原発通信 286号2012/08/31発行
![]() ▶原発訴訟、安全性本格審査を 最高裁研究会で改革論 訴えた方は、安全かどうかを問題にしているのに、裁判所は「手続き」論に終始していた──という中身の無い話だったということです。 まあ、判事の保身からもそうしないと、末代まで言われかねないですから。後年、「判例集」にこんな判決を出したことがあるなどと書かれる可能性大ですから。…などと考えてしまうところで、すでに「司法の信用が揺ら」いでいるということです。 本通信で以前、裁判官とは、お上「行政」はいつも正しいという前提で仕事をしているという元判事の話が出ている記事を紹介しましたが、でも、どうなるのでしょうかね。出世はしたいし、カネもほしいしと、二兎も三兎も追いたい人たちですから、またうまい理屈を考えてくるでしょう。それが彼らの仕事ですから。と、またここでも「司法の信用が揺ら」いでいる? 【裁判所はこれまで原発訴訟のほとんどで「手続き上適法」などとして訴えを退けてきた。改革論が浮上した背景には、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、このままでは司法の信頼が揺らぎかねないとの危機感があるとみられる】 ▶核燃サイクル:秘密会議問題 原子力委員長、厳重注意 細野担当相「秘密会議は不適切」 【内閣府原子力委員会が原発推進派だけを集めた「勉強会」と称する秘密会議を開いていた問題で、細野豪志原発事故担当相は30日、「中立性、透明性、公正性の観点から不適切だった」として、近藤駿介委員長と鈴木達治郎委員長代理を口頭で厳重注意した。近藤委員長は給与1カ月分(105万5000円)、鈴木代理は半月分(46万5500円)を自主返納する意向を示した。しかし、結果に影響はなかったとして、6月に政府に報告した決定文は修正しなかった】 …だそうです。大した仕事をしていないのにこんなにもらっているのですね。逆から見てみれば、この程度のカネで全国民の生命財産、世界の人々の「いのち」をもてあそんでいるということです。 一方、関わった役人たちには、「口頭注意」だそうです。まあ、「これからはもっとうまく、ばれないようにやれ」とか何とか言って。そう、「霞ヶ関ムラ互助組織」ですから。 ▶<福島第1原発>1~3号機注水 規定量一時下回る 【東電によると、1時間あたりに必要な注水量は1号機が4.3立方メートル、2、3号機が6.1立方メートル。同日午後2時までは必要量を注水していた】 【松本純一原子力・立地本部長代理は「ポンプは正常に作動しており冷却が不安定になっているとは考えていない。これまでにも週に1度ほど流量が少し下がることがあったので、原因をしっかり調査したい」と】 ▶福島第一原発、注水量安定せず 【原子力安全・保安院などによりますと、30日午後3時ごろ、1、2、3号機に注水している冷却水の量がそれぞれ、1時間あたりで0.9トンから1.5トン減り、それまでのおよそ8割の量になっているのを東京電力の社員が見つけました。その後、午後4時半に冷却水の量を戻しましたが、午後8時に再び水の量が低下】 ▶猛暑の30日、東電の電力使用率は93% 今夏最大に 【関西など3電力管内では(略)火力発電の事故が重なり電力不足に陥れば計画停電が発動される恐れもある】 東電管内もだそうです。 冗談ではありません! 電力不足になったら、真っ先にやらなければならないのは超大口顧客で、たぶんトンデモナイ割引料金で電力を買っている神戸製鋼(わかっているところで)など「電力調整契約」を結んでいる事業所に、「通告後ただちに使用制限」(瞬時契約)をかけることです。東電管内では23件あります。その他、時間的猶予がある契約者に対してかければいいことです。 こういう危機煽り、許してはなりません。 ▶規制委人事、採決先送りへ=例外規定で首相任命も 【原子力行政の安全規制を担う原子力規制委員会の委員長と委員計5人の国会同意人事案について、民主党は30日、今国会での採決を見送る方向で調整に入った。委員長候補の田中俊一氏に対し、党内に「原子力ムラの出身者だ」などとして撤回を求める声が強いためだ。