原発通信 232号2012/06/11発行
6.8、9と連続して首相官邸前で抗議の声を挙げる! 原発再稼働──「これはあなたの国だけでなく人類に対する犯罪ですよ」 本通信161号にて、『トレイシー──日本兵捕虜秘密尋問所』(中田整一著、講談社)から、ナチスドイツの空軍大将ケスラーの言葉を引用しましたが、再度引用したいと思います。 「日本は世界中の他のどの国よりもその勇気と勇敢さを示してきたが、勇気と勇敢さだけでは地震に対抗することができないのと同じように、勇敢さは原子爆弾への対抗手段にはならないと思う。絶望的な戦争(原発再稼働と読み替えよう――引用者)を続けることは、あらゆるものを築き上げてきた祖先に対する罪だとは思わないか。今すべてが破壊されるのを許してはいけないのです。これはあなたの国だけでなく人類に対する犯罪ですよ」 ただし、野田首相が持っているのは「勇気と勇敢さ」ではなく、ただ原発を動かしたいという根拠なき無責任な「決意」と、勘違いの「決断力」ということです。 6月9日、前日の天気と打って変わってのあいにくの雨と風に見舞われましたが、首相官邸前での抗議行動に参加してきました。参加者からのアッピールと抗議ののち、抗議のウォークングに出発しようとすると、警備についていた機動隊から抗議の意思を表明しているゼッケン、プラカードを外せと、外さなければ通さないという妨害を受けました。「その法的根拠は何か」と主催者が問うても、当然ですが、答えられるわけがありません。答えに困った警察、機動隊は、なんと!「社会秩序を保つため」という思いつきの“理由”なるものを言ってきたのです。若干の押し問答ののち、警備の阻止線が破られ、抗議のウォーキングが開始しされ、首相官邸へ向け、「再稼働反対!」のコールと抗議の声が一段と高くなりました。 翌日のTBSサンデーモーニングで(珍しく、知ったぶりをする連中が出ていませんでした、一人を除いて)、法政大の田中優子氏も言っていましたが、反対の声を大きく上げていかないとなし崩し的に全原発再稼働に持っていかれると思います。「再稼働反対!」の声を挙げていきましょう! 精神論で語っているのは野田首相本人! ▶野田首相「精神論だけでやれぬ」=福井県同意に期待―大飯再稼働 【「精神論だけでやっていけるのかというと、やはり国民生活、経済への影響を考えて、万が一ブラックアウト(停電)が起これば、大変な悪影響が出る」と述べ、夏場の電力が不足した場合の国民生活などへの影響を重視したことを強調】 野田首相、勘違いも甚だしい。精神論で語っているのは野田首相、本人です。あの班目でさえ、維持だけでは不十分といっているのに、精神論で安全を確保しただの、私の責任でと言っています。 ▶大飯再稼働:政府、16日にも正式決定 【首相がメキシコで開かれる主要20日国・地域(G20)首脳会議に出発する17日までに決める方針で、16日にも閣僚会合が開かれる見通し】 まさに、「スケジュールありき」です。メキシコへ行って、頭を撫でてくれるのはオバマぐらいのものでしょう。笑いものにならなければいいのですが…。 ▶国会事故調委員長“再稼働”に疑問呈す 国会事故調の黒川清委員長、野田首相の再稼働宣言で、【「ぜひ国会から委託された独立した調査、その報告をしっかり見て、何も待たないで(再稼働を)やるのかなと。国家の信頼のメルトダウンが起こっているんじゃないのというのが私の感じです」と】。これが、フツーの考えでしょう。 ▶「拙速は避けるべき」と岡村日商会頭 大飯再稼動問題で 岡村日商会頭、【「一日も早い再稼動を望むが、あれだけ大きな事故の後なので、住民の理解が大事。拙速は避けるべきだ」と周辺住民の理解を最優先すべきとの考えを示した】 ▶<大飯再稼働>「福島の教訓どこへ」避難住民、怒りと落胆 【桜井勝延・南相馬市長は「再稼働ありきの結論で話にならない。