原発通信 243号2012/06/25発行
![]() ![]() 「ハーメルンの笛吹き男」か橋下大阪市長、また吠える 「(戦いには)勝たないと意味ない」? じゃあ大飯原発再稼働のときは何? 毎日新聞6月24日付に大阪市の橋下市長の「増税プロセス反対」との記事がありました(下記)。消費税大増税のプロセスには大反対だと野田政権を批判したそうです。そして、「(戦いには)かたないと意味ない。いつそれがあるか分からないが、準備しておいてください。日本を変えましょう」と語ったそうです。そして、「民主党は『消費税は上げない』と言った。そこまで言って、増税に切り替えていいというなら、政治の絶体絶命のピンチだ」とも。「民主党」を「橋下徹大阪市長」に、「消費税値上げ」を「大飯原発再稼働を認めない」に「増税」を「再稼働」に変えて読むと、橋下氏の政治は絶体絶命との結論になるのですが、彼の頭ではそうならないようです。 しかも、「大飯原発再稼働反対」と言い切り、「夏のみの稼働を」という折衷案も無視され、橋下は実は電力会社とつながっていたのだという話が伝わっていることを学んでか、「消費税反対」とは言わず、そのプロセス(過程)に反対だと言っているのです。 ポピュリズムというか、アジテーターというか、その時その時の「空気」を掴むことにだけは長けているようです。 「ハーメルンの笛吹き男」に引きずられ、後で泣きを見ないようにしたいものです。 政治的アパシーを生み出した野田政権の罪は大きい いずれにしても、野田民主党政権の、余命は幾ばくも無いでしょう。自民党政治に愛想を尽かし、政権交代はなりましたが、それは一体なんだったのか。私たちが政権交代で期待したもの、そして裏切られたものとは何か。政権に就いたばかりの民主党の責任とは言えないものの、福島第一原発爆発事故が起こり、それらはいっこうに収束の道筋も見えていません。圧倒的な政治的アパシーを生み出した野田政権の罪は大きいです。自民党時代に戻るのか、さりとて、橋下の時代がかった「維新なんとか」にだまされ、翻弄されるのか。問われていることは前回の総選挙以上のものがあります。6.22以上の市民の力を結集して、野田政権に“ノー”を突きつけ、野田政権と原子力マフィアの息の根を止めようではありませんか。 そんななか、高速増殖炉「もんじゅ」訴訟の原告団事務局長を務めた「原子力発電に反対する福井県民会議」事務局長の小木曽美和子さんが24日、亡くなられたとのことです(享年76歳)。ご冥福をお祈りいたします。 ▶社説:原子力基本法 「安全保障目的」は不要 【審議で提案者の自民党議員は「安全保障」とは、核物質の軍事転用を防ぐ国際原子力機関(IAEA)の保障措置などを指すと答弁した。しかし、安全保障と保障措置とは意味が異なる。保障措置などを意味するならそう明記すればよい。 「我が国の安全保障に資する」との表現は、08年の宇宙基本法にも盛り込まれた。そして、20日には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)法から「平和目的に限る」との規定を削除し、安全保障目的で人工衛星などを開発できるように改正した】 当然です。本通信240号で報告したように、どさくさに紛れてというやり方です。しかも、その付則によって基本法を改正するというやり方は、姑息で、火事場泥棒と同じです。しかも、改正箇所を以前と比べられる表も付けなかったというのですから、何を考えているかは、言わずものがなです。 ▶風知草:目にも留まらぬ政治=山田孝男 山田氏も【別の法律の付則で基本法改定を決めてしまうという姑息(こそく)な形で】と指摘しています。 【3党合意直後の14日夕、自民党の合同部会で配られた法案要綱に焦点の文言は見えない】とも。 【「六ケ所村(の核燃料再処理工場=青森県)でしょう。脱原発が進めば、あの施設は意味を失う。核物質の軍事転用に備えるという意義を法律に入れておけば存続可能です。そう考えた自民党の議員と、手伝った役人がいたと思いますね」】とは、官僚の言だそうです。卑劣、卑怯、いくらでも当てはまります。要は、国民も、政治家もバカにされているということです。 「裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう」と言ったのは東京電力労働組合の新井行夫中央執行委員長ですが、国民を欺いた官僚・自民党議員(公明党、民社党も)には、報いをこうむってもらいましょう。 