原発通信 244号2012/06/26発行
![]() ![]() 政府事故調、「菅氏誤解」というのだけれど なぜ伝えられなかったのかが問題なのでは? 政府事故調の報告書は、「福島第一から職員・作業員が撤退」との情報で混乱した、いや菅が怒鳴り込んできたから現場は委縮して遅れたというシナリオで、この点は民間・国会事故調と同じのようです。しかし、これを報じる毎日新聞の記事、同記事の解説(下記)を読む限り、どうも解せないのです。 普通は、知っているのに言わなかった、聞いたのに、上のものに伝えなかったことが問題になると思うのですが、情報があがってこなかった方が悪いと言っているのです。しかも、同「解説」では、「とはいえ、官邸の情報共有不足は危機管理上許されない」などとわかりきったこと、知ったかぶりしたもの言いなのです。なぜ、そうなったのかということを追及するのが本筋だと思うのです。 これは、投資銀行など、博打経済を煽り、金融工学とやらを駆使して詐欺を働いていた連中の言いぐさと同じに聞こえます。自分たちだけがリスク(まずいこと)を知っておきながら、「お客」にはうまい話だけをして、大損すれば、だまされた方(あなた)が悪いんだと開き直っている輩と同じです。情報をいつ、どのように、正確なものかどうかを含めてして「開示」しているかどうかです。それもしないで、一方だけに責があるというのはどうなのか。こんな論理を許したら、言い逃れを助長させるだけです。 下記に紹介する、チャレンジャー爆発事故調査委員だったファインマン教授の件を持ち出すまでもないと思うのですが、いかがなものでしょうか。 ▶3・11後のサイエンス:ご冗談でしょう、野田さん=青野由利 本通信218号で、ノーベル賞受賞者である米国の科学者でチャレンジャー爆発事故調査委員だったファインマン教授のことを紹介しましたが、連載記事「3.11以後のサイエンス」を書いている青野由利専門編集委員が毎日新聞今日付の同記事に書いています。タイトルは、ファインマン氏の、『ご冗談でしょう、ファインマンさん』を拝借して、「ご冗談でしょう、野田さん」です。 しかし、ファインマンさんのタイトルを使うのが失礼なくらいの野田首相です。ファインマン氏は、チャレンジャーの事故調査委員に任命された時、他の仕事をすべてキャンセルして取り組みました。調査委員会に諮らず技術者に話を聞きに行き、自分でも実験し、その結果、Oリングが欠陥だったと指摘、NASAの組織的文化も事故の背景にあると指摘しました。そこには学者・研究者としての事実に対しての真摯な姿勢がありました。それに比べ、原子力村、原子力マフィアの連中ときたら…。それを“鵜呑みにする”野田首相ら。冗談も休み休みしてくれです。 ファインマン氏の著作『困ります、ファインマンさん』(チャレンジャー事故調査のことなどのことが書かれています)を読んだのは、だいぶ前、手術入院したとき、こんな科学者がいるのだと面白く読んだことを覚えています。 ▶官邸前4万5000人の衝撃 野田首相にトドメ刺す市民デモ地獄 【国民が怒るのも当然だ。大マスコミの世論調査でも「再稼働を急ぐな」の声は7割に達している。それなのに、野田首相は「国民生活を守るため」とヘリクツをこねて、勝手に再稼働に突っ走った。おまけに、稼働準備が始まっている大飯原発では、不気味なトラブルが頻発している。19日には発電機の冷却水の水位が下がって警報音が鳴り響いたばかりだが、24日も、送電異常を知らせる警報が26回も鳴った】 【今回のデモを、国内メディアの多くは無視(中略) 実際、海外メディアもデモを報じたのに、日本でまともに報じたTVはテレビ朝日くらい。4万5000人が官邸を包囲したのに、NHKも報じないのだからア然だ】 そう、先に書きましたが、NHKは18人のイベントは報じてもです。 ▶福島第1原発:核燃料仮置き施設を建設へ 【政府と東京電力は25日、福島第1原発の廃炉作業について検討する中長期対策会議を開き、1~4号機の使用済み核燃料プールの燃料を保管するため、敷地内にある共用プール内の燃料を移送する仮置き施設を建設することを決めた。来月中旬にも着工し、今年末以降、共用プールの燃料を順次移送する。その空きスペースに、1~4号機プールの燃料3108本を保管する】 要は、そうしないと、安心できないということ。しかし、小出さんも言っていますが、どうやって、今のプールから移送するかです。まかり間違えば、ジ・エンド…。それだけは勘弁してほしいものですが……。 ▶社説:使用済み核燃料 直接処分に道筋つけよ 日本は、「核燃料サイクル」にこだわり続けて、「現実に即して見直す努力がなされてこなかった」とし、今後、どのような道を選ぶのか、それは政治の責任だと言います。そして、原燃などの責任は当然としつつ、「受益者も使用済み核燃料保管の責任の一端を担うことはできないか」というのですが、先日、奈良県知事の「発案」を報告しましたが、核燃料、「消し炭」ではないのです。どこへでも持って行ってというものではないのです。このことが原発の根本問題で、動かしてしまった限り、どうするか、今のところ答がないし、見ないふりをして再稼働したのが野田政権なのです。ほんと、どうしたらいいのでしょうか。今後、10万年、御守を誰が、どのようにしたらいいのでしょう。 ▶「原子力の重要性認識」=枝野経産相、原発利用を表明―APECエネルギー相会合 【枝野幸男経済産業相は「脱原発依存」の政府方針は「直ちに実現することはできない」と指摘。その上で、電力の需給とコスト、エネルギー安全保障の観点から「当面は原子力も利用する」と表明】 あっちでいい顔、こっちでいい顔。最後は首が回らなく、いや首がつながらなくなるのです。枝野さんの余命もそう長くはないでしょう。