原発通信614号 2014/01/09


関西電力高浜原発、今夏に再稼働か

「夏の再稼働は可能」高浜原発で規制委メンバー言及

テレビ朝日系(ANN) 1月9日(木)5時53分配信

【福井県の高浜原発について、原子力規制委員会の委員が「夏の再稼働は不可能ではない」という見通しを示しました。規制委員会の委員が、原発の再稼働時期に言及するのは初めてです。
 原子力規制委員会・更田豊志委員:「(Q.夏の再稼働は可能?)『可能か可能でないか』を申し上げる立場にはないが、一般的な印象でいえば不可能な目標ではないと思う」
 原子力規制委員会は8日、安全性を審査中の高浜原発3、4号機を訪れ、重大事故に備えた設備の準備状況を調べました。終了後、更田委員は「今後の審査は大きな障害が無く進む」という見方を示しました。加えて、関西電力が夏までに再稼働を目指していることについて、「余程のことが無い限り、夏にまだ審査をしていることはない」として、高浜原発が夏に再稼働できる可能性を示唆しました】

高浜、今夏再稼働も「不可能ではない」 規制委員見通し

京都新聞 1月8日(水)23時29分配信

【再稼働に向けた審査の現状
 福島第1原発事故を踏まえた原発の新基準施行から半年を迎えた8日、再稼働に向けて安全審査を申請した関西電力高浜原発(福井県高浜町)で、原子力規制委員会の現地調査が行われた。更田(ふけた)豊志委員は「プラントについては大きな障害はなく進む」と審査の見通しを述べ、「夏までの再稼働は不可能な目標ではない」と、電力需要が高まる夏を念頭に安全審査を進める姿勢を示した。
 津波や炉心融解などの深刻事態に対応する昨年7月施行の新基準にあわせ、津波防護施設や注水ポンプなどの設置状況などを確認、空冷式非常用電源装置は実際に駆動を確かめた。更田委員は「急ピッチで整備が進んでいる印象」とした。
 関電は夏までに再稼働できるよう、規制委に速やかな安全審査を求めているが、高浜と大飯(福井県おおい町)の両原発に近い海底断層の調査と確認が必要で、想定する地震動が確定していない。
 更田委員は「再稼働の判断は、地元や国民的議論による」としながらも、「基準地震動が確定したら、(原発施設を)強度計算して確認することになる。(地震の想定で)規制委と関電がぶつかることがない限り、夏まで審査が続くことはないだろう」と話した。
 更田委員は日本原子力研究開発機構出身。高浜原発3号機ではプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料によるプルサーマル発電も計画されている。規制委は、9日は大飯原発で現地調査を行う】

 ところで、このニュース映像を見ていて、うん?…と思ったのが2段目の映像です。更田委員が関電の職員を引き連れて現場に足を運んでいる映像なのですが、更田委員だけ(もう一人映像では映っていたような…?)、ヘルメットの下に不織布製の“帽子”をかぶっているのです。これ、髪の毛が落ちないか、またはチリがつかないためにかぶるものだと思うのです。なぜ彼だけかぶっているのでしょうか?

原発事故はたんなる気の緩みのせいなのか

 原子力プラントで事故を起こさないためには、気を引き締めれば大丈夫というわけではないということ。それを私たちはチェルノブイリで、そしてフクシマで知ってしまいました。どうもそのへんのことを知っていてスルーする連中です。そう言っておけば、一般大衆は騙されると思っているのでしょう。

 日本原子力研究開発機構の松浦祥次郎理事長は、高速増殖炉もんじゅを稼働したいばかりに、「もんじゅの風土、体制、人の改革を進める」と言ったそうですが、何万点にものぼる機器、部品の点検を怠り、ナトリウムが漏れたらどうすることもできなかった彼ら。一度身についたもの、作風というものはそう簡単には直らないもの。そんなことより、もう止めにすることのほうが先。赤道直下の風土を寒冷地の風土に変えることができないように。

