原発通信 263号2012/07/23発行
![]() 再稼働反対抗議行動全国に波及 この春から始まった首相官邸前での再稼働抗議集会が回を追うごとに拡大し、毎週数万もの市民が集まり行動を展開しています。それに呼応して全国各地で再稼働反対抗議行動が展開されています。毎日新聞によると、東海第2原発再稼働中止を求めて、原電茨城総合事務所が入る水戸市笠原町のビル前や、富山市でも行われるようになってきたとのことです。 こうした抗議行動に、従来の思考方法しか持ち合わせていない民主党政権のある閣僚は「すごい組織力だね」などと、目下展開されている市民の抗議行動の本質を掴めないで、誰かにそそのかされているかのような反応を示したそうです(毎日新聞7月22日付論点 辻元清美さん寄稿)。辻元さん、それに対して「違うよ、個人の意思の集積だよ。認識のズレに愕然とした」と語ったようですが、辻元さん、あなたもくれぐれも「認識のズレに」ご注意のうえ、民主党内で健闘してください。「ピープルパワーも、政治もいま問われている」などと、どこか他人事のように言わないで。あなたが議員でなければ、頷いたかもしれませんが、あなたはいま民主党の国会議員なのですから。 議会では議席数によって質問時間が加減されるのに、原発聴取会は「公平」です。 電力会社、原子力関係機関の人が、社を代表して聴取会で原発をどんどんつくったほうが安全だとか、言いたい放題です。それも社の命令下で行ったことまでばれてしまいました(下記)。そもそも、応募者のほとんどが「依存率ゼロ」だというのに、「公平」にも発言者はそれぞれ同数といいます。議会では、議員数に応じて持ち時間が配分しているというのにです。それが民主主義というのなら、各党、各会派、公平に平等にしてからやってほしいものです。 TBSサンデーモーニングでの寺島実郎の醜態 22日のサンデーモーニングでの寺島の発言です。 聴取会などの話がメインだったのですが、寺島、もう言い訳する方法がなくなったのか、「今福島で事故対応で現場でがんばっている人たちのことを」などと、日本人お得意の、こうなったら浪花節、泣き落としということなのでしょう。いつもは、論理だ、なんだと分かったふりしているくせにです。そして首相官邸前での抗議行動、「善意と良心の運動」だけではだめだといいたい放題。他の参加者からも同意されず、バツが悪そうでした。番組の最後、早く終わらないかと、目はうつろ、キョロキョロ、分厚いシステム手帳はさっさと閉じるは、高そうなペンは仕舞うはと体つきに似合わず落ち着きがありませんでした。いつのも自信たっぷりに「ある種の…」「きのうまでアメリカにいましたが…、向こうの人と話してみて…」などという自慢話はなく、ヤキがまわった醜態をさらしていました。 ▶東海第2原発:再稼働中止、廃炉を 原電事務所前、初の抗議行動/茨城 ▶抗議デモ:富山でも原発再稼働反対 「関心高まり」/富山 ▶福島第1原発事故 線量計に鉛カバー指示 東電下請け、被ばく隠し工作 【東京電力が発注した福島第1原発事故の収束作業を巡り、下請け会社の役員が作業員に対し、放射線の線量計を鉛のカバーで覆うよう指示していたことが分かった。労働安全衛生法の規則で上限が決まっている作業員の被ばく線量を少なく見せかけるための工作とみられ、厚生労働省は同法違反の疑いがあるとして調査を始めた】そうです。 このようなことは、「想定内」のことです。そんな規則通りにやっていたら、人はいなくなってしまう(つまりそれほどの高線量下での作業=仕事だということです)ということは、以前から危惧されていたことですから。ここにも原発労働に実態があります。 ▶<EU>原発の安全評価に不備 保有全14カ国 【欧州連合(EU)の原発の安全評価(ストレステスト)で、安全評価を統括するEUの原子力安全規制当局者グループは評価を数年間継続して実施する方針を固めた。各国が出した評価に対し、他国の専門家による安全性相互評価(ピアレビュー)を実施した結果、問題点が次々と指摘され、「解決まで2~3年」かかる事例も判明したためだ。原発は停止しないが、安全性向上に継続的に取り組む必要があると判断した】 どこの原子力マフィアも、いい加減だということの証明です。 ドイツ:EUの求めた重大自然災害への耐性検査を実施していなかった。地震の耐性基準も国際原子力機関(IAEA)の標準に合わず、数値も不明確でやり直しの必要を指摘 フランス:重大事故対策で耐震性考慮が不十分 ブルガリア:「移動電源車2台が確保できれば安全」など条件が付く例 などが続出したからだそうです。 ▶転換の時に 川勝・静岡県知事に聞く 国難の時こそ転換を 【これまでのエネルギーは一極集中依存型でしたよね。静岡県は東京電力と中部電力に依存してるんですが、富士川より東側は東電。大震災後の計画停電ではひどい目に遭いました。伊豆半島だけでも(宿泊客が)数十万キャンセルです。冷蔵庫が使えないから旅館は料理ができない。ですから、地域の特性を生かしてエネルギーを地産地消しなくちゃいけないんです。