原発通信 341号2012/11/20発行
![]() 政治への希望──「人々は首都の官庁街に何万人規模で集まってよいことを知った。政治に圧力をかけられ、首相と面会できることを知った」 マスコミは解散、総選挙だといい、デマゴギーを振りまく橋下・石原を追いかけています。原発を総選挙の争点になどと言う声はどこへやらという雰囲気です。橋下は、「政策論議」などどうでもいいという始末です。 しかし首相官邸前行動は休みなく続いています。現実には失望しつつも、政治に希望を持っている人たちが、毎週官邸前、国会前に詰めかけ、原発反対を叫び続けています。持続することの今こそ重要だと思います。 ▶「解散」日、官邸前デモの人々 「脱原発」変わらぬ熱気 仕事で先週は行けなかったのですが、記事によると熱気は変わらないとのことです。 3.11後の早い時期から反原発行動に、娘さんを連れて参加している小熊英二さん、楽観はしていないがとしつつもこう言います。 【「野田政権が決めた革新的エネルギー・環境戦略は揺り戻しがあるでしょう。ただ選挙の結果がどうなろうと、脱原発の流れは大きくは変わらない。この国ではもう原発の新設は事実上困難ですから」】 【「60年安保のデモの盛り上がりは1か月、68年のパリ5月革命も2か月でした。しかし昨年からの脱原発デモは1年半以上続いている。もう一過性のブームとはいえない。経済や社会の構造が変化しているのに、政治が全く変わらず、そのずれが政治不信となっているからです。いまは一昔前のような、『雇用が安定しているから政治に無関心でいられる』という時代ではない」】 【「今度の選挙の投票率は低いでしょう。『入れたいところがない』という人が多いですから。それは根本的には、政治のあり方がもう社会の実態に合っていないからです。下手をすれば政治不信が右派ポピュリズムに流れる。それよりは健全な社会運動に流れたほうがずっといい。脱原発のデモが続いているのは『現状の政治』には失望していても、まだ『政治そのもの』には希望を持つ人たちがいることを示している」】 【「官邸前デモで、人々は首都の官庁街に何万人規模で集まってよいことを知った。政治に圧力をかけられ、首相と面会できることを知った。この意味は大きい」】 ▶福島県、核燃料税を廃止 立地自治体で初 来月末 【福島第1原発事故で、福島県は19日、東京電力に対する第1、第2両原発の核燃料税の課税期間を更新せず、現期間が終了する12月末で課税を打ち切る方針を明らかにした】 ▶<核燃料税>福島県、今年限りで廃止 全国初 【東電福島第1原発事故を受け、県と県議会は「脱原発」を掲げて県内原発の全基廃炉を求めており、再稼働を前提とする同税も廃止に踏み切った。 福島県は77年に県核燃料税条例を施行、5年ごとに更新してきた。07年施行の現条例は今年12月30日で自動失効するが、県は県議会に関連条例案を提案せず課税を終える】 ▶<福島・検討委>内部被ばく議論、当初削除 公開後に追加 【尿検査を巡るやりとりがあったと修正されたのは、昨年6月18日に開かれた第2回検討委(非公開)の議事録】 【議事録を巡っては第1~3回の検討委について、県民からの情報公開請求時に実際には作成していなかったのに、職員の手持ちメモに基づき急きょ作成し開示していたことが発覚。県が先月公表した内部調査では「職員の手持ちメモから一部を除いて作成し開示したという不適切な処理があった」と、議論の一部を削除していたことを明らかにしていた】 【県健康管理調査室の佐々恵一室長は「元々の議事メモはここ(調査室)にあったが、誰がどういう意図で(情報公開時に)削ったかは分からない」と話している】 何事も穏便に、事は荒立てないという役人の本性がそうさせるのでしょう。 ▶福島第2の線量、一部未掲載=昨春事故後、東電HPに 【昨年3月15日から4月3日にかけて、福島第2原発のモニタリングポストで測定された放射線量の一部が同社ホームページ(HP)に掲載されていなかったと発表した。東電は「対応が十分ではなかった」として改めて掲載】 ▶東電 未公表データをHPで公表 【去年3月15日午前から4月3日にかけて、東京電力が公表していないデータがあることが明らかになったもので、東京電力がNHKからの指摘を受けて調べた結果、データの存在が確認】 【これらのデータの中には事故から5日後に、それまで1時間あたり20マイクロシーベルト前後で推移していた放射線量が、突然、80マイクロシーベルトに急上昇するデータも含まれ、専門家は、「事故を検証するうえで重要なデータであり、未公表のデータが存在するのは問題だ」と指摘】 東京電力は「当時、事故対応の混乱などで」などと言っています。事故が起きて右往左往するのはわかりますが、それでもって、肝心なことをできないような組織では大問題だということです。言い訳以下の話。 ▶<原子力学会>原発安全対策を提言へ 【福島第1原発事故の原因を調べている日本原子力学会の調査委員会は19日、原発の安全対策を学会独自で提言することを明らかにした。放射性物質の飛散を抑える「フィルター付きベント装置」などの設置を想定している。今年度末に公表する中間報告に盛り込む】 【原子力安全・保安院が電源や注水機能の多重化、浸水対策の強化など30項目を提示。現在、原子力規制委員会が法制化の準備を進めている。同学会はこうした情勢を踏まえ、この30項目を再評価して優先順位をつける。また、フィルター付きベント装置▽溶融して落下した核燃料を受け止める「コアキャッチャー」の設置──など】 ▶静岡・浜岡原発:5号機、点検に遅れ 14年9月まで 再稼働時期に影響 【中部電によると、13年1月から、1、2号機の使用済み核燃料計1099体を耐震性の高い5号機の燃料プールに移す計画で、搬入スペースを確保するため、5号機の点検を遅らせるという。