原発通信 279号2012/08/21発行
![]() 「収束宣言」が出ても何も変わらない。自宅に帰ること諦めました。 仕事の関係で福島、宮城、岩手の先生たちの話を聞く機会がありました。福島の先生は警戒区域に学校があり、子どもたちはみなばらばらに散ってしまい、帰還のめどが立っていないので新入生は当然いない。数年後には、学校そのものがなくなってしまうと。自宅もその中にあり、もう戻れるとは思っていませんと言います。モニタリングポストが学校の校庭におかれているが、測定するときあたりを掃除して測るため、低くなるのは当たり前とも。 また、同じ福島にあっても、「除染が進んでいる」などとの報道がなされていると、「もう帰れるんでしょう」などという声が聞かれるといいます。このようなことを聞くと、「除染」──このことの中身をどれだけの人が理解しているのかと思います。ゴミは集めて掃き清めればきれいになります。しかし、「核のゴミ」はそうはいきません。今朝のTVニュースでも栃木県で、ある公園では芝をはいで「除染」だなどという話を垂れ流しています。剥いだものをどうするのか…。これが問題なのですが、福島第一原発がある大熊町をはじめ、周辺町村を「中間貯蔵施設」という名の「核のゴミ捨て場」の候補地にという案が示されました(下記)。 「原発さえなければ」との子どもたちの言葉も紹介されていました。まさにすべてを奪い去ってしまうのが原発です。 ▶ついに『野田佳彦を落選させる勝手連』登場 ところで、野田首相です。昨日、オリンピックのメダリストたちが銀座通りをパレードしたそうですが、その後、首相官邸で選手らと会った野田、選手たちに「私も苦しいときがありましたが」と過去形で語っていました。原発再稼働、消費税ともう済んだことといわんばかり、このノー天気さが命取りに? なんでも不人気な総理大臣というのはこれまで何人もいたが、自宅と選挙区の事務所まで押しかけられ、落選運動を展開されたのは野田首相だけではないかといいます。 ▶銀座に50万人。なぜ警察発表がない? ところでを、もう一つ。 昨日行なわれた銀座での凱旋パレード、新聞等によると主催者発表で50万人が大歓声と。なぜ、警視庁発表がないのでしょう。こういう時だけは、主催者発表そのまま。それと、新聞に空からの写真が掲載されていたのですが、まあ、警察に柵を設けられ、区切られ、きれいに空白部分まであるのには、さすがお上には逆らわないわが日本国民だと感心してしまいました。 ▶<エネルギー戦略>「30年代前半、原発ゼロ」 政府検討 【政府の「エネルギー・環境会議」は、総発電量に占める原子力発電の割合について「2030年代前半の原発ゼロ」を目標とする方向で検討に入った。来月にもまとめる新たな「エネルギー・環境戦略」に盛り込む。9月の民主党代表選や次期衆院選を前に、原発ゼロを求める世論や与党内の声を無視できなくなったほか、洋上風力発電など再生可能エネルギーの実用化に向けた技術革新を促す狙いもある。ただ、原発ゼロの実現には課題が多く、経済界などから反発も見込まれる】 7割以上の人々が「ゼロ%」を望んでいるという数字、無視しえないということです。しかし、推進派、並びにそのちょうちん持ちマスコミ各社「ゼロ%」なんて非現実的だとのキャンペーンを張り巡らし始めています。 ・週刊プレイボーイ 「デモで原発は止められるか!?」8月27日号 など、「悪意」にみちた中傷的表現が目立ちます。 しかし、3択での設問、このような時、当然というか、真ん中=中間的な答えに集中するきらいがあるのですが、原発に関してはゼロ%が優位です。 ▶<中間貯蔵施設>大熊に9カ所、困惑…候補地提示 【東京電力福島第1原発事故に伴い、除染事業で発生する汚染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設の具体的な立地候補地12カ所が19日、国から地元自治体側に示された。国は「12か所すべてが必要」と説明。原発立地3町に点在する候補地のうち9カ所が福島県大熊町で、同町を縦断する国道6号の東側が貯蔵施設で埋め尽くされるため、多くの町民が帰還できない可能性がある】 そして、またしても「大熊町」です。 【「中間貯蔵は避けて通れない。門前払いではまずいんで、調査を否定的に考える必要はないのかなと思う」。大熊町の渡辺利綱町長は細野豪志環境相らとの会合後、現地調査を受け入れる発言をした】 そう、このニュースが伝えられた時、NHKTVニュースに大熊町の町民という年配の男性が出ていました。