原発通信638号 2014/02/18

「東電は基本的知識が欠けている」と田中委員長

 またまた田中俊一委員長から“きついおしかり”です。地球上の生きとし生きるものすべてに影響を与えてしまう原発。そんな重大なものを扱っている事業者が「基本的知識が欠けている」と言われたのです。なにもそれは「測定」に関してだけではないでしょう。よく言われていますが、電力会社は鍵を受け取って車を運転している運転手と同じと。要は、自分たちだけでは何もわからず、さりとて全体を評価できる「専門家」はいるかといったら――いないということが3.11後白日の下にさらけ出されてしまったのです。
 原発、原子力の専門家と言ったって、どこにもいない。いるのはタービンの専門家、パイプ材料の専門家、核分裂発生装置の材料はこっちがいいのではなどという些末な(?)ことを「研究」している学者センセイだけということが。
 じゃあ、核分裂発生装置をつくったメーカーはというと納品したらおしまい。責任があるわけでもなく、何か事が起きたらその対処法を売って商いにしている連中だけということも。
 昔から物事をよく理解している人は、やさしく説明できると言います。しかしこの世界の専門家たちは、自分がわかっていないから、やたら専門用語を駆使して、煙にまくことしかできない。そこまではよしとしても、ひどいのになると自分たち以外は「無知・無学の輩」と言い出す始末です。
 「知識もないくせにぎゃぎゃ騒いでいる。ベクレルとシーベルトも理解していないで騒いでいる」と、原発被災者を愚弄するような発言をした某国立大学教授もいました。騒音問題で悩んでいる人々に、デシベルや音の特性等を理解してから言え、知りもしないくせに文句を言うなというのと同じ。そういう輩に限って、専門性を振り回す一方で、専門以外のことを問われると「そちらの分野については詳しくない」などと逃げるのが得意です。
 昨日初会合を開いたという「廃炉・汚染水対策福島評議会」では、出席者から「政府や東電のメールは、難しい用語が多く分かりにくい」などと指摘があったとか。そんな連中が、再稼働をもくろんでいるのです。

「面倒くさいことが嫌いな」原子力ムラの住人

 先日も引用させていただいた鹿島茂さんの「悪の引用句辞典」から。
 鹿島さんは『漱石文明論集』のなかから「現代日本の開花」という一文を取り上げて書きます。
 夏目漱石は、文明開化の本質を、エネルギーをできる限り節約したいという消極的ベクトルと、エネルギーを大いに消費・発散したいという積極的ベクトルの合力であると定義したそうです。前者の節約定義を鹿島さんは自分流に定義すると「面倒くさいことは嫌いだ」と表現できるというのです。「面倒くさいことはせずに、楽しいことだけやっていたい」――これこそが文明開化の本質であるとも言います。そのことに世界で最も成功した国が日本であると。では、日本は幸せな国になったかというと疑問符がつく。何が問題だったのか。
「おそらく、『面倒くさいとはなんだろう?』とか、『楽しいこととはなんだろう?』と突き詰めて考えることなしに、つまり『哲学する』ことなしに、安易なレベルで二つを捉えて、それぞれ別個に邁進したからと思われる」と鹿島さんは言います。
「何でもいいから、他人あるいは自分と議論し、考えることが必要なのだが、やんぬるかな、日本の教育は『面倒くさいことは嫌いだ』の節約原理によって、この『考える』ということを真っ先に『面倒くさいこと』として放棄してしまったのである」と。
 そして、最後に「面倒くさい」と「楽しい」という二つの原理を「考える」という項で結ぶことを忘れると、それは亡国へとつながっていくと結論づけます。 
 この一節を読んでいて、何やら原子力ムラといわれる世界の住人たちのことが思い浮かびました。「で、その後どうなる…」「どうするの?」ということを考えることを、まさに「面倒くさいこと」として思考することをやめてしまった人たちが集まっている世界。「安易なレベル」と「節約原理」ですべて動いた、いや動いている人たちなのです。前項であげた大学人などのまったくその通りです。人には要求しても自分は「節約原理」でと。

