原発通信 291号2012/09/07発行
![]() 北海道から鹿児島まで、全国40都道府県で抗議行動が行われます! 首相官邸前で始まった抗議行動は何十万もの規模に膨れ上がり、今や全国40都道府県にまで拡大しました。そうした反・脱原発、再稼働反対、原子力規制委員会人事撤回の大きなうねりの前に民主党も立ち止まらざる得ない状況に追い込まれています。総選挙間近といわれ、各党派、議員、立候補予定者も「脱原発」といわなければ“やばいかも”という流れをつくり出しています。 一方、政府の節電要請も今日9月7日でひとまず終わります。下にあげるように、各電力会社の見込みを下回る数字が発表され、電力会社のもくろみは外れてしまったといえます。「大飯原発の再稼働なしでは経済が立ち行かない」などと恫喝をかけたが、各自、各企業の「節電」努力、つまり、これまでの野放図な電気の使い放題を改めようという機運にも後押しされ、再稼働なくしても乗り越えることができるのだという「実績」を示すことになりました。 しかし、野田政権は、国会承認を得ずしての原子力規制委員会人事の強行、保安院の駆け込み「妥当判断」等、恥も外聞もかなぐり捨てたアンゼン教の復活、さらなる拡大を企んでいます。このような状況下、多くの人々の抗議の声こそが流れを変えていく力になるのだと思います。反・脱原発運動はいのちの問題なのだということを確認し、さらに大きな声を挙げていきましょう! これから、首相官邸前抗議行動に行ってきます。 ▶再稼働不要裏付け 今夏消費5~11%減 ![]() 東京新聞9月7日より 【中でも「15%の電力不足に陥る」と主張していた関西電力の需要予測は過大だったことが明らか。専門家からは「大飯原発(福井県おおい町)の再稼働は必要なかった」との声が出ている】 産経新聞の危機煽り ▶2度目の「節電の夏」きょう終了 業績ダメージ、電力安定化急務 【企業は地道な節電対応や自家発電設備の導入などで、2度目の「節電の夏」を乗り切ったが、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働で電力不足が緩和された影響も大きい。大半の原発は停止したままで供給力の抜本的な回復は見通せない。電力需要期のたびに節電を迫られれば、企業活動の大きな足かせになるのは必至で、電力の安定供給を求める声は強い】 上の東京新聞の記事によると、関西電力は、見込みとマイナス11.1%も下回ったといいます。それなのに、産経新聞は「大飯原子力発電所3、4号機の再稼働で電力不足が緩和された影響も大きい」などといっているのです。 また、この記事で、セブン―イレブン・ジャパンやパナソニック、日本製紙グループなどが何をやったなどと書いていますが、要は、それまでとてつもなく安い電力料金で、省エネ設備の導入よりはじゃんじゃん使ったほうが安いという料金体系があり、「無駄遣い」をしていたということです。きっとこれからはあの時省エネ投資しておいてよかったなどというにきまっています。日ごろ、コスト管理などといっているのですから、電気使用量も常時監視していたと思ったら何もしていなかった。コスト管理などしていなかったということさらけ出しているのです。 【電力供給を一日も早く安定させほしい」(電機大手)との声は高まっており、企業の体力は限界に近づいている】 にわかに信じることはできません。原発が再稼働することによってそこからの儲けが期待できるからということが見え透いています。 ▶原発維持「周辺国へ抑止的機能」 就任前に防衛相が講演 【森本敏防衛相が就任前の今年1月、電力関係の講演会で日本の原発維持を主張し「単にエネルギーの問題だけではない」「周りの国から見て非常に大事な抑止的機能を果たしている」と発言】 と、の森本防衛相の発言に対して河野太郎氏の「ごまめの歯ぎしり」で的確に言っています。 【日本の場合、すでにプルトニウムを45トンも取り出していて、そのうち10トンは国内にある。 プリンストン大学のフォン・ヒッペル教授によれば、アメリカの核兵器に積んであるプルトニウム総量は38トンということだから、日本が持っているプルトニウムの量はそれと比べてもかなり多い】 【森本防衛大臣は、自民党が民主党政権に送り込んだトロイの木馬だという噂があるが...。】と。 この種の発言、最近では次期自民党総裁選に出馬といわれている石破茂元防衛相も言っています。