静岡は太陽(日照時間)が日本一なんですよ。太陽光やりましょうって言ったら、ものすごく早い。2010年から11年にかけて(太陽光発電設置件数の)伸び率は157%、日本一です。それから遠州灘は風が強いから、風力もあります。山が(県土の)3分の2を占めてますから、小水力もですね。ちょっとした水力で電気を起こせる。それらを結びつける、いわゆるエネルギーミックスの研究もします】 ▶風知草:意見聴取会の激白=山田孝男 例の「放射能の直接的な影響で亡くなった方は(福島原発事故の場合)一人もいらっしゃいません。5年、10年たっても状況は変わらないと思います。疫学のデータから見てまぎれもない事実です。5年、10年たてばわかります」といった中部電力社員の発言、もっとトンデモナイ発言をしていたようです。 【「実質的な福島の被害って何でしょう。警戒区域設定で家や仕事を失ったり、過剰な食品安全基準値の設定で作物が売れなくなるなど、経済的な影響が安全や生命を侵してしまっている事例だと思います」 「経済が冷え込み、企業の国際競争力が低下すれば福島事故以上か、それ以上のことが起きると考えています」】 【原発を動かさなければもっとひどい事故が起きるという主張は常識を超える。カネさえ回れば万事解決という確信も疑問だが、「成長なくして幸福なし」という感覚は経済大国のエスタブリッシュメントに共通する本音だろう。 そんな幸福観とは相いれない意見陳述が多かった。名古屋で発表した東京の大学生はこう語って拍手を浴びた。 「なぜ、経済成長が前提になるのでしょう。人口が減り、生産人口はさらに早く減るのに国内のモノやサービスを増やす必要があるでしょうか。欲しいときに欲しいものが、どこでも手に入る大量消費、大量生産の社会は本当に心豊かな社会と言えるでしょうか……」 経済より脱原発か、脱原発より経済か。渡る世間はカネ次第か、そうでないか。明日の幸福観をめぐる論争は歴史的な要請に違いない】 毎日新聞の山田孝男さんも、原発とは、何のことはない、あれやこれや言っていても、要はカネだけと喝破しています。 ▶エネルギー意見聴取会:電力関係者の発言除外…札幌・大阪 【大阪、札幌両市で開いた。電力会社や関連会社社員の意見表明を認めない方針を決めた後で初の開催。両会場で事前に抽選で選ばれていた電力会社関係者4人(大阪3人、札幌1人)が意見表明者から除外され】たそうですが、これで「公平」などと誰も思わないでしょう。 国会でも質問時間は議席数に比例して配分されているのに、まあ、なんとも原発に関しては「公平」なものです。 ▶野田首相:「決める政治、果敢に」…母校・早大で講演 【消費増税法案や原発再稼働をめぐり世論が割れていることについて「万人が一緒になることはそう簡単にはない。批判を受けながらも、やらなければならないことは貫きたい」と強調】 【何かを先にしなければいけないということが、問題解決を先送りしてきた最大の要因】 勘違いもここまでくると、処置なしです。退場していただく以外に「選択肢」はありません。 ▶<鳩山元首相>原発再稼働抗議デモに参加 冷ややかな反応も パフォーマンス、今頃になって、首相になって国連での発言はどうするなどいろいろあるでしょう。はっきり言えることは、脱原発という世論の高まり、無視できなくなって来たなあと思い始めてきているということでは。 ▶雨の中、官邸前抗議 参加者約9万人と主催者 北海道新聞(07/20 21:21、07/21 00:22 更新) ▶鳩山氏、雨がっぱで反原発デモに…拡声機握る ▶恒例の脱原発抗議活動、鳩山元首相も参加 【首相官邸前で20日、毎週金曜日に恒例となった脱原発と原発の再稼働反対を訴える抗議活動が行われた。雨の中、抗議活動に参加した人は官邸前から約1キロに及んだ】 読売グループのスタンスを表す文章です。 「恒例となった」だと? 使い方間違っているんじゃないの? わかっていて使ったとするなら、抗議行動という意味合いを消す、または小ばかにした表現でしょう。参加者数を描かないで、「距離」に置き換えて描くというコス狡さ、さすが読売グループです。 【恒例】《古くは「ごうれい」とも》いつもきまって行われること。多く、儀式や行事にいう。また、その儀式や行事。「新春―の歌会」「―によって一言御挨拶申し上げます」(yahoo辞書から) ▶反原発デモにどこか人ごと―野田首相は「負の遺産」と認識 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版2012/7/20 15:10 【原発の開発については1950年代半ばから議論が始まり、自民党の長期政権下で推進されたことを考えると、野田首相の言い分も理解できなくはない。しかし、2009年8月の総選挙で政権を奪取してからすでに3年近くたつ。国家には継続性があるのに、今もなお自民党政権時代の「負の遺産」として片付けられるだろうか】 ▶NYから官邸前デモに連帯 在留邦人ら「再稼働反対」 【米ニューヨーク在住の日本人らが7日、同市中心部でデモ行進をした。