【福島第1原発の現状】 過小評価、事故直後からか 第1原発の汚染水濃度
48NEWS  2014.2.18


【東京電力が福島第1原発の事故直後から昨年10月まで、汚染水の測定でストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質の濃度を過小評価して公表していた可能性があることが判明し、信頼性を損ないかねないなどと批判の声が出ている。
  田中俊一 (たなか・しゅんいち) 原子力規制委員長は会見で「東電には測定に関する基本的な知識が欠けている。指導、監督を強めていく」と語った。
 東電は6日、昨年夏に採取した汚染水で濃度の過小評価があったと公表。14日には汚染水や土壌などの試料167体で過小評価した可能性があることを明かした。
 昨年8月に発覚した地上タンクからの約300トンの汚染水漏れに関する試料も含まれており、最高8千万ベクレル検出という数値はさらに大きくなる可能性がある。
 東電は昨年7月、事故直後に高濃度汚染水の流出があった2号機海側で新たに掘った観測用井戸の水から、ストロンチウム90を含むベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり90万ベクレル検出されたと発表した。
 その後、9月にはストロンチウム90だけで同500万ベクレルを検出したが、5カ月後の今月6日まで公表しなかった。
 原子力規制庁が昨年、分析結果の報告を求めたが、東電はデータに疑義があり調査のため公表を見合わせると説明。
 今年1月の規制委作業部会で東電が「ストロンチウム90を過大評価している可能性がある」と報告すると、「説明の付かないデータが出たから公表しないというのはおかしい」「ベータ線を出す放射性物質の方が低く出ている可能性もある」と批判が相次いだ。
 調査の結果、3カ所ある分析施設の一つではストロンチウム90を過大評価していたが、別の施設ではベータ線を出す放射性物質を過小評価していたことが判明した。
 都合の悪いデータを隠していたとも受け取られかねない一連の経緯に、東電の 尾野昌之 (おの・まさゆき) 原子力・立地本部長代理は会見で「違う対応もあり得た。反省したい」と陳謝した。
 過小評価の原因は誤った測定方法だった。高濃度の汚染水の場合、薄めて測らないと検出器に入る放射線が多すぎて数え切れなくなるが、昨年10月に手順書を整えるまで対応が徹底されていなかったという。(共同通信)】

“わかりやすく”したら自分たちの存在価値がなくなってしまう
 難しくしておきたいのです。自分たちのやっていること、お湯を沸かしているだけといったら、何だということになってしまうでしょう。でも、物事をやさしく、わかりやすく伝えることはいくらでもできるのです。原理を探求せよとか、設計せよという話ではないのですから。現に、東電ができていることと言ったら汚染水がこぼれ出ないように堰をかさ上げしたり、別の入れ物(タンク)に移し替えたり、穴をふさいだりということだけなのですから。廃炉にいたってはまったくどうしていいかわからずにいるというのが現状でしょう。

廃炉、汚染水対策を説明 政府「福島評議会」設置し初会合
福島民報2014/02/18 09:10
【政府は17日、東京電力福島第一原発での廃炉作業と汚染水対策について県や同原発の周辺市町村などから意見を聞く「廃炉・汚染水対策福島評議会」を設置し、福島市のウェディングエルティで初会合を開いた。出席者からは分かりやすい情報発信を求める意見が相次いだ。
 県、市町村、経済団体などの代表ら約40人が出席した。座長を務める赤羽一嘉経済産業副大臣があいさつし、政府と東電が廃炉作業と汚染水対策の取り組み状況を説明した。
 出席者からは「原発でのトラブルを伝える政府や東電のメールは、難しい用語が多く分かりにくい」といった指摘などが出された】

原発周辺に廃炉技術拠点群 東電、整備構想示す
福島民友新聞 2月18日(火)11時29分配信
【政府の原子力災害現地対策本部が設置した福島・国際研究産業都市構想研究会は17日、福島市で2回目の会合を開き、東京電力が福島第1原発の廃炉技術開発を核として、国際会議の開催も視野に入れた拠点群を同原発周辺に整備する構想を示した。汚染廃材などをインフラ復旧用の資材に転用するためのリサイクル拠点の設置も盛り込んだ。
 廃炉技術開発を核とした拠点群は、東電が独自に整備する方針の廃炉技術開発センターのほか、産学官連携拠点や放射性物質の分析と研究施設の設置を検討。廃炉作業の促進に向け、国が楢葉町に整備する実物大の格納容器模擬設備「モックアップ施設」で開発した技術の実証を通し、地域産業への波及効果も狙う】