そして、ここに六ケ所村の本質があるのです。 ▶原発ゼロの会、新たに4基を「廃炉対象」に 【超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は6日、全国の商業用原発50基のうち、28基を即時廃炉にすべきだとし、残り22基を危険性が高いと判断した順番に並べた改訂版の「原発危険度ランキング」を公表した。 即時廃炉にすべきだとして6月に公表した24基に加え、原発直下に断層がある可能性が高いと判定した関西電力美浜原発1、2号機(福井県)、北陸電力志賀原発1、2号機(石川県)の4基を対象とした】 「即時廃止なんてできるのかよ」などと初めから負け戦気分でもの申している人がいますが、「即時」廃炉にしなければならない危ないものあるのです。 ▶上関原発:建設妨害禁止の仮処分確定 最高裁 【中国電力が反対派住民による漁船などでの妨害の禁止を求めた仮処分申し立てについて、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は4日付で、住民側の特別抗告と許可抗告を棄却する決定】 別に驚くことはありません。想定されていたことです。お上=国=行政がやることは正しいと初めから決めているのですから。原発、国策ですから。騒然「近いうちに」行われるであろう最高裁判事の信任投票では、当然、この白木勇裁判官は「×」です。 ▶民主党:「原発ゼロ」提言を提出 【同調査会は6日、「30年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と提示。原発の運転開始後40年で廃炉とする原則を厳格適用▽原発の新増設は行わない▽原子力規制委員会の安全確認を得た原発は再稼働する──などとする提言を取りまとめた】 ▶民主党:原発ゼロ方針 青森県などに困惑広がる 【民主党が6日、「2030年代に原発ゼロを目指す」との方針を打ち出したことを受け、使用済み核燃料再処理工場など数々の核燃料サイクル施設が立地する青森県や立地自治体に困惑が広がった。青森県は原発ゼロで再処理が中止の見通しとなれば、これまで預かってきた「核のごみ」の受け入れを拒否する構え。原発が集中する新潟や福井の自治体関係者からも、先行きへの不満と不安の声が上がった】 大胆に言ってしまえば、青森県が心配しているのは原発・核サイクル政策ではないということです。それがどうなろうと本筋ではなく、雇用や交付金が出なくなるということなのです。ならば、事は簡単です。班目が言っていたように「要はカネでしょう」ということですから、これまでもいきさつもあることですから、当面は同額程度出すということになれば、原発が必要だの核燃サイクルがなどという話にはならなくなるでしょう。止めたところで、何十年、いやそれ以上かかるかもしれませんが、「維持」していかなければならないのも事実です。 ▶甲状腺検査、県外でも 18歳以下の避難者対象/福島 【県外検査の対象は、田村▽南相馬▽伊達▽川俣▽広野▽楢葉▽富岡▽大熊▽双葉▽浪江▽川内▽葛尾▽飯舘──の13市町村の未受診者。これら自治体から県外に避難している18歳以下の住民は約5100人と見られる】 ここでも、山下俊一が暗躍するでしょう。 ▶福島第1原発事故 ゲノム調査12億円 環境省、「有効」と予算計上 【環境省が福島県内でゲノム(全遺伝情報)調査を計画していることに、専門家から「被ばくの健康影響は分からず、意味がないのでは」と疑問視する声が出ている問題で、同省は6日、13年度予算の概算要求に11億9200万円を計上することを明らかにした。細野豪志環境相は記者会見で「さまざまな低線量被ばくのリスクに備える意味で有効な手段」と述べた】 低線量被ばく、「No problem!」と言っていたのでは? ここでもムラ・マフィアの連中がむさぼりつくのでしょう。 ▶「2030年代原発ゼロ」目標 世論圧力で明文化 【原発の40年運転制限と、原発を新設・増設しないという原則を適用すると、39年時点で稼働している原発は5基になる。民主党議員は「実質的に、原発依存ではやっていけなくなる。30年代の原発稼働ゼロは現実的な記述だ」と強調した。 調査会終了後、前原氏は野田佳彦首相に電話を入れると、首相は「よくまとまっている」と語り、調査会の結論を尊重する意向を示した。 一方、より先鋭的な「25年に原発ゼロ」の達成を主張してきた菅直人前首相は、調査会終了後に開いた自身のグループ会合で「最終案について了とも可とも言わなかった。