原発通信 336号2012/11/13発行
野田首相、責任の取り方は議員辞職?! いいえ、辞めるなんて言っていません。 まずは、下記の毎日新聞とNHKニュースの記事を読み比べてください。ざっと読んでしまうと同じように思えてしまうのですが、まったく違います。野田は、「法案が通らなかったら議員辞職するのが自分の責任の取り方だ」なんて言っていないのです。いや、ちょっと前まではそう思っていたけどねと。今はそんなこと思っていないということをはっきりといっているのです。NHKTVのほうを見ていただけるとわかります。 昨夜NHKニュースを聞いていて、なんだ、今はそんなこと思っていませんと言ってるじゃないかと思ったのです。そうしたら今日の毎日新聞では、今も同様に思っているという書き方なのです。 つまり、毎日新聞を読むと「責任の取り方は自分のバッジを外すことだ」とさも今現在もそう思っているというふうにとることができますが、NHKTVでは「議員辞職をするつもりだった」(下記、動画3:00あたり)です。 「バッジを外すことだ」と「するつもりだった」とでは大違いです。正確に報道しないから、やれ解散だ、解散を決心しただのと「憶測」が飛び交い、何が問題の本質かなんて、でどうでもいい話になってしまうのです。 解散騒動のなかでかすむ原発問題 原発問題を争点にするなどという声も聞かれましたが、いつの間にかそんなのはとんでしまい、TPPにシフトの感です。橋下もTPPこそ自由貿易の前提だなどと、周回遅れの「経済学」を持ち出し叫んでいます。 ホームルーム以下の国会 しかし、国会でやり取りされている問答、いやはや何をいっているんだという感じです。「うそつきだ」とか、「近いうち」とはとか――。あんたに言われたくないということ言いあっています。そもそも、あなたに言う資格があるのかと。そんなことを互いに言い合っています。 ▶野田首相:一体改革法案未成立なら議員辞職のつもりだった 【一体改革関連法を巡り、首相は「政治生命を懸ける」と表明しており、石破氏は「成立しなければ、衆院解散か総辞職を選ぶという意味だったのか」とただした。これに対し、首相は「(増税に反対して)離党される方も出た。多くの人に迷惑をかけた以上、一番の責任の取り方は自分のバッジを外すことだ」と表明】 ▶“定数削減 解散判断条件でない” 【野田総理大臣は、先の通常国会で消費税率引き上げ法などが成立しなかった場合に“政治生命をかける”と述べていた真意について「将来の国民に申し訳なく、あすへの責任を果たすこともできないので、議員辞職をするつもりだった」と】 ▶緊迫・解散政局:年内総選挙の意向 早期が得策、首相判断 ◇TPPなど旗印に 自公に譲歩、連携うかがう ◇関心は争点に移行 原発政策あいまい──自公 ◇準備整わず危機感──第三極 ▶敦賀原発 月内にも断層調査 【規制委などによると、敦賀原発の敷地内には断層(破砕帯)が百九十本走っており、うち六本は1、2号機の直下を通っている。旧経済産業省原子力安全・保安院(廃止)の四月の現地調査で、近くを通る全長三十五キロの「浦底断層」が動いた際に、これらの断層が連動する可能性が指摘された。 原電は横坑やボーリングで断層を調査しており、月末をめどに最終報告を出す方針。調査チームは断層の状況を実際に目視し、断層の土砂も採取し活断層かどうかを判断していく。十四日の規制委員会で日程や派遣メンバー、細かい調査方法を詰める】 ▶浜岡原発廃炉訴訟:国も被告に追加へ 【周辺住民ら181人が、中部電に同原発の事実上の廃炉を求め静岡地裁浜松支部に起こした訴訟で、原告弁護団は12日、被告に国も加える方針を固めた。来年1月末までに追加提訴する】 【弁護団の塩沢忠和弁護士は、「国が実質的に稼働を進めてきた浜岡原発の危険性が、東京電力福島第1原発事故で明らかになった」と指摘。憲法の幸福追求権や民法の人格権を侵害する恐れがあることから、国は浜岡原発を永久に止める義務があると主張するという】 ▶関西電力:みずほなど大手行が3000億円新規融資へ 【関西電力(大阪市)に対して、みずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行の大手3行と日本政策投資銀行の主力取引銀行が計約3000億円を新規融資する方向で最終調整に入った】 儲かると踏んだからでしょう。でも、あてが外れたら(再稼働できないとなったら)、パーに…。てなわけ考えているわけがありません。またまた「公的資金の注入」をと言い出すにきまっています。銀行なんてそんなものですよ。 ▶国が中間貯蔵施設の設置説明 福島県、調査に一定の理解 【環境省は12日、県に対し、現地調査を求める2回目の説明をした。県は「最初の説明で生じた疑問への回答があった。施設の安全性は現地調査をしないと分からない部分がある」と、現地調査の必要性に一定の理解を示した】 皆、薄々思っているのです。「例のもの、あそこしかないだろう。他にいいとこあるか。ないだろう」。「でも、今言っちゃ問題になるし…。ほとぼりが冷めるまで待つか」。「そのうち、町がないという声が出てくるだろう。それまでは…」というところでしょう。 「あそこ」ってどこか? あそこでしょう。