「反対ばかり言っていてもしょうがない」と。 【「このまま最終処分場になる可能性もあり、議論が必要だ」と警戒感も】 ![]() ▶国会議員全員に原発意見を問う 市民団体が開始 【脱原発を訴える市民グループ「経産省前テントひろば」は二十日、衆参の全国会議員を対象に原発についての考えを問うアンケートを始めた。回答を郵送してもらい、九月十日以降に結果をまとめて公表する】 ▶規制委人事で非自公7野党 「採決前情報公開を」 【「国民の生活が第一」など野党七党は二十日、原子力規制を一元的に担う新組織「原子力規制委員会」の国会同意人事をめぐり、委員候補に関する十分な情報公開がない限り、本会議で採決しないよう小平忠正衆院議院運営委員長に申し入れた。】 【申し入れたのは生活のほか共産、新党きづな、社民、みんな、新党大地・真民主、新党日本の各党】 ▶7月の電力需要、過去2番目の下げ幅 節電実施で 電力会社の想像を超える感じで「省エネ」「エネルギーの無駄遣いの検証」等が進んでいるということ。原発なしで今夏が乗り切れるということの証明でもあります。 【電気事業連合会が20日発表した7月の電力需要実績(速報)によると、電力10社合計の販売電力量は前年同月比6.3%減の684億8200万キロワット時となり、2カ月連続で前年を下回った。個人、企業の節電実施で家庭用、産業用とも販売量が落ち込んだ。昭和47年に現在の10社体制になって以来、7月としては過去2番目の下げ幅だった。】 ▶自治体の風力発電に追い風 再エネ固定買い取り制で 【自治体の風力発電に、追い風が吹き始めた。7月に始まった再生可能エネルギー(再エネ)の固定価格買い取り制度で、売電価格は1・4~2倍に跳ね上がることが確実になったためだ】 【ただ電力会社には買い取りにかかった費用を電気料金に上乗せすることが認められている。関西電力では8月の一般家庭(月額約7千円)の電気料金は81円値上がりし、今後も申請が増えれば自治体の赤字を市民の負担で補うことになる】 ▶断層の滑り、海底まで到達=津波地震の周期解明も―海洋機構 【東日本大震災の巨大地震について、海洋研究開発機構は、発生源となった断層の破壊過程の一部を解明したと発表した。陸と海のプレート境界付近で断層の滑りが発生し、宮城県沖にある日本海溝の海底にまで到達していた】 ▶3連動地震:7世紀にも? 静岡で津波の堆積物 【文献に記された最古の南海地震「白鳳地震」(684年)と同じころ、記録にはない東海地震が発生したことを示す津波堆積物を産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の藤原治主任研究員らが静岡県で確認した】 【三つの地震が時間差なく発生した3連動地震の可能性もある】 ▶福井・おおい町出身の小説家、水上勉さんと原発 依存深める故郷と、電気浪費の都市に「喝」 【作家・水上勉(みずかみつとむ)さん(2004年没、享年85)は、大飯原発4基が建ち並ぶ福井県おおい町の出身】 【「原発問題に当てはめれば、電気による自利を一概に否定はしない。しかし、利他を考える時、事故時の甚大な被害、自然環境汚染、また何万年にも及ぶ放射性廃棄物による後の世代への影響を考慮せねばならず、原発はお釈迦(しゃか)様の教えに背くと言わざるを得ない」と中島さんは断じた。水上さんは、中島さんの考えにじっと耳を傾けていたという】 【最晩年、水上さんの筆は仮借のない批判へと進む。「若狭は死の原発の都なのである」と地元をやり込め、電気を浪費し続ける都市には「傲(おご)っている光景だ。明るさとはうらはらの業に走った人間の六道(行いの善悪によって別れ住む六つの迷界)の闇路が今始まった」(いずれも03年刊「植木鉢の土」)と痛烈な言葉を浴びせた】 ▶選挙:光市長選 河村氏が出馬表明 重要施策に雇用対策など /山口 全国各地での首長選に「脱原発」を掲げる候補者が出てきています。山口は近々の問題として「上関原発」建設問題がありますから、なおさらです。 ▶東奔政走:脱原発候補18万票をどう読むか 衆院選前の山口県知事選 脱原発を掲げた飯田哲也氏が、保守王国山口で善戦しました。その影響は──。 