まあ心配することはないでしょう、弁護士さんなので、喰うには困らないです。 ▶原発再稼働で「橋下さんはヘタ打った」と大阪府市の元ブレーン・飯田哲也氏 【橋下市長が再稼働に舵を切った当時、大阪府市の特別顧問に就いていた飯田哲也(てつなり)氏は、何でそういう話を持ち出したのか、理解不能だったという。そして、その後の橋下市長との話し合いを振り返り、自身が6月15日付で顧問を辞めたいきさつをこう語る】 【松井さんは「電力は足りるんだね」と言ってくれたんですが、橋下さんは「もう足りる、足りないという話はモードとして終わったんでね」と言ったんです。私は「あれ?」と思いました。終わるどころか、その話はいちばん重要なので、なんでそういうことを】 【私自身は、橋下さんに幻滅したというより、「センス悪いな」と感じましたね。結果として橋下さんはこれで評価を落とした。官邸はどうせ押し切ってくるのだから、橋下さんは最後の最後まで「再稼働は認められない」と頑張ればよかったんです。それが正しいし、ポピュリズムの見地から見ても橋下さんの人気はもっと高まったでしょう】 というのですが、橋下市長、学生時代に売っていた革ジャンの話以前、本通信で紹介しましたが、みんな人が悪いんだと言っちゃう人ですから、自分がまずいことしたなどと気付くこともないでしょう。 ふつうは、こういうことは事実を伝えなかった方が悪いというのでは。 ▶<政府事故調>「菅氏誤解」の最終報告書案 東電撤退検討 この記事も、真意がよくわかりません。東電が撤退しませんよと言っているのに、菅が勝手に撤退すると思い込んで、騒いだというニュアンスです。でもよく読むと、【危機的状況で退避検討のきっかけとなった2号機が峠を越し退避の必要がなくなったのに、官邸の連携不足で菅氏らに伝わらず】、当時の清水東電社長は【「退避しても必要な作業員を残す」と明確に伝えていなかった】、【2号機が危機的状況を脱したとの情報は、官邸地下には同時に伝えられたが、菅前首相らがいた官邸5階には即時に伝わらなかった】というのです。 要は、菅首相に、事実が伝わっていない、それも東電社長の清水も伝えていないというのですから、伝えなかった方に問題があると読めるのですが、私の読解力がないのでしょうか。 この記事の「解説」が本紙にあります。「官邸側に情報共有不足」とのタイトルです。 これもよくわかりません、官邸が情報を集めていなかったからだというニュアンスなのですが、読むと、東電の説明不足が原因で、なかなか本当のことが伝わってこないので菅首相が、真意を糺す為に清水社長を官邸に呼びつけたというのです。そして、その後、対策統合本部を設置して情報共有が円滑になった、「けがの功名」だというのです。 これも、きちんとしない、言わない、情報を隠している東電が糾されて当然なのに、菅官邸側が悪いとなるのです。これも、私の読解力がないからでしょうか。 ▶<志賀原発>住民らが運転差し止め求め提訴 北陸電相手取り 毎日新聞:記事一覧2012年6月26日(火)10時53分配信 【訴状では、想定外の揺れに見舞われた東日本大震災を受け、「現行の原発の耐震指針には深刻な瑕疵がある」とし、志賀原発周辺の複数の活断層が連動して動く可能性を想定していない▽専門家が直近にある「富来(とぎ)川南岸断層」を活断層と評価したのに考慮していない】と、石川、富山両県の住民ら120人が26日、北陸電(富山市)を相手取り運転差し止めを求めて金沢地裁に提訴。 ▶浜岡原発:津波対策不十分、知事「再稼働の条件皆無」/静岡 川勝平太知事、【「浜岡原発は特別だと思っている。津波対策などが不十分で、現在の状況では再稼働できる条件は皆無だ」と】 原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶福島第1原発:4号機外壁の耐震性「問題ない」 東電 【東京電力は25日、福島第1原発4号機の原子炉建屋の外壁が水素爆発の影響で膨らんだことに伴う耐震性について、「問題はない」との報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出】 崩壊するときまで、ノープロブレムです。崩壊したとき「想定を超える状況であった」と、すまし顔で言う? その時、誰が聞いているのでしょうか…。 ▶トンデモナイ話 〽もう終わりだと、まさかそれはウソでしょ とリリーは歌っていましたが きょう午後、衆院本会議で、野田首相の言う税と社会保障の一体改革と称する消費税値上げ法案等が民主党野田一派と自民党、公明党の野合で成立しました。何から何まであべこべの動きでした。自分のところの意思一致は後回し、よその家と話をつけ、まるで自分の家の意見がそうであるかのようにふるまい、最後に「わが家」に戻ってきて、「心から、心から、心から」と、“心にもないセルフ”を白々しく吐き、勘違いのまま行ったのか、はたまた、ただのお調子者なのか、いずれにしてももう民主党はないということだけははっきりしたでしょう。私、民主党にもう入れません。長妻さん、もうあなたの名前を書くことはないでしょう。と言って、どこに入れるべきなのか…。 多くの国民がそう思っているのでしょう。罪な野田首相です。「決める政治」と息巻いたのはいいのですが、とんだ方向違い、いや、知ってのことだとするならなおさら罪は重いです。 ▶<消費増税法案>衆院通過 民主造反者は約70人 【26日午後の衆院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数により可決され、衆院を通過した。消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる消費増税法案の採決結果は賛成363票、反対96票だった】 | ||