もんじゅで原子力機構理事長、知事と会談 福井

産経新聞 1月9日(木)7時55分配信
【日本原子力研究開発機構の松浦祥次郎理事長が8日、新年のあいさつのため県庁を訪れ、組織改革を進めるとともに、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けた高速増殖炉「もんじゅ」について3月末までに解除を目指す考えを改めて強調した。
【県庁で西川一誠知事と会談した松浦理事長は冒頭、6日に見つかったパソコンのウイルス感染など、昨年来の一連のもんじゅ関連のトラブルを謝罪。その後、取り組んでいる組織改革について「職員への新年あいさつで、改革に失敗したら原子力機構が存在し得なくなるとの考えを示した」と説明するなど、厳しい姿勢で挑む決意を見せた。
 これに対し西川知事は、国のエネルギー基本計画で原子力が重要な電源と位置付けられたことを挙げ、核燃料サイクルの重要性などに理解を示し、「原子力機構が国と一体となって進めていくことがきわめて重要」と指摘した。その上で「気が緩むといろんなことが起きるのが原子力プラント。肝に銘じて進めてほしい。この一年は、大事な年」と注意を喚起した】

もんじゅ運転再開に意欲 原子力機構理事長、福井県知事に改革強調
福井新聞ONLINE 1月8日(水)18時25分配信
【日本原子力研究開発機構の松浦祥次郎理事長が8日、年頭のあいさつのため福井県庁を訪れ、西川一誠知事と懇談した。高速増殖炉もんじゅ(敦賀市)で進めている集中改革について松浦理事長は「もんじゅの風土、体制、人の改革を進める」と強調。原子力規制委員会から受けた事実上の運転禁止命令の早期解除を目指し、「性能試験(試運転)に至る道筋を立てたい」と運転再開に意欲を示した。
 大量の機器の点検漏れ問題を受け、原子力機構はもんじゅを理事長直轄の組織とし昨年10月から1年間の集中改革をスタートさせている。松浦理事長は「個人個人が自分を変えるという意識の下で改革を進めないといけないと考えている」と述べ、現場職員との対話を重視して意識改革に注力していることを報告した。
 規制委の運転禁止命令に対しては、昨年末までに未点検機器の点検や保全計画の見直しなどの“宿題”をすべて提出したと説明。「なるべく早く命令を解除してもらい、次の段階である性能試験の準備に掛かりたい」と、運転再開に向けて前進させる1年にする考えを示した。
 西川知事は、政府のエネルギー基本計画案でもんじゅの役割が明示された点を挙げ「原子力機構がいかにしっかり対応していくか。国と一体となって進めていくことが重要だが、時間があるわけではない」と指摘。改革に関しても「現場と理事長以下幹部らが気持ちを一つにしてやらないと、到底使命は果たせない」と注文した】

危ないのは原発だけでなく規制委も

“人のこと”――原発ばかりに目が行っていたら、なんと自分の足元が定まっていないという話。来ると言われている首都直下型地震、それに対しての備えのマニュアルが整っていないということのようです。

規制委発足1年超 「首都直下」マニュアルなし
東京新聞2014年1月5日 朝刊
【国内の原発の安全対策を担う原子力規制委員会が、首都直下地震の発生を想定した危機管理マニュアルに当たる事業継続計画(BCP)を発足から一年以上がたった現在も策定していないことが分かった。首都直下地震では、政府の中枢機能が停止する事態に備える必要がある。だが、現状では、規制委は地震で自らの組織の機能が失われることを想定できていない】
【現状のマニュアルは、規制委の機能が平時の状態を保っていることが前提になっている。規制委の庁舎は東京・六本木の民間ビル。事務局の規制庁の担当者は「震度6強~7の地震でも庁舎が倒壊する可能性は低い」と強調。庁舎が停電の長期化などで使用できない事態は想定してこなかったと説明】
【防災問題に詳しい室崎益輝(よしてる)・神戸大名誉教授は「原子力災害に備える規制委が、首都直下地震を十分に想定できていないのは問題だ。庁舎が損傷を免れても、情報通信の機能が停止すれば業務はできない。最悪の事態をイメージした危機管理の計画を立てることが不可欠だ」としている】