原因をつくったところしかないでしょう。 ▶国際エネルギー機関:原子力発電量を下方修正 【国際エネルギー機関(IEA)は12日、2035年までの世界の原子力による発電量の増加予想を、10年に比べ約58%増とし、昨年発表した70%超の増加から大幅に下方修正した。同日発表した12年版「世界エネルギー展望」報告書などで明らかにした】 【東京電力福島第1原発事故を受け、日本だけでなく、ドイツやフランスでも原子力利用の低下など脱原発の機運が高まっていることが理由。「事故を受け、原子力に期待される役割は縮小している」と】 IAEAではなく、IEAの報告であるということ、お間違いなく。当然の流れといえるでしょう。そのことを知ってか、先月31日のブルームバーグには、ウランの値下がりが起きていると報じています(下記)。 ▶加キャメコ7-9月の実質利益50%減-ウラン値下がり響く 【ウラン採掘で世界3位、カナダのキャメコ の7-9月期(第3四半期)決算は、一部項目を除いた実質ベースで50%減益となった。原子炉燃料の原料となるウランの値下がりが響いた】 【ウランのスポット価格は福島第一原子力発電所の事故以降、下落している。キャンター・フィッツジェラルドのアナリスト、ロブ・チャン氏は決算発表前の電話取材に対し、「昨年の福島の原発事故以降、日本でウラン在庫が過剰になっていることが、業界の強いファンダメンタルズ(需給関係)より重視されている」と述べた】 ▶東日本大震災:「セシウム除去」実証試験プラントを公開 【産業技術総合研究所などは、東京電力福島第1原発事故に伴う枝葉などの放射性セシウム汚染物を処理する実証試験プラントを福島県川内村に設置し、12日公開した。青色の人工顔料プルシアンブルーの微粒子にセシウムを吸着させて除去する。保管場所が課題になっている汚染物の体積を1000分の1に減らすのが目標】 単に体積=ガサを減らす=置き場所が小さくて済む=同じ面積なら多く(量)を置ける=という話です。放射性セシウムは濃縮されるだけです。つまり、危険度がさらに上がるということです。その危険度があがったセシウム、どこへ持っていく? と、またまたいつもの壁に突き当たってしまうのです。厄介なものです。 ▶あなたの電気代が福島原発を維持している 河野太郎ブログごまめの歯ぎしり2012年11月09日 21:44 私たちが支払っている電気料金に、福島原発(第1、第2)を維持するカネが含まれていて、それを経産省がOKしているという話なのです。 その回りくどい、いったい何が言いたいのだというお役所言葉、文章を河野太郎氏が「口語体」に翻訳していますので、一読を! 要は、東電、福島第一の5,6号機は壊れていないし、第二もそう、廃炉にするといっていないし、そのうちほとぼりが冷めたら動かせるかもしれない、だから、消費者が負担しろということなのです。 ▶1「福井県民はB級国民である」武田邦彦&岩上安身11/11(内容書き出し) ちょっとエキセントリックな武田邦彦センセイと岩上氏の対談です。なぜ福井県に原発があれだけ集積しているのか。それと、今問題になっている原発敷地内を走る活断層についても話しています。武田センセイが原子力安全委員会の地震指針の委員をしていた時の話が出てきます。まさに、「前提」の前に思考停止する原子力ムラの人々のことを。 【武田:つまり学問が無いって言う事なんですよ。学問っていうのは、前提がどうでも活断層であれば活断層。ところが、前提に「運転したい」と思ったら、活断層がなくなって、中立になると活断層があると。ね、これじゃあ学問じゃないですよ。】 ▶東芝テックが「消せるコピー機」を開発 消せるトナーが鍵 用紙を繰り返し活用 【東芝テックは12日、加熱すると文字や画像が消える特殊なトナー(粉末)を使い、用紙を再利用できるようにした新型複合機システム「ループス」を開発したと】 これは、原子力ムラ、その代貸たちにとっては、いいものができたと膝を叩いていることでしょう。何せ、消せるのですから。マスコミにコピーが出回って、追及されることが格段と減るツールになると。原子力ムラ御用達間違いなし?! ここでも東芝です。 ▶石原前都知事、13日に新党結成会見 名称は「太陽の党」で最終調整 【石原新党の名称は、「太陽の党」で最終調整していることが明らかになった】 年をとってくると、自分が一番輝いていたときが忘れられず、すがるものです。「太陽の党」、開いた口がふさがりません。 ▼イベント情報 NPO「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」が12月2日に、講演と討論会を開催 テーマは、「福島支援」2013年に向けて──原発事故の責任を問いつつ、今私たちにできること 「犠牲のシステム──フクシマ」の著者・高橋哲哉氏(哲学者/東京大学大学院教授)の基調報告ののち、「原発告訴とこれからの福島支援」と題したパネルディカッションを佐藤和良氏(いわき市議/福島原発告訴団副団長)+高橋哲哉氏+同NPO理事長で講談師の神田香織さんで行います。(詳細は前号に) ◎日時12月2日(日)午後1時~4時 ◎場所 在日韓国YMCAアジア青少年センター 9階国際ホール ◎会費 一般 1000円 | ||