『福島の復興なくして日本の再生はあり得ない』は、どこに行ったのだろう」と批判】 ▶「大飯原発再稼働は夏限定で」大阪が緊急声明 「大阪府市エネルギー戦略会議」・植田和弘座長【「再稼働を強行することは、安全をないがしろにし、福島の事故の教訓を全く無視するものであり、到底容認することができません」】 【声明では、9月の節電要請期間を過ぎた後は大飯原発の稼働を停止することや、事故が起きた場合、100キロ圏内の住民について避難対策を確立するよう求めています。また、新たに設ける原子力規制機関について、電力会社などからの出向を禁止し、独立性を確保するよう求めています。野田総理大臣が大飯原発の再稼働を表明したことについて、橋下市長は「夏だけ動かせば国民生活は守れる。守れないのは関西電力の利益だ」と批判】 ▶大飯原発、夏期限定の稼動でも住民生活は守れる=橋下・大阪市長 【「夏期限定の大飯の再稼働でも、十分に関西の府県民の生活は守ることができる」と】 ▶首相発言「ありがたい」=原発再稼働で―福井・おおい町長 【おおい町の時岡忍町長が同日、記者会見し「踏み込んだことを言っていただきありがたい」と】 福井県原子力専門委、大飯原発「安全確保」と“了承”するまでの茶番劇 主演:福井県原子力専門委員会一同とおおい町時岡町長 ▶大飯原発検証の県専門委開けず 傍聴者騒ぎ、委員退室 ▶福井県専門委、別室で始まる 大飯原発の安全性検討へ ▶大飯原発3、4号「安全は確保」 福井県専門委が報告書案了承 ▶県専門委報告は住民の安心材料 おおい町長、近く判断へ おおい町の時岡忍町長、【「安全が確保されていると評価されたことは、住民の安心につながる材料の一つと考えている」とのコメント】 おおい町以外の住民は安心していません。 SPEEDI、自民党政権時代に100億円も自分たちの懐に入れてしまって、役に立たなかったと「認定」 ▶<国会事故調>「官邸介入で混乱」福島原発の初動対応批判 【国会の事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は9日、当時首相だった菅直人氏や東電幹部らを聴取した結果などを踏まえ、主な論点についての見解を整理した。首相官邸の対応については「頻繁に(現場)介入を繰り返し、指揮命令系統を混乱させた」と指摘。事故現場に直接問い合わせるなど、過剰な介入があったとの認識を示した】 むしろ、問題は、その後のほう、SPEEDIの件の方が重大だと思います。 SPEEDI多くの被曝者を出してしまったことに関しての政府への批判については【「初動の避難指示に活用するのは困難だった」との見解を示した。理由としては「政府は100億円を超える予算を投入しながら測定地点の多数化・分散化を進めてこなかった」ためだとした】 つまり、自民党政権時代に、100億円も無駄遣いし、自分たちの懐に入れてしまって、何の役にも立たなかったと「認定した」ということです。だから、滋賀県の求めにも応じられない? 菅前首相、自分のブログで反論 ▶菅前首相「早く原発やめた方がコスト小さい」 ブログで再稼働の野田首相に反論 【菅前首相は9日朝のブログで、「原発を止めたままでは日本の経済は立ち行かない」とした野田首相に対し、脱原発でも「日本は立ち行く」として、脱原発を前提とした政策を考えるべきだ、と提言】 【「短期的には関電管内がかなり深刻だが、電力会社間の融通、省電力の徹底など国民の理解と協力があれば何とか乗り切れる」】 【「しかし、原発の運転を続けたときのすべての原発のコスト、つまり、電力会社の収支や電力料金だけでなく、核廃棄物の処理など、国として現在から将来に向けて必要となる全体のコストを考えると、早く原発をやめた方がコストは小さくて済む」と強調】 ▶<国会事故調>菅前首相「過剰介入」など論点整理に反論 【「過剰介入」で命令系統が混乱したとされたことには「官邸が直接関与したのは異例だが、東電も原子力安全・保安院も想定していなかった過酷事故が起き、官邸がそうせざるを得なかったのが現実だ」と説明。「原子炉への注水も東電単独では実行できォ?ず、自衛隊などに官邸が出動を要請した。