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶保安院:線量計不正対策「不十分」 東電に改善指示 【福島第1原発事故の収束作業に当たった作業員が線量計を鉛のカバーで覆って被ばくを少なく見せた問題で、経済産業省原子力安全・保安院は20日、東電から提出された再発防止策を「不十分」として改善するよう口頭で指示】 ▼寄せられた情報 官邸前での「反原発首都圏連合有志」以外にも永田町・霞が関界隈で行われている抗議行動についての報告情報をふたつ。 ▶抗議ポイントが3.5か所に。気になる発言 8月10、17日の官邸前抗議行動はお盆休みに入ったこともあり、めっきり人数が減りました。 まずこの二回で起きた変化として、抗議ポイントが3.5か所になったということです。これまでの官邸前、国会正門前に加え、溜池山王駅出口(キャピトル東急横)の「官邸裏」(実はこっちが官邸正門)に人が集まり抗議行動を始めています。事前告知不足なのか人数は数十人規模ですが、集まっているのは「全国アクション」のメンバーです。10日の行動では20時までの抗議行動の後、彼らの呼びかけで規制委員会人事案に抗議する環境省抗議行動―「人間の鎖」が呼びかけられ、1300人程が合流。22時くらいまで環境省(合同庁舎)を囲みました(実際は人数不足で囲めなかったみたいですが)。 さらに、プラス0.5のスポットとして、経産省前に人が多く集まっています。ここは以前から、火炎瓶ナントカ氏?(長髪でニット帽をかぶって、いつも気の利いたパフォーマンスアピールをしているDJかなにかっぽい人)が一人で連日抗議アピールを続けている場所で、以前も20時までの官邸前行動が終わった後、人が三々五々集まってはいたのですが、ここの結集時間が早まって、17日にはついに18時から官邸前と並行して抗議行動が始まりました。 もう一つ付け加えると、「美しき山河と~」の右翼系グループが自民党本部前で抗議行動を10日から開始しています。時間は20時からですが、ここも17日は19時30分には行動を始めたようです。 ところで、17日国会正門前集会で、気になったスピーチを二点。 ※瓦礫問題について 経産省が瓦礫を全国に拡散したがっているのは、放射能汚染をむしろ全国にあえて広めるためだということ。 これは、これまで国会議員にメールや電話をしてきたという女性の方のスピーチの中で言われてことです。彼女は菅内閣の補佐官(右腕と呼ばれていた。名前失念しました)で、いまは衆議院議員▶▶(聞き逃しました)の政策秘書している方から直接聞いた話として、上記の内容を報告しました。 その経産省の意図は、放射能汚染を全国に広めることによって、今後発症する放射能による疾病(白血病、癌等)を福島で突出した数で出させない(全国である程度発症させる)。この操作により、今後福島で発症するそうした病気が福島原発事故によるものではないとの根拠にするつもりらしいです。これを行うことにより、対象者に対する政府の保証金額の大幅な減額が見込めるとか。 これは恐ろしい話です。瓦礫問題は利権問題だと思っていたので、重要な視点として今後押さえておきたいと思いました。 ※全国の原発施設の管理について 実は日本のすべての原発はイスラエルの「マグナBSP」という会社がすべての管理を請け負っているという事実。 なぜ、こんなことが起きているのでしょうか。確かに東電の会見でも管理会社のことについては一言も触れたことがありません。東芝だの日立、三菱には注目が行きますが、ルーティンで管理している会社はここなのです。この会社がどのような会社なのか、こうした管理会社を入れている政府の意図は何なのかは、スピーチした本人もわからないと言っていました。「みなさん調べてください」と。そこで、ちょっと調べたところ、どうやら安保絡みのようです。原発は核だという、忘れてはいけない現実を思い起こさせてくれました。 ▶抗議の百花繚乱を!! 昨日も相変わらず、官邸前反原連主催の抗議に行ってきました。 人の数はお盆の後だけに少ないかと思えば、 これまた相変わらずで圧倒的迫力でした。鎌田慧氏がいい演説をしました。 なお、行っていないのでIWJの映像でみただけですが、この時刻に首相官邸「裏」からの抗議行動を始めているグループは主張が(行動ではないですよ)ラディカルです。 ブロゴスによると、 「一方で、首相官邸の裏に当る溜池山王駅前の歩道では、表側の行動からは独立した有志による抗議行動が行われていた。こちらは風通しの良い歩道に30名ほどの集団ができ、ハンドスピーカーと横断幕などでアピールしていた。」 