もんじゅ「点検計画ミス」公表遅れ 理事長、責任認める 福井
産経新聞 2月18日(火)7時55分配信
【高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)の点検計画の内容を確認作業中にもかかわらず、日本原子力研究開発機構が「完了した」と原子力規制委員会に報告した後、計画項目の誤記載が見つかった問題で、明らかになった公表遅れについて、原子力機構の松浦祥次郎理事長は17日、「私の瑕疵(かし)という批判は甘んじて受けないといけない」と述べ、自らの責任を認めた。
 松浦氏は「どういうミスか把握してから報告すべきだと考えていた」と釈明。今後の対応については、「可能な限り早くする」と理解を求めた。
 原子力機構は昨年11月19日、点検計画の見直し完了を規制委に報告したが、実際は前日の18日から計画の内容を確認中だった。29日に計画上での不適合項目を把握したが公表せず、松浦氏自身が幹部から報告を受けたのも、同日から約1カ月が経過した12月下旬だった。「完了」問題は年明けの規制委の指摘で初めて明らかになった。
 松浦氏は年初以降に続発した組織の不手際などに関し「現在は(担当者らの)処分を検討していない」と明言した。処分方法が未定の原子力PR館(旧アクアトム)の処遇については、「解体で検討している」と今後の方針を示した】

もんじゅ運転禁止命令、年度内解除とらわれず
福井新聞ONLINE 2月18日(火)8時2分配信

【文部科学省の桜田義孝副大臣は17日、点検漏れ問題で原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)を視察した。機構が目指す本年度内の命令解除が困難な状況について記者団に「期限ありきの対応ではなく、保全計画をしっかりと見直すことが大事だ」と述べ、年度内にとらわれないとした。
 桜田副大臣は、もんじゅ改革推進本部長として改革を統括する立場。昨年11月、規制委に見直しを報告した保全計画に誤記が相次いだことには「簡単なことをしっかりとやることだ。再度こういうことがないように」と苦言を呈した。処分については「機構が考えるべき問題だ」とした。
 政府が策定中のエネルギー基本計画で高速増殖炉実用化に向けたもんじゅの活用の見直しが検討されている点には「決まっているわけではない」と強調。「高速増殖炉は必要だ」とし、高レベル放射性廃棄物などの量を減らす減容化の研究と合わせて「両方すべきだ。政府内で検討して結論を出したい」と述べた。
 昨年11月以来の視察となった桜田副大臣は、保全計画の点検作業や非常用ディーゼル発電機の分解点検などを見た。この後、関西電力美浜原発も視察した】

もんじゅ計画見直し 「政府決定ではない」 視察の桜田文科副大臣 福井
産経新聞 2月18日(火)7時55分配信
【桜田義孝文部科学副大臣が17日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)を視察。政府のエネルギー基本計画に関し、自民党内でもんじゅの実用化に向けた研究計画を見直す方針を盛り込む方向で検討を進めていることについて、「政府で決まっているということではない」と述べた】

こんな問答をしている連中が「もんじゅ」を扱っているのです。
「宿題やる、やるって口で言っているだけじゃないか。やる気があるのか」的レベルの話。

もんじゅ点検漏れで改善策を報告 規制庁へ原子力機構
福井新聞(2014年2月17日午後5時56分)
【辻蔵副理事長は保全計画の再点検に向け▽理事長をトップとする「保全計画点検・改善小委員会」設置▽機器の点検業務と切り離し、保全計画のチェックに専念する専従チーム設置▽実効性のある作業要領の作成―などの改善策を説明。「現場とのコミュニケーションを積極的に図り、作業状況の把握に努める」と述べた。
 櫻田審議官は「保全計画は安全管理の基礎であり、計画がしっかりできていないと設備が安全かどうか確認する前提が成り立たない」と批判。小委員会や専従チームの設置については「有効だと思う」と評価した上で「体制を整えるだけでなく、きちんと運用する仕組みをつくることが大切だ」と注文をつけた。
 保全計画をめぐっては、原子力機構が原子力規制委員会に見直しを報告した後、11月中旬から今年1月上旬まで内容を点検した結果、点検頻度や方法が正しく記載されていないものなど約800件の誤記が見つかった】