搬出作業の終了は1号機は13年3月末まで、2号機は14年3月末までの予定】 【中部電の増田博武・原子力部長は「地元のみなさんに安心してもらうため、(廃炉作業を)計画通り進めることが必要と考えた」と説明】 ここでもはっきり分かることは、使用済み核燃料の「処分」は非常に難しく、移動するだけでも大変な時間がかかるということ。しかも、「安心」できないところにこれまで置いてあったということです。 ▶浜岡原発:燃料棒のひび公表せず…放射能漏れ事故で中部電 【中部電力は19日、浜岡原発1号機(沸騰水型軽水炉、静岡県御前崎市)で1994年に発生した燃料集合体1体からの放射能漏れ事故をめぐり、燃料棒の小さな穴が原因と説明していたが、その後、幅約0.5ミリのひびに拡大していたことを明らかにした。ひび割れは95年4月に確認したが、公表していなかった】 中部電は「機会を逸してしまった。申し訳ない」と謝罪とのことですが、要は、いろいろ出てきているので、それに他者(東電)も公表したので、今のうちに出しておこう。そのほうがリスクが少ないかというほどの判断でしょう。何が「機会を逸してしまった」ですか。 ▶原発安全対策で「基準津波」──原子力規制委 【原子力規制委員会は19日、原発ごとに最大規模の津波を「基準津波」として設定し、安全対策を講じるよう求める方針を決めた。地震・津波に対する原発の新たな安全基準を作るため】 これまた当たり前の話。何をやっていたのだといいたくなります。 ▶環境関連4法 放射性物質対応に改正へ 【原子力発電所の敷地外に放射性物質が広がることを想定していない大気汚染防止法など4つの法律について環境省は、万が一の事故が起きた場合に拡散する放射性物質に対応出来るよう改正することを決めました】 ▶野生キノコ、セシウムに泣く 10県で出荷制限 記事にある出荷禁止措置が取られた件を見ると、青森、岩手、宮城、福島、栃木、群馬、長野、埼玉、山梨、静岡です。しかし、県境で止まっているわけがないので、福島県に隣接する宮城県南部、山形県や秋田県、新潟県、茨城県、東京都、神奈川県はどうなっているのでしょう。 【福島第一原発から北へ350キロ離れた青森県十和田市。10月、市内の八甲田山系で採れたチチタケから、食品衛生法が定める基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える120ベクレルの放射性セシウムが検出された。国は出荷制限を指示し、県は市内で採れたナメコやクリタケなど全種類の野生キノコの販売を禁じた】 ▶福島第1原発事故 母乳と幼児らの尿、放射能検査実施──来年から那須塩原市/栃木 【福島第1原発事故による放射性物質影響検査について那須塩原市は、授乳中の女性の母乳と妊婦、6歳までの幼児を対象とした尿検査を来年1月から実施することを市議会全員協議会で明らかにした】 【検査費用は1検体1万5000円のうち、市が半額助成する。1人1回が原則だが、放射性物質が検出された場合は2回まで対象とする。12月議会で139万500円を予算化する方針。】 これだけの事故を起こし、大量の放射性物質をばらまいてしまったのですから、安心を得るためには必要な措置でしょう。そのコストも算入したら、原発なんてとてもじゃありませんが、採算なんて合いません。 ▶日立、原発で一世一代の大勝負 リスク覚悟、自社製海外建設の勝算は? 【ただ、原発の建設費は膨大で、建設後も長期の運営コストが必要になる。リスクとリターンを分かち合うパートナーの存在が不可欠だが、今後の交渉次第では日立が背負い込むリスクが過大になりかねない。日立が打って出た一世一代の大勝負に勝算はあるのか】 【ホライズンはドイツ電力大手のRWEとエーオンの2社が2009年に設立。しかし、ドイツ政府が「脱原発」の方針を表明したのを受け、2社は3月にホライズンを売却する方針を示した。これを知った日立にとっては、「渡りに船」だった。日立が原発事業を続けるには輸出の拡大が欠かせないからだ。9月28日に6億7000万ポンド(約850億円)の買収価格を提示、先月30日までに買収で合意した これに対して、国内ライバルメーカーは、いずれも原発の運営に対して慎重だ。三菱重工業の佃嘉章副社長は「非常に難しい挑戦」といい、運営事業への参入に否定的。東芝の幹部も「当社にも5、6の運営会社の買収案件が入っているが、出資する方向にない」と明かす】 【原発を運営するには、40年に及ぶ保守管理業務があるうえ、事故などのリスクも伴う。スタンダード&プアーズの柴田宏樹主席アナリストは「経験のない海外での建設はスケジュール管理が想像以上に難しく、想定以上にコストが膨らむ可能性もある」という。日立の“賭け”の行方は、原発ビジネスや重電業界の勢力図を塗り替える衝撃力を持っている】 総選挙 お調子者が飛び回る、東の石原、西の橋下 ▶維新 橋下代表代行街頭演説スタート この記事に動画は添付されていません。しかし、この街頭演説で、橋下、「政策なんてどうでもいい。必要なのは中央官庁の役人をどう動かすかだ」などと、ほざいています。 昨日は、政策が一致できないところとは一緒になれないだのと言ってみたり、チョーテキトーな人間です。こやつらに、政策などはじめっからあるわけないのです。政策はただ単に「権力をとるため」の手段なのです。ならば、中身を問うこと自体ナンセンスなのです。 でも、こういう連中に票を入れる人がいるのです。それが今のわが国の民主主義のレベルです。 | ||