原発通信 266号2012/07/26発行
![]() 海水で腐蝕し、活断層上で揺れる原発 浜岡原発、昨年5月の海水注入事故で、あっちこっちに塩による腐食が確認されているとのことです。もう、これでは廃炉しかないでしょう。そして、志賀原発、大飯原発での活断層問題を皮切りに全国の原発での活断層再評価と今までのごまかしが一気に表面に出てきたという感じです。 しかし、ここで注意しておかなければならないのは、脱・反原発運動の高まりのなかで、老朽化している原発からピックアップするなどして「危ない原発は廃炉にしました」などと一見安全確認をしたようなポーズを見せつつ、その他は大丈夫と再稼働へ突き進む道筋です。1つか2つをスケープゴートに仕立てるというシナリオ。警戒しなければなりません。転んでもタダでは起きないともくろんでいる連中ですから。 ▶浜岡5号機に腐食多数=流入の海水、圧力容器到達か―中部電 【中部電力浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)で昨年5月、停止作業中に海水が流入した問題で、同社は25日、海水が原因とみられる腐食が多数の機器で見つかったことを明らかにした。経済産業省原子力安全・保安院の専門家意見聴取会で説明した。 これでは、廃炉にするしかないでしょう。原発はパイプラインのジャングルだそうです。総延長はどのくらいになるか。すべてを確認なんて無理でしょうから。サンプル調査だけでOKなどとされたらたまったものではありません。 ▶浜岡原発 来月原子炉調査へ 【去年5月に、内部に海水が流れ込むトラブルがあった静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所5号機について、中部電力は来月、燃料を取り出して、原子炉の内部に海水の影響がないか、詳しく調べることになりました】 ▼朝日新聞、事故当時の記事(2011年5月15日13時49分) ▶志賀、大飯原発:北陸電、関電が破砕帯の追加調査計画 【保安院が31日に開く専門家会合で了承後に調査を始め、志賀原発は来年1月までに、大飯原発は年内に最終報告する方針】 ▶東電が「テレビ会議ビデオ」の公開を渋る理由 【ところが公開には、おかしな条件がつきそうなのだ。とりあえずのところ、公開は報道機関に限定。基本的には映像や音声を修正せずに閲覧する形をとるが、放送用には要約版を別につくり、そこでは「プライバシー」に配慮するため、モザイク処理などの加工がされる見通しだという。 さらに映像をめぐっては不可思議なことがある。 昨年3月15日早朝、菅直人前首相自ら東電本店に乗り込み、清水正孝元社長ら幹部を厳しく叱責したとされる場面の音声が残っていない、とされる点だ。 肝心な部分の音声だけが消えている。そんな不自然なことが果たしてあるのか。この「欠落」にこそ、東電が映像の公開を渋るカギがあるとみるのは本誌でおなじみ、福島第一原発(フクイチ)最高幹部である。 「本店がビデオを見せたくない理由はいくつかあるようです。そのひとつが、国会事故調などでも問題になった、本店が一時、全面撤退を検討したとされる問題です。清水元社長が頼りない受け答えをしている映像が一部、残っているという話がある。これでは官邸が誤解するのも仕方がない内容だと言います。菅前総理の過剰介入が批判されていますが、本店だって批判されてもやむなしというところがビデオにはあるようです。公開すると、事故はあくまで津波によって起き、その対応が遅れたのは官邸の責任だという本店のストーリーに合致しなくなるからだとも聞いています」】 「福島第一原発(フクイチ)最高幹部」が言っているとおりでしょう。あなたが、この当事者だとしたら、きっと同じことをするでしょう。人間、考えることはそんなに変わるものではないのです。身を置き換えたら、考えつきそうなこと、だいたい想像できるのではないでしょうか。後は、いかに「しっぽ」を掴むかです。 ▶原子力規制委員会の人選にNO (たんぽぽ舍 杉嶋拓衛) 候補に挙げられている人物はそれぞれどんな人間か。以下、要約。 ■田中俊一(67) 福島第一原発事故後に飯舘村へ行き除染を進めて「こんな広いんだから谷の一つでもつぶせば帰れます」と言い放った人物。東電の賠償費用を最大限抑えようとする20mSVの被曝を強制している。自主避難者への補償に最後まで反対。 ■更田(ふけた)豊志副部門長(54)。日本原子力研究開発機構。 2003年から昨年までのほぼ毎年、日本原子力発電(日本原電)から年数万円の報酬を受け取っていた。2005年12月25日の玄海原発やらせ公聴会の推進オブザーバーも努めていて全力で原発推進。 ■中村佳代子・日本アイソトープ協会主査 広島・長崎の経験から大人と子供の発ガンリスクは同じだという考えの持ち主で、福島県は安全だから帰りなさいという「帰省委員会」の方がしっくりくる放射能の被害を低く見積もる人物 ■島崎邦彦氏(地震予知連絡会会長) 活断層や地震の危険性のため再稼働断固反対するべきだと思うが、そういう話は一度も出ていないので期待薄か。 http://www.labornetjp.org/news/2012/1343199689113staff01 ▶東日本大震災:福島第1原発事故 細野氏が菅氏対応擁護 民間事故調、聴取内容を公表 【事故発生の翌日、首相官邸を離れて原発を視察した菅氏の判断については「菅氏が数日間寝ずに国の命運を背負って判断する気力」につながったとの見方を示した。 