原子力委員会人事、転倒した手続きの問題点
原子力資料情報室2014/02/17
 2014年2月14日
NPO法人 原子力資料情報室
 2月14日、政府が提示した原子力委員会の人事案(岡芳明委員長、中西友子委員、阿部信泰委員)が国会で承認された。我々は、この人事案についても問題があると考えているが、それ以前の問題として、現在、改組が検討されている原子力委員会の設置法改正案の国会への上程・可決以前に人事案が国会で提示され、可決されるという、現政府の手続き軽視の動きに懸念を表明する。
 原子力委員会は、委員定員が5人(常勤3人、非常勤2人)であるところ、現在は、それぞれ任期切れとなっている3名の委員(近藤駿介委員長(任期は2013年1月5日まで)、鈴木達治郎委員長代理(任期は2012年12月31日まで)、秋庭悦子委員(任期は2012年12月31日まで))が、後任者が選任されなかったために、職務を継続してきた。
 これまで、政府は原子力委員の任期が切れているにもかかわらず、原子力委員会はあり方を含めて検討中であるとして、人事案を国会に提示して来なかった。しかし、今国会上程予定の原子力委員会設置法改正案の提示や議論を経ることなく、現行の原子力委員会設置法の定数に満たない人事案を提示し、国会は同意した。
 そもそも、任期が切れているにもかかわらず、人事案を国会に提示して来なかったこと、さらに今回、原子力委員会設置法改正案すら示すこと無く、人事案を提示したことについて、政府は手続きを軽視しているというそしりを逃れることはできない。
 福島第一原発事故で市民の信頼を失った原子力行政において、適正手続の確保は、信頼を回復していくための最低限の要件であろう。政府は速やかに原子力委員会設置法の改正案を公表し、また原子力委員の適格性についても、市民に対して、明確に説明すべきである。

<福島第1原発事故>避難指示解除「来年春以降」の声47%
毎日新聞 2月18日(火)3時0分配信
【東京電力福島第1原発事故に伴い政府が福島県内11市町村に出している避難指示区域のうち、避難指示解除の準備が最も早く進んでいる田村市都路(みやこじ)地区の住民に望ましい解除時期を聞いたところ、「来春以降」と答えた世帯が47%に上ることが、毎日新聞のアンケートで分かった。政府などが目指す「今春」と答えた世帯は39%だった。再除染の約束などの条件付きの回答も目立った。政府と市は23日、住民説明会で、解除の日程を「4月1日」とする案を示す方針だが、政府は、地元との協議が整うことを避難指示解除の要件の一つに挙げており、住民の判断が注目される】


孫崎享氏のツイッターから

孫崎 享 ‏@magosaki_ukeru
そうなんですかRT「山本寅次郎「週刊新潮」は、ペンゴロ、すなわちペンを持ったゴロツキ集団みたいなもので、「朝日」やリベラル勢力叩けば売れると考えてる浅はかな編集部ですよ。ある意味で、イエロー週刊誌。読者も60代がメインだし、まともに相手しても……。若者相手に頑張って下さいよ。」
孫崎 享 ‏@magosaki_ukeru
安倍首相:最高裁判決なんて何のその。”俺の判断が最高裁判決の上だ”、18日朝日「安倍首相予算委員会で”昨年最高裁判決で違憲状態という判断がされたが、その後の区割り確定で一定評価。現在違憲状態が解消されたと考えている」。民主主義制度というものを全く理解してない。
孫崎 享 ‏@magosaki_ukeru
尖閣諸島:新潮45、朝日広告第一に「尖閣諸島”棚上げ論のまやかし。歴史を捏造する恥知らずな面々。大嘘の主犯。孫崎享元外務省国際情報局長の詐術を暴く!読んではいないが新潮45恥ずかしくないか。責任者栗山条約課長(後次官)橋本中国課長(後中国大使)文書で合意を記述。捏造は現在の政府