原発だんじり男・田中知が調査委員長だって ▶<福島原発>原子力学会が調査委 発生1年3カ月でやっと ようやくというか、後出しじゃんけんができるからというか【日本原子力学会は22日、東京電力福島第1原発事故の原因などを分析する調査委員会を設置することを決めた】そうです。 調査委員長には、私が「原発だんじり男」と命名した「勢いと気配り」をモットーとしている田中知(さとる)・東京大教授だそうです。結論はきっと「想定内」でしょう。「想定外」などということ想像もしたことがない連中に期待はできません。きっと東電と同じ、研究者としては精いっぱい「気配り」しながらやりましたマルってなもんでしょう。結論・結語はもう決まっています。それなりの理屈をどう立てるかでしょう、きっと。だって、彼のHPを見ると「学生さんとの議論」は好きだそうです。マフィア以外の専門家との議論はきっと苦手でしょうから。趣味の梅干しづくり、これからだというのに、まあ、がんばってください。 【「遅いとの批判もあろうが、廃炉作業の過程で判明する事実もある。今だからこそ俯瞰(ふかん)的に事故を見つめられる」と説明】したとのことですが、何を出し遅れの証文みたいなことを言っているんだと思います。お前ら「原子力の専門家」じゃなかったのかと。 ![]() 原子力ムラ=マフィアの「相関図」がありましたので貼っておきます。 相関図を引用した週刊現代の記事もアクセスして読んでみてください。 この記事では、【そんなに「安全」と言うのなら、テレビに出るのではなく原発ムラの科学者たちは現場へ行け!】との見出しで、マフィアの連中を糾弾しています。わたしも、本通信で田中教授、「原子炉主任技術者免状」「核燃料取扱主任者免状」をお持ちだそうなので、フクイチにスコップもって言ったらどうだと書きました。 ▶柏崎刈羽原発:再稼働 住民投票求め市民団体が署名集め 大阪、東京、静岡に続き、【柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、住民投票条例案の直接請求を目指す新潟市の市民団体「みんなで決める会」は23日、署名集めを始めた】 「ノープロブレム」となるかどうか?! ▶会計検査院、東電を検査へ…賠償・合理化にメス 「民間の企業が対象となるのは極めて異例」のことのようですが、【原発事故被害者への賠償費用として2兆4000億円超の資金援助も行われる。検査院は、投じられる公費が巨額な上、同機構が議決権の過半数を握り、下河辺和彦・同機構前運営委員長が東電会長に就くなど経営への国の関与が強くなることから、検査が不可欠だと判断した】とのこと。 しかし、注意しなければいけないのは、会計検査院が入って、「ノープロブレム」と幕引きになることです。 二枚舌外交と言われないように ▶APEC:エネルギー相会合 原発の重要性認識で一致へ 【日本からは枝野幸男経済産業相が出席し、福島原発事故や関西電力大飯原発の再稼働状況、「脱原発依存」を進めるエネルギー政策の見直しについて報告する。事故の経験をふまえ、原子力を進める各国に原発の安全面で貢献していく姿勢を示すとみられる。 採択される共同声明は、ロシアや米国など原発推進国の意向を反映した内容で、国内の「脱原発」方針と矛盾することになる日本政府は、苦しい立場となりそうだ】 ▶脱原発の争点、知事選に飛び火――鹿児島と山口 山口県知事選に出馬表明した飯田哲也氏、【日本中が閉塞感に覆われるなかで、故郷・山口から『脱官僚・脱中央・脱閉塞』による開かれたデモクラシー改革を通じて、『ほんとうに豊かな21 世紀の地域社会』を目指したい】と。 鹿児島県知事選真っ只中の向原よしたか氏とともに、応援していきたいと思います! ▶こんなときに「東電柏崎原発」再稼働計画かよ 日本も世界も変わったのに、変わらないのはこの国の中枢だけ(2) 【つまり東電は、停止または点検中の柏崎刈羽原発1~7号機(新潟県)を来春から「順次再起動」させるという前提のもとで事業計画を作成したわけだ。今年7月1日から家庭向け電気料金を10・28%値上げするというのも、原発再稼働が前提になっている。】 【柏崎刈羽原発はこれまで何度もトラブルが報じられてきた〝不良施設〟であることを忘れてはいけない】 東大名誉教授の井野博満氏、【「東日本大震災でマグニチュード(M)9・0が記録されたばかりだというのに、東電が柏崎刈羽原発で想定している地震はM7クラス止まりです。