『黙ることにしよう』と思った」と説明し、不満をにじませた。 同党が「30年代の原発稼働ゼロ」を提言に盛り込んだ背景には、原発ゼロを求める声の高まりがある】 「原発ゼロを求める声の高まり」、この春から始まった首相官邸前での抗議行動が、全国にまで波及しています。そうした声の高まりが無視しえないところに来ているということです。原発に依存しない社会をめざす=脱原発・反原発をめざす人は、首相官邸前へ!(でなくともいいのです。各自身近なところで声を挙げていくことの重要性が問われているのです)。 ▶中央防災会議:SPEEDI公表を明記 原子力対策を修正 政府は6日、中央防災会議(会長・野田佳彦首相)を開き、国の防災基本計画を改定した。原子力災害対策編を大幅修正して「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の一般公表を明記したほか、地震と津波、原発事故が重なった東日本大震災のように複数の災害が連続発生する「複合災害」に備えるよう定めた】 ▶中央防災会議:具体的な記述ない項目も 原子力対策見直し 【防災基本計画で原子力災害対策が12年ぶりに抜本的に見直されたが、原子力規制委員会の発足が遅れたことで、具体的な記述がされなかった項目も多い。原発周辺の自治体の地域防災計画作りにも影響が出ている】 「規制委が発足後に定める原子力災害対策指針に先送りされた」とのことです。 ▶原子力規制委:817億円を概算要求 13年度予算で 【新たに発足する予定の原子力規制委員会について、内閣官房は6日、13年度予算の概算要求額を817億円と発表した。規制強化と防災対策の充実に重点を置いたといい、12年度の原子力規制関連の当初予算の1.7倍の規模に膨らんだ。規制委が原発の敷地内にある断層を調査できるようにし、これに約10億円を計上した】 昨日の通信でも書きましたが、ムラの秩序を破るような「答」出すはずがありません。「おきて破り」は許されないのですから。そして、このカネも、彼らの懐に…。ヒルのような連中だということです。 ▶福島第1原発事故 避難者の損賠請求、東電側は争う姿勢──第1回口頭弁論/静岡 【福島県南相馬市から伊豆の国市に避難している一家6人が、東電に慰謝料など約3000万円を求めた損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が6日、静岡地裁(村野裕二裁判長)であった。東電側は「(原子力損害賠償紛争審査会の)中間指針の限りで損害を認める」との答弁書を提出し、それ以上の請求に対しては争う姿勢を示した】 ▼原子力ムラ 今日の「No problem!」 ▶記者の目:原発事故 東電テレビ会議映像=中西拓司 【私は150時間中、音声がある50時間をすべて視聴し、福島第1原発事故に関する第一級の1次資料だと感じた。東電は6日、映像の公開対象を「震災後1カ月間」に拡大すると発表したが、現状では事故資料の管理態勢は脆弱(ぜいじゃく)だ】 【この後、清水社長は記者会見で3号機について「設備損傷が広がらないよう全力を尽くす」と、爆発リスクには言及しなかった。同じ頃、現場では3号機の原子炉建屋から水素を抜くため必死の努力を続けていたにもかかわらずだ。結局、3号機は翌日爆発した。現場の危機感がトップに共有されず、楽観論に傾いた象徴的なエピソードだ】 【資料保存という点で、東電より罪深いのは政府だ。政府は、前線基地のオフサイトセンターや官邸を結ぶ独自のテレビ会議システムを整備していたのに、通信回線ダウンのため一切活用しなかった。国会事故調報告書は「官邸は端末を起動させた形跡がなく、情報共有にまったく活用されなかった」と断じた】 ▼トンデモナイ話 ▶石原都知事:「廃炉とんでもない」 福井「もんじゅ」視察 /東京 どっちがとんでもないのだといいたくなります。 石原都知事、足腰が丈夫なようであっちこっちで歩いています。今度は福井です。 「画期的な技術。廃炉なんかとんでもない」とのたまわったそうですが、とんでもないのはあなたの存在なのです。どこまで理解しているのか定かではありませんが、戦後原子力の平和利用だなどとの甘言にのり、ずーっと使える発電機と思い、「一丁、買って俺の庭に据え置け」といった正力松太郎と同じです。あの短絡志向の彼が理解しているとは思えません。 | ||