旧浜岡町、中部電からの“裏金”を山分け

中部電寄付の基金35億円 旧浜岡町、全区に合併の直前分配
東京新聞2014年1月9日1面(記事要約)
【 中部電力が旧浜岡町に寄付金として渡していたカネ35億円を「平成の大合併」といわれる隣接町・御前崎町と合併し、御前崎市になる2004年の直前に、町内全6地区に分配していたという話です。合併後の御前崎市は各地区でどう使われたかを把握していないというのです。これに対し、専門家は「公金の扱い方として放漫だ」と指摘。
 このカネ、1982年に3号機の増設に同意した際、旧浜岡町は条例を制定し(お手盛りともいう)地域自治振興基金を名付け、公表された寄付18億7000万円に、非公表の寄付(裏金ともいう)29億2800万円を受け取る約束を中電と交わしていたというのです。
 東京新聞が入手した当時の街の文書には、公表・非公表の寄付双方から計23億2512万円を基金に充てる計画が示され、82、83年に分け積んだと。基金は当初から各地区の持ち分として人口などに応じ12~27%の割合が決まっていたと。
 その後、まちの決算書によると98年に15億円を増額するなどして基金残高は35億円に達した。合併直前の2002、2003年に基金を取り崩し、全額を自分らで分配した(山分けともいう)。当時の割合でいくと各地区に4~9億円が分配された計算といいます。
 御前崎市の担当者、「市になってからは分配後の管理化していない」と。まさに裏金を山分けしたということです。
 東京新聞によると、各地区内にある自治会で分け合ったとのこと。ある地区では自治会費の収入の半分ほどが基金からの「補助」で占められ、自治会役員の手当てや“研修旅行”(物見遊山ともいう)などに使われたと言います。
 そういえば、先日の東京新聞にも茶畑の霜防止のためのカネを中部電力に“無心”し、中部電力はカネを渡したという記事が出ていました。】

細川元首相、都知事選候補に浮上 「脱原発」争点に
朝日新聞デジタル 1月9日(木)5時12分配信
【細川氏に近い複数の関係者によると、細川氏は周囲に「立候補は五分五分だ。勝ち負けじゃない」などと立候補の可能性を示唆している。選挙に出た場合に備え、選挙事務所や資金などの準備はほぼ整えているという。
 細川氏は、原発の再稼働や海外輸出を進める安倍政権を批判している。立候補した際には「脱原発」を最大の争点にする意向だ。このため、同じく「脱原発」を掲げる小泉氏との連携を重視。小泉氏からの支援を受けられるかどうか慎重に見極めている。
 民主党は細川氏に立候補を働きかけており、立候補した際には支援に回ることを検討している。ただ、細川氏は立候補する場合は無所属で出る考えという】

「健康にいい」のになぜ彼らは日本から逃げ出したのか

 下記は、福島第一原発爆発後に厚木基地から避難するアメリカ人たちの映像です。「同盟軍」であるアメリカ第7艦隊の原子力空母ジョージ・ワシントンが急きょ横須賀基地から出港したのは2011年3月21日。そして、トモダチ作戦として東北沖に救援に出向いていた同じくドナルド・レーガンも退避しました。その後、その乗組員たちは被曝によって健康被害を受けたと訴訟を起こしています。

 さて、都知事候補の田母神俊雄に聞きたい。日頃、「低線量放射線は身体に浴びたほうがいい。百薬の長だ」などと珍説を振りまいているあなた。米兵やその家族が日本から待避しようというとき、すぐに飛んでいて「こわがらなくてもいい、放射線は健康にいいのだから、むしろ得しましたね」ぐらい、言ってやったのかと。そしてその同じ言葉を、福島第一原発で作業している作業員の方たちや、福島県民に面と向かって言ったことがあるのか、と。

(右)厚木基地から緊急帰国する米軍家族
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Vls8wYXsKqw

http://onodekita.sblo.jp/article/80962175.html

「公表は新たな装置を導入して、信頼性が向上してから」だと!
 こんなでたらめが通るなら、今ある科学・技術などというものは存在意義をなくします。今現在与えられた環境のなかで最善を尽くすのが科学・技術だと思うのですが、やはり原子力マフィアは違います。すべては先送り、そもそもそんな先のことを気にしていたら原子力で金儲けはできないということなのでしょう。
 もし東電のいっていることが正しいとするのなら、昨年夏まで使っていた分析装置はよほどいい加減なもの。これまでの分析結果はウソだったということです。しかし今回は最近のデータを公表しないためのタメにする方便でしょう。「公表してはまずいものが検出されたから、隠せ」という彼らの「いつもの癖」が出たということ。