約40人が参加し「原発反対、美しい日本を守ろう」という横断幕を掲げ市民や観光客にアピールした】 ▶北陸も危ない 研究集会に市民ら150人 命のネットワーク・多名賀代表、富山で講演/富山 【県地方自治研究センターが21日、富山市下新町の自治労とやま会館で研究集会「震災・原発事故…北陸も危ない」を開催】 ▶帰還困難区域の土地家屋、東電が全額賠償も 福島第1原発事故で基準 【政府は20日、東京電力福島第1原発事故の避難区域にある土地や家屋などの不動産の賠償基準を発表した。少なくとも今後5年間は帰宅できない「帰還困難区域」では、事故前の土地の価値の全額を東電が賠償。手続きなしで一時帰宅できる「居住制限区域」と、早期の帰還を目指し店舗営業などが可能な「避難指示解除準備区域」では、解除までの期間に応じて賠償する。枝野幸男経済産業相が閣議後の記者会見で発表】 ▶避難区域再編受け、政府が賠償基準 「再建に弾み」「足りない」 【◇帰還困難、家財は夫婦で595万円◇精神的損害、5年分一括600万円 不動産の賠償額については、まず事故前の資産評価額を算定する。その上で、帰還困難区域の被災者には評価額の全額を一括で支払う。一方、「居住制限区域」は半額、「避難指示解除準備区域」は約3分の1を支払う。事故から6年後までに避難指示が解除されなければ全損扱いとなり、全額が支払われる仕組みだ】 ▶同意人事:原子力規制委でまた混乱 評価無関係で駆け引き 【ただ、与野党とも申し合わせは問題視している。今回政府を批判する参院自民党幹部も「人物を見ずに、事前に報道されたかどうか、という形式論だけで決めるのは問題だ」と指摘。みんなの党の水野賢一参院議員も「臆測記事で対象者の人生を左右するのはおかしい」と話す。城島氏も「ルール自体に無理がある」と語り、廃止に向け野党の理解を得たい考えを示している】 ▶松田喬和の首相番日誌:勝機は「攻撃的解散」 そんな話が行なわれているという「政界話」を「知る立場にいる」“ブンヤさんの天気予報“ ▶原発:「負の遺産」 教義や立場超え、宗教者ら廃止へ声明/京都 【原発問題に取り組む全国の宗教者らがこのほど、教義や立場を超えて、原発の廃止を求める声明を発表し、京都市内で記者会見を開いた。「(原発は)『いのち』を危機にさらし、負の遺産」とし、「命の尊厳が重んじられる世を望む」と訴えている】 【山梨大学名誉教授の鈴木章方・日蓮宗隆泉寺住職が、仏教やキリスト教、新宗教などさまざまな団体の宗教者に、原発廃止に向け一致して取り組もうと提案。河野太通・臨済宗妙心寺派管長や、宮城泰年・本山修験宗管長、福家英明・天台寺門宗管長ら51人が呼びかけ人として名を連ねた】 ▶リトアニア:原発是非問う国民投票実施へ 日立など受注 【バルト3国の一つリトアニアは、原発建設の是非を問う国民投票を10月14日の総選挙と同時に実施することを決めた。リトアニアは3月、日本の日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合との間で建設について合意している。国民投票の結果に法的拘束力はないが、「原発反対」が多数を占めた場合、「リトアニア政府の原発推進政策にブレーキがかかり、日立との交渉に影響が出る可能性もある」(地元記者)との見方】 ▶経団連フォーラム:財界、政権接近なお半ば 【野田佳彦首相の財政再建を推進する姿勢は経団連の意向と一致しており、米倉弘昌会長(住友化学会長)は「過去数代にわたって一番素晴らしい首相」と称賛】 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶意見聴取会:中国電力 社員の発言検討 【中国電力が今月29日の広島市での聴取会に社員を出席させ、会社の見解を表明する方針だったことがわかった。毎日新聞は、この方針を会社幹部に知らせる内部文書を入手した。エネルギー政策の国民的議論を目的にした聴取会で、電力会社が組織的に社員を出席させようとしていたのが明らかになったのは初めて】 ▶下請け被ばく隠し:東電、線量管理は業者任せ…発覚遅れる 【収束作業の数値提出は3カ月ごとだったという。このため、業者任せの測定値照合について東電は「法令上問題はない」という】 こういう時は、いつものとおり、当方は問題ない。先方が勝手にやったのだと。こんなこと、穴にも原発関係だけではありません。産業の二重構造と言われるなかでは当たり前に行われていることです。そこが問題なのです。 ▶石川・志賀原発:「廃炉、万一にもあり得ず」 断層で北陸電常務、知事政策局長に説明/富山 【北陸電力志賀原発の敷地直下を走る断層が活断層である可能性が原子力安全・保安院の専門家会議で指摘された問題で、北陸電力の近谷雅人常務は20日、県庁で吉田修・知事政策局長に対し「耐震安全上、問題ないと考えている。立地不適格や廃炉となることは万が一にも有り得ない」などと説明】 そう、何があっても、言われても「No problem!」。ことが起きれば、「想定外」。「国の指針通りにやっていたので俺のせいじゃない」と。 | ||