原発通信 273号2012/08/06発行
![]() 広島原爆投下から67年 今日は広島に原爆が投下されてから67年目の日です。8時からは平和記念式典の様子が映し出されていました。平和記念式典では広島市の松井一実市長が、「福島第一原子力発電所の事故に言及し、国に対して市民の暮らしと安全を守るエネルギー政策を一刻も早く確立するよう求め」たとのことです。「あの忌まわしい事故を教訓に『核と人類は共存できない』という訴えを含めた国民的な議論が進められている。国は市民の暮らしと安全を守るエネルギー政策を一刻も早く確立すべきだ」と。 でも、これって、少し変ではないでしょうか。人間の頭の上に原子爆弾を落とされたことを教訓とし、核のない社会を望むことと、「国は市民の暮らしと安全を守るエネルギー政策を一刻も早く確立すべきだ」ということは、論理が違うと思うのです。「国は市民の暮らしと安全を守る」ために、核兵器、そして原発の廃棄をというのならわかるのです。「エネルギー政策」という言葉に「軍事政策」という言葉を当てはめてみたらどうでしょう。政策一般に融合される問題ではないだろうと思うのです。 ところで、原爆投下を指令した当時の米大統領・トルーマンの孫、ダニエルさんが来日中で、式典にも参加と。被爆者とも会って話をしているといいます。それに引き換え、わが国の戦争指揮者たちの孫たちは? 東条の孫娘は国政選挙に出て、悪いのは向こうだ式の話を振りまいていましたが、中国なり韓国なり、アジア諸国に出かけて持論を展開する「勇気」はなさそうです。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120806/k10014097601000.html 東京電力 テレビ会議公開映像 http://www.youtube.com/watch?v=xRZFLTQK1AQ&feature=player_embedded#! 映像にモヤがかかっているは、音声にピーが入っているは……。見ていると、ベントだ、注水だと騒いでいるのです。要は、どうしていいのか、まったく分からず、右往左往している様子だけはわかります。ここに出てくる「ワタナベ先生」とは? それに3号機が水素爆発したということ(11時1分)も吉田所長から本店に連絡が入っているのです。それを、「爆発のようなもの」と報道発表していたのです。 燃料がすべて露出した時間? ピーーです。 「退避基準を考えて置かなければならないと」(22分ごろ) 「みんな2Fに避難するのですよね?」 「ビジターセンターに収納する」「体育館にも」「ただし除染する水がない」 どうもメルトダウンの時間を言っているのかピーーです。 「退避時間を決定しているわけではない」「然るところと確認している」(清水社長?) しばらくすると音声なし。 ▶テレビ会議生々しい事故対応の様子が 【しかし、公開された映像は一部に限られ、録画や録音を認めないなど事故対応の検証にとって不十分な内容で、全面公開が求められます】 当然です! ▶原発報告書 質疑の見通し立たず 【各党の間で具体的な調整は進んでおらず、国会に提出されて1か月となる今も質疑などが行われる見通しはたっていません】 ▶東電の変電所、火災で停止 中部電との送電能力大幅減 【東京電力は4日、中部電力と電気をやりとりしている新信濃変電所(長野県朝日村)で3日夕に火災があり、構内の周波数変換設備(計60万キロワット)を停止したと発表した。復旧時期は未定】 ▶津波で電源喪失想定 06年時点 吉井氏に保安院長認める 保安院勉強会 【保安院の深野弘行院長は、06年5月11日の勉強会で東電が福島第1原発5号機で15・9メートルの津波を受けると報告していたほか、女川原発2号機が15・8メートルの津波を受け、「常用・非常用海水ポンプは総て機能喪失」「電源の機能喪失となり、安全系の電動機、電動弁の機能喪失となる」とする報告書を出していたことも認めました】 ▶社説:原爆の日 「核との共存」問い直そう 【福島の出来事は、平和利用でも事故が起きれば長期にわたって深刻な被害をもたらす原子力の恐怖を見せつけた。首相官邸前で毎週行われている反原発デモの広がりは、そうした市民の意識を映し出している。