(中略)彼らは『地震の想定はM7であり、原子炉はそれに耐えられる』としか言わないのです」】 【この事業計画が銀行の意にかなったものということは、東電の主要取引銀行である三井住友銀行のコメントからも明らかだ】 【〈東京電力の総合特別事業計画が政府によって認定されたことを踏まえれば、計画の確実な履行という観点から、政府をはじめとする関係機関において、万全の取り組みを進めて頂くことを期待している〉 持って回った言い方だが、要は銀行も原発の再稼働に賛成、期待しているということなのである】 では、事故後、いくらほど東電に貸しているのか、確認しよう。 融資額 • 三井住友銀行:6000億円 • みずほコーポレート銀行:5000億円 • 三菱東京UFJ銀行:3000億円 東電が破綻すれば、当然それらの融資は焦げ付く。 ▶原子力発電所、米国から日本への警告 民主主義が実現できない国に運営する資格はない 運転停止したハンフォードサイトの核兵器製造用原子炉。しかし、【同サイト内に捨てられた放射性廃棄物から出続けている放射能の除染作業をするため】に【年間で20億ドル(約1600億円)。さらに国立研究所の研究費用として10億ドル(800億円)の合計30億ドル(約2400億円)が国家予算として毎年計上され、この荒涼とした土地に注ぎ込まれている】そうです。 また、原発建設が完全に放棄されたサットソップの事案も報告。 野田首相は45人しか集められなかったと言います。 ▶首相の地元・船橋で再稼働反対デモ 約2千人参加と発表 【再稼働撤回を求める市民らが24日、野田佳彦首相の地元、千葉県船橋市でデモ】 2000人が参加したとのことです。 先日の抗議行動で、船橋から来た方が発言していましたが、野田が船橋駅等で「演説」したときは、45人しか集まらなかったそうです。 福島産魚介:タコと貝、震災以来1年3カ月ぶり店頭に 【販売されたのは、相馬双葉漁協の漁船が22日に取ったミズダコ、ヤナギダコ、シライトマキバイ(ツブ貝)の3種類。食品スーパーのヨークベニマル(本社・同県郡山市)が漁協の地元、相馬市の2店に並べた。県漁連の放射性物質検査ではいずれも不検出(検出限界値は1キロ当たり5~7ベクレル)で、店頭には検査結果と捕獲海域を示す地図も掲示した】 キノコ原木295万本不足 全国一の福島出荷できず 【県外出荷量が全国一だった福島県産のキノコの原木が東京電力福島第1原発事故の影響で出荷できず、来春の菌の植え付けには20都府県で計約295万本分足りないことが24日、林野庁の5月末時点の調査で分かった】 在特会と笑点のテーマ - 6.22首相官邸前抗議 6.22、なんで〈笑点のテーマソング〉が流れているのかなと思っていたら、なるほど、そういうことでしたか。「僕らの見方原子力」「原発の火が消えませんように」だって。 http://www.youtube.com/watch?v=gLCXg-6xWQA ▼トンデモナイ話 維新の会:国政進出への意欲示す 橋下市長「政治塾」で 【23日、維新が主宰する「維新政治塾」であいさつし、「自民、民主、公明がやろうとしている(消費税の)増税のプロセスには大反対だ」などと、消費増税法案などを巡る政権運営を強く批判した。また、「(戦いには)勝たないと意味ない。いつそれがあるか分からないが、準備しておいてください。日本を変えましょう」と、国政進出への意欲を示した】(東京版本紙とは見出しが違っています) <大阪・公募区長>ツイッターで不適切発言 大阪市浪速区の公募区長として就任予定の経営コンサルタント会社社長・玉置賢司氏(45)、【「近頃の日本は右翼があかん政治家を殺したりせえへんようになった。今の時代に殺す必要は無いのかもしれんけど、菅直人は正直殴ったらなあかんと思っている。SPの人には悪いけど私の前に来たら必ず殴ります。たとえ懲役に行くことになったとしても。覚悟しとけよ。ボンクラ政治家よ!」と書き込んだ】 このままでは、ルサンチマンの一大潮流になってしまいます。 ▼今後の予定 ◆7・16「さようなら原発10万人集会」 • 日時:7月16日(月・休)11:00~ • 会場:東京・代々木公園B地区全体(サッカー場、イベント広場、ケヤキ並木周辺) http://sayonara-nukes.org/2012/06/0716sayonara_nukes/ ◆7.29脱原発国会大包囲 • 日時:2012年7月29日(日) • 集会開始:15:30 デモ出発:16:30 • 19:00:国会包囲(集会 /キャンドル・チェーン) • 集合場所:日比谷公園中幸門(日比谷公会堂裏) • 主催:首都圏反原発連合 • 協力:さようなら原発1000万人アクション / 原発をなくす全国連絡会 / ザ・アトミックカフェ/ 脱原発世界会議 / WISE Amsterdam | ||