原発通信437号                                  2013/04/17

ボストン爆弾事件で持ちっきりですが……

 ボストン市民マラソンのゴール地点で爆弾が2発爆発し、死傷者が出たとのニュースでテレビは持ちっきりです。それはそれで確かに事件なのでしょうが、イラクやアフガンで爆弾テロ事件が起きてもまたかということでニュース価値がないということなのでしょう。天気予報と同じように報じるだけです。しかし、今度はボストン、米国本土での事件ということで大きく取り上げています。

 暗にイスラム過激派のテロというニュアンスで報じられていますが、圧力鍋を使い、中にくぎやベアリングボールと。なんとなくシロートっぽい印象がするのですが……。

 そのためか、福島第一原発で起きているデタラメから人々の目はそがれている感じです。相変わらず、よその国の出来事は大きく取り上げる国です。

 本号に発酵学者・小泉武夫さんのインタビュー記事を紹介しましたが、食という点から見ても同様なことがいえる気がするのです。

 昨日の号でフランスで高浜原発用のMOX燃料積み出しに抗議行動と報告しましたが、毎日新聞本紙ではカラー写真付きで大きく取り上げています。それはそれで結構なことですが、3.9、3.10脱原発集会よりは大きな扱いということはどうなんでしょうか。


▶貯水槽水漏れ想定しつつ“シート3重構造”なら安全

 昨日の本通信で赤旗の報道を報告しましたが、昨夜、テレビ朝日の報道ステーションでも報道したとのことです。

みんな楽しくHappy♡がいい♪のキーコさんも、<汚染水漏れ>東電の「1枚増やせばいいんじゃね?」的思考回路と指摘。

汚染水漏れは想定していた?

2013年4月16日 報道ステーション

【福島第一原発の地下貯水槽で汚染水漏れが相次いでいる問題で、東京電力が、産業廃棄物処分場などに設置された同じ構造の貯水槽で、水漏れの前例があるのを知りながら建設を進めていたことがわかった。東電の説明では、過去に水漏れがあった産業廃棄物処分場などにある貯水槽は二層構造であったために、不十分だった可能性を指摘。東電では、これにシート1枚を増やし三層構造にすることで安全を確保したつもりだったという】

【東京電力の会見 午前10時すぎ
Q  :水漏れがあったということを承知でこの工法を使った?
東電:当社としてはそういう事例についても承知しておりましたけれども、高性能のシートを使って施工するということで漏えいは起きないものと考えていました。】

 本当にこの程度の認識しかない連中が原発=核分裂発生装置を好き勝手にこれまで動かしていた。恐ろしい事実です。


▶島根原発:事故時、県庁機能を出雲市へ 災害対応、2600人一斉移動/島根

毎日新聞 2013年04月16日 地方版

【中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)で重大事故が起きた場合、県庁機能を県立浜山体育館(出雲市大社町北荒木)に、事故対応の拠点となるオフサイトセンターを県出雲合同庁舎(同市大津町)にそれぞれ移す方針を決めた。県の本庁舎、オフサイトセンターとも島根原発から約8・5キロ地点の松江市中心部にあるが、移設先はそれぞれ約31キロ、28キロ離れることになる】

【県は全国で唯一、県庁所在地に原発が立地】

▶谷垣法相:「国益を守り抜く」 TPP交渉に理解求める──県内で講演/佐賀

毎日新聞 2013年04月16日 地方版

【運転停止中の九州電力玄海原発(玄海町)については「悩みが深い問題だ」と再稼働などについて明言を避けた。一方、同席した岸本英雄・玄海町長はあいさつで「停止して2年。玄海町の産業にとっても大きな打撃で、日本のエネルギーにとっても、世界にとっても大変な損失と私は認識している」と】

 再稼働に関して、谷垣は「悩みが深い問題だ」と言葉を濁し、岸本町長は、大言。大きなことを言うものほど、本心はセコイというのは通り相場です。

 TPPに関しては谷垣、「日本の国益を守ることをやり抜く」と。こちらも大きなことを言いますが、考えていることはセコイ。


▼【転載】脱原発弁護団全国連絡会の抗議声明

 当方へ転送されてきましたので、掲載させていただきます。

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福島事故から何も学ばなかった大阪地裁裁判官に強く抗議する

