原発通信 274号2012/08/07発行
![]() 東電テレビ会議公開映像から見えるもの 昨日の本通信で、公開された映像を少し見た感想を書きましたが、本日付の新聞等を見ても、大差なさそうです。要は、アンゼンダ、アンゼンダと唱えてばかりいて、唱えているうちに本当に頭がおかしくなって、事故が起きるということ自体を「忘却の彼方」へ送ってしまい、本当に事故が起こると、どうしていいかわからずアンゼンダの代わりに「大変だ!大変だ!」と唱えることになってしまったという話です。 しかも、信じられないことに、1号機が「爆発」したといっているのに12日の深夜、東電の最高責任者連中が「解散」と言って会議場からいなくなってしまったということです。どこかへ、飯でも食いに行ったのでしょうか? のんきなものです。これだけとんでもないことが起こっているという最中にです。これひとつとっても当事者能力・責任はゼロ。東海村の村上村長ではありませんが、「原発を動かす資格などない」ということがわかります。 ひとつ、不可解な記事(下記、毎日新聞)があります。吉田所長があわてて本店に電話をしているシーンです。 吉田氏「本店、本店。大変です。大変です」 「たぶん、水蒸気(水素)」のカッコ書きのところです。同記事では【水素爆発を「水蒸気(爆発)」と言い間違えた吉田昌郎所長】としてあるのですが、本当でしょうか。「専門家」を自認する連中です。「水蒸気爆発」と「水素爆発」を間違えるなどということありあるのでしょうか。原子炉を冷却できなくなった時点でメルトダウンを疑って、水蒸気爆発だと「想定」したということではないでしょうか。免震重要棟にいて詳しい状況がわからないとしても、そう「想定」していたということです。つまり、メルトダウンを早い段階から「想定」していたということを物語っていると思います。そんな初歩的な言い間違いをするとは「到底」考えられないのですが。 東京新聞が書くように、「核燃料が溶融しているだけではなく、原子炉が損傷した可能性が高いと認識していた」ということでしょう。それなのに、原子力マフィアの連中は、「圧力容器が壊れることはない」だの「放射性物質は閉じ込められている」だの、班目のように「爆発はしない」だのと、国民・市民を欺いていたのです。 「撤退」の問題にしても、録画を視聴する限り、「検討していた」ということははっきりしています。そうすると、政府事故調の「疑わせる事実はない」といっていることは誤認となります。 【(14日)午後8時16分ごろには、会議の参加者に「今ね、1F(第1原発)からですね、いる人たちみんな2F(第2原発)のビジターホールに避難するんですよね」】(しかも、その後を見ると、昨日書きましたが、除染する水がないといっているのです)
菅首相が東電本店を訪れたのは、15日午前5時半過ぎです。 【東電によると、第1原発の免震重要棟では午前6時30分ごろ、吉田氏が必要な作業員だけを残して退避を決断。その後清水氏が退避を了解】 東電がこの映像を公開しないうちに報告書を提出したということに何か作為を感じます。 もうひとつ、「計画停電」だなどと恫喝を思いつき、やろうとした矢先、3月14日の午前中はそんなことしなくてもよくなったということがわかっても、当時の藤本孝・副社長が「広報はしない」と発言していたことです。恫喝はそのままにしておいた方がいいとでもいうことでしょう。しかし、広報しなかったゆえに、鉄道などで混乱が広がったといいます。自分たちは黒塗りの運転手付きの車で「通勤」ですから、下々のことなどどうでもいいのです。関心ごとは金づる(=原発)がなくならないように頭を使うことだけです。 本通信でも何度か書いている茶坊主男=「官邸との連絡役、武黒一郎フェロー」。やはりです。この男の生育が透けて見えるようなシーンです。下品・野卑、何でも人のせいにして自分は安全地帯にさっと引っ込む──ダボハゼみたいな情けないお調子もんの男です。 そのほか、「不自然な映像」だとの指摘は、あの読売新聞さえ書いています。 ▶福島第1原発事故 東電TV会議映像公開 混乱の中、不安と緊張と 【東電は6日、事故があった昨年3月11日から同15日までの約150時間分のうち、水素爆発など主な場面を編集し、計約1時間半の映像にして東電のウェブサイトに公表した】 ▼福島原発事故 水蒸気爆発が一番怖い 小出裕章京大助教に聞く ▶対策本部 爆発の夜ほとんど幹部不在に ▶<東電>テレビ会議ビデオ公開 泥縄での事故対応映す 【吉田昌郎所長の苦悩も映し出した。