委員会の発足期限が9月26日に迫っているため、委員会設置法に定められた例外規定を適用し、野田佳彦首相が任命するとの「苦肉の策」が浮上している】 ▶再生可能エネルギー:洋上風力、原発8基分に 「浮体式」商用化必要──環境省戦略 知恵ある人はいるものです。さまざまな知識、アイデアを持っている人たちが様々にアイデアを発揮できる環境整備が必要です。しかし、この分野の予算を削り、また原発予算を復活させようと企んでいるとのことです。 ▶エネルギー・環境会議:事務局、討論会に職員派遣せず 島根原発の地元住民が主催/島根 【政府の「エネルギー・環境会議」の事務局が、中国電力島根原発(松江市)周辺の住民グループによる討論会に職員の派遣を求められながら断っていたことが分かった】 【討論会を主催しようとしたのは、反原発運動に取り組む市民団体「さよなら島根原発ネットワーク」】 ▶島根原発:中国電に安全協定締結を要求──出雲、安来、雲南の3市/島根 【出雲、安来、雲南の3紙は29日、中国電力に対し、島根原発(松江市)に関する安全協定締結の要求書を提出した。安全協定は県、松江市がそれぞれ中国電と締結しており、原子炉増設や廃炉時の事前了解と緊急時の立ち入り調査権が明記されている。3市はこうした立地自治体並みの協定を求めており、中国電は「社内で協議し回答したい」と述べるにとどまった】 3.11以後わかったことは、何か事が起きたときは、どこの原発立地周辺自治体も「放射能」だけは間違いなくもらうことになるということです。だから、そのことに目覚めた各自治体が動き始めています。 ▶大飯原発:おおい町議会、安全性重視を要請 関電に5項目/福井 【要請内容は、福島第1原発事故後、全国で唯一原発の再稼働を容認した議会として▽法令要求にとどまらず、より高い安全性を追求する努力を怠らない▽ヒューマンエラー防止などソフト整備を継続し、免震事務棟や防波堤などハード整備を速やかに進める▽原発の安全性に関わる必要な情報は全て速やかに開示する-など5項目。中塚議長は「安全運転は関電に一義的な責任がある。過酷事故対策などについて注視する意味で要請した」と話している】 「関電に一義的な責任がある」ならば、それに続いて責任を負うことになるのが、再稼働を認めたおおい町だということです。 ▶中間貯蔵整備で100億円要求へ=来年度予算、用地取得額は示さず―環境省 【環境省が、東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質の除染で出る土壌を保管する中間貯蔵施設の整備に向け、2013年度予算概算要求で100億円程度を要求する方向で調整していることが30日、分かった。14年度の着工を見据え、施設の設計や環境影響調査などを進める。……用地取得にかかる費用は額を明示しない事項要求とする方針】 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶東通原発:1号機、代替ポンプ訓練を公開 津波の浸水対策として──東北電/青森 【東北電によると、実際にこのポンプを使うには、延長約2キロに及ぶ配管の敷設や、トラックの通行路を塞いだがれきの撤去などのため15時間以上かかる。その間は、消防車で原子炉に直接注水して炉心溶融を防ぐ計画だ。こうした作業には大量の軽油が必要で、発電所内には約2週間分を確保しているという】 ▶葛尾村住民懇、帰村基準などで紛糾 国、東電と意見交換 「責任回避」と怒号も/福島 【「『安全だ』というのなら、国も東電も子や孫を連れて葛尾で一緒に住みましょう。できますか?」 28日夜、三春町の貝山仮設住宅集会所。国側が帰村できる放射線量の基準について「年間20ミリシーベルト以下なら問題ない」と繰り返したことに、住民が思いあまって尋ねた。 しかし国側は質問には答えず「20ミリシーベルトという数字は、広島や長崎の知見と、ICRP(国際放射線防護委員会)の見解に基づくもの」と述べ、「どのレベルで安心するかは村民が話し合って決めること」と強調】 これでは、住民の人たちが怒るのは当然です。「さあ、ここから先はあんたらが決めてください」とは、行政として住民の安全を守るつもりはないと、言っているようなものです。 | ||