なお、彼らのネット呼びかけ文は、 「(官邸西側、地下鉄南北線溜池山王駅7番出口付近、首相官邸と山王パークタワーとの間の歩道)(注意)反原連有志が呼びかける行動とは全く独立の行動で、警察の根拠のない不当な誘導や規制に対しても屈しません、法的根拠を問えば警察が「お願い」するのみであることが分かります。「お願い」には応じなくても何ら責められることがありません。非暴力で毅然と抵抗しましょう。ただし、不当に逮捕されることのないように十分に注意して行動してください。」 としています。7月27日の金曜日、反原連が休んだ日に官邸前抗議をやったグループです。その日は僕も行きました。 また、このところ、官邸前ともに「通産省前抗議」が活発化していますが、さらに、昨日も「環境省前抗議」(これも映像で見ただけ)があり、これをやっているグループ「原子力ムラ」人事にNO! 細野大臣は白紙撤回を!8・10 環境省ヒューマンチェーンも、環境省前で具体性のあるスピーチによる抗議を行っていて非常に鮮明です。人数も多く大迫力です。 【主催】再稼働反対!全国アクション、国際環境NGO FoE Japan、福島老朽原発を考える会、原発を考える品川の女たち、プルトニウムなんていらないよ!東京、経産省前テントひろば また、「ふくしま集団疎開裁判」グループは文科省前で抗議行動を行っています。 という具合で、反原連の枠にとどまらないさまざまな抗議行動が活発化しつつあります。抗議の百花繚乱を!! ▶米国は原爆製造基地を「聖地」にするのか 毎週木曜日の「日刊ゲンダイ」紙に掲載される春名幹男氏(早稲田大学・名古屋大学客員教授、元共同通信ワシントン支局長)の評論の一部を紹介 いたします。 広島、長崎に原爆が投下された67年前の夏。世界で初めて2発の原爆を製造したのは、米国の極秘プロジェクト「マンハッタン計画」だった。 ワシントン州ハンフォードの原子炉でプルトニウム、テネシー州オークリッジで高濃縮ウランを生産。ニューメキシコ州ロスアラモスで原爆を組み立てた。 これら3カ所の主要基地は今、荒れ放題になっているが、整備して米国の国立公園とする法案が米議会で審議されている。7月中旬、下院天然資源委員会で可決され、年内にも上下両院で可決される可能性があるという。 計画が本格的に始動したのは1942年だった。総指揮のレスリー・グローブズ少将は原爆製造の秘密を全く明かさないまま、議会で優先的に予算を充てさせ、「ごり押し」で計画を進めた。 計画発足時は、ナチス・ドイツによる原爆開発に先んじて製造することを目標にした。今度の国立公園法案でもその点が明記されている。 しかし、ドイツが劣勢となり、勝利の見通しがつくと、1944年9月19日、ルーズベルト大統領はチャーチル首相と方針を転換。準備ができたら「日本に対し、降伏するまでこの爆弾による爆撃を繰り返す・・・」などとする覚書を交わした。 原爆を使用しないまま、終戦になっていたら、グローブズ少将らは議会で査問にかけられる可能性さえあった。当時の金額で20億ドルもの巨額の予算を内容を説明しないまま使っていたからだ。 少将は部下で盟友だったウィルヘルム・スタイアー陸軍准将に戦後送った手紙で「ひとつ確かなことは、われわれが史上最高の議会調査を受けることは決してないということだ」と記している。 国立公園にしようとする裏には、地元の観光化への希望もあるようだ。「核なき世界」のオバマ政権も法案を支持している。 しかし、法案にはこれらの基地でつくられた原爆が広島、長崎に投下された事実が全く触れられていない。日系米国人の間には「観光客に原爆の破滅的効果も教えるべきだ」との意見が出ていることを米紙は伝えている。 この動き、日本の大手メディアが伝えないのはなぜか。「原水爆禁止」の初心も風化しようとしているのだろうか。 ▼トンデモナイ話 ▶安倍晋三、何を勘違いか総裁選に立候補だと 本日付の毎日新聞のベタ記事にありました。「美しい日本」でやり残したものがあるとかで、何を考えているのか、「おなかが痛い」などといって総理大臣を投げ出したくせに、あろうことか、自民党の総裁選に立ちたいなどといっているようです。そして、やり残したことがあるなどといっているのですから、どういう頭をしているのだと首をかしげたくなります。日本は恥の文化などといわれていますが、「美しい日本」を標榜するこの御仁、まったく無縁という感じです。恥の上塗りという言葉もありますが、むしろこっちがぴったりとしています。 | ||