……「(1、3号機の)二つの爆発で被ばく線量がぱんぱんになっており、配慮をお願いしたい」(同14日午後0時半過ぎ)との要請に対し、清水正孝社長が「何とか頑張ってください」となだめる場面も。原子炉が冷却できず、炉心溶融を食い止められないことへのいらだちも記録されている。2号機内の水素を外部へ逃がすため「至急、ヘリコプターでも何でもいいんで、(原子炉建屋に)穴を開けることを考えてほしい」(同14日午後1次ごろ)と本店に要請していた】 【また、映像は勝俣恒久会長が、3号機の水素爆発をまったく予期していなかった可能性も示唆した。勝俣氏は、武黒氏との電話で「1の3(第1原発3号機)はベントを開けられそうなのよ。水素の問題? それは確率的には非常に少ないと思うよ」(同13日午後7時ごろ)と述べた。結局、3号機ではよく14日午前11時五ろ、水素爆発が発生した】 計画停電中止「広報しない」 【計画停電初日となった昨年3月14日、午前1時ごろから始まった東電のテレビ会議で同日午前中は実施しないことを決めながら、当時の藤本孝・副社長が「広報はしない」と発言していたことが、6日に東電が公表した会議映像で分かった。結局、午前6時25分に最初の地域の実施見送りを公表したが、鉄道などで混乱が広がった。 東電は14日からの計画停電を予定していたが、藤本氏の映像会議での発言によると、「人工呼吸器を家庭で使っている人を殺すことになる。それを承知で実施するなら殺人罪に問う」と、枝野幸男官房長官(当時)から強い口調で迫られたことから、午前中の実施見送りを決めていた。 さらに藤本氏は広報しない理由を「記者会見なんかやったらかえって混乱する」と発言。本店の担当者が「結局やらずに済んだという形にするしかない」と言うと、藤本氏は「(広報しない理由が)できたできた」と応じた】 と、とんでもない内容です。 もう一人、覚えておく人ができました。当時の藤本孝・副社長です。 ▶東電テレビ会議映像公開 原子炉損傷 直後に認識 【事故の発生からわずか一日半後の昨年三月十三日未明には、核燃料が溶融しているだけではなく、原子炉が損傷した可能性が高いと認識していたことが分かった。これでは冷却水が漏れて核燃料が水に浸らないため、外側の格納容器を水で満たし原子炉ごと水没させる「水棺」で対応することも、この時点で検討していた。東電が六日に公開した、本店と福島第一などをつなぐテレビ会議のやりとりから判明】 【映像は昨年三月十三日午前一時ごろのもの。当時は消防車を使って1号機の原子炉へ注水を続けていたが、核燃料は十分に水に浸っていなかった】 ▶東電テレビ会議:映像全面公開を要望 新聞協会 【日本新聞協会は3日、「対応を検証するうえで極めて貴重な記録」として、東電の広瀬直己社長と枝野幸男・経済産業相に映像の全面公開を求める申し入れ文書を提出】 【「東京電力は国が出資する企業で、情報公開や説明責任がより厳しく求められる。自由な閲覧・取材を保障するよう要望する」と】 ▶緊迫場面修正だらけ…東電、社長の顔までぼかす 【本店や第一原発などをつないでテレビ会議が行われていたためで、画質はもともと粗い。だが、映像会社の技術者は「1号機の海水注入を巡る場面で、第一原発の吉田昌郎所長が両手でバツ印を出す場面があるが、手の部分だけが不鮮明だ」として、必要以上に加工しているのではないかと疑いの目を向ける】 菅に押し付けてしまえ! ▶東電TV会議公開 連絡役が愚痴、「菅氏が散々ぎゃあぎゃあ」 泥縄の対応、官邸すれ違い 毎日新聞 2012年08月07日 東京朝刊(上記<東電>テレビ会議ビデオ公開 泥縄での事故対応映す と同じ記事) 【「まあ、とにかくよく怒るんだよね。説明すると『どういう根拠なんだ! それで何かあっても大丈夫だと言えるのか』と、散々ぎゃあぎゃあ言うわけですよ」(昨年3月12日午後11時ごろ)。音声付き映像は、官邸との連絡役、武黒一郎フェローの菅直人首相に対する愚痴から始まる。官邸と東電のそごが、事故直後から生まれていたことが裏付けられた】 ▶「イラ菅、とにかく怒る」=東電幹部が不満、民主批判も 【武黒フェローは「『イラ菅』という言葉があるけど、とにかくよく怒るんだね」などと述べた。……また、民主党政権についても「非常に優秀な人たちだとは思いますけれども、十分な奥行きとか、どうかなというのが正直なところ」と話していた】 皆さんの周りにもいませんか、こういう人。「空気を読む」のにだけは長けていて、しかも微妙に人のせいにするのがうまく、また「評価」を下す人。 ▶東電内部資料入手、菅氏「逃げ切れないぞ」 【日本テレビは、菅前首相が東電を訪れた時に激しい口調で接した様子を記した東電の内部資料を入手した。……資料は、原発事故直後に東電本店の緊急時対策室で作業をしていた社員らの証言を基に作成されたもので、菅前首相が去年3月15日午前5時40分、東電を訪れた時の様子が詳しく書かれている】のだそうです。 ▶東電TV会議公開 「音声あるはず」 菅氏が批判 【あまりに不自然。音声はどこかにあるはずだと思っている。全面的に無条件で公開するべきだ】と。そりゃそうでしょう。都合の悪いことは隠す、これもう本能ですから。 脱原発を検討しないように「要請」 原子力ムラの「秩序」を乱さないでくれと ▶<エネ庁課長>原子力委に脱原発検討しないように要請 【資源エネルギー庁の吉野恭司原子力政策課長が昨年12月、政府の原子力委員会に対して「脱原発シナリオの分析を行うことは、慎重派を勇気づける材料にはなっても、原子力を維持する材料にはならない」などとする文書を示し、脱原発の検討を当面控えるように要請していたことが3日分かった。枝野幸男経産相が同日の閣議後記者会見で明らかにした】 秘密会議、口裏合わせの実態 ▶核燃サイクル:秘密会議問題 【内閣府の検証チームは6日、「電力関係者に不利なシナリオを削除するなど(表の)小委員会の議論を誘導した。結論が影響を受けた可能性も否定できない」と指摘する報告書をまとめ、細野豪志・原発事故担当相に提出した。近藤駿介原子力委員長や電気事業者が参加して「調整会議」を開き、小委員会の最終的な取りまとめについて議論したことも初めて明らかにし「中立性、公正性、透明性の観点から不適切」と結論づけた】 【事前に鈴木代理が作成した原案がメールで配信されており、参加者は意見をすり合わせたという】 ▶核燃サイクル「議論誘導」 原子力委勉強会問題 【チームは、三月の勉強会で当初は四つの核燃料サイクルのシナリオが示されながら、同月中に三つになった経緯を重点的に調査。「電力会社に不利になる可能性があるシナリオを削った。小委の議論に対する誘導だった」と批判した】 ▶原子力委秘密会議:徹底調査には程遠く…内閣府検証チーム 【議事録はないとされ、入手できたのは概要の書かれた議事メモだけ。しかも高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」の提出分だけだった】 【検証チームの吉川晃内閣府官房審議官は6日、記者会見で「議事メモがあるかどうか経産省に2度3度聞いたが『ノート1枚も取っていない』という。非常に不自然だと思う」と異例の言及】 ▶野田首相:原発抗議金曜デモのメンバーと8日にも面会 【首相官邸は当初、面会に否定的だったが、抗議活動の急拡大を受けて方針を転換】 ▶首相とデモ代表の面会、枝野氏「私は反対だ」 【枝野経済産業相は7日午前の閣議後の記者会見で、野田首相が、原子力発電所再稼働反対を訴えて首相官邸前で抗議デモを続ける市民団体代表らとの面会を予定していることについて、「私は反対だ」と明言した】 【枝野氏は「(首相が)どなたと会うかということは大変大事だ。透明性、公平性を考えたら、意見聴取会やパブリックコメント(意見公募)というすべての皆さんが参加可能なシステムがあり、どなたかだけ(面会を)やると誤解を招く可能性がある」と指摘】 なるほど、意見聴取会やパブリックコメント(意見公募)のほうが透明性、公平性があると。覚えておきましょう。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶大間原発:工事再開、閣議決定後に判断 Jパワー、国の方針踏まえ/青森 【Jパワー(電源開発)は2日、東京電力福島第1原発事故で建設工事を中断している大間原発(大間町)について、国がエネルギー基本計画を閣議決定した後に工事再開の是非を判断する、と発表した。工事再開の判断時期の見通しを示したのは初めて。同日あった大間町、風間浦村、佐井村の議会大間原発対策委員会で説明した】 【枝野幸男経済産業相は3日の閣議後会見で「(国に)建設途中の原発をどうするかと言う権限はない。政府の検討状況を踏まえたものではないかと思う」との認識を示した】 「建設途中の原発をどうするかと言う」ことこそ、政治なのです。 ▶<福島第1原発>男性作業員 線量計を携帯せず作業 これとて、何が起きても問題なしと。何から何までいい加減な連中だということの証明です。 | ||