原発通信 298号2012/09/18発行
10月13日に大行動が提起されています。参加していきましょう! 10月13日、日比谷野外音楽堂で「さようなら原発集会」開催決定 ・10.13さようなら原発集会(仮称) ・日時:10月13日(土)13:30~14:30 (詳細は後日お知らせします) 「2030年代の原発ゼロ」──でも、原発はつくります? 舌の根も乾かないうちにもう全く逆のことを平気で言います。枝野経産相、周囲から何を言われているのか想像に難くありません。根深い、執拗な、包囲網、ネットワーク…原発マフィアの姿が見え隠れします。 そこには、東芝=ウェスティングハウス社(*)や日立が絡んでいるのでしょう。この間言われてきているように、原発はコストが見合わない。シェールガス、天然ガス等のほうのコストが下がり、原発は最終処分問題もあり、採算が取れなくなるということが明らかになってしまった。だから、ウェスティングハウス社は東芝に売ったのでしょう。そうでなければ米国の原発推進の大本山を手放すわけがありません。したがって、現在、原発メーカーは、東芝と日立とGE が中心になっています。そこにはプルトニウムの管理という問題も絡んでおり、安保問題ともリンクしているという事情があるのです。原子力マフィアの一面がそんなところからも見えます。 尖閣諸島をめぐる問題もそうですが、歴史をきちんと学ばなければなりません。まずは歴史を知ること、謝罪すべきことはすることです。それをもっと早くにしておかなければならなかったのです。 (*)2006年、ウェスティングハウス社は東芝の傘下に。買収額54億ドル(当時のレートで約6600億円、株式の77%取得) 「ガレキの跡地に鎮守の森を作ろう」宮脇昭さん
そうした植林事業を通じての話ですが、世界で植林運動を展開(中国の砂漠、ブラジルのアマゾン、タイ、などなど)していても、今回の東日本でも女性たちのほうが熱心。それは、オスとメスとの生物学的な相違が根底にあるからだといいます。いのちを産み、育まなければならないメスとしての本能がそうさせているのだと。男たちはすぐ根をあげますが、女性たちは黙々と植樹し続けるそうです。命をはぐくむ森の重要さを直感できているのかもしれないと、宮脇さんはいいます。 それは、最近の毎日新聞のアンケート調査(下記)で「原発ゼロ」を望むのは女性の方が高いという結果にも表れているのではないでしょうか。3.11後の脱原発をめぐる動きや官邸前抗議行動などを見ても感じることです。 官邸前行動雑感 「時代は変わりました」
抗議の列を離れて、ちょっと様子を見ていきました。年若い機動隊員が数名、お喋りをしています。聞くとはなしに耳に入ってきたお喋りは、「なんかこれ、おもしろそうだな」と。時代は変わりました。 また、帽子に線が入ったお偉いさんが通ると若い機動隊員が敬礼するものだから、「兄さん、あの人、兵隊でいえばどのくらい偉いんだ」と聞くと意味は通じたらしく、考えて「少佐ぐらいかな」などというのです。でもそんなには偉くはないと思うのですが、まあ、こんな無駄話ができるくらいの雰囲気です。時代は変わりました。 抗議行動を終え帰り道、仲間と赤坂方面へ出るかとなったのですが、どこを曲がろうかと話していると、角に警備に立っていた機動隊員、こちらが聞いてもいないのに「この先を左に曲がると溜池山王です」と、それはそれは丁寧に教えてくれました。時代は変わりました。 もう一つ、抗議行動が始まる前、年配の女性が、「ここ、座っていいですか」と聞いてきました。ちょうど腰かけるにちょうどいいところに陣取っていたのです。「どうぞ」と言うと、彼女、相模原から電車乗り継いできましたというのです。年は80歳を過ぎているといいます。そういう年配の方々多く見かけます。頭が下がります。 ▶原子力安全委:最後の会合 斑目委員長「反省点は多々」 【班目委員長はこの日の会合の最後に事故を防げなかったことについて、「反省すべき点は多々ある。あらかじめの備えの大切さを痛感した」と述べた】 もう多くを語る必要はありません。古いセリフですが「反省するだけなら猿でもできる」と。「痛感」はしましたが、たぶんそれでオシマイでしょう。責任をとることもなく…。 ▶IAEA総会:「原発ゼロ」日本説明 見直す可能性も強調 【新戦略は将来的な原発ゼロを明記しつつ、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「核燃料サイクル」の継続を確認している。兵器転用が可能なプルトニウムの蓄積には国際的な懸念もあるが、山根副外相は演説で核燃料サイクルの継続には触れなかった。 これに先立ち、天野之弥IAEA事務局長は冒頭演説で「(福島原発)事故後18カ月を経て、原子力が多くの国にとって重要な選択肢であり続けることは明らかだ」と原子力の重要性を再確認。】 ここにマフィアの表の顔が出ています。 ▶エネルギー・環境戦略:「原発ゼロ」「建設継続」 整合性に疑念噴出 むつ市長、搬入判断を保留/青森 【中間貯蔵施設を建設中のむつ市の宮下順一郎市長は「核のごみ」搬入拒否撤回を保留する姿勢を見せた。 