当時、官房副長官だった福山哲郎民主党参院議員の聴取内容も公表された。福山氏は「原発の吉田昌郎所長と直接電話をさせろ」と菅氏から求められた東電幹部が、吉田所長の携帯番号を「こそっと隠れながら」調べていたと証言。すべての情報が東電本店を経由していると受け止め、「東電が官邸の意向を握りつぶすこともあり得る、とがくぜんとした」と東電への不信感を吐露した】 昨日の本通信で紹介した産経の記事とは大違いです。産経は何とかして菅を嵌めたいと。 ▶放射性廃棄物の処分施設視察 東京都の猪瀬副知事、【最終処分するための技術を研究している北海道幌延町の施設を25日視察し、「国が放射性廃棄物の処分場所や方法を、きちんと決めるべきだ」と指摘】 ▶社説:買い取り制度 脱原発依存に生かそう 【今回の制度では、価格は原則として毎年見直されるが、発電事業者に対しては、認定を受けた年度の価格と期間が保証される。技術開発などによるコスト削減があれば途中からでも見直す余地を残したり、国が技術開発を支援したりするなど、柔軟な対応も必要だろう。先進国の事例も参考に、政府には再生エネ普及に向けた多角的な目配りを求めたい】 ▶原発事故の告訴・告発を正式受理へ 【東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って国や東京電力に刑事責任があるとして福島や東京の検察庁に提出されている告訴や告発について、検察は近く、順次、正式に受理する方針を固めました】 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶大飯4号機警報作動 監視続ける 【25日朝5時半ごろ、原子炉内の1次冷却水の温度を監視する温度計の1つで警報が作動しました。この温度計は、1次冷却水の温度が上昇しすぎていないかを監視するため、336度に達すると警報が鳴る設定になっていて、25日朝は瞬間的にこの値を超えたということです。 1次冷却水を監視しているほかの温度計は通常の値を示し、原子炉の圧力などのデータに異常がないことから、関西電力は、温度計の警報は、水の流れなどの影響で温度が一時的に上がったためとみて、出力を下げるなどの対応はとらずに、監視を続けるとしています】 ▶“鉛カバー問題”で東電に指示 【作業員に被ばく線量を少なく装うよう指示していた問題で、原子力安全・保安院は、24日、東京電力に対して、再発防止策などをまとめて報告するよう指示】 ▶「気が狂いそう」な原発作業現場 冷たい水を飲めるのは東電社員だけ 【「冷蔵庫の中には、ペットボトル入りの水が大量に冷やされていて、東電社員がいつでも飲めるようになっていたんです。それを見て、フツフツと怒りがわいてきました。作業員が詰める1階には冷蔵庫もなく、みんな生ぬるい水を飲んでいます。いまの時期、原発構内の作業で流す汗の量は尋常ではありません。それなのに、現場にロクに出ない東電社員だけが冷たい水を飲めるなんておかしいです」(冷蔵庫の搬入を目撃した作業員) フクイチの屋外現場に日陰はほとんどない。私も現場に出ると、あっという間に全身から汗が噴出し、全面マスクのシールドにポタポタと滴り落ちる】 【外気温が30度とすると、作業員は体感温度は50度にも】 【なぜ、現場に出ない東電社員だけ冷えた水を飲み、炎天下の下で汗を流している作業員が生ぬるい水なのか。こうした現状をおかしいと思わないことに、東電の体質がよくあらわれている】 今の若い世代は使わない言葉かもしれませんが、まさに「本工主義」丸出しの世界です。しかし驚くことはないのです。これがこの世の中の「普通」の世界でもあるのです。驚く人は、正規雇用の人でしょう。臨時雇いの仕事をしてみればすぐにでもわかります。本工、本社や元請けでもいいのですが、上の世界の者は、下の者、下請けなどを人と考えていないのです。それは臨時雇いなどは、会計項目では人件費ではなく、物件費、物品費扱いという分類でも明らかでしょう。 ▼山口県知事選挙の争点 ▶脱原発?やっぱり公共事業?大荒れの超保守王国・山口県知事選 【「告示直後の飯田氏の支援者は女性と若者が中心でした。ところが最近は、なし崩し的に『3党合意』に至った自民党に反感を感じる元自民支持層にまで勢力を広げつつある。その勢いを感じているのか、自民党は石原伸晃幹事長、小池百合子前総務会長、片山さつき参院議員ら有名議員を次々と応援に投入するなど、総力戦の様相を呈しています」】 ▶山口知事選:オスプレイ争点化、自民に逆風 【米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの岩国基地搬入が争点化し、政府に向かうはずの逆風を自民党が受ける構図になっているとの危機感があるためだ。反原発を掲げる対立候補の存在も次期衆院選で警戒する】 ▼トンデモな話 ▶オスプレイ 政府に安全確認チーム 【アメリカ軍の最新型輸送機「オスプレイ」について、日本として独自に機体の安全性を確認するための専門家チームを発足】 いったいこの国は何を考えているのでしょうか。仮にもオスプレイ、最新鋭の軍用機です。そんなもの、米国が、「ハイ、わかりました。日本の皆さんの安心を得るために、どうぞ検証してください」などと言うわけがないでしょう。弱点がわかってしまったときに、もうそのものは怖くも何でもないものになってしまうのですから。それができるといい、国民をそれで黙らせることができると思っていることに、勘違いも甚だしいと言いたい。 | ||