核による被害という共通性を軸に、広島・長崎の被爆者と原発事故の被害者との間で連帯が生まれてきたのは自然なことだ】 ▶余録:「世界は分別を欠いた輝きと、良心なき力を手に… 【反原発の市民科学者・故高木仁三郎さんは、やり直しがきかない原発事故と違い、計算をやり直せる技術者のコンピューターの世界は倫理的なバリアーが働かなくなる、と警鐘を鳴らしていた】 【事故などなかったかのように、原発再稼働への道をひた走ってきた現政権である。3年前、喝采を浴びたオバマ米大統領の「核なき世界」演説の熱気も、今はない】 【ブラッドリーの悔恨から、私たちがたどりつく真理は一つしかない。「良心なき力」と「倫理の幼児」にゆだねるには、核兵器も原発も、あまりに危険すぎるということだ】 ▶討論型世論調査 「原発ゼロ」へ変わる意見 エネルギーが足らなくなったら経済が…、などという前に、それら経済も命あってのものだということに気づいた市民がほとんどだということです。 ▶討論型世論調査:原発0%支持目立ち 揺れる参加者 ゼロから15%に変わったという沖縄の70歳代の人、核=原子力の根本問題である最終処分法についての情報をもっているのかどうか。また、中東情勢に左右されるからというのであれば、それは沖縄の基地問題ともつながる問題なのです。軍事をいっているか、「エネルギー問題」をいているかの違いともいえるのです(もちろんそれだけではありませんが)。 いずれにしても原発ゼロを求めているということです。 ▶エネルギー政策:福岡市で意見聴取会 原発「0%」意見多く やらせメール不信も ▶伊方原発:周辺3市、四電に協定要求 情報提供や賠償、協議へ 再稼働は盛り込まず/愛媛 【一方、四電、伊方町、県との3者の安全協定に盛り込まれている原子炉変更時などの自治体の事前了解については、3市、四電とも「今後の協議次第」と歯切れが悪い。四電にとって事業制限の可能性も生まれるだけに、ハードルが高いとみられ、3市が伊方町並みの権限を得られるかは不透明だ。一方、再稼働については、四電と伊方町、県との協定でも事前了解の対象になっておらず、今回の協定に盛り込むことは「再稼働と協定は別物」(大城市長)などと3市長とも否定。申し入れを受けた四電の柿木一高・原子力本部長も「直接の関係はない」と強調した】 ▶脱原発デモ:松山でも毎週金曜日実施 伊方原発再稼働反対の市民結集/愛媛 ▶打ち切り濃厚「たね蒔きジャーナル」 東京新聞【こちら特報部~ニュースの追跡】「たね蒔きジャーナル」打ち切り?8月4日付によると、毎日放送(大阪市)の「たね蒔きジャーナル」が、放送打ち切りの危機に瀕しているようです。3.11以降、京大の小出氏らが登場、原発についての情報を提供してくれていた番組です。本通信でも、たびたび引用させていただいたところです。原発に対するスタンスが問題にされているのでしょうか。ネット上でも存続を訴える記事が多数アップされています。 ▶週のはじめに考える リセットできない日本 【「人々の声」を伝えねば/ いまマスコミ不信の声はあちこちで聞かれます。抗議行動はマスコミが「人々の声」を十分に伝えてこなかった裏返しでもあるでしょう。私たち新聞はどう変わっていくか。そこをしっかりと考え、行動していきたい】と、反省と「決意」を書いています。 ▶特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 城南信用金庫理事長・吉原毅さん 【『原発を適切に管理し、国民の生命安全を守れるようコントロールするだけの力が、東電、そして政府にはなかった。東電、政治家、そしてマスコミに至るまで、その事実から目を背けてきた。原発を使う資格はもはやないんですよ」』 との吉原さんのこの言を聞くと、今日公開された東電テレビ会議の様子、もちろんネットで見た範囲でみても、まったくその通りだということがリアルにわかります。 【価値がないのに価値があると思い込んでしまう。だから原発を推進してきたこの国は『原発バブル』と呼んでもいい」】 【「大事故などを起こしてきた企業の経営者は責任を取って辞任し、ゼロからスタートするのが当然です。だが東電は誰もはっきりと責任を取っていない。そんな企業に融資するのは問題だ」。東電の勝俣恒久前会長に至っては、日本原子力発電の社外取締役に天下りした。