東電、ストロンチウム濃度公表せず…測定誤り?
読売新聞2014年1月9日07時29分 
【東京電力は8日、福島第一原子力発電所の港湾や井戸で海水や地下水を採取して調べている放射性ストロンチウムの濃度について、「測定結果に誤りがある可能性があり、公表できない」と発表した。
 海水などは定期的に採取して汚染状況を監視することになっており、放射性セシウムなどは毎週、濃度を分析して公表している。しかし、汚染水に含まれる主要な放射性物質の一つであるストロンチウムは、毎月分析することになっているが、昨年6月に採取した海水などの分析結果を最後に、半年近くも公表していなかった。
 東電によると、昨年夏まで使っていた装置の分析結果にばらつきがあり、信頼性に乏しかった。同9月に新たな装置を導入し、信頼性が向上したが、「旧装置と異なる分析結果になった原因を詳しく解明してから、新たな装置による結果を公表したい」と説明している】

作業員の被ばくデータきちんと把握していない!

作業員の健康情報共有 県と東電 長期の廃炉作業対応
福島民報 1月9日(木)9時9分配信
【東京電力福島第一原発で働く作業員の健康を守るため、福島県と東電は健康管理情報の共有化に乗り出す。東電が持つ作業員の被ばく線量などのデータと、県の県民健康管理調査結果を共有し、被ばく線量や健康状態を継続的に監視することなどを想定している。作業員の健康管理態勢を整備することで、長期に及ぶ福島第一原発事故の廃炉作業に対応する。佐藤雄平知事と東電の広瀬直己社長が8日、県庁で会談し、大筋で合意した。
 会談で佐藤知事は、多くの県民が従事する廃炉作業について、健康管理が重要と指摘。「作業員のおかげで次の将来がある。さまざまな健康管理の状況を提供してほしい」と述べ、情報共有化を提案した。広瀬社長は会談後、記者団に「きめ細かく健康を管理する上で情報共有は大事」と語り、県と連携する考えを示した。
 東電によると、第一原発で働く社員、協力企業の作業員は1日約3千人に上り、このうち半数以上が県民という。ただ、これまで東電から県に提供されてきた健康管理情報は、作業員全体の被ばく線量の分布状況のみで、一人一人のデータは把握できていなかった。
 県は県民健康管理調査の基本調査で、原発事故直後の外部被ばく線量を推計するシステムを構築している。作業時の被ばく線量が得られれば、事故直後から廃炉作業従事期間に至る被ばく状況を一元的に把握できる。
 作業員は退職後も県内で生活し、除染など新たな放射線業務に従事することも考えられる。県のデータに登録することで、電離放射線障害防止規則で定める被ばく線量限度(5年間で100ミリシーベルト)を超えないよう、継続的に被ばく状況を監視することが可能になるとみられる】

炉心溶融を実験で再現…原子力機構、事故対策へ
読売新聞2014年1月8日16時51分  

【日本原子力研究開発機構は、東日本大震災の際に東京電力福島第一原子力発電所で起きた炉心溶融(メルトダウン)を再現する小規模実験を、新年度に行う。
 事故の際、核燃料の過熱や溶融がいつごろ、どのように進んだのかは、これまで限られたデータを基にコンピューター計算で推定されただけで、不明な点が多い。実際の核燃料を冷却水のない「空だき」で過熱させる実験により、機構は「事故で起きた現象を明らかにして、今後の原発の事故対策に役立てたい」と話している。
 実験は、茨城県東海村にある原子炉安全性研究炉で行う。研究炉の中心部にステンレス製のカプセル(長さ1・2メートル)を入れ、ミニ燃料棒(同30センチ)1本を水に触れないようにして収める。カプセルの周囲の核燃料から飛んでくる中性子によって、ミニ燃料棒の中のウランも核分裂し、2000度以上の高温になって溶ける。
 機構によると、実際の原発で使う長さ約4・5メートルの燃料棒の束に比べて少量で、核分裂はすぐに止まり、溶けて数分後には冷えて固まるという。固まった燃料は分析した後、他の核燃料と同様に、敷地内のプールで冷やして保管する】