保安院が機能しない中、直接対応せざるを得なかったと今でも考えている」と主張】 ▶東電の申し出「撤退と受け止め」 福山前官房副長官 【国会事故調査委員会で8日証言した東電の清水正孝前社長の発言に対し、「(発電所からの)撤退と東電が言ったか言わないかは大きな問題ではない。私らが全員、東電からの電話連絡で東電が撤退するのではないかと危機感を持って協議をした」と批判】 ▶東電の企業向け料金値上げ 抵抗に限界「諦め」の声 さすが、産経新聞、「シカタガナイ」と世論操作。 ▶原発事故知らず避難8割 国会事故調アンケート 【避難区域が設定された福島県双葉郡など12市町村の住民のうち、政府が昨年3月12日朝に10キロ圏の避難を指示する前、原発事故発生を知っていた住民は20%に満たないことが、国会事故調査委員会(黒川清委員長)のアンケートで9日分かった】 ▼寄せられた情報 かごしま・脱原発実行委員会より下記2本。 ▶変えよう鹿児島、いのちと暮らしが一番大事、さよなら原発、向原祥隆 動画の始めに写っている桜の花びらは、薩摩川内市の原子力発電所入口の桜並木に咲いた遺伝子異常の奇形の桜です。鹿児島で原発の危険性を20年も以前から訴え続けてきた向原祥隆さんが、鹿児島の県政を変えないと原発依存の体制は何時までも変わら無い事を指摘しています。そして何時か事故に繋がる事と、そうなっては手遅れになる事を指摘しています。それは私たちも皆が危惧していて、共感している事だと思います。 このたび向原祥隆さんは、「向原よしたか」として鹿児島県の地域行政に貢献しようと決心しました。あの3.11の福島の原発事故の様な悲惨な事を二度と起こさないために、変えよう!鹿児島をスローガンに、さよなら原発!、いのちと暮らしが一番大事!、と説いています。 このビデオでは、向原さんの素顔や出版社としての仕事のことや、気さくで素敵な人柄と鹿児島県政に関する考え方なども紹介しています。 BGMには、Kiki*(キキ)のオリジナルソング2曲(手をとシラソ)を挿入しています。 ビデオのシェアはもちろんのこと、お持ち帰りも自由です。是非よろしくお願いします。 ▶元スイス大使村田光平氏、細野環境・原発事故担当相に再稼働は「不道徳」とメッセージ 細野豪志環境・原発大臣殿 平成24年6月8日 村田光平 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 原子力に関していつも専門家より正しかった市民の直観で何点か指摘できることがあります。 再稼働問題は原発推進の日本の国策がついに世界を脅かす結果を招いたことを内外に示しました。国策ではではなくなったのにその体制は改められておりません。保安院の「最後のあがき」を容認していることがこれを立証いたしました。これからは推進体制の変革に世論の大合唱が起こると思われます。 2日前にある市民から寄せられたメールを紹介いたします。 「福島でなんとか子どもたちをこの夏休みに北海道に保養に行かせたいと必死な若い母親たちの声をたくさんききました。 母親は放射能からどうやって守ろうかと学校と孤軍奮闘、学校の給食の牛乳を飲めない人は福島から出て行けと言わんばかりの雰囲気、外で遊ぶこともできない子どもたちが荒れて、学校崩壊寸前、子どもの登校拒否、2月の末には母子心中も考えたというお母さんもいました。 福島からの帰りの飛行機の中です。私たちが帰札前に、札幌の事務所の電話は保養の問い合わせで鳴りっぱなしとの連絡が入りました。」 再稼働は今後益々表面化し出すこうした犠牲者の実態への配慮を全く欠くものです。不道徳です。 「政治生命より国民の生命を」と国民は叫びだしております。 福島の事故現場は温度の上昇等悪化が指摘されております。 電力会社との一蓮托生は政治家にとり致命傷になりつつあります。 再稼働の決定はその2か月後の実施を阻止する運動を招くことは必定と思われます。 来る8月までの脱原発政策の確立以外に日本の名誉挽回の道はなくなりました。 貴大臣のご理解とご尽力をお願い申し上げます。 敬具 | ||