用済み核燃料が2370トンあるが、課税対象は、このうち柏崎市内に位置する同原発1~4号機で保管されている1197トンで、税額は年約5億7500万円になるという】

 ああそうですかと。それより、「使用済み核燃料が2370トン」もあるということを覚えておかなければなりません。

▶風知草:死に物狂いの挑戦=山田孝男

毎日新聞 2013年03月25日 東京朝刊

【この出来事で垣間見えた現実は深刻だ。燃料プールの冷却電源は仮設のもので、しかもバックアップがなかった。福島原発は依然、不安定であり、国家規模の破局の危機は去っていない。にもかかわらず、東電から政府への報告に3時間以上要し、避難情報は示されなかった。すべてが相変わらずの東電依存。国民も受け身で、自ら把握しようという危機感は薄い。
 節電の決意も今は昔。ひところ敬遠された高層マンションが売れている。円安で輸出が伸びた半面、原油高で原発依存に傾く。繁栄はネズミ1匹で崩れかねない基盤に乗っている。どうするか。そこまで見据えた小泉(進次郎)の全力投球、死に物狂いの挑戦であってほしい】


▼寄せられた情報

▶「原発重大事故はない」と経産省、拠点対策せず

読売新聞 3月23日(土)15時20分配信

【総務省が事故の2年前に放射線防護対策などの不備を指摘していたのに対し、OFCを所管する経済産業省が抜本的な対策を取らなかったのは、「大規模事故は起きない」ことを理由にしていたことがわかった】

【情報公開請求で開示された09年3月の文書によると、(略)「レベル7」だった1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故について、「日本とは安全設計の思想が異なる原子炉施設で発生した事故」とした国の原子力防災指針(当時)を引用し、「(同規模の原子力事故は)日本では想定する必要はない」と結論付けた】


▶<大阪府労委>職員調査は「不当行為」 橋下市長が謝罪

毎日新聞 3月25日(月)12時34分配信

【大阪市が昨年2月、全職員を対象に実施した政治・組合活動に関するアンケートは、労働組合法が禁止する不当労働行為に当たるとして、大阪府労働委員会は25日、今後はしないとの誓約文を組合側に渡すよう市に命令】

【橋下市長は記者団に「大変申し訳ない。法に基づいた行政運営をしていく」と謝罪し、不服申し立てをしない意向を表明】

 この手の人間は、結果はどうでもいいのです。レッテルを貼ることに意義があるのです。それが正しいか、どうかなど人々は関心を払わないということをよく知っているからです。しかし、それにしても、トールちゃん、弁護士でしょうと。いやそれよりデマゴークのほうがお似合いか。それにしても、人には「それ相当の責任」を求めていましたが、ご自分は?