看板と包み紙を変えて同じものを売る

<東電>新ブランドで全国に電力販売へ…負のイメージ回避
毎日新聞 1月9日(木)7時5分配信
【東京電力が新総合特別事業計画(再建計画)で収益強化策の柱に位置づけた他電力管内での電力小売り事業(全国販売)について、東電とは別の新ブランドを設定する方針であることが8日、分かった。中部や関西地方など管外での電力供給に当たり、地域独占色が強く、福島第1原発事故で悪化した東電ブランドよりも、新ブランドで展開した方が顧客に受け入れられやすいと判断したと見られる。東電では2014年度に新ブランド名などを決めた上で社内組織を整備、営業活動を始める。
 ◇14年度から営業展開
 東電は新再建計画で電力小売り事業について「全国で一定のシェアを確保する」と明記。当初は管外の自家発電設備を持つ工場などから電気を購入し供給力を確保した上、14年度中に新ブランドで企業など大口需要家向けに営業活動を始める。将来的には管外に火力発電所を新設することも検討している。家庭向けには、電気とガスを一体で買ってもらうことで料金が割安になるプランなどを提案していく。東電が全国販売参入を急ぐのは顧客拡大で収益を増やさなければ、福島第1原発事故処理の費用が確保できず、再建も進まないため。
 ただ、今のように電力料金が大手電力の中で2番目に高い水準では競争力は乏しく顧客に受け入れられない。全国販売の実現には東電の発電コスト抑制に大きく影響する柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働の行方も焦点となりそうだ】

自民党、「不戦の誓い」削除 運動方針の最終案で
東京新聞2014年1月9日 00時51分
【自民党は8日、2014年運動方針の最終案を発表した。靖国神社参拝に関する項目で、原案に記した「不戦の誓いと平和国家の理念を貫くことを決意し」との表現を削り、新たに「(戦没者に対する)尊崇の念を高め」との文言を加えた。
 安倍晋三首相(党総裁)は昨年12月の参拝後に「不戦の誓いをした」と記者団に語っており、首相発言とは食い違う表現となった。「尊崇の念」は首相が参拝理由として繰り返し強調する言葉で、この部分では「安倍カラー」を強めた。
 方針最終案は19日の党大会で正式決定する。(共同)】

<安倍首相>「批判されても責任を果たす」靖国参拝巡り
毎日新聞 1月8日(水)23時56分配信
【安倍晋三首相は8日、BSフジの番組で、昨年末の靖国神社参拝について「国のために戦って倒れた英霊の冥福を祈り、手を合わせるのは世界共通のリーダーの姿勢だ。たとえ批判されることがあっても、当然の役割、責任を果たしていくべきだ」と述べ、中国や韓国の批判は当たらないとの認識を示した。「一国の指導者もお参りすることで(戦没者遺族の)気持ちも癒やされる。だからこそ多くの遺族は国のリーダーの参拝を望んでいる」とも述べた。
 靖国神社に代わる新たな無宗教の国立追悼施設の建設構想には「『今度はこっちですよ』ということが成り立つかどうか」と重ねて消極的な見解を示した】