 本日午後大阪地裁で大飯3,4号機の運転差し止めを求める仮処分事件について、申立を却下する決定がなされました。

この事件は美浜の会の皆さんが中心に闘われていた事件ですが、3.11後はじめての原発再稼働をめぐる本格的な司法判断ですので、全国の脱原発訴訟を闘っている弁護団の連絡組織である脱原発弁護団全国連絡会では、以下の抗議の声明を発しましたので、お知らせします。

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声 明

福島事故から何も学ばなかった大阪地裁裁判官に強く抗議する

1 大飯原発の再稼働を合法化できる法的枠組みは存在していなかった

 全国の原発が原子力規制委員会の新たな安全基準に合格するまで、運転の再開が認められていない中で、政治的な判断の下で大飯原発3,4号機だけが再稼働を認められてきた。

 大飯原発3,4号機について、規制委員会の判断はなされていない。同原発の運転を是認できる法的な根拠はないと言って良い。今回の司法判断は、他の原発には適用を放棄されているストレステスト基準について安全性に関する基準として合理性があるとしたが根本的な疑問がある。依拠できる国の専門機関による判断がないままで、事業者の主張に基づいて安全判断がなされたことに重大な疑問を提起せざるを得ない。

 2 安全性の立証責任は被告電力会社にあった

 決定は、「F-6破砕帯が活断層であることを認めるに足りる事情は見当たらない。」「クリフエッジ(安全限界)である11.4メートルを超える大津波が襲来する可能性を認めるには足りない。」とする。しかし、破砕帯に関しては規制委員会は今も結論を留保して調査を継続中である。司法機関としては、専門家の間で意見が分かれているような事項については、より安全サイドに立って疑問が払拭されていない以上危険性があるという判断を示すべきであった。このような姿勢の欠如こそが多くの原発裁判が提起されながら、司法が福島原発事故を防ぐことができなかった最大の問題点である。またしても、司法は次なる重大事故につながりかねない重大な誤りを犯したといわざるを得ない。

 3 制御棒挿入時間について

 決定は「本件発電所において制御棒挿入時間につき許容値を2. 2秒とする定めはなく,2. 2秒は,安全解析評価上の観点から設定された時間であり,安全性に対しては一応の評価の目安となる時間にすぎず,これを超えたとしても直ちに具体的危険性が肯定されるものではない。また,3連動の地震が生じたとしても,制御棒挿入時間が2.2秒を超えると認めるには足りない。仮に制御棒挿入時聞が2.39秒であるとしても,具体的危険性があると認めるには足りない。」とする。

 しかし、許容値を超えれば、安全性を維持することができることは困難となる。これを超えても危険性が肯定されないという判示は、許容値のもつ重要な安全上の意義を無視した危険な考え方である。このような判断を行っていたのでは、次の重大事故を防ぐことはできない。

 4 私たちは全国の法廷で市民の生命と安全を守るために闘い続ける

 今回の決定は3.11後の原発の安全性の実体をめぐる最初の司法判断であった。ここで、正しい判断が示されなかったことは残念であるが、脱原発弁護団全国連絡会は、このような不当な判断に怯むことなく、司法による原発運転停止の判断を勝ち取り、全国の法廷で市民の生命と安全を守るために闘い続けていくことを宣言する。

2013年4月16日
脱原発弁護団全国連絡会 
共同代表  河合 弘之
  同     海渡 雄一

(ここまで)


▶川内博史 福島第一原発 1号炉撮影映像

 東電が撮影したもの以外で初めてのものと言います。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=KyQgX-1ef1c

▶ナゾの死を遂げたもんじゅ調査担当者・西村成生氏のファイル
 週刊朝日

週刊朝日 2013年3月15日号 「日々担々」資料ブログ 

 先月から週刊朝日に連載されていたものです。

【動燃(動力炉・核燃料開発事業団=現在の日本原子力研究開発機構)の総務部次長だった故・西村成生(しげお)氏(当時49)が残した膨大な資料には、そのすべてが記録されていた】

 原子力マフィアが住民を懐柔する手法をメモしていたとのこと。

 3月10日、日比谷野音で開かれた脱原発集会で、集会が終わりデモに出ようと順番を待っていると、一人の女性が週刊誌をかざして、私に話しかけてきたのです。「これ読んでください」と。何かなあとみると週刊朝日のあるページを見せているのです。動燃の管理職にある人が「怪死」を遂げているということは知っていたので、「あの~、その人の奥さんですか?」と尋ねると、「そう、私がその奥さんです。ぜひ読んでください。今、売っている号に載っています」と、西村トシ子さんでした。その時は、大勢の人で身動きが取れず、徐々に外へ押し出される感じだったので、それで別れてしまいました。