越善靖夫・東通村長は「プロセスや課題への対応が非常にあいまい。原発ゼロと再処理継続という方針に矛盾を感じざるを得ない」と批判。 金澤満春・大間町長も「(大間原発は)許可を出しているので変更ないということは評価できるが、あいまいな部分について(枝野経産相から)きちっとした発言がなかった」と困惑した。 古川健治・六ケ所村長は「整合性に課題はあるが、村の実情を重く受け止め、ご配慮いただいた」と評価。 三村知事は「核燃料サイクルは推進するという説明があり、青森県との約束は守られていると理解した。約束通り淡々とした対応になる」と述べ、県内にある使用済み核燃料を全国の原発に送り返す必要はないとの考えを示した。】 ▶再生エネに参入ラッシュ=主力は太陽光・風力発電―原発事故受け注目高まる 利益が見込まれるとなったら、参入してくるのが資本主義です。原発は莫大な利益をマフィア内部で山分けしていたということなのです。その一角が崩れるか。 JX日鉱日石エネルギー:2013年1月に仙台製油所西地区(宮城県多賀城市)でメガソーラー事業を開始。津波で大きな被害を受け、移転したタンクローリー用出荷施設の跡地に発電所を建設。JXは「停電時には、起こした電力で地元住民が携帯電話の充電などをできるようにしたい」と地域貢献拠点としての活用も検討 ユニ・チャーム:福島、静岡、香川3県で、自社工場の屋根を使ったメガソーラー事業を計画 エス・バイ・エル(住宅メーカー):茨城、山口両県で自社工場の屋根を使ったメガソーラー事業を計画。 ソフトバンクグループなど:鳥取県の協力を受け、長く塩漬けになってきた米子市の干拓地で、13年7月に出力3万9500キロワットと国内最大級の施設を稼働させる。 丸紅:茨城県の公募に手を挙げ、同県神栖市の鹿島港沖で17年ごろの開始を目指して洋上風力発電事業をスタートさせる予定。 ▶焦点:なるか脱原発、火力発電の有効利用や省エネ進展で可能に 要は、抜けに抜けない底なし沼に足を取られてしまっているということです。 【既に支出してしまい、決して戻らない費用や時間、労力のことを経済学で「サンクコスト(埋没費用)」と呼ぶ。「戻らないコストはあきらめるべき」と人や企業に合理的な判断を促すための概念として用いられる。 原発はサンクコストの概念に基づく撤退判断がもっとも困難な事業といえるだろう。原発立地の実態を政府関係者はこう説明する。「立地候補地の準備室に赴任した電力会社の社員が、地元有力者の子供の家庭教師をボランティアで引き受ける。その子が大人になったときに原発建設への協力を働きかける」。数十年の歳月をかけてでも電力会社が原発に執着するのは、順調に運転している限りは「金のなる木」だったから。停止したままでは、計算にもよるが1基あたりで毎日7000万円近いコストがかかる「金食い虫」だ】 【三菱総合研究所の小宮山宏理事長(元東京大学総長)は「原発の停止は量的な危機ではなく、電力会社の財政の問題だ。 政府の試算では、2030年時点の総電力量が現在の1.1兆キロワット時から1割減の1兆キロワット時となる前提だが、小宮山氏は、省エネの前提が低すぎるとみる。「冷蔵庫の電力消費は20年前に比べ8割減、エアコンは6割減っている。今後も技術改善が見込めるから30年時点における家庭の電力消費は3分の1くらいに減る」(小宮山氏)として、30年時点の総電力量は8000億キロワット時だと主張する。 総電力量が8000億キロワット時の場合、原発比率15%の発電量1500億キロワット時を含めないことも可能だ。小宮山氏は「30年で何を目指すといえば、原子力はゼロだ」と語った。その場合は再エネの発電量比率を10年時点の10%から30年時点で30%に引き上げないといけない】 ▶「洗濯物外に干さない」40% 福島市・住民調査 【福島市民の5人に2人が福島第1原発事故の放射線を気にして洗濯物を外に干していないことが14日、市の実施した市民アンケートで分かった】 原発、原子力、放射能、それらすべてが持っているのが、「薄気味悪さ」なのです。安全だ、大丈夫だといっても、信用されないものが原発、原子力にまつわる様々なものだということです。これらのアンケートに答えた方々は、たぶん女性たちが多いことと思います。そこが、経済一辺倒でものを考える男性と産む性としての女性の違いが出てくるのでしょう。それは下記の毎日新聞のアンケートにも表れています。 ▶本紙世論調査:原発ゼロ方針「支持」60% 【政府の原発稼働ゼロ方針を「支持する」と答えた人は、男性で54%、女性は64%だった】 ▶日本緑化工学会:福島の森林除染アピール 「チェルノブイリとは事情異なる」 【アピールは、主な汚染物質であるセシウム137は半減期が30年と長く、森林を除染しなければ、農地などを除染しても再度汚染される危険性があると指摘した。 また、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが昨年10月、日本政府に提出した最終報告書で「森林除染の必要性は低い」と結論づけたことについて批判。