 「重要5項目」、ついに差し出します。
「守るべきものは守る」などと言っていたのはどこのどなた、いつのことだったか――。

TPP日米協議、譲歩案提示へ=重要5項目も対象―甘利担当相
時事通信 2月18日(火)9時42分配信
【甘利明TPP担当相は18日の閣議後記者会見で、環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐる日米協議に関して「5項目中の品目が一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」と述べ、コメや牛肉・豚肉などの重要5項目(586品目)も対象に関税引き下げなどの譲歩案を提示する考えを表明した。
 甘利担当相はまた、「日本側が米国側の主張に一方的に歩み寄ることは断じてない。あらゆる分野について日米双方が柔軟性を発揮して歩み寄るということだ」と指摘。TPP交渉の妥結に向けて日本側が譲歩するには、米側も日本の主張を柔軟に受け入れる必要があるとの立場を強調した。
 TPP交渉全般に関しては「どの国も金メダルを取れない。しかしどの国も入賞する」と語り、参加各国の譲歩によって共通の利益が得られるとの考えを示した】

TPP:重要5項目めぐり日米交渉に深い溝 
毎日新聞 2014年02月18日 04時00分(最終更新 02月18日 04時12分)

【環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の首席交渉官会合が17日、シンガポールで始まった。21日まで関税撤廃や知的財産など難航分野の意見調整を図る。一方、東京では18日から交渉に大きな影響力を持つ日米の事務レベル協議が本格スタートする。いずれも22~25日に開く閣僚会合での「実質合意」に道筋を付けることを目指すが、知的財産分野などをめぐる米国と新興国の対立は根深い。一方、関税撤廃では農産物重要5項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖)の例外化を求める日本に対し、米国は例外を認めない姿勢を崩していない。【宇田川恵】
 「お互いにカードを何枚か切っていくだろう」。甘利明TPP担当相は17日の記者会見で日米協議の焦点の関税撤廃問題について、日本側が「聖域」と位置づける農産品重要5項目も含む何らかの譲歩案を出す可能性を示唆した。関係筋によると、16日にワシントンで行われた甘利氏とフロマン米通商代表部(USTR)代表との会談では「(東京での事務レベル協議などを通じて)残された分野についてお互いが提案していくとの考えを共有した」という。
 日本としては重要5項目のうち国内農業への影響が少ない一部品目で何らかの妥協案を示し米側の理解を得たい考えと見られる。甘利氏は17日、「こういう場合はこうだと具体的な数字を出す」と述べる一方で「国会決議は尊重する」と5項目の関税は死守する姿勢を強調した。
 ただ、オバマ政権がTPPのメリットを米議会にアピールしようとすれば、「関税撤廃」の原則を安易には曲げられない。甘利氏が機中泊までして行ったフロマン代表との会談について、政府関係者は「閣僚がゼロ泊で急きょ、相手国の首都まで飛ぶなんて、相当深刻な状況」と説明。それでも「日米の立場は相当開いている」と明かす。
 その上で、日本以外の国は関税分野で「100%かそれに近い自由化率を示している」(交渉筋)と指摘。重要5項目に関わる全品目の関税を維持した場合自由化率が93.5%にとどまる日本が、関税分野の交渉で後手に回り、結果的に厳しい自由化を迫られる事態を懸念する】

消費税で“濡れ手で粟” 大企業が儲かる「輸出戻し税」の実態
日刊ゲンダイ2014年2月17日 掲載

湖東氏が推算した輸出上位10社の還付金増加額/(C)日刊ゲンダイ

【元静岡大教授で税理士の湖東京至氏がこう言う。
「消費税には、企業が商品を輸出した時点で、国内の部品仕入れや原材料の価格に含まれている税額分を企業に還付するシステムがあります。いわゆる『輸出戻し税』『還付金』と呼ばれるものですが、納めなければならない消費税額より、輸出販売分で戻ってくる税額の方が多いのが実態です。2012年度の予算で試算したところ、還付金の総額は約2兆5000億円あり、1兆円以上が輸出企業や商社など上位20社に流れていることが分かりました」】