普天間移設 米識者ら反対 「即時返還」沖縄を支持
東京新聞2014年1月8日 13時57分

【米国を中心とする海外の有識者や文化人ら二十九人が七日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古に移設する計画に反対する声明を発表した。ベトナム戦争をテーマとした映画「プラトーン」などで米アカデミー賞を受賞したオリバー・ストーン監督らが名を連ね「沖縄県内の新基地建設に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のために闘う沖縄の人々を支持する」と表明。普天間飛行場を即時・無条件で沖縄に返還すべきだと訴えた。
 声明には、ストーン氏のほか、北アイルランド紛争の解決に尽力したノーベル平和賞受賞者のマイレッド・マグワイア氏、言語哲学者ノーム・チョムスキー氏、ピュリツァー賞を受賞した知日派の歴史学者ジョン・ダワー氏、映画監督マイケル・ムーア氏ら世界的な著名人や識者が名を連ねた。
 声明では、普天間の辺野古移設について「人間と環境を犠牲にして沖縄の軍事植民地状態を深化し、拡大させる」と批判。米軍が沖縄戦の最中に住民の土地を奪って普天間飛行場をつくった経緯に触れ「終戦後、(沖縄に)返還されるべきだった。返還に条件がつくことは本来的に許されない」と述べた。
 県外移設を公約して再選された沖縄県の仲井真弘多知事が昨年末、辺野古の埋め立てを承認したことは「沖縄県民に対する裏切りだ」と非難した。安倍晋三首相が「経済振興をエサ」に仲井真氏から埋め立て承認を引き出したと述べた。
 さらに、米兵による犯罪や米軍機の騒音、環境汚染によって「戦後ずっと、沖縄の人々は米国の独立宣言が糾弾する『権力の乱用や強奪』に苦しめられ続けている」と指摘。普天間の辺野古移設は「沖縄の人々の苦しみを恒久化させることにもつながる」と非難した】

コラム紹介

山田昌弘・中大教授

「時代とともに変わる形態―日本の『伝統』家族」

毎日新聞 2014年01月08日 東京朝刊

 配偶者からではない精子提供による人工授精、同性婚など近年、「家族」というものの概念が大きく変わろうとしてきています。そんなおり、毎日新聞に山田昌弘中大教授(社会学)の「時代とともに変わる形態―日本の『伝統』家族」と題した一文が掲載されていました。

 安倍晋三が「日本を取り戻す」などと言い、何やら昔はよかったのにふうな雰囲気だけが漂い、それさえ手に入れることができれば社会、世界が変わるがごとくの言説(とまでいえない代物ですが)が巷に流布しています。そんな風潮のなか、あらためて確認するうえでと思い、紹介します。

 まず山田教授は、家族を研究していると「日本の伝統家族」と言ってもどの時代、どの地域を基準にするのかで変わってくると言います。

【結婚制度】

平安時代――「源氏物語」に描かれているように妻問婚(男が女のところに通い、子ができれば妻の実家で育てる)

鎌倉時代以降――結婚したら女性は男性の家に入る嫁入婚が一般化。しかし、富裕層では一夫多妻が普通(大奥が典型)

明治民法施行(1898年)――欧化のなかでキリスト教の伝統に従い一夫多妻が廃止。しかし、習慣としては根強く残っていた。

一夫一婦制定着――第2次大戦敗戦以後になってから。

【夫婦の姓】

 伝統的には、中国・韓国と同様、夫婦別姓

 明治維新後も夫婦別姓は続いていたが、明治民法制定時に、欧米の習慣に合わせて夫婦同姓に。「伝統日本の慣習は野蛮」と1000年以上続く伝統的な慣習を捨て、無理やり夫婦同姓に変えた。

したがって日本では夫婦同姓はたかだか100年の歴史しかない。

【性別役割分業】

「夫は外で仕事、妻は家事・育児」という性別役割分業は、さらに新しい。

戦前までほとんどの庶民は農家など自営業であり、男女が生産労働に従事。家事や育児は手のすいた人が片手間に行なっていた。裕福層は乳母や子守を雇って。

 専業主婦が一般化したのは19世紀の英国社会でありその後、世界へ広がった。

 日本では、戦後の高度経済成長期に米国のTVドラマの放映とともに普及(長くとっても50年ほどのもの)。

 専業主婦の本家本元である欧米社会では、1980年代に社会構造の転換とともに女性の社会進出が進む。それにより専業主婦は少数派に。

 欧米より遅れて専業主婦が一般化した日本では「夫は外で仕事、妻が家事育児」という分担が、あたかも伝統であるかのように言われていて、それにこだわる人がいるのは、学問的にみるとおかしいこと、と山田教授は指摘します。

「時代とともに家族形態は変わる。どの形態が良いとか悪いとかではない。日本でも時代に合わせて、家族に関わる制度や、税制や社会保障のあり方を変えることが必要になってきている」というのです。