 翌日、書店で購入してみました。まさにマフィアのいやらしい手口がメモ=西村ファイル=されていたのです。

▶秋葉忠利前広島市長にドイツの平和賞

NHK TV4月17日 7時1分

【世界平和に大きな貢献をした人に贈られるドイツの「オットー・ハーン平和メダル」の受賞者に広島市の秋葉忠利前市長が選ばれ首都ベルリンでメダルの授賞式が行われました】

【オットー・ハーン平和メダル」はウランの核分裂を発見しノーベル化学賞を受賞する一方、平和活動にも取り組んだドイツのオットー・ハーン博士にちなんでドイツ国連協会のベルリン・ブランデンブルク支部が1988年に創設】


▶特集ワイド:豊かさとは 発酵学者・小泉武夫さん

毎日新聞 2013年04月15日 東京夕刊

 【<この国はどこへ行こうとしているのか>

 ◇土を愛せ、和食を愛せ──小泉武夫さん(69)

「前政権で原発事故の収束宣言をしたけれど、とんでもない。貯水槽から汚染水が漏れていたんでしょ。政府は東電まかせにせず、世界中の知恵を借りるべし。地球軍として。それに……」。先生が口にしたのは「土の力」だった】

【いつしか先生の嘆きは、日本人の食の堕落へ。真の豊かさを忘れてしまった日本人をしかるのである。「選挙になれば、政治家はみな経済成長ばかり、日本人の心と体の豊かさを取り戻せ、とは叫ばない。おかしい。私なら、和食を食べなさい、そうすれば強い日本人に、豊かな日本になる、と訴えますよ。国の財政を苦しめている大きな要因は医療費でしょ。食生活の欧米化で高血圧や糖尿病などの生活習慣病が増えていく。放っておけば、さらなる財政逼迫(ひっぱく)に間違いなく陥る。それを防ぐにも和食なんです」】

【「そう。中国や韓国にもハンバーガーはあるけど、自分たちの食文化をもっと、もっと大切にしていますから。私が勧めてきた塩こうじのすばらしさはようやく見直されましたが、江戸時代からあったものです」】

【日本人がキレやすくなってきたといわれて久しい。なるほど穏やかで、どっしりした人物も少なくなってきた気がする。その遠因も和食をおろそかにしてきたからだ、と先生】

 私が好きな学者の一人です。その話し口を耳にするとなぜか心落ち着く人です。発酵技術の話、発酵食品の話と興味は尽きません。

「中国や韓国にもハンバーガーはあるけど、自分たちの食文化をもっと、もっと大切にしています」と、小泉さん。確かにと思います。何でも自分流に物にしてしまう国民性。それはそれで器用なのでしょうが、何か引っかかるものがあります。

フランス料理、イタリア料理、中国、韓国料理、何でも自分たちのものにしてしまいます。そのためには本場へ「修行」にも行きます。翻って、じゃあ、和食を勉強にわが国に来て修行している外国人ってどれだけいるのかなあと、どうでもいいことを考えてしまいます。

家庭食でも、これほど世界のメニューが食卓にのる国も珍しいのではないでしょうか。ハンバーグ、パスタ、焼き肉、中華料理…。さまざまなものを食することができることは素晴らしいことでもあるのですが…。

 食を大事にしない民族はいずれ大きなしっぺ返しが来ると思います。直近の問題では、TPPです。小泉先生、福島出身です。


▶クマ肉料理が消滅の危機 原発事故で出荷制限続く

山形新聞 4月16日(火)11時51分配信

【県内で捕獲されたツキノワグマ2頭の肉から、国の基準値を超える放射性セシウムが検出された。国は同9月、県全域のクマ肉の出荷制限を指示。半年以上たっても制限が解除されていない】

【厚生労働省のまとめでは15日現在、山形、岩手、宮城、福島、群馬、新潟の6県でクマ肉の出荷制限が続いている】


▶6月2日は「6.2 NO NUKES DAY」

さようなら原発1000万人アクション/原発をなくす全国連絡会/首都圏反原発連合 記者発表資料