【「5%」から「8%」になると、輸出上位10社の還付金がいくら増えるか、湖東氏が推算したのが別表だ。来年10月に10%に引き上げられると、現在の2倍の約5兆円が輸出企業に渡ることになるという
「輸出戻し税の最大の問題は“横領”を公認するような制度だということです。本来、税金の還付とは、サラリーマンの年末調整のように、自分で納めた税金を戻してもらうことを意味する。ところが、輸出戻し税は、他人が納めた税金を懐に入れてしまうことができる、巧妙なスキームなのです。例えば、自動車メーカーや商社が国内から部品を調達して商品を輸出すれば、実際には下請け企業が払った消費税が、自動車メーカーが納めたものと見なされ、還付されます。払ってもいない税金が戻ってくるなんて、濡れ手で粟みたいな話があってはいけません」(湖東京至氏)】

欧米メディアが次々に酷評 アベノミクスの「ジ・エンド」
日刊ゲンダイ2014年2月17日 掲載
【WSJ「安倍は韓国に学べ」
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は13日、「安倍首相は韓国経済に学べ」という社説を掲載した。その中身は安倍の経済政策の“酷評”といっていい。アベノミクスについて<円安(誘導)や時代遅れの財政刺激策で構成されている>とした上で、韓国企業はウォン高にもかかわらず国際市場で競争力を高めていると指摘。<アップルのライバルは日本企業ではなく、(韓国の)サムスン電子だ><韓国は戦後の日本の輸出主導モデルに従って工業化を果たした。かつての教師が生徒から教訓を学ぶ時が来た>とまで言い放った。
 WSJが社説でアベノミクス批判を唱えたのは、今回だけじゃない。1月28日には「貿易赤字の教訓―現実から乖離するアベノミクス」と題して<円安は輸出を促進し、これが企業の設備投資と賃金を促し、それによって国内消費が活性化されるはずだった。だが、この連鎖は実現しなかった>とバッサリ。今月4日にも「アベノミクスに懐疑的な見方が広がる株式市場」という見出しで、投資家が安倍政策を批判的にとらえ始めたと書いたのだ】

STAP細胞:「不自然な画像」指摘受け理研が論文を調査
毎日新聞 2014年02月15日 04時30分(最終更新 02月18日 10時58分)
【ネット上で「不自然な画像データが使われている」と指摘があり、理研広報室は14日、外部の専門家も加えて調査を始めたと明らかにした。理研は「研究成果そのものに問題はないと考えている」と説明する】
ネット上のさまざまなサイトで、▽論文の画像データの一部に操作した跡がある▽STAP細胞から作ったとする胎盤の写真が使い回しされている──などと指摘された。このため、理研は複数の専門家による調査を13日に開始した。結果はまとまり次第、公表する方針。
 理研は13~14日、小保方さんらに聞き取り調査も実施し、「現時点では研究成果は揺るぎないと判断しているが、外部から指摘があったため調査を始めた」と】

<STAP細胞>「画像」をネイチャーが調査
毎日新聞 2月18日(火)12時11分配信
【あらゆる細胞に変化できる万能細胞「STAP細胞=刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得細胞=」の作製成功を発表した理化学研究所など日米の研究チームの論文について、論文を掲載した英科学誌ネイチャーは18日、画像に不自然な点があるなどと指摘されている問題の調査に乗り出したことを明らかにした。
 STAP細胞は、小保方(おぼかた)晴子・理化学研究所研究ユニットリーダーを中心に作製した。しかし、STAP細胞が変化したとされるマウスの胎盤の写真が、別の条件で実験した写真に酷似しているなどと指摘されている。ネイチャーはホームページ(HP)上に、共同研究者のコメントや現時点で判明した情報などを紹介する記事を、17日付で公開した。
 記事によると、共同研究者で元理研チームリーダーの若山照彦・山梨大教授は写真が酷似していることを認め、「100枚以上の画像を小保方さんに送っており、混乱があったのではないか」と回答した。
 記事は、海外の複数の研究室で実験が再現できていない状況も報告しているが、若山教授は「私たちだけではSTAP細胞の作製は難しかったが、小保方さんに教えてもらい自力で成功した。だから結果は正しい」と話したという。小保方さんからは、現時点で回答がないと記載している】