報告書が参考にしたと思われる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)は、人口密度が低く緩やかで広大な地形が汚染されたために、森林を封じ込めの場として放置することも効果があるが、丘陵地形で降水量が多い福島県では事情が異なるとした】 しかし、あの東北の森をどうやって「除染」する? そしてその水は、土は、葉は…? ▶田中正造:再び注目される思想 足尾銅山事件と福島原発事故の類似性 【物質上、人工人為の進歩のみを以てせば社会は暗黒なり。デンキ開けて世間暗夜となれり。 亡くなる約1カ月半前に正造が日記に書いた言葉だ。 菅井益郎・国学院大教授(日本経済史)は「鉱毒事件を通して正造は、近代とは何か、技術とは何かを徹底的に考え抜いた。技術の進歩にのみ頼っている社会は人間を滅ぼす。技術をコントロールするモラルや哲学が必要と警鐘を鳴らした」と解説する】 【銅生産も、原発も「国策」として進められた。菅井さんは「日本は近代化を進めるために、何か問題があっても責任をとらない構造を作り、それが今も続く。鉱毒事件も原発事故も政府は責任をとらず、企業も『国策に沿った』と、責任をとらない。被害を受けるのは弱い立場の人々だ」と指摘する】 【民を殺すは国家を殺すなり 法をないがしろにするは国家をないがしろにするなり 皆自ら国を毀(こぼ)つなり 財用をみだり民を殺し法を乱してしかして亡びざるの国なし、これを如何(いかん)】 田中正造が警鐘を鳴らした時代から何が変わったのでしょうか。67年前、国を滅ぼすまでいっても何ら責任を取るものはなく、本来責任をとらなくてはならないはずの連中の孫たちが、67年後の今日、「強い日本」を復活させるのだと意気込んでいます。一方、中国は中国で、積年の恨みを晴らすのだとばかり。これもそれも67年前にきちんと「戦後処理」をしてこなかったツケなのです。 ▶Dr.中川のがんの時代を暮らす:/51 「魚好き」と内部被ばく またまた中川、人々をたぶらかすようなことを書いています。なんでもこれまで過小評価されていたものが魚に多く含まれていることがわかり、自然からの内部被ばく量が上がったのだと。そんな放射性物質を含んだものを食べ続けている日本人、長寿ではないかとの印象を与える書き方なのです。ここにも中川得意の「東大話法規則」が顔を出します。 【日本人の長寿の理由の一つである「魚好き」が自然な内部被ばくを高めているというわけです。今後、これまで評価できていない未知の自然被ばくが分かってくれば、国民線量はさらに高くなる可能性もあります】 そして、唐突に【ちなみに年2・09ミリシーベルトという日本の自然被ばく量は、世界平均の2・4ミリシーベルトを下回ります。日本がウラン鉱石など資源に乏しいためで、米国は年3・0ミリシーベルト、フィンランドは年約7・5ミリシーベルト、フランス、スペインは年約5ミリシーベルトです】などと書き、福島の放射線量など大したことはないのだと誘導するような書き方をしています。しかし、オーストラリアのアボリジニの人たち、米国のネイティブアメリカンの被曝問題には触れません。 ▶「放射線を過小評価」 国会原発事故調・崎山さん講演 被ばくの危険性指摘/さいたま 【講演で崎山氏は、がん研究の専門家として、被ばくによる危険性を解説した。「体内のDNAは、放射線が1本通っただけでも切断される。その損傷を修復するときにミスが起きると、がんになっていく。しかも、そのようなDNAの突然変異は、子孫に受け継がれる」と警告。「だが、放射線のリスクは過少評価されている」と訴えた。 低線量被ばくの危険が正当に評価されなくなった理由について、崎山氏は「許容される放射線量が厳しくなると、対応する政府などの予算が増えてしまうからだろう」と指摘。その上で、昨年秋に文部科学省が発行した放射線副読本に触れ、「原発事故のことや、どれだけの地域が汚染されたかは、ほとんど書かれていない。これでは、子どもたちが自分で考える力がつくはずがない」と批判した】 ▶島根原発:「原発ゼロ、なし崩しに」 3号機運転差し止め求め住民ら提訴へ 年内にも支援団体/島根 【中国電力島根原発(松江市)の廃炉を目指す島根、鳥取両県の住民らで作る「さよなら島根原発ネットワーク」の総会が15日、同市であった。現在建設中の3号機の運転差し止めを求める民事訴訟を、来年にも松江地裁に起こす方針を了承した】 ▼トンデモナイ話 ▶NY金融街デモ 150人拘束 「ウォール街を占拠せよ!」との呼び掛けで始まったウォール街の強欲どもへの反撃、1年がたちました。東京でもそれに呼応しての行動がありました。市場原理主義者、巨大化したマネー至上主義への反撃はまだ始まったばかりです。水曜日には官邸前で反貧困の行動が展開されているとのことです。 【アメリカ・ニューヨークの金融街で、経済格差の解消を訴える抗議行動が、去年9月に始まってから17日で丸1年を迎え、数百人が再び金融街をデモ行進し、およそ150人が警察に拘束】 | ||