「東電を認めてしまったら私も『同じ考えなんだ』と思われる。東電と同類と思われたくありません」】 ▶反原発行動:抗議の輪拡大 27都道府県に 【毎日新聞の調べでは、少なくとも26道府県で、市民らが金曜日に合わせて抗議行動を実施し、街頭で「再稼働反対」や「原発をなくせ」などと声を上げている】 ![]() 毎日新聞8月4日付 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶ウラン:探鉱助成復活 「権益あれば安定供給」エネ庁 【国内の原子力発電用に海外のウラン権益を確保するため、開発企業を国が支援する「海外ウラン探鉱支援事業補助金」を巡り、所管の資源エネルギー庁が東日本大震災後に減額した予算を今年度から例年並みに復活させていたことが分かった】 【同庁原子力政策課は「今後もウラン需要があり、権益があれば市場価格に左右されず国内原発に安定供給できる。昨年度が特殊な状況だった」と話す】 その一方で、 【今年度、ウラン探鉱補助金を増額する一方で、「省エネ対策導入促進事業」や「次世代風力発電技術研究開発」「バイオマスエネルギー等技術開発」などの予算は、財政難などを理由に減額、統合縮小している】 懲りない面々とはこういう人たちのことなのでしょう。「昨年度が特殊な状況」といえる神経。確かに未曾有の大地震でした。そしてそれによって安全だといっていたものが爆発崩壊してしまったことも。反省も軌道修正もありません。まさに「No problem!」の世界の住人=原子力ムラの住人だということです。 一方、再生エネルギー関係の予算は削る、信じられない連中です。 ▼どんなことがあっても「No problem!」──これが原発マフィアの信条。これだけはぶれません! 本日(8月6日付)の毎日新聞余録で「反原発の市民科学者・故高木仁三郎さんは、やり直しがきかない原発事故と違い、計算をやり直せる技術者のコンピューターの世界は倫理的なバリアーが働かなくなる、と警鐘を鳴らしていた」と、故高木氏の言葉を引用しています。 そう、高浜原発も島根原発も「計算をやり直せる技術者のコンピューターの世界」の話だということです。 ところで、なぜ、「地震は想定する揺れの1・79倍、津波は想定する高さの4・1倍まで燃料損傷を起こさず耐えられる」(高浜原発)とか、「中国電によると、想定される最大の地震動(基準地震動)600ガル(加速度の単位)に対し1014ガル、津波の高さは想定の6・5メートルに対し15メートルまで燃料損傷を防げると評価。外部電源が喪失しても20日間以上、燃料冷却できるとした」となったのかです。当初の設計通りだとするならば、初めから出しておけばよかったのでは?と思うのです。その通りだとすると、想定もされていない(当時)津波に耐えられるだけのものをつくった、当時、そこまでのものをつくる必要はなかったはずですから、予算もそんなに必要はなかったはずでは。すると、不正経理、不正予算獲得だったのではとなりませんか? ▶高浜原発:関電、安全評価の1次結果を保安院に提出/福井 ▶島根原発:2号機ストレステスト 中国電力、1次評価結果を提出 想定2.31倍津波“安全”/島根 ▼トンデモナイ話 ▶田勢康弘、八つ当たりもいいとこ。脱原発もオスプレイもポピュリズムだと テレビ東京 田勢康弘の週刊ニュース新書 2012年8月4日(土)午前11時30分~ この男(1944年生まれ早大一政卒、日経新聞)、どうも最近の人々の動きが気に入らないようです。まあ、自分の了解事項以外で展開され、どう受け止めていいのかわからなくなっているのでしょう。何でも反対で、ポピュリズムだなどと番組で言っていました。訳知ったり顔で、安保がとか、極東の安全保障がなどと元外務省官僚の日本総研国際戦略研究所理事長・田中均と「愚痴のこぼしあい」をしていました。 老いゆくを 罪と思はず百日紅 (横山白虹) ――これ、同番組で田勢が引用した句 あなたの場合は、どうも違いそうですが…。 また、森本防衛相にいたっては何を考えているのか、アメリカまで行って、オスプレイに乗せてもらい、「安定していた」だの「快適だ」だの、騒音は「市街地に影響を与えるほどではないだろう」と、イエスマンぶりを披露していました。 ▶森本防衛相